
(写真=webサイトより)
自分の感想を誰かのために役立てる 勝者の思考回路とは
思考回路を変えて自分の生き方に自信を持とう
新型コロナウイルスの感染が広がるいま、誰もが考え方や暮らしを大きく変えていかなくてはならない状況です。仕事の仕方にも、大きな変化が出てきているでしょう。
『勝者の思考回路 成功率100%のブランドプロデューサーの秘密』(柴田陽子著、幻冬舎)から、こんな世情だからこそ知っておきたい、自分に自信を持って働くための思考方法を紹介します。
思い、気持ち、やりがいを持って生きる
“勝者の思考回路”という言葉には強いインパクトがあります。本著にはビジネスパーソンだけではなくどんな立場の人にも共通する、誰もが人生における勝者になるための考え方がまとめられています。
とくに今の時代において、「幸せ」は、数字で証明できるものではなくなっていますよね。思い、気持ち、やりがいがなければ、本当の勝者とはいえないと思います。(004ページより引用)
著者は、大学卒業後に外資企業に入社して新規業態開発を担当。その後、化粧品会社での商品開発などを経験し、2004年に柴田陽子事務所を設立します。
現在はブランドブロデューサーとして、コーポレートブランディングや店舗プロデュース、商品開発といったコンサルティング業務に従事しています。
「思い、気持ち、やりがいがなければ、本当の勝者ではない」と定義づけたうえで、自分は経営者やプロデューサーとして、さらに主婦としても勝者であると著者は語ります。
人はときに弱い気持ちになり、築き上げたはずの自信や信頼を一気に無くしてしまうことがあるものです。しかし、それは思考回路によって前向きになることができると言います。
自分自身のコンセプトを構築する
独立後、渋谷ヒカリエやローソン、東京會舘といった華々しい商業施設や大企業との仕事に数多く取り組んできた著者。その功績から、誰にも負けない強いメンタルを持った女性なのだろうかと思いきや、誰かに“負けない”といった気持ちで頑張ってきたというモチベーションではなかったようです。
私のモチベーションは「勝ち負け」ではありません。「成功する」「結果を出す」というのは外せないけれど、「誰かに勝つ」は発想にないのです。(029ページより引用)
相手が男性でも女性でも、張り合うことや負けないこと、見返そうという気持ちをエネルギーに変えるやり方は好きではないと著者は言います。なぜなら、仕事の本質に取り組む前に疲れてしまううえに、品格に欠けるからです。
むしろ、自分の役割を果たしたり自己を成長させたりしながら、居場所を作るための仕事をするほうが、今の時代に合っていると明確に示しています。
そうはいっても多くの人は、つい他人の言動にとらわれてしまうもの。本著では、他者に翻弄されない「ぶれない軸」を持つために、自分自身におけるコンセプトの構築が大事だと伝えています。ちなみに、著者自身のコンセプトは、「強くて優しい人」なのだとか。
誰かに負けないという気持ちをエネルギーに生きることは、今の時代にそぐわない。だからこそ、自分自身のコンセプトをしっかりと持ちたいものです。
今、目の前にあるすべてのことに感想を持つ
成功者になるためには、やはり普通ではない経験をたくさんしなくてはいけないのでしょうか。勝者の思考回路を作るために大事なこととして、著者はこんなことを語っています。
というのも、「勝者の思考回路」を身につけられるか否かを決めるのは、経験の多寡ではなく、そこで「何を思うか、感じるか」だからです。(033ページより引用)
「私なんて普通すぎるから」などと考えないでほしい、大事なことは感想の持ち方と持つ量にあると著者は言います。
興味の対象というのは、当たり前の日常に紛れて案外たくさんあるものです。周囲の小さな変化が時代とどのようにリンクしているのか。例えば、なぜ今これが売れているのかなど、ビジネスや人生に役立つヒントは、生活の中に無限にあると言えるでしょう。
しかし、気をつけなくてはいけないこととして、ただ感想を持てばいいわけではなく、むしろ今ある「すべて」に感想を持つことが大事だと強調しています。
例えば、異業種交流会やセミナーなどにただ行くだけでは、新しい視点を身に付けることはできません。たとえ新しいものに出会っても、目の前にあるすべてのものに感想を持つ習慣がなければ、面白い感想を持てるとは限らないのです。
限られた環境の中にあって、今目に見えて聞こえることに一つ一つ自分の感想を持つ。そんな過ごし方が、未来の新しいアイデアや知恵につながるのかもしれません。
自分主体の感想を誰かの役に立つ思考へ変える
何かを見たり聞いたりしたときに抱く感想というものは、良くも悪くも、その人の特徴や性格がそのまま出てしまうものです。
勝者の思考というと、常にポジティブでなくてはいけないような感じがしますが、一概にそうでもないようです。
ここで間違ってほしくないのですが、「明るくてポジティブな感想は、良い感想」「後ろ向きでネガティブな感想は悪い感想」ということではありません。(038ページより引用)
感想の第一段階は、ものの受け止め方の特徴がそのまま出てくるものですが、肝心なのは第二段階。「自分の感想は、他者の存在を考えたときにどうなるか」。そして、「自分の想像力を駆使して思いつく限りの多くの感想を導き出す」という思考の誘導をすることが大事なようです。
すると、自分主体の感想でしかなかったものが誰かの役に立つ思考へと変わる。あくまでニュートラルに自分を保ち、他者の存在を意識することで良い感想が生まれるというのです。
多くの感想、良い感想を自身の中から常に出し続けることは、多大な努力がいることでしょう。しかし、このトレーニングの繰り返しが、本当の意味で人生における勝者の思考回路を得ることにつながるのかもしれません。
タイトル:『勝者の思考回路 成功率100%のブランドプロデューサーの秘密』
著者:柴田陽子
発行:幻冬舎
定価:1500円(税抜)