(写真=webサイトより)

起業してからその後 会社を長く続けるための考え方

事業を長く続けていくために「覚悟」をしよう

昨今、女性の起業が何かと推奨されています。一方で、事業が継続できずに数年ともたずに挫折してしまうケースも少なくないようです。起業後、事業を長く続けるためにはどのような心構えが必要なのでしょうか。

『私を幸せにする起業』(芳子ビューエル著、同友館)より、起業して30年会社を続けてきた女性経営者の考え方を紹介します。

起業後、事業を長く続けていくために

株式会社アペックス取締役社長であり、株式会社アルト代表取締役を務める著者は、北欧流ワークライフデザイナーとして活躍しています。

高校卒業後はカナダに留学し、大学在学中にカナダ人男性と結婚して8年半カナダに滞在。現地では、キンコーズカナダの前身となる会社に、女性第一号営業職として採用され勤務し、カナダから帰国した30年前、日本で2社を起業しました。

実業家としての成功を収める一方で、ワークライフバランスの実現や世界各国から学んだライフスタイルの提案を発信。インテリアショップやカフェのオープンなどにも取り組み、現在は北欧輸入の第一人者として知られています。

経歴からは、起業女性の中でも特に大成功を収めているタイプに見える著者ですが、意外なことを冒頭に述べています。

起業したいという相談をよくされますが、会社を作って事業を行っていくことがどれだけ大変なのかを、しっかり理解したうえで起業してほしいと思います。(6ページより引用)

起業を推し進める趣旨の話をよく耳にする昨今において、実にシビアな一言です。

著者は、自治体などから起業塾の講師を頼まれていますが、違和感を覚えることが多いのだとか。主催者や銀行は起業を盛んに勧めることが多いものの、やりたいことや家庭の事情を聞くと、この人たちに本当に「起業しなさい」と言っていいのか、決して安易に勧められないというのです。

しかし本著は、起業をやめさせるという趣旨ではありません。起業したい人が失敗をしてつらい経験をしないためのアドバイスなど、働く女性や子育てをする女性が起業し、事業を続けていくうえで、参考になる現実的なことがまとめられています。

起業した後、事業を長く続けていくために大事なことを事前にしっかり知っておきたいものです。

起業を失敗する理由の一つは「覚悟不足」

起業しても3年もたない会社が多いなどという話をよく耳にします。せっかく大きな夢を抱いて起業したはずなのに、どうして継続できないのでしょうか。

著者曰く、起業した人のうち7割が3年以内に失敗してしまう現実があるといいます。企業の生存率は5年後で15%、10年後で6.3%なのだとか。3年といえば、まだスタートアップの時期で、負荷が大きくかかる時期だと言えるでしょう。

せっかく起業しても失敗してしまう理由の一つとして、起業した本人の「覚悟不足」もあげられます。(70ページより引用)

起業して3年、5年と事業を継続していくためには、まずシンプルに覚悟が必要であると著者は言います。

一方で、日本人には、「人に何かしてもらって当たり前」という考え方が根強くあるのだとか。起業するのであれば、どんなにつらいことがあっても自力で事業を継続していくという覚悟が必要であるといいます。

安易な気持ちで起業してはならない

会社を経営するということは、その会社の事業を継続していくことがひとつのミッションでもあります。だからこそ、「私はかわいそう」などという考えをどこかで持っていると、何をやっても成功しないと本書では述べられています。

会社の規模にかかわらず、経営者は孤独なものです。事業に失敗してしまうのは、精神的に弱いところがあることも否めないようです。

「起業って楽しそう」「あの人にできるのなら、私にもできそう」などという安易な気持ちがあるとしたらやめたほうがいい。そんな考えだと120%失敗すると著者は断言しています。

著者はかつて、成り行きで起業してうまくいかなくなり、生活費にも困る日々を過ごした経験があります。だからこそ伝えることができる、厳しくも確かな現実であると言えるでしょう。

起業によって自由を手に入れる喜び

失敗の可能性を考えると、ちょっと自分には無理だと思う人も多いでしょう。しかし、起業には、つらさや厳しさを超える素晴らしさや楽しさが間違いなくあるようです。

まず第一に、自分で事業を行っていることには、圧倒的な自由があります。人に左右されない人生を送ることができます。この自由には、なにものにも代えがたい喜びがあります。(73ページより引用)

生きていると、各方面でいろいろな制約があるものです。しかし、起業することで働き方や仕事内容に関しては自分のやりたいことができるようになり、それこそが起業の魅力の一つだと言えるでしょう。

働く時間を人から拘束されたくない、自分の好きなように働きたいという人は、起業も選択肢の一つになりそうです。

起業といっても、会社を作ることだけではなく、フリーランスで働くことも選択肢の一つでしょう。その場合の注意点は、「自分のビジネスはこれくらいでいい」と決めないほうがいいことなのだとか。

順調に伸びているときには事業を大きくすることにもチャレンジしていくことで、たった一人で小さく始めたことでも、大きなビジネスに発展することもあり得るようです。

会社経営の8割は人とお金の問題

また著者は、法人にするかしないかという問題について、法人化することを勧めています。法人の設立が以前と比べて簡単になり、現在では資本金も1円から可能です。法人化することで、社会的な信用も変わってきます。

ただし、法人化には税金の問題が発生するため、単に利益を出していけばいいというものではないようです。会社を大きくしていく意欲があるのなら、ある程度大きい税理士事務所に最初から相談することを著者は勧めています。

会社経営の8割は、人とお金の問題であると語る著者。資金繰りの問題に加え、ある程度大きくなってきたとき、人の雇用や育成をどう選択していくのか。

課題は山積みかもしれませんが、まずは自分の覚悟一つ。どんな人生や生き方を選択していきたいのか、じっくり考えることから始めるといいのかもしれません。

タイトル:『私を幸せにする起業』
著者:芳子ビューエル
発行:同友館
定価:1500円(税抜)

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