(写真=webサイトより)

女性の働き方「1.0」から「2.0」へ 必要な考え方とは

従来の常識にとらわれない女性の働き方

女性活躍推進が叫ばれるようになって久しいですが、管理職になりたいと名乗り出る女性は、なかなか増えない現実があるようです。

『女性マネージャーの働き方改革2.0 ―「成長」と「育成」のための処方箋―』(高田朝子著、生産性出版)より、働く女性が今後どんな視点を持ってビジネスの場に臨むことが大切なのか、その考え方を紹介します。

女性の働き方が「1.0」から「2.0」へ変わるとき

法政大学ビジネススクール教授を務めている著者は、本著でこんなことを語っています。

「働き方改革」と「女性活躍推進」の流れは、実は根底が同じです。人口減少の傾向に気がついた政府や企業が労働人口を確保しようと、さまざまな手を打ちはじめたことによります。(3ページより引用)

女性が戦力となって働くためには、働き方そのものを変えていかなくてはならない。それは、これまで日本を支えてきた、長期雇用が前提の「おじさんコミュニティ」の終焉を意味していると言います。

今なお根強い力を保つ会社内における「おじさんコミュニティ」。かつては、男性たちと同じような働き方をしていかなくては、会社で女性が活躍することは不可能だったのかもしれません。その時代を生き抜いた、ごく少数の女性マネージャーたちを「女性マネージャー1.0」と著者は評しています。

「女性マネージャー1.0」の課題点

「女性マネージャー1.0」の世代は、先駆者として、ときには男性以上に長時間労働をこなしながら、現代に通じる礎を作ってきました。やがて、「女性活躍推進法」ができ、女性管理職比率の数値目標設定など、企業には女性マネージャーを育成する実績作りが求められるようになってきました。

ところが、肝心の女性たちが、あまりその波に乗ってこない現実があったようです。人は自分にとってプラスになるものがないと、簡単には態度を変化させないもの。いくら政府や会社に旗を振られても、女性側に昇進のメリットが感じられない現状が足を引っ張っていたのでしょう。

そうなると、これからは女性の働き方も「1.0」から「2.0」へとステージを変えていかなくてはいけません。

「女性マネージャー2.0」の働き方

女性マネージャーは未だ少数であると語る著者。そもそも働く女性というのは特性ごとに4つに分類できると言います。

「エリート女子」は、着実に仕事の実績を重ねて順調に昇進してきた女性たち。「エイヤー女子」は、業績が分かりにくく、企業側の思惑で「エイヤー」と昇進したのではないかと解釈されがちな女性たち。「抜かされ女子」は、何らかの理由で昇進トラックに乗っていない女性たち。「ジカタ(地方)女子」は、確実な仕事をするものの、昇進トラックには乗らない女性たち。

一方でポジティブ・アクションは、別の弊害をもたらしました。多くの人が女性たちの昇進を「下駄を履かせて昇進した」と同義で解釈されることが多くなったのです。(97ページより引用)

4つに分類された中で、著者は特にエイヤー女子に着目しています。エリート女子は圧倒的な業績を持っていて、仕事の評判が至極高いレベルの人たちを指しています。その反面、昇進の評価軸があいまいなエイヤー女子は、偏見の矛先になってしまうことが多くあるようです。

これは、男性の場合でも、同様のパターンが見受けられることがあります。しかし、女性の昇進に慣れていない社会では、「実力がないのになぜ」というマインドセットが、無意識のうちに大きくエイヤー女子に向けられていることもあるでしょう。

何かと「お手並み拝見」という立場に置かれてしまうエイヤー女子。新しく生まれたセグメントとして、社会に受容されるためにはもう少し時間がかかるのかもしれません。

上司にまん延する「ハラスメント恐怖症」

女性を昇進させていくうえでは、その上司たちの育成力も問われています。

女性管理職は、どちらかといえば同性部下のほうがコミュニケーションをとりやすいものの、男性部下も女性部下も、接し方に大きな差はないのだとか。

しかし、男性管理職は、女性部下よりも男性部下のほうが、圧倒的にコミュニケーションがとりやすく、むしろ女性部下の育成には困っているのだと言います。

その背景には、男性管理職の中でまん延している「ハラスメント恐怖症」があるようです。何かを言うと、すぐにハラスメントだと訴えられる。そんな恐怖心から、男性管理職は女性部下への対応において、腫れ物に触るような状況に陥っていることがあるようです。

女性に何か言ったら、必ずパワハラ認定されるというのは都市伝説です。中略
上司たちが女性部下を育てるという多くの経験をすることによって、恐怖の条件づけは払拭されます。(140ページより引用)

上司、特に男性管理職が必要以上に女性部下に気を使っておびえるのは、女性の育成に慣れていない過渡期の現象であると著者は言います。女性と接する経験が少なすぎて、必要以上に恐怖心が発生しているケースもあるのだとか。

上司が自らの育成経験を高めてマインドセットを変えていかなくては、真の意味で女性の新しい働き方を推進することは難しそうです。

「女子マインドセット」を解き放つ

さまざまな問題や課題は、一朝一夕には解決できないかもしれません。また、上司も含めて他者がかかわってくる課題の解決は、より難しいこともあるでしょう。

しかし、働く女性たち自身が、働き方に対する考え方を変えていくことはできるかもしれません。著者は、働く女性たちは以下のような考え方を持つことが必要であると述べています。

どのような方向性に進むにせよ、ビジネスの現場で女性たちにとって現在、最も必要なことは、「女子マインドセット」を変えることだと思います。(226ページより引用)

仕事のスタンスは人それぞれであり、すべての働く女性が昇進に向かっていく必要はないでしょう。しかし、AI化が進み、これまで以上に付加価値をつけた仕事の仕方が求められる今だからこそ、女性自らが「女子マインドセット」を解き放っていくことが大事です。

これを女性マネージャーという視座で考えると、ちまたでいう“女子力”があってもなくても、仕事をきちんとこなし、気配りや調整事に“女子力”というタグをつけて、従来の常識にとらわれたこうあるべきという方向性に偏らないことが、女性の働き方を「1.0」から「2.0」へと変えていくために必要な考え方であると言えるでしょう。

働き方の過渡期である現在において、周囲の思惑にとらわれずに自分の人生をデザインしていくことは、女性の働き方を改革していくために大事な考え方なのかもしれません。

タイトル:『女性マネージャーの働き方改革2.0 ―「成長」と「育成」のための処方箋―』
著者:高田朝子
発行:生産性出版
定価:1800円(税抜)

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