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起業時に銀行から融資を受けるためのポイント4つ

融資制度の基本を抑えよう

「起業早々、融資なんて……」と思う人は少なくありません。「借金=悪」という意識から、多くの人が融資に対して抵抗を覚えがちです。しかし、本気で事業を成功させたいならば、起業と同時に融資を受けることはとても有効な手段です。今回は、起業時に知っておきたい融資制度とあわせて、金融機関から融資を受けるためのポイントを4つに絞って解説します。

銀行からの融資にはどんなものがあるのか

起業資金を補填するための融資制度には次のようなものがあります。

●日本政策金融公庫の「創業融資」

創業融資とは、日本政策金融公庫が新たに事業を始める人、あるいは起業後間もない人に向けて行う融資制度です。事業のための運転資金や設備資金のための融資となります。融資の上限額は3000万円(うち、運転資金は上限1500万円)です。原則、無担保・無保証で、新規事業を始める人にとっては心理的なハードルが低い融資制度となります。

●信用保証協会が信用供与する「制度融資」

制度融資とは、事業主が金融機関から融資を受ける際、信用保証協会が保証人となってくれるだけでなく、自治体からの支援を受けられるタイプの融資です。創業後も活用できる融資ですが、創業融資よりも自由度は下がります。

まず、無担保保証の場合、制度上では8000万円が上限となっていますが、実際の融資限度額はこれよりずっと低いのが実情です。また、自治体により融資限度額が異なります。さらに、利息以外に信用保証協会に対して信用保証料を支払わなくてはならないほか、創業融資よりも審査期間が長めです。

起業時に銀行から融資を受けるメリットとは

起業時に銀行から融資を受けると次のようなメリットがあります。

●本業に集中しやすい

資金繰りというのは、事業者にとって常に悩みの種です。どんなに多額の貯金をしていても、開業すればあっという間に資金は底をつきます。それは、たいていの場合、売掛金の回収よりも買掛金や経費の支払の方が先に来るからです。

売上が良くても、現金の回収が間に合わず支払いができなければ黒字倒産してしまいます。また、事業とは別に事業者自身の生活費にもお金がかかることを忘れてはなりません。

融資が受けられればこういった悩みに気を取られることなく、営業や販路拡大、事業戦略など経営者が集中すべき業務に邁進できます。

●事業の成長を加速化できる

事業拡大のスピードアップには資金が欠かせません。手元資金が10万円よりも100万円あったほうが事業を成長させるための投資を行いやすくなります。「事業の成長スピードは事業資金の多寡に比例する」と言っても過言ではありません。

もし融資を受けて資金に余裕があれば、その分事業の成長は加速しやすくなります。成長が加速することで、早く事業を安定化させることもできるかもしれません。

●起業時の融資に対する姿勢が次の融資につながりやすい

融資審査の最大のカギは「経営者に信頼がおけるかどうか」です。具体的には「貸したお金をきちんと利息をつけて返してくれるか」「融資を事業のために正しく活用しているか」といった点を金融機関はチェックします。ただ、金融機関との付き合いがなければ、判断が難しいのが実情で、提出書類がどんなにあっても事実と異なる可能性は否めません。

そこで、融資を申し込む際には、「コツコツ返済する」「事業を成長させる」といった経営者の誠実な姿勢を見せることがポイントです。紙の情報よりも、実績や人柄のほうが融資の審査を左右するケースもあることを知っておきましょう。

融資を受けるためにおさえておきたい起業前のポイント4つ

銀行,融資,起業 (写真=PIXTA)

起業する人が誰でも簡単に融資を受けられるわけではありません。どうしたら融資を受けやすくなるのでしょうか。ここでは4つのコツを紹介します。

●コツコツ自己資金を貯金しよう

融資を受けるにしても、起業資金を100%融資でまかなう人はほとんどいません。ほとんどの創業融資には自己資金の割合が要件としてあり、多くの場合、「自己資金+融資」で事業をスタートさせます。

融資を受けたいなら、ある程度の事業資金は自分で定期的に貯金をしてきたという実績をつくっておきましょう。「コツコツ貯金する」という堅実な姿勢が金融機関にとって安心材料となります。事業規模にもよりますが、飲食業など設備投資が必要な場合は500万~1000万円、それ以外の業種でも200~300万円は目標として見積もっておき、少なくともその3分の1、できれば2分の1は用意したいところです。

●根拠のある事業計画書を作成しよう

融資の申請には、事業計画書の提出が必要です。具体的には、添付資料で次のような内容を明示します。

 創業者自身の経験と、事業内容の関連性・ストーリー性
 事業の環境要素(立地、通行人など)に関する調査結果・ターゲット・戦略の関連性
 競合調査
 損益計算書での売上・原価・諸経費の見積

それぞれの項目に関して、参考になる具体的な指標があれば、それに基づいて根拠のある数字を作るようにしましょう。

●起業前にたくさん事業経験を積もう

銀行が融資審査の際に重視するのが「創業者の経験」です。起業分野での経験が豊富であればその分事業も成功しやすく、返済の可能性もより高まると判断されます。逆に、起業分野での経験がゼロであれば、イチからノウハウを積まなくてはならないため失敗のリスクも高まります。いくら見事な事業計画書を作ったところで、作った本人が初心者であれば銀行も融資に慎重になるのです。

創業融資を望むなら、実績のある分野での起業がより審査に通りやすくなります。「どうしても未経験の分野で起業したい、でも創業融資も受けたい」のならば、アルバイトでもよいので、1年程度は実績を積むと良いでしょう。

●日頃から支払や申告は期限を守ろう

起業前であっても、水道光熱費や携帯電話代などといった日常的な支払を支払期限までに済ませましょう。些細なことに思われるかもしれませんが、経営者の日常的なお金の習慣がきちんとしているかどうかも融資審査の対象になります。

起業後は「利益>返済額」を意識せよ

起業時の融資を受けることに成功した場合は、事業展開とともに返済が待っています。毎月コツコツ返済しなくてはならないことは言うまでもありません。

事業を進めるなかで、「利益>返済額」を意識するようにしましょう。起業後、経営者の目はどうしても売上に行きがちですが、実際には売上から経費を引いた後の利益から返済をやりくりします。日々の会計を疎かにせず、手元資金の動きには常に目を光らせるようにしましょう。

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