
(写真=PIXTA)
中小企業融資の強い味方「商工会」に所属するメリット・デメリットとは?
困ったときの商工会!その役割とは
中小企業や小規模事業者が事業資金の融資を受けたいと考えたとき、はじめから民間の金融機関に出向くのはちょっとハードルが高いかもしれません。そんな時、まずは地域に展開する商工会や商工会議所を頼ってみると、思わぬ解決策を得られることがあります。ここでは、「商工会」「商工会議所」の役割や、中小企業の経営者が知っておきたい融資制度について解説します。
中小企業が利用できる融資の種類とは?
中小企業を経営する人にとって「融資」と聞くとなんとなくマイナスのイメージに捉えてしまうこともあるでしょう。しかし、事業計画や資金計画をしっかり立てた上で、必要であれば融資を検討してみるのも戦略のうちかもしれません。
●商工会といえば「マル経融資」
事業を展開するにあたりさまざまな相談に乗ってくれる商工会や商工会議所は中小企業の強い味方です。商工会の「マル経融資」(小規模事業者経営改善資金融資制度)には以下のような特徴があります。
・商工会や商工会議所で原則6ヵ月以上の経営指導を受けている
・無担保・無保証人である
・日本政策金融公庫が行う国の融資制度である
他にもいくつかの要件がありますが、基本的には中小企業もしくは個人事業主などの小規模事業者が事業改善を目指している場合に利用できます。
●他にもさまざまな融資制度がある
マル経融資の受け入れ先になっている日本政策金融公庫は政府系金融機関と言われています。事業内容や経営状況に限らず、大規模災害による被害など、目的により多様な融資制度が用意されているので覚えておくと良いでしょう。
また、「信用保証制度」といって、中小企業・小規模事業者が民間の金融機関で融資を受けようとする際に信用保証協会が保証人となって融資を受けやすくするものもあります。全国にある同協会が各地域で業務を行っているので、審査に不安がある場合は頼ってみると心強いかもしれません。
●起業する時に使える融資制度
起業や創業支援に関する融資制度として、先に述べた日本政策金融公庫の「新規開業資金融資」や「女性、若者/シニア起業家支援資金」があります。
その他にも地方創生の一環で創業支援融資を行っている都道府県や市町村も多くあり、創業相談やセミナー、事業計画書の作成の手助けを政策として掲げている場合もあります。使える支援をうまく利用するのは賢い方法ですね。
商工会とは?まるわかり解説
先に述べた「マル経融資」に限らず、融資を受ける際には“商工会や商工会議所を通して”という要件がよく見られます。そもそも「商工会」の名前を聞いたことはあるけれど実態までは理解していないという人も多いでしょう。ここからは、そんな「商工会」および「商工会議所」について解説します。
●商工会と商工会議所
商工会と商工会議所は、事業内容や目的では同様の活動をしていますが、管轄官庁や法律、組織運営としては全く別の団体です。「商工会」は各都道府県の“町村”区域に設置されその地域の中小企業、特に小規模企業への経営改善を行うことを主な役割としています。
一方、「商工会議所」は各都道府県の“市”の区域に設置され、中小企業への支援だけでなく地域の総合経済団体として多様な活動展開をしていることが特徴です。
●何をするところ?
設置地区の中小企業に対する経営指導と言っても内容は多岐に渡っています。経営相談や帳簿のつけ方、社会保障についての指導、損害賠償保険の取り扱いなど企業の経営に関することや、創業塾の開催や人材支援、若者・女性の活躍推進など人材育成に関すること、さらに簿記やそろばん、日商PCなどの検定試験対策として専門知識の習得も支援しています。
●会員にならないとサービスは受けられない?
実際に商工会や商工会議所で経営相談を受けるには会員になる必要があります。無料の相談会など、会員以外でも利用できるものもありますが、融資などを視野に入れているのであれば会員になって継続的な経営相談や支援を受けるのが望ましいと言えるでしょう。
商工会に加入するメリット・デメリット
商工会や商工会議所に加入するにはいくつかの要件や会費などの費用がかかります。会費を払ってまで会員になるメリットがあるのかをみていきましょう。
●会員になるメリットは?
・経営サポート
経営だけではなく労務管理、人材採用、確定申告など事業に関わることを個別に相談できます。
・融資制度の案内
公的融資制度の相談や推薦、斡旋などが受けられます。
・ネットワーク構築
人脈や販路開拓、地域での自社PRなど基盤とする地域でのネットワークが広がります。
・イベント・セミナー
時事情報をタイムリーに受け取れます。
その他にも共済制度への加入や専門家からのアドバイスを受けられるなど、多くのメリットがあるようです。
●会員になるデメリットは?
何よりのデメリットはメリットを使いこなせないことです。加入しただけで自分から情報を得ようとする意識がなければ、会費を払うだけになってしまいます。
また、各イベントへの参加や役割を与えられることを負担と感じる場合は、それがデメリットとなるでしょう。
経営者は孤独だと言われますが、悩みを身近で気軽に相談できる場所として商工会や商工会議所の存在を知っていることは大きな強みになります。まずは最寄りの商工会や商工会議所に足を運んで、どのように活用できるのかを自分の目で確かめてみると良いでしょう。