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育休中も住民税は発生する!慌てないための事前準備3つ

育休中の住民税とその対策方法とは

これから育休を取得する方の多くは、仕事の引継ぎなどで忙しい一方、「育休を取得したら、かわいい赤ちゃんとの生活に専念できる」と期待が膨らんでいるかもしれません。ただ、住民税だけは意識しておきたいところです。出産前の準備不足が育休中のお金の悩みにつながるかもしれないからです。

育休で収入ゼロなのに住民税が発生するのはなぜ?

育休中に住民税の納付書を受け取った人の中には、こんな疑問を持つ人が少なからずいます。「今は会社を休んでいて収入が無いのに、どうして住民税を払わなくちゃいけないの?所得税みたいに収入があるときに納めるものではないの?」

なぜ所得税と住民税で納税のタイミングが異なるのか。それは2つの税金の性質の違いにあります。

●所得税と住民税は課税のタイミングが異なる

所得税はその年の所得に対して課されます。会社員など給与所得者の場合、毎月の給料から所得税が天引き(源泉徴収)された後、年末調整や確定申告でその年1年間の正確な所得税額を計算し、天引き済みの税金を精算します。この精算は3月15日までに行われます。つまり、所得の発生と納税するタイミングにほとんどズレがないのです。

一方、住民税は前年の所得に対して課されます。2019年6月以降に納めるべき住民税は2018年の所得に対して課されたものです。納税する時期は所得が発生する時期より半年以上遅くなるため、年が明けて退職や休暇に入り収入が激減あるいはなくなった人も、前年に所得があれば住民税を納めなくてはならないのです。

●所得税と住民税は納税方式が異なる

それぞれの納税方式も納税のタイミングの違いに影響しています。所得税は申告納税方式を採用し、建前上「納税者本人が所得を計算して納税する」こととなっています(実際には勤務先の会社が納税事務を行っています)。納税者側が計算することで、処理も早くなります。

一方、住民税は賦課課税方式を採用し、自治体が納税者の所得額から税額を計算します。計算の基礎となるデータは、納税者の年末調整や確定申告の情報です。これらの情報がそろう3月後半以降から住民税の計算に着手しますが、計算に時間がかかるため、納税の時期は6月以降にせざるを得ないのです。

住民税額は行政サービスの金額に影響する

育休, 住民税 (写真=PIXTA)

育休中の心配は住民税だけではありません。前年の所得や納税者の状況によっては、国民健康保険税の納付義務が新たに発生したり、保育料が増えたりすることがあります。なぜかというと、これら行政サービスの金額は、住民税の所得割(所得額に比例して税額が決まる部分)を基礎として計算されているからです。

前年の所得が高かった人が育休に入った場合、子どもの保育料が高くなったり、退職や夫の扶養から外れるなどの理由も相まって国民健康保険税の負担がかかったりするかもしれません。

これから育休を取得する人が今からやっておきたいこと

では、これから育休を検討している人が、育休中の負担を減らすためにどういった事前準備をしておいた方がよいのでしょうか。今回は、3つの対策を紹介します。

●対策1:ふるさと納税で節税を

まずは、今年発生している所得について節税を検討しましょう。来年の6月以降に納める住民税の課税対象は、今年の所得です。そして、所得税と住民税の節税の仕組みも似ています。今発生している所得に関して節税を行えば来年の住民税は低く抑えられます。

もっとも手軽で効果の高い節税策はふるさと納税です。ふるさと納税は自治体に対する寄附金です。寄付金額から2000円を引いた金額が、所得税と住民税から控除される(控除額に上限あり)仕組みです。また、ほとんどの自治体から返礼品という形でお米や生鮮品などを受け取ることができます。

そのほか、iDeCo(イデコ)も老後の備えを兼ねた節税策として検討の余地があります。それぞれどんな制度かを調べ、できそうならやってみるとよいでしょう。

●対策2:年末調整や確定申告の抜け漏れチェック

住民税が高いのは、年末調整や確定申告の際、所得控除や税額控除の抜け漏れがあったからかもしれません。本来受けられるはずの所得・税額の控除について適用を受けていなければ、その分税金も高くなります。うっかりしやすいのは主に次の項目です。

 別居の親に生活費の仕送りをしている→扶養控除の対象になる可能性あり
 配偶者(夫)が今年仕事を辞めた→配偶者控除あるいは配偶者特別控除になる可能性あり
 年間医療費の総額が10万円を超えないから諦めた→所得額が年間200万円未満なら10万円を超えていなくても医療費控除を適用できる可能性あり

このほか、寡婦(夫)控除や雑損控除、勤労学生控除など制度があります。思い込みで見落としている項目があるかもしれません。「自分は当てはまるかも」という目をもって、各控除制度の要件を調べてみましょう。

●対策3:節約・貯金

節税と同じくらい大事なのが節約と貯金です。育休前の今から出費を抑え、住民税の支払いに備えて少しずつ貯金をしておくと、負担を減らすことができます。しかし、目安もなくただひたすら貯金をするのは大変です。貯金額の目安は以下を参考にするとよいでしょう。

1.前年の所得額と今年の所得額がほぼ同額の場合の貯金額の目安
今年6月上旬までに受け取る「住民税の決定通知書」に書かれた住民税額

2.昇給や賞与などで所得額が増減する可能性がある場合の貯金額の目安
「『住民税の合計所得金額(※1)+増減予定額』-住民税の所得控除の合計額(※1)」×10%(※2)

※1いずれも今年6月以降に納めるべき住民税額を算出する基礎となっているものです。今年6月上旬までに受け取った住民税の決定通知書に記載されています。
※2住民税の所得割の税率は、ほとんどの自治体で10%です。

家族に肩代わりしてもらうときの注意点

住民税の負担を家族に肩代わりしてもらう人もいるかと思います。肩代わりしてくれる相手が夫や親などご自身を扶養してくれる親族であり、金額が比較的少額であれば問題はありません。

ただ、親族であっても別生計の相手による肩代わりであり、負担してもらう金額が年間110万円を超える場合には、「みなし贈与」として贈与税がかかる可能性があります。二世帯で暮らしているけど生計は別な親に肩代わりしてもらう場合は注意しましょう。

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