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育休は復帰後の有給休暇付与に影響する?しない?

有給休暇と育休を上手に活用しよう!

育児休業(以下、育休)前後の有給休暇について、不安を持つ人は多いのではないでしょうか。育休を取ると復帰後の有給休暇が減るって本当?産休前の有給休暇はいつまで取れるの?産休・育休と有給休暇に関する制度を解説し、それらの疑問を解き明かします。仕事と育児の両立に、有給休暇と産休・育休はどちらも大事な制度。体に無理なく、また休暇制度を無駄にしないよう、上手に組み合わせて取得しましょう。

有給休暇っていつとれるの?

●有給休暇は労働義務のある日にのみ使える

もともと「年次有給休暇」とは、労働義務のある日に労働者が権利として取得できる休暇です。つまり、土日祝日などの休日や年末年始の休暇などではない、通常の勤務日に取れる休みであり、それら会社の公休日に、有休を使う人はいませんよね。同じように、産前休暇や育休を申し出た場合や、産後8週間は、そもそも労働義務が免除されている期間ですので、有給休暇取得の対象とはならないのです。

●有給休暇と産休・育休は重ねて取得できない

収入減の不安から、「産休や育休中に有給休暇を消化することはできないものか」と考える人もいるでしょう。結論から言うと、産休や育休と重ねて有休を取ることはできません。それは、産前産後の休暇や育休は、出産する女性やその配偶者に、有給休暇とは別の休業期間として保障された休暇だからです。

有給休暇を取得するなら、産前休暇を申し出ない場合の代替休暇か、もしくは産後休暇が明けた後、あるいは育休の代わりとして取得することとなります。

●産前の間は有給休暇を使える

じつは産前と産後では、休暇の法的な扱いに違いがあります。産前の休暇は本人の申し出により使用者が与えるものという扱いなので、有給休暇で代用することも可能なのです。しかし産後8週間は仕事をさせてはいけない期間と法律で定められているので、有休の請求ができる労働義務のある日に当たりません。

気を付けたいのは、産前休暇や育休の代わりに有休を取得した場合、その期間は通常通り給与が支払われていることになるため、出産手当金や育児休業給付金の対象には含まれないということ。手当や給付金、税制上の免除などを総合的に考慮すると、産休中はそれほど収入が大きく減る心配もないため、産前休暇の代わりに有給休暇を使うのはもったいないという考え方もありますね。

育休は復帰後の有給休暇に影響する?

●産休・育休は出勤率に影響しない

会社から「産前産後の休暇や育休は出勤日にカウントしない」と言われて、育休明けに有給休暇の日数が減ってしまった、という話も聞かれます。しかしこれは、明確な法令違反です。

年次有給休暇は、労働基準法第39条で「雇入れの日から起算して6カ月間継続勤務し全労働日の8割以上出勤した労働者」に対して付与するものと規定されており、取得要件となる出勤率は、次のように算定します。

出勤率=出勤日数÷全労働日(公休日を除いた会社の定める出勤日)

年次有給休暇が与えられる「8割以上」という出勤率に、産休や育休は影響しません。というのも、同じく第39条の10項で、次の期間は「出勤したものとみなす」と規定されているからです。

①業務上の負傷や疾病で療養のために休業した期間
②育児休業や介護休業
③産前産後の休暇

●消滅してしまう前に使ってしまうのもアリ

しかし、年次有給休暇には「時効」が存在します。年次有給休暇の請求権は、発生の日から2年で時効により消滅するので(労働基準法第115条)、例えば1年で消化できず翌年に繰り越した有給休暇は、会社が特に認めていない限り、2年目には消滅します。

そのため、産休に入る前に未消化の有給休暇がある場合、前年から繰り越した有給休暇は1年間の育休中に消滅してしまいます。その分の有給休暇は、産休に入る前の通院や諸々の手続きなどに使ってしまうのも1つの方法です。なお、妊婦健診などで通院する場合は、会社はそのための時間を確保するよう義務づけられていますので、通院休暇を申請することも可能です。通院休暇が無給であれば、有休利用を検討してみましょう。

有給休暇をもらうための最低条件

育休, 有給 (写真=PIXTA)

ここまでの内容をまとめて、有給休暇を取得するための条件規定を整理しておきましょう。

1.雇用された日から6カ月継続して勤務し、全労働日の8割以上の日数に出勤している(労働基準法第39条)
2.6カ月を経過した日から1年ごとに区切って、出勤率が8割に満たない年の次の年には、有給休暇を付与しなくてもよい(労働基準法第39条2項)
3.ただし、次の期間は出勤したものとみなす(労働基準法第39条10項)
 ①業務上の負傷や疾病で療養のために休業した期間
 ②育児休業や介護休業
 ③産前産後の休暇
4.1年で消化できなかった有給休暇は次年に繰り越されるが、2年目には消滅する(労働基準法第115条)

法律で定められた原則的な有給休暇の付与日数は、次の通りです(労働基準法第39条2項)。

継続勤務年数6カ月:10日
継続勤務年数1年6カ月:11日
継続勤務年数2年6カ月:12日
継続勤務年数3年6カ月:14日
継続勤務年数4年6カ月:16日
継続勤務年数5年6カ月:18日
継続勤務年数6年6カ月以上:20日

時短勤務やパートタイム勤務など労働時間が短い場合は、上記の日数より少なく、労働日数に応じて比例的に付与されます。比例付与が適用されるのは、次のような場合です。

①週の所定労働時間が30時間未満で、かつ週の所定労働日数が4日以下
②1年間の所定労働日数が48日から216日まで

例えば育休明けの時短勤務社員で、1日6時間月曜日から金曜日までの勤務、といったような場合は、通常勤務の社員と有給休暇の日数に変わるところはありません。

産休育休と有給休暇、上手に組み合わせて復帰後を乗り切ろう

育休が明けても、子どもの突発的な発熱や保育園の行事などで、どうしても仕事を休まなくてはいけない日が発生します。そんなときに使える休暇として、有給休暇は重要な存在。無駄にせず、有効に使い切りたいですよね。もちろん、父親である男性配偶者にも、適宜取得してもらいましょう。制度を把握し、復帰後の仕事と育児を上手に乗り切ってくださいね。

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