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公務員の育休制度は会社員とどう違うの?期間や給料の規定を解説

公務員の育休期間は3年!取得率は民間より圧倒的に高い?

公務員の人事制度は給料や休暇、昇進制度など、民間企業のワーカーには少し縁遠い世界。産休や育休などの両立支援が手厚いだとか、男性の育休取得が民間より多いだとかいう話は聞こえてきますが、実際のところはどうなのでしょうか。

民間との違いは何か、そしてそこにはどんな意味があるのか。公務員の子育て関連制度と現状を学んでみましょう。

公務員の育児休業を規定する法律

育休, 給料, 公務員 (写真=Rawpixel.com/Shutterstock.com)

民間企業の育児休業を規定する法律は、1992年に制定された育児・介護休業法(『育児休業、介護休業等育児または家族介護を行う労働者の福祉に関する法律』)です。一方、公務員の育児休業を規定する法律は、『国家公務員の育児休業等に関する法律』と『地方公務員の育児休業等に関する法律』の2つ。

育児・介護休業法と公務員の『育児休業等に関する法律』は、いずれも働き手の仕事の継続と福祉の増進を目指して、同時に整備されました。最近の法改正は2017年、期間の延長や範囲の拡大など、さらなる整備が進んでいます。

ここからは、主に国家公務員の場合について解説していきます。

公務員の育児休業規定

育休, 給料, 公務員 (写真=T.TATSU/Shutterstock.com)

●育休期間は3年。延長や短縮、再取得も可能

公務員の出産や育児に関する休業は、次のように定められています。

【産前休暇】出産予定日の6週間前から取得できる
【産後休暇】出産の翌日から8週間取得できる
【育児休業】子供が3歳になるまで取得できる

育休期間の増減については、次のとおり。

【延長】原則として1回の延長が可能
【短縮】法令上の規定はないが、託児先が見つかったなどの理由があれば、届け出ることによって短縮可能
【再度取得】原則として取得は1回限り。ただし①産後パパ育休(※次で詳しく説明)②特別の事情がある場合は再度の取得が可能

非常勤職員の場合、期間は原則子供が1歳になる日まで。また、取得するには勤務日などいくつかの要件があります。

●男性公務員のための特別な制度

子供が3歳になるまでの育休は男性でも女性でも取得できますが、男性のみに定められた特別な休暇として、次の2つがあります。

【配偶者出産休暇】
配偶者の出産時に、付き添いなどのために取得できる休暇。入院などの日から出産後2週間までの間に、2日間まで取得できる。

【育児参加のための休暇】
配偶者の出産前後で、生まれた子やそのきょうだいの世話のために取得できる休暇。産前6週間から産後8週間の間に、5日間まで取得できる。

子供の生まれた日から57日間以内に男性が取る育休を「産後パパ育休」と呼びます。これを取った男性は特別の事情がなくとも、間をおいて再度育休を取得することが可能です。

公務員が受けられる育休中の手当

育休, 給料, 公務員 (写真=Puttachat Kumkrong/Shutterstock.com)

●公務員共済組合による経済援助

産前産後と育休中は、公務員共済組合による手当金の支給など経済援助が受けられます。共済組合は、公務員の「健康保険」。民間企業では、出産手当金と出産育児一時金は健康保険から、育児休業給付金は雇用保険から給付されますが、同様に公務員では、共済組合から給付されるのです。

産前・産後休暇期間および育児休業期間は、申し出により共済掛金が免除されます。なお、産前産後の休暇は有給休暇であり給与が発生するため、手当金はありません。

●出産費、出産手当金、育児休業手当金

産前産後から育休期間にかけて公務員が受けられる経済援助は、次のようなものです。

【出産費・家族出産費】
本人や家族が出産したときに支給されるお金。産科医療保障制度に加入している病院などで出産した場合は42万円、非加入の機関で出産した場合は39万円が支給される。

【出産手当金】
出産のために勤務できず、有給の産前・産後休暇を取得しなかった場合に支給されるお金。出産の42日前から出産の後56日まで受給でき、金額は(標準報酬日額)×2/3×(支給日数)。

【育児休業手当金】
育児休業を取得中に支給されるお金。期間は子供が1歳に達する日まで、配偶者が育児休業をしている場合は1歳2カ月まで、保育所に入所できない場合などは1歳6カ月まで受給可能。額は、180日までは(標準報酬日額)×67%、それ以降は(標準報酬日額)×50%。

公務員は子育てしやすい?

育休, 給料, 公務員 (写真=takayuki/Shutterstock.com)

●公務員と民間企業の育休取得率の違いは?

公務員と民間企業の育休制度、主な違いは次の2点です。

① 公務員の方が長期の育休を保証されている。
② 男性公務員の育休制度が手厚い。

その効果は、公務員と民間企業の育休取得率の差に表れていると言えそうです。

2017年の常勤公務員の育休取得率は、男性18.1%、女性99.7%。非常勤職員では、男性43.8%、女性100%に上ります(人事院『仕事と家庭の両立支援関係制度の利用状況調査』2017年)。

同じく2017年の民間企業での取得率は男性5.14%、女性83.2%、有期契約労働者で男性5.69%、女性70.7%ですから(厚生労働省『平成29年度雇用均等基本調査』2017年)、公務員の取得率の高さが分かります。

育休期間の状況を見ると、男性は「1カ月以下」が71.3%、女性では「12カ月以上24カ月以下」が31.9%でもっとも多くなっています。

●公務員の男性育休の特徴

男性公務員で顕著なのは、配偶者出産休暇と育児参加のための休暇の取得率の高さです。常勤職員で、配偶者出産休暇の取得率は82.2%、育児参加のための休暇の取得率は77.6%。両方合わせて5日以上取得した職員は、65.0%に上ります(人事院『仕事と家庭の両立支援関係制度の利用状況調査』2017年)。

これら配偶者の産前・産後期間中における男性職員の休暇は、育児の分担をすることで配偶者の負担を軽減する効果があります。さらに、これをきっかけに育児への意識を高め、効率的な働き方への意欲を向上させるものとして、重要視されているのです(人事院事務総局職員福祉局長『仕事と育児・介護の両立支援制度の活用に関する指針について(通知)』2018年3月30日)。

公務員の育休制度・両立支援は「まず隗より始めよ」

育休, 給料, 公務員 (写真=takayuki/Shutterstock.com)

公務員の人事管理において両立支援を整備する目的は、「少子高齢化の進む中、誰もが活躍できる社会を実現する」というところにあります。そのために、男女問わず働きやすい職場環境を整え、子育てがキャリア形成において不利にならない人事管理を目指しているのです。

自分の職場環境があまり整っていないとき、公務員ばかり優遇されている……とモヤモヤを感じることもあるかもしれません。ですが一歩引いて、公務員すら実践できない国の制度を民間企業に浸透させることが果たしてできるのか?ということを考えてみる必要があるでしょう。

子供を生み育てながら同時に働きやすい社会の実現は、日本ではまだ達成途上。すべての父親・母親が働きやすい日本を、あらゆる方面からじわじわと作っていきましょう!

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