(イラスト=木村豪)

【連載】「恋する株(ストック)彼氏」

#09 触り心地にキュンとくる石川から世界のオシャレを作り出す男

魔法を見せてあげるよ

●株(ストック)彼氏 #08小松マテーレくんのスペック
ナンバー(証券コード): 3580
名前:小松マテーレくん
業種:繊維製品
性格:質実剛健
交際タイプ:いつも新鮮な驚きをくれる、飽きさせない

石川でぶつかる

締切に追われていた仕事がやっと一段落つき、ふと思い立って訪れた石川県。べつに場所はどこでもよかったのだけど、大学時代の友人が住んでいるので、久しぶりにサプライズで会いに行こうかと、いたずら心が湧いてしまった。

友人の家は、石川県能美市にある。石川県といえば金沢くらいしか知らなかったけれど、なかなか風情のある街だ。グーグルマップをにらみながら、友人宅へ向かっていると、たくさんの布をかかえた男性と、曲がり角でぶつかってしまった。それが小松マテーレくん。

「大丈夫ですか?」

「いえ、わたしは大丈夫ですが、そちらこそ白い布が汚れてませんか?」

「ぜんぜん平気ですよ。この布は、汚れても簡単にキレイになるんですよ」

地面に落ちた布を拾いながら、少し得意げな顔をしたマテーレくんに、ちょっとドキっとしちゃったのは、恋の神さまのいたずらに違いない。

「東京の方ですか?この街にあなたみたいな僕好みの人がいたら、僕が知らないはずがない」

ちょっと待って。いまどき東京にもこんなにストレートに口説いてくる人はいない。真面目そうに見えるけど、かなりの遊び人なのかしら?

「もし急いでないなら、おもしろいものをお見せしますよ」

えーい、旅先のロマンスは火傷しても楽しめって、死ぬまで現役だったおばあちゃんが言ってた!

工場でサプライズ

マテーレくんが連れていってくれたのは、布がたくさん置いてある工場。中でも目を引くのが、ズラーッと並んだ白い布。

「触ってごらん」

「うぁ!柔らかいー!これってシルク?」

「シルクみたいでしょ?でもこれは合成繊維なんですよ。こっちは綿の手触り。100種類以上白い布があるけど、すべてもとは同じ素材なんだよ。それをどんな風合いにもできるのが、オンリーワンの技術なんです」

じつはこの白い布は、中東の民族衣装として使われているそう。中東では水不足で布を製造するのがむずかしく、そのためマテーレくんの布は、大人気だとか。

「名前は言えなけど、世界中のだれもが憧れる高級ブランドの服にも、僕の布は使われているんですよ。地方に住んでいても、ファッションの最先端で仕事することはできるんです。あなたも、東京なんてゴミゴミしたところはやめて、こっちで暮らしてみませんか?」

え?それってどういう意味? 

旅先での出会いは、日常の何倍もロマンティックに感じるっていうけど、しばらくは現実を忘れて、恋にどっぷりハマるのもいいかもしれない。

<ちょっと真面目に分析>

創業75周年を機に、会社名を「小松精練」から「小松マテーレ」へと変更。そこには、素材メーカーとしてオンリーワンの技術を持って、世界を制するという意気込みが込められています。

もともとは、化学繊維のファブリックメーカーですが、その技術を活かし、他業界へと展開を広げています。

とくに最近注目されているのは、”カボコーマ”という、ロープ状の耐震補強材。鉄の10倍の強度で、重さは4分の1、なおかつふにゃりと曲げられる柔らかさも備えています。

業績は堅調で、今期19.3期も増収増益予定。2016年1月は600円台だった株価ですが、2018年3月には1,200円と2倍に上昇しました。その後は全体相場の悪化にも引きずられ現在(2019年3月17日時点)は800円台。今後、建築分野でカボコーマの需要が高まれば、株価の回復は十分に期待できると思います。

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この連載では、株式投資スクール講師の藤川里絵さんが、気になる株(ストック)の銘柄を彼氏に例えて紹介します。隔週月曜正午更新予定。

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