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「所得税の扶養控除」確定申告でよくある「間違えポイント」とは

扶養控除を正しく申告!

年末調整や確定申告で誰もが一度は目にするのが「扶養控除」。

子どもや親などを扶養している場合に、原則38万円の所得控除が受けられる制度ということで知られています。ただ、2010年の税制改正により旧来とは異なった制度内容となったことなどについてはあまり認識されていません。また、年齢判定で迷う人も少なくありません。

今回は、確定申告の時期だからこそ確認しておきたい「扶養控除の間違えやすいポイント」について解説します。

所得税の扶養控除とは

扶養,所得税 (写真=takayuk/Shutterstock.com)

所得税の扶養控除とは、納税者本人に扶養親族がいる場合に合計所得金額から一定金額を控除できる仕組みです。扶養する親族がいる場合の方がいない場合よりも生活コストがかかります。この事情を配慮し、税負担を軽減すべく設けられた制度だと言えます。

ただし、親族を扶養していればどんな場合も控除OKなわけではありません。扶養親族との関係や親族の状況など、一定の要件を満たす必要があります。

なお、扶養控除として適用される金額は扶養親族の年齢や要件に従い、次のようになります。

・16歳以上19歳未満、23歳以上70歳未満の人(一般の控除対象扶養親族)

38万円

・19歳以上23歳未満の人(特定扶養親族)

63万円

・70歳以上の人(老人扶養親族)

同居老親等(※)の者…58万円
同居老親等(※)以外の者…48万円

※同居老親等とは、納税者の直系尊属(父母や祖父母など)あるいは納税者の配偶者の直系尊属であり、納税者または納税者の配偶者と普段同居している人を指します。

扶養控除の対象となる親族の要件は

扶養,所得税 (写真=Andrei Shumskiy/Shutterstock.com)

扶養控除の対象となる親族は、次の要件をすべて満たした人になります。

・配偶者以外の親族で一定の要件を満たした人などであること
・納税者と生計を一にしていること
・年間の合計所得金額が38万円以下であること(給与のみの場合は給与収入が103万円以下であること)
・青色申告の事業専従者としてその年1年間給与を受け取っていないこと、あるいは白色申告の専従者でないこと

間違えやすい扶養控除の要件

扶養,所得税 (写真=gpointstudio/Shutterstock.com)

ここで注意したいのが以下の点です。

・16歳未満の子供はダメ

今でも「子供は扶養しているから扶養控除OKのはず」という意識をお持ちの方が多いのですが、先述のように2010年の税制改正で15歳以下は扶養控除の対象から外れました。なぜかというと、これと併せて児童手当の制度が創設され、年少の扶養家族に対する配慮はそちらで行うようになったためです。

・年齢の判断は「その年の12月31日」

確定申告時期に扶養控除を考える際、たいていの人は「『確定申告しようとしている今』、何歳なのか」で判断しがちです。しかし、税法では、納税者が死亡あるいは出国した時を除き、原則として「所得税の計算の対象となる年の12月31日に何歳なのか」で判断することとなっています。

たとえば、扶養親族である子どもの誕生日が2003年2月15日であったとします。

2019年3月15日に確定申告書を提出するとした場合、この提出時に子どもは16歳です。しかし、2019年3月15日までに申告・納税を行わなくてはならない所得税の確定申告の計算期間は2018年の1年間であり、扶養控除の年齢の判断は2018年12月31日の時点で行います。

この日、この扶養親族の子どもはまだ15歳です。そのため、2018年分の所得税の確定申告の所得計算上、この子供は扶養控除の対象から外れます。

・わかりにくい「合計所得金額」とは?

所得税法でいう「合計所得金額」は収入の額面金額や手取り金額とはまったく違うものです。た「所得税の計算のベースとなるさまざまな所得の合計額」が合計所得金額のざっくりとしたイメージだと思っていただいていいかと思います。

所得税法上、その性質に応じて所得は事業所得や給与所得、雑所得など10種類に分けられます。

各所得区分に応じて所得計算の仕方は異なるのですが、ざっくりとしたイメージでの所得は「1年間の収入金額-1年間の必要経費の額」となり、企業でいうところの「利益」に近いものとなります。この計算を各種所得区分で行い、すべての所得を合算したものがおおまかな「合計所得金額」です。

ただ、実際の税法上の計算はもっと細かくなります。

所得税法上の合計所得金額は、次の1と2の合計額に、退職所得金額と山林所得金額を加算した金額(※1)のことを言います(※2)。

1.事業所得、不動産所得、給与所得、総合課税の利子所得・配当所得・短期譲渡所得及び雑所得の合計額(損益通算後の金額) 2.総合課税の長期譲渡所得と一時所得の合計額(損益通算後の金額)の2分の1の金額

※1申告分離課税の所得がある場合には、それらの所得金額(長期譲渡所得・短期譲渡所得については、特別控除前の金額)の合計額を加算した金額です
※2もし、次の繰越控除を受けている場合には、その繰越控除の適用後の金額となります。

• 純損失や雑損失の繰越控除 • 居住用財産の買い替え等の場合の譲渡損失の繰越控除 • 特定居住用財産の譲渡損失の繰越控除 • 上場株式等に係る譲渡損失の繰越控除 • 特定中小会社が発行した株式に係る譲渡損失の繰越控除 • 先物取引の差金決済に係る損失の繰越控除

マイホームの譲渡などで損失が出ている場合や翌年以後繰越控除をしている場合には、計算上、注意が必要になります。

細かい話をあれこれ申し上げましたが、バイト・パートの収入の合計額が103万円以下ならセーフだと思ってOKです。逆にYouTuberやハンドメイド作家など自分でビジネスを行っている場合には、収入金額ではなく、必要経費を差し引いた利益が38万円以下かどうかで判断することになります。

・「生計を一(いつ)にする」の意味

「生計を一(いつ)にする」を「同居している」というふうに解釈する人も多いのですが、これも違います。

生計を一にするというのは「一つのお財布でご飯を食べたり生活したりしている」というイメージです。たとえば、留学や長期出張などで別々に生活している場合であっても、生活費を送金したり、長期休暇などのときには納税者や他の親族のところに戻ってきて生活を共にしたりしているなら「生計を一にしている」と考えます。

ただし、生計を一にしていても、所得要件にひっかかっているならば扶養控除は受けられません。

たとえば、18歳の子供を納税者の収入で扶養していたとしても、その子どもが1年間のバイトの給料(給与所得)として150万円を稼いでいたならば、給与所得額が「収入金額150万円-給与所得控除65万円=85万円>38万円」となるため、扶養控除の対象から外れることになります。

また、国外居住の親族を、送金などにより扶養している場合には、確定申告などで親族であることの証明や扶養していることの証明等が必要になります。具体的には、パスポートのコピーや送金した銀行口座等の通帳のコピーなどを確定申告書に添付しなくてはなりません。

・親族でなくてもOKな場合もある

また、扶養控除の対象となる親族の範囲も所得税法で定められており、「6親等内の親族」または「3親等内の姻族」となっています。6親等内の親族というと祖父母の兄弟の孫、いわゆる「はとこ」までが対象となります。また3親等内の姻族というと配偶者のおじ・おばやその曾祖父母も対象となります。

また、この扶養控除の対象は親族でなくてもOKな場合があります。都道府県知事から養育を委託された児童、いわゆる里子や市町村長から養護を委託された高齢者も対象となります。

・配偶者は扶養控除の対象ではない

配偶者は配偶者控除あるいは配偶者特別控除の対象となります。扶養していても扶養控除の対象とはなりませんので注意してください。

・青色申告や白色申告の事業専従者は扶養控除の対象とならない

納税者に事業所得があり、納税者の事業の専従者(いわゆる納税者の従業員)となっている場合には扶養控除の対象から外れます。事業所得の必要経費として、その専従者である扶養親族への給与が控除されているからです。二重に控除を適用することは認められません。

・同居老親等の「同居」は「長期入院OK」でも「老人ホームはダメ」

一般の扶養控除よりも控除額がはるかに多い同居老親等の扶養控除ですが、ここで注意したいのが「同居」の意味です。普段同じ屋根の下に暮らしていても、一時的に別居しているケースがあります。

たとえば、入院している場合です。この場合は同居老親等としての扶養控除は受けられないのでしょうか。

この場合、入院はあくまでも一時的なものであり、扶養対象の老親の生活の拠点は納税者の家であると認められるため、同居老親等としての扶養控除を受けることができます。仮に入院の結果、入院期間が1年以上となった場合であっても同居老親等として控除してOKです。

ただし、この老親が老人ホームなどに入居した場合は、生活の拠点が納税者の自宅ではなく、老人ホームに移ったと考えられるため、同居老親等以外の扶養控除の適用となります。

扶養控除を受けるための手続き

扶養,所得税 (写真=Atstock Productions/Shutterstock.com)

所得税の確定申告で扶養控除を受ける場合には、第一表の「所得から差し引かれる金額」の「扶養控除」の欄に控除する金額を、第二表の「⑭扶養控除」の欄に控除対象扶養親族の氏名、続柄、生年月日、控除額、個人番号(マイナンバー)を記載します。

また、繰り返しになりますが、国外に扶養親族がいる場合には、「親族関係書類(パスポートなどのコピー)」と「送金関係書類(銀行などの口座から送金していることがわかる通帳などのコピー)」を確定申告書に添付しなくてはなりません。

なお、確定申告書提出の際には、納税者本人のマイナンバーカードなどのコピーが必要となりますが、扶養親族に関しては、マイナンバーを記載しても、マイナンバーカードなどのコピーは添付しなくてOKです。

扶養控除は正しい申告を!

扶養控除はよく知られた所得税の控除の一つですが、間違いも起きやすくなっています。

些細な間違いで後日申告のやり直しとなってしまっては手間と時間のロスになります。今回お話しした内容を念頭に置き、正しく申告するようしましょう。

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