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住民税の扶養控除で節税できる?メリットと注意点

カギは非課税限度額

住民税の計算のベースとなる所得計算では、所得税と同じく「所得控除」の制度があります。内容は寄附金控除以外、ほぼすべて所得税と同様です。

今回お伝えする扶養控除制度も住民税の所得控除制度のひとつです。

ただし、控除額など細かいところで違いがあります。また所得税にはない「非課税限度額」でも扶養親族は重要なカギとなります。

今回は、住民税での扶養親族に関する制度についてお伝えします。

そもそも住民税ってどういう税金?

住民税は、住んでいる自治体(都道府県と市区町村)に対して納める税金であり、市町村民税と都道府県民税の2種類があります。

その年の1月1日に住んでいる自治体に対して納める義務があります。引っ越しにより、住民税を支払う時期には年初と違う場所に住んでいる場合であっても、住民税はその年の1月1日に住んでいた場所に納付することになります。

なお、所得税が原則として自分で所得額や税額を計算して申告・納税を行う「申告納税方式」であるのに対し、住民税は自治体で計算し納税者に納付すべき税額を通知する「賦課課税方式」となっています。

流れとしては、年末調整時の給与支払報告書や所得税の確定申告に関する情報を受け取ってから、各自治体で納税者の住民税の納付額を計算し、通知します。

扶養,住民税 (写真=Have a nice day Photo/Shutterstock.com)

そのため、所得税はその年が終わってほどなく税額が確定し納付することになるのに対し、住民税は6月近くになってから納付額が各納税者に通知され、6月以降1年かけて賦課徴収する形になります。

たとえば、2018年の1年間の所得については、2018年末の年末調整で所得税が精算されるか、2019年3月15日までの確定申告で所得税の納付や還付を行うことになりますが、住民税については2019年6月以降、受け取った納付書に従って納付することになります。

また、住民税は市町村民税・都道府県民税のいずれにおいても「均等割」「所得割」の2つから構成されています。

均等割とは、所得に関係なく、原則としてその自治体に住む人ならば誰もが納めなくてはならない一定額の税金です。一方、所得割は、その人の所得の金額に応じて金額が変わる税金です。地方税法に従い、所得額を計算し、これに一律の割合を乗じて税額を計算するものです。

均等割・所得割の税率は地域によって若干差がありますが、均等割については年間で「市町村民税3500円+都道府県民税1500円=5000円」、所得割の税率は「市町村民税率6%+都道府県民税4%=10%」と考えてよいでしょう。

住民税にも「扶養控除制度」がある

扶養,住民税 (写真=Lucky Business/Shutterstock.com)

住民税の扶養控除とは、納税者本人に扶養親族がいる場合に合計所得金額から一定金額を控除できる仕組みです。扶養する親族がいる場合の方がいない場合よりも生活コストは重くなりがちです。

この事情を配慮し、税負担を軽減すべく設けられた制度です。

ただし、親族を扶養していればどんな場合も控除OKなわけではありません。

扶養親族との関係や親族の状況など、一定の要件を満たす必要があります。

なお、扶養控除として適用される金額は扶養親族の年齢や要件に従い、次のようになります。所得税より控除額が少ないのが特徴です。

・16歳以上19歳未満、23歳以上70歳未満の者(一般の控除対象扶養親族)

33万円(所得税では38万円)

・19歳以上23歳未満の者(特定扶養親族)

45万円(所得税では63万円)

・70歳以上の場合(老人扶養親族)

同居老親等(※)の者…45万円(所得税では58万円)
同居老親等(※)以外の者…38万円(所得税では48万円)

※同居老親等とは、納税者の直系尊属(父母や祖父母など)あるいは納税者の配偶者の直系尊属であり、納税者または納税者の配偶者と普段同居している人をいいます。

誰が住民税の扶養控除になるの?

扶養,住民税 (写真=Halfpoint/Shutterstock.com)

扶養控除の対象となる親族は、次の要件をすべて満たした人になります。

・次の要件を満たしており、かつ納税者と生計を一にしていること(※1)

・配偶者以外の親族(配偶者には配偶者控除で所得控除が受けられるため)
・6親等内の血族(※2)または3親等内の姻族(※3)
・都道府県知事から養育を委託されている児童(いわゆる里子)
・市町村長から養護を委託された老人

・年間の合計所得金額が38万円以下であること(給与のみの場合は給与収入が103万円以下、年金収入のみの場合なら65歳未満は108万円以下、65歳以上は158万円以下)

・青色申告の事業専従者としてその年1年間給与を受け取っていないこと、あるいは白色申告の専従者でないこと

※1「生計を一にする」とは、納税者の収入で生活が営まれていることを言います。そのため、留学や長期出張などで別々に生活していても、生活費を送金している、あるいは長期休暇などのときには納税者や他の親族のところに戻ってきて生活を共にしているなら「生計を一にしている」と考えます。

長期入院も通常「生計を一にしている」と考えますが、老人ホームに入所した場合は対象外になります。

※2血族とは法的な血のつながりのある人のことをいいます。そのため、養子縁組は血族に、また非嫡出子でも認知があれば血族になります。6親等内までOKなので、「はとこ(祖父母の兄弟の孫)」も控除対象扶養親族になります。

※3姻族とは配偶者と配偶者の血族をいいます。配偶者の父母や祖父母は姻族になります。また、配偶者の連れ後は一親等の姻族に該当します。3親等内までOKなので、配偶者のおじ・おば、曾祖父母も控除対象扶養親族になります。

なお、この判定は原則としてその年の12月31日で行います。2019年に納付する住民税でいうならば、住民税が賦課徴収される2019年6月の現況ではなく、その住民税の計算の期間となった2018年の年末、つまり2018年12月31日の現況が反映されることになります。

住民税の扶養控除の注意点とは

扶養,住民税 (写真=Dean Drobot/Shutterstock.com)

ただし、次の点に注意が必要です。

・所得税で税額ゼロでも住民税で納付税額が出ることがある

住民税の扶養控除額は所得税の扶養控除額より少なく設定されています。扶養している親族に16歳の子どもがいた場合、所得税でも住民税でも一般控除対象の扶養親族に該当する点では変わらないのですが、控除額は次のように異なります。

・所得税…38万円 ・住民税…33万円

そのため、所得税の確定申告で扶養控除をしたことで課税所得金額が0円になっていても、住民税では所得割額が生じ、住民税が発生することがあるのです。

次のような場合には、「所得税はゼロだけど住民税は所得割額が出たことで納付額が算出される」ことになります。

例)年間の給与収入が140万円の場合

【所得税】給与収入140万円-給与所得控除65万円-扶養控除38万円-基礎控除38万円=0円(所得のマイナスはゼロとして考える)

【住民税】給与収入140万円-給与所得控除65万円-扶養控除33万円-基礎控除33万円=9万円

・控除対象の扶養親族でも住民税が課されることも?

また、納税者の子や親などの親族が、住民税を計算する上での控除対象扶養親族としてカウントされたとしても、その扶養親族自身もまた住民税を納めなくてはならないこともあります。もっとも分かりやすいのが次のような「納税者の子がバイトをしている場合」です。

例)納税者の子(その年の12月31日に26歳)がバイトで年間103万円を給与収入として稼いだ場合

子自身の年間所得は38万円以下(=給与収入103万円-給与所得控除65万円)であるため、納税者の控除対象扶養親族となり、納税者は住民税の計算上、扶養控除33万円の適用を受けることができます。

これとは別に、納税者の子自身の住民税での所得計算は次のようになります。

年間の給与所得38万円-住民税の基礎控除33万円=5万円

ここで所得5万円が発生しているため、納税者の子自身、均等割だけでなく所得割5万円についても住民税が課されることになります。

住民税の「非課税限度額」扶養家族が多いほど高くなる

扶養,住民税 (写真=Rido/Shutterstock.com)

また住民税独特の仕組みとして「非課税限度額」というのがあります。

住民税には「人的非課税」という考え方があり、一定の事情を抱えている人については、要件を満たせば住民税が非課税になるというものです。状況に応じ、次のように住民税が全部あるいは一部が非課税になります(判定はその年の1月1日)。

・均等割・所得割ともに住民税が非課税になる場合

1.生活保護法による生活扶助を受けている場合 2.未成年者、障害者、寡婦または寡夫で前年の合計所得金額が125万円以下の場合 3.前年の合計所得金額が次の金額以下の場合

・扶養親族がいない場合…35万円 ・扶養親族がいる場合…35万円×(控除対象配偶者+扶養親族+1)+21万円

【所得割のみ住民税が非課税になる場合】

前年の合計所得金額が次の金額以下の場合

・扶養親族がいない場合…35万円 ・扶養親族がいる場合…35万円×(控除対象配偶者+扶養親族+1)+32万円

なお、ここでいう「扶養親族」には、所得税や住民税の扶養控除の要件と異なり、16歳未満の年少扶養親族も含みます。

年末調整の「給与所得者の扶養控除等の申告書」や確定申告での「所得税の確定申告書」第二表で「16歳未満の扶養親族」を記入する欄がありますが、これは住民税非課税の要件を満たすかどうかの判定で用いられます。

年齢に関係なく扶養親族が多ければ多いほど非課税限度額も高くなり、住民税の負担が軽減されることになります。家族の人数が多い世帯は一度検討してみるとよいでしょう。

住民税の扶養控除を受けるための手続きは?

扶養,住民税 (写真=MIND AND I/Shutterstock.com)

一つの勤務先から給与を受け取っている給与所得者は「扶養控除等申告書」にて、それ以外の人で確定申告を行う必要のある人は確定申告書にて控除対象扶養親族の情報を申告する必要があります。

なお、正社員などの給与所得者の副業による年間所得が20万円以下の場合、所得税での確定申告は必要ありませんが、住民税での確定申告は必要になります。この場合、住民税での確定申告に控除対象扶養親族の情報を申告することになります。

【必要書類】

通常は、先述の「扶養控除等申告書」や確定申告書の記入のみになります。

ただ、海外に控除対象扶養親族が住んでいる場合、戸籍の附票の写しやパスポートなどの写しといった「親族関係書類」を、送金をしたことが分かる通帳のコピーなど「送金関係書類」を添付する必要があります。

なお、確定申告書提出の際には、納税者本人のマイナンバーカードなどのコピーが必要となります。ただ、扶養親族に関しては、そのマイナンバーを記載する必要はありますが、マイナンバーカードなどのコピーは添付しなくても大丈夫です。

扶養親族が多ければ住民税が非課税に?

住民税の節税策というと昨今「ふるさと納税」が徐々に知られるようになりましたね。

それだけではなく、扶養親族が多ければ住民税の非課税が受けられることもあります。扶養親族が多い方は特に、ご自身の世帯の状況を先述の要件と照らし合わせて確認してみてはいかがでしょうか。

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