(写真=Dmytro Zinkevych/Shutterstock.com)

キャッシュ・フロー計算書を分かりやすく理解しよう・前篇

図解入門ビジネス 最新 決算書の基本と分析がよ~くわかる本4

この記事は金井正義氏の著書『図解入門ビジネス 最新決算書の基本と分析がよ~くわかる本)』(秀和システム、2018/11/30刊)の内容を抜粋したものになります。

・『図解入門ビジネス 最新 決算書の基本と分析がよ~くわかる本』シリーズ
(1)わかりやすい「損益計算書の見方」きちんと理解しよう
(2)「貸借対照表」で見るのはどこ?2つおさえれば読めてくる
(3)ネットでたまに話題になる「のれん」ってなに?
(4)キャッシュ・フロー計算書を分かりやすく理解しよう・前篇

※以下、書籍より抜粋

キャッシュ・フロー計算書の構造を理解する

キャッシュ・フロー計算書は、営業活動によるキャッシュ・フローの区分、投資活動によるキャッシュ・フローの区分、財務活動によるキャッシュ・フローの区分の3つの区分から構成されます。

まずは、この3つの区分を理解しましょう。

●キャッシュ・フロー計算書の全体的な構造

はじめに、キャッシュ・フロー計算書の全体的な構成を把握しましょう。

キャッシュ・フロー計算書では、その会計期間に生じた「入金」と「支払」は、3つの区分に分けて表示します。

まずは、この3つの区分を理解することが重要です。

この3つの区分とは以下のとおりです。

  1. 営業活動によるキャッシュ・フローの区分
  2. 投資活動によるキャッシュ・フローの区分
  3. 財務活動によるキャッシュ・フローの区分

そして、この3つの区分の最終行には、各区分の合計値が計算されて、表示されています。

この各区分の合計値を総合計することにより、この会計期間による増減額が計算できます。

その結果、会計期間の開始時の残高とこの会計期間の増減額を足せば、会計期間の最終日である決算日のキャッシュの残高が把握できます。

では、次に、この3つの区分がそれぞれ何を意味しているか、そして、各区分の最終行の合計値が、どんな意味があるのかを理解しましょう。

●営業活動によるキャッシュ・フロー:本業は稼いでいるか

営業活動によるキャッシュ・フローの区分には、本業でどれぐらいのキャッシュを稼ぎ出しているかを表示しています。

なお、一般的には、本業とは、反復・継続して行う事業活動のことです。

では、営業活動によるキャッシュ・フローの区分の合計値は、どうだったら良いのでしょうか?

営業活動によるキャッシュ・フローの区分の合計値は、1会計期間、反復・継続して本業を実施した結果なので、当然にプラス(黒字)、つまり、キャッシュが増加していることが望ましいということになります。

逆に、営業活動によるキャッシュ・フローの区分の合計値がマイナス(赤字)の場合には、キャッシュが減少しているということなので、本業について、何らかの問題があると想定できるので、注意が必要です。

なぜなら、本業は、継続して、計画的に実施します。

営業活動によるキャッシュ・フローの区分の合計値がマイナスの場合には、現状の本業を実施した結果、キャッシュが減少しています。

そして、今後も、現在の本業をそのまま継続すると、キャッシュが減ることが予想されます。

最悪の場合には、倒産します。

●投資活動によるキャッシュ・フロー:将来の儲けのために投資しているか

投資活動によるキャッシュ・フローの区分には、投資活動をしたキャッシュが表示されています。

では、投資活動とは、どんな内容なのでしょうか?

典型的な投資活動は、設備投資です。

例えば、製造業だと、工場を建設したり、工場の機械を新規導入したりすることが該当します。

また、サービス業だと、お店を新規出店したり、お店の内装を新しくすることが該当します。

このような設備投資のほかに、他社を買収する会社買収も、この投資活動によるキャッシュ・フローの区分に含まれます。

では、投資活動によるキャッシュ・フローの区分の合計値は、プラス(黒字)の会社が多いのでしょうか、マイナス(赤字)の会社が多いのでしょうか?

投資活動によるキャッシュ・フローの区分の合計値は、マイナス(赤字)の会社が一般的です。

では、なぜ、投資活動によるキャッシュ・フローの区分の合計値は、マイナス(赤字)の会社が多いのでしょうか?

投資活動によるキャッシュ・フローの区分の合計値がマイナス(赤字)ということは、投資をしているので、キャッシュが社外に流出していることを意味しています。

では、なぜ会社は、投資をするのでしょうか?

投資をすることによって、新しい機械やお店を手に入れたり、子会社を設立したりしています。

その結果、会社の競争力が高まるので、将来の営業活動によるキャッシュ・フローの増大に結びつくというわけです。

それでは、投資活動によるキャッシュ・フローの区分の合計値が、プラス(黒字)の会社とは、どんなことをしている会社でしょうか?

投資活動によるキャッシュ・フローの区分の合計値がプラス(黒字)ということは、投資の逆のことをしているので、キャッシュが社内に流入していることを意味しています。

投資の逆とは、売却です。

つまり、工場や機械、お店、子会社を売却しているので、キャッシュが社内に流入しているのです。

それでは、投資活動によるキャッシュ・フローの区分の合計値が黒字(プラス)の会社は、どのような経営状態の会社が多いと予想できるでしょうか?

一般的には、業績があまり良くないので、リストラクチャリング中の会社が多いようです。

リストラクチャリングとは、略されて、リストラとも呼ばれています。

日本語だと、「事業の再構築」とか「選択と集中」とも言われています。

このような経営状態の会社では、会社が実施している事業を、儲かる事業と儲からない事業に選別して、儲かる事業に経営資源を集中して、一方で儲からない事業については、事業を継続しません。

その結果、儲からない事業については、売却することもあります。

そうすると、投資活動によるキャッシュ・フローの区分の合計値が、プラス(黒字)になります。

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金井 正義(かない・まさよし)
1964 年生まれ。1988年、慶応義塾大学経済学部卒業。1993年に、金井公認会計士事務所を設立して、代表に就任。「独立起業の支援」と「円滑な事業承継の実現」を中心的な事業として推進し、「日本の雇用の増大」と「ビジネスにおける夢の実現」に貢献することを目標として、事務所を経営している。

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