(写真=Antonio Guillem/Shutterstock.com)

わかりやすい「損益計算書の見方」きちんと理解しよう

図解入門ビジネス 最新 決算書の基本と分析がよ~くわかる本1

この記事は金井正義氏の著書『図解入門ビジネス 最新決算書の基本と分析がよ~くわかる本)』(秀和システム、2018/11/30刊)の内容を抜粋したものになります。

※以下、書籍より抜粋

5種類の利益を理解する

損益計算書に表示されている5種類の利益が、どのような意味を持っているのかを理解しましょう。

●5種類の利益とは

損益計算書には、「儲け」が表示されています。

この儲けは、「売上高」から「費用」を差し引いて計算します。

実際には、損益計算書では、この「費用」はいくつかの種類に分類されているので、複数の種類の利益が、損益計算書に表示されています。

つまり、損益計算書に表示されている「儲け」は、複数あるのです。

●売上総利益

売上総利益は、「売上高」から「売上原価」を差し引いて、計算します。

「売上原価」とは、製造業であれば、製造活動から発生した原価です。

また、販売会社のように製造を行わない非製造業の会社だと、「売上原価」は、仕入活動から発生した費用です。

つまり、売上総利益は、製造業だと、製造して、売ったらいくら儲かったということを示しています。

また、販売会社のように製造を行わない非製造業の会社だと、仕入れて、売ったらいくら儲かったということを示しています。

実務で、「粗利(あらり)」という用語を使用しますが、この「粗利」に該当するのが、「売上総利益」です。

●営業利益

営業利益は、売上総利益から、販売費及び一般管理費を差し引いて計算されます。

販売費及び一般管理費には、会社が実施する販売活動と管理活動から発生する費用が表示されています。

では、販売活動とは、どのような活動でしょうか?

どんなに良い製品やサービスを提供したとしても、お客様に知ってもらわないと、売れません。

そこで、お客様に、製品やサービスを知ってもらい、購入してもらうために実施する活動が、販売活動です。

具体的には、広告宣伝活動や販売促進活動が、販売活動に該当します。

そして、損益計算書では、これらの活動は、それぞれ広告宣伝費や販売促進費として、表示されます。

次に、管理活動とは、どのような活動でしょうか?

会社は、事業活動を行うと「人・モノ・お金・情報」を所有するので、その結果、これらを管理する必要が生じます。

その活動が、管理活動です。具体的には、会社には、総務や人事、経理、営業管理などの部署がありますが、これらの部署が行う活動が管理活動です。

このように計算される営業利益は、会社の「本業の儲け」を表示していると考えられています。

したがって、この営業利益は、損益計算書では、一番重要な利益と考えられています。

一番重要とは、損益計算書で表示される利益では、注目度が、一番高いということです。

したがって、会社の社長さんたちは、営業利益の金額を黒字にして、大きくしたいと考えています。

●経常利益

経常利益は、営業利益に営業外収益を加算して、営業外費用を差し引いて計算されます。

営業外収益は、主に資金活動から得られた収益が計上されます。

具体的には、銀行預金から得られる利息や他社の株式を所有していることから得られる配当金が計上されます。

一方、営業外費用は。主に資金活動から発生した費用が計上されます。

具体的には、銀行からお金を借りている時に支払う利息が計上されます。

このように計算される経常利益は、資金活動まで含めた「本業の儲け」を表示していると考えられています。

つまり、資金活動まで含めた本業で、儲かっているのかを知りたいときには、経常利益を見ます。

したがって、社長さんたちは、営業利益だけでなく、経常利益の金額も黒字にして、大きくしたいと考えています。

●税引前当期純利益

税引前当期純利益は、経常利益に特別利益を加算して、特別損失を差し引いて計算されます。

特別利益と特別損失には、本業以外の利益と損失が計上されます。

ところで、本業以外とはなんでしょうか?

逆に、本業とは何でしょうか?

本業とは、その会社の中心となる事業で、継続的に、かつ、繰り返して、計画的に実施することを言います。

そして、会社で実施する事業は、一般的には、継続的に、かつ、繰り返して、計画的に実施します。

したがって、会社の事業活動の大半の結果は、経常利益までに表示されます。

では、本業以外とは何でしょうか?

会社には、継続的に、かつ、繰り返して、計画的に実施すること以外のことが起こります。

それは、臨時に発生する事象や偶発に発生する事象です。

具体的には、事故や災害、リストラ(事業の選択と集中)です。

たとえば、会社が事故や火災などの災害を起こしてしまうと、会社や工場の建物や在庫に、損害が生じます。

また、損害を受けた人や会社に損害賠償金を支払うことがあります。

また、リストラ(事業の選択と集中)をすると、本社や工場の建物や土地を売ったり、従業員を解雇して、退職金を支払ったりします。

そうすると、利益や損失が生じることがあります。

このような事態は、臨時、または偶発に起きる事態なので、特別利益か特別損失に計上されます。

●当期純利益

税引前当期純利益から、会社の利益に対して課される税金を差し引いて、当期純利益が計上されます。

この当期純利益は、当期に計上される最終的な儲けと理解されます。

最終的な儲けの意味は、本業から稼いだ利益から、本業以外の利益を加算し、本業以外の損失を差し引き、さらに、税金も差し引いた結果、計上された利益という意味です。

なお、損益計算書において税引前当期純利益から差し引かれる税金は、法人税、住民税及び事業税と法人税等調整額を加算した金額です。

このように計算される当期純利益は、会社の「最終的な儲け」を表示していて、損益計算書では、二番目に重要な利益と考えられています。

二番目に重要とは、損益計算書で表示される利益では、注目度が、営業利益の次に高いということです。

したがって、会社の社長さんたちは、営業利益の金額を黒字にして、大きくしたいし、さらに、当期純利益の金額も黒字にして、大きくしたいと考えています。

●人件費は損益計算書のどこに表示されているのか

ここまで説明すると、会社の経費の中で、大きな割合を占める人件費は、損益計算書のどこに計上されているのかと疑問に思う人が多いと思います。

では、給料や賞与、健康保険や年金を含む法定福利費などの人件費は、損益計算書のどこに表示されているのでしょうか?

人件費は、売上原価と販売費及び一般管理費に計上されています。

売上原価に計上される人件費は、工場などで製造活動に従事する人たちの人件費です。

一方、本社や営業所などで製造活動に従事していない人たちの人件費は、販売費及び一般管理費に計上します。

●連結損益計算書における利益の表示名称

上記に示した5つの利益は、単体の損益計算書における利益の表示です。

連結損益計算書では、5つの利益は以下のように表示されます。

したがって、連結の損益計算書では、1番重要な利益は「営業利益」で、2番目に重要な利益は、「親会社株主に帰属する当期純利益」です。

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金井 正義(かない・まさよし)
1964年生まれ。1988年、慶応義塾大学経済学部卒業。1993年に、金井公認会計士事務所を設立して、代表に就任。「独立起業の支援」と「円滑な事業承継の実現」を中心的な事業として推進し、「日本の雇用の増大」と「ビジネスにおける夢の実現」に貢献することを目標として、事務所を経営している。

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