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所得税における「扶養」の意味とは? 知ってトクする税金のはなし

節税対策にも?!家族を扶養すると所得税がこんなに違う!

「扶養」という言葉を耳にすることはあるけれど、正確な意味はよくわからないという人も多いのではないでしょうか。ここでは、「扶養」とは何か、また「扶養家族」がいる場合、税金面でどのような影響があるのか解説します。

そもそも「扶養」ってなに?

「扶養」とは、収入が少ないなど、主に経済的な理由で生活能力がない人を養うことをいいます。

例えば、家族の中で夫だけが働いて収入がある場合、配偶者や子どもは「扶養家族」になります。また、両親の生活の面倒をみている場合は、両親も「扶養家族」になります。

扶養に入るための要件を満たしていれば、扶養に入っている本人が所得税を納める必要はありませんし、扶養する側は税金や社会保険において優遇措置を受けられます

所得税法上の「扶養」の定義

所得税法上では、配偶者を扶養することで受けられる配偶者控除・配偶者特別控除と、両親や子どもなど、配偶者以外の親族を扶養することで受けられる扶養控除があります。それぞれ、控除対象となる要件がありますのでくわしく見ていきましょう。

配偶者控除・配偶者特別控除について

●控除の対象となる要件

「103万円の壁」という言葉を聞いたことがありませんか?

これは、扶養に入ろうとする人の年収の上限額を指しています。

扶養に入ろうとする人の年収が103万円以下の場合は、「配偶者控除」が適用され、103万円超の場合は「配偶者特別控除」が適用されます。

配偶者控除・配偶者特別控除とも、最大38万円の控除を受けられますが、配偶者特別控除の場合、配偶者の扶養に入ろうとする人の年収が上がるほど、控除額が減っていくしくみになっています。

また、2018年1月の改正により、納税者(夫)にも所得要件が追加され、給与所得者の合計所得金額が1000万円を超える場合は、配偶者控除・配偶者特別控除のいずれも適用されなくなりました。

●控除額

配偶者控除額は改正前まで一律でしたが、改正後は、納税者の年収に応じて3 段階にわけて設定されています。

所得税,扶養 ※国税庁HP No.1191 配偶者控除より

一方、配偶者特別控除額は、もともと扶養に入ろうとする人の収入制限がありましたが、改正によって、その上限額が141万円未満から201万円以下まで拡大しました。こちらも、納税者の年収に応じて3 段階にわけて設定されています。

所得税,扶養 ※国税庁HP No.1195 配偶者特別控除より

「扶養控除」について

●控除の対象となる要件

税法上では「扶養家族」のことを「扶養親族」といい、その年の12月31日現在において、以下の4つの要件全てに当てはまる人を指します。

(1) 配偶者以外の親族(6親等内の血族および3親等内の姻族をいいます)または都道府県知事から養育を委任された児童(いわゆる里子)や市町村長から養護を委託された老人であること。
(2) 納税者と生計を一にすること。
(3) 年間の合計所得金額が38万円以下であること。
(4) 青色申告者の事業専従者としてその年を通して一度も給与の支払を受けていないこと、または白色申告者の事業専従者でないこと。

さらに、扶養控除の対象となるのは、扶養親族のうち、その年の12月31日現在の年齢が16歳以上の人です。16歳未満の子どもは対象外なので注意しましょう。

●控除額

控除される金額は、扶養親族の年齢や同居の有無によって次のようになっています。

所得税,扶養 ※国税庁HP No.1180 扶養控除より

誰かが扶養に入ると、所得税はどうなるの?

所得税,扶養 (写真=PIXTA)

では実際に、配偶者や両親・子どもが「扶養家族」になったとき、所得税にどのような影響があるのか見ていきましょう。

●「配偶者控除」を受けた場合

配偶者のどちらかが「扶養家族」となる場合、扶養に入る人の収入が103万円までなら、扶養する人の所得から「配偶者控除」として38万円の所得控除を受けることができます。

【例1】
会社員の夫(年収500万円)の扶養に妻(パート年収100万円)が入った場合。
妻の年収が100万円なので、「配偶者控除」38万円を受けることができます。
扶養に入らなかった場合の夫の所得税→21万500円
扶養に入った場合の夫の所得税→17万2500円

<結果> 3万8000円低くなります。

●「配偶者特別控除」を受けた場合の影響

扶養に入る配偶者の収入が103万円を超えると、123万円(給与年収201.6万円)まで「配偶者特別控除」が適用されますが、控除額は、収入が上がるにつれて段階的に減っていくしくみになっています。

【例2】
会社員の夫(年収500万円)の扶養に妻(パート年収150万円以下)が入った場合。
妻の年収が150万円なので「配偶者特別控除」として「配偶者控除」と同じ38万円の控除が受けられます。
・夫の所得税→17万2500円
・妻の所得税→ 2万3500円

<結果> 夫の所得税額は【例1】の扶養に入った場合と同じですが、妻の所得税が発生します。

【例3】
会社員の夫(年収500万円)の扶養に妻(年収210万円)が入った場合。
妻の年収が201万6000円を超えており、夫の「扶養家族」にはなれないため、「配偶者特別控除」は使えません。
・夫の所得税→21万500円
・妻の所得税→ 4万5500円

<結果> 夫は控除を受けられず、妻の所得税も発生します。

●親の「扶養控除」を受けた場合

配偶者以外の両親や子どもを扶養する場合、年齢や同居・別居により扶養家族一人あたりの扶養控除額が異なります。会社員の息子(年収500万円)が、両親を扶養にした場合、所得税にどのような影響があるのか見ていきましょう。

【例1】
年齢が70歳未満の両親を「扶養家族」にした場合。
扶養控除額……1人38万円
扶養0人の場合の所得税→21万500円
親を一人扶養している場合の所得税→17万2500円
両親とも扶養している場合の所得税→13万4500円

【例2】
年齢が70歳以上の別居の両親を「扶養家族」にした場合。
扶養控除額……1人48万円
扶養0人の場合の所得税→21万500円
親を一人扶養している場合の所得税→16万2500円
両親とも扶養している場合の所得税→11万4500円

【例3】
年齢が70歳以上の同居の両親を「扶養家族」にした場合。
扶養控除額……1人58万円
扶養0人の場合の所得税→21万500円
親を一人扶養している場合の所得税→15万2500円
両親とも扶養している場合の所得税→9万6000円

<結果> 例3の同居する70歳以上の両親を扶養した場合、全く扶養しない場合と比べて11万4500円低く最も差があります。この差額は大きいですよね。

●子どもの「扶養控除」を受けた場合

では次に、子どもを「扶養家族」とした場合を見てみましょう。まず、子どもの年齢によって控除額が異なります。また、前述しましたが、16歳未満の子どもは年少扶養親族と言って、所得税法上は「扶養親族」になりません。年収500万円の会社員が子どもを扶養にした場合、所得税にどのような影響があるのか見ていきましょう。

【例1】
子どもの年齢が16歳以上19歳未満の場合。
扶養控除額……1人38万円
扶養0人の場合の所得税→21万500円
子ども一人を扶養している場合→17万2500円

【例2】
子どもの年齢が19歳以上23歳未満の場合。
扶養控除額……1人63万円
扶養0人の場合の所得税→21万500円
子ども一人を扶養している場合→14万7500円

★アルバイトをしている子どもに注意!
「扶養家族」は収入103万円以下の人です。子どもが高校生や大学生になるとアルバイトをはじめることもあるかもしれません。アルバイト収入が103万円を超えてしまうと「扶養家族」になることはできないので注意が必要です。

税金の制度は、なかなか複雑で分かりにくいイメージがあります。夫婦のどちらかの働き方や、ライフスタイルに変化があったときは、しっかり確認しましょう。また、「扶養家族」の控除を使うか使わないかは自己申告ですので、手続きを忘れないようにしてください。

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