
(イラスト=木村豪 )
#02 世界一になるまで恋してくれない、クールな理系の男
世界一を取るまでは 恋愛してる 余裕はないんだ
●株(ストック)彼氏#02のスペック
ナンバー(証券コード):7730
名前:マニーくん
業種:精密
性格:理論派、緻密
交際タイプ:本心が読みづらいけど、じつは愛情深い
マニーくんの口癖は「世界一しか目指さない」
「おはよう!」
勇気を出して声を掛けても、返ってくるのは「おぅ」とそっけない返事。すぐに彼の視線は、手元のPCに戻ってしまう。
こんな感じでかれこれ10年近く片思いしているのが「マニーくん」。
マニーという可愛らしい名前から、お菓子作りが得意なスイーツ男子かと思いきや、じつは眼科ナイフや手術用の針など医療機器を開発する切れ味バツグンの理系男子。こってこての文系女子のわたしからすると、まったく違う世界にいる宇宙人みたいな存在で、だからこそ気になってしまうのです。
「世界一の品質しか目指さない」
これがマニー君の口癖。「なんて生意気なの!」って言いたいけれど、彼のこれまでの実績からすると、納得せざるを得ない。むしろ、そのストイックなセリフに「惚れてまうやろ〜」と言わざるを得ないのが悔しいところ(直接は言えないのでこころの中で)。
あのイヤな器具もマニーくんなら許せちゃう
そうそう、馴染みの深いところでは、歯医者さんの治療機器なんかもマニーくんが開発したもの。ウィーンとうなりながら口の中に入ってくるあの不快な器具も、マニーくんの仕事と思えば許せるから不思議。なんといっても世界一の品質ですから。
無口なマニーくんと、なんとか会話の糸口をつかもうと、リサーチするもまったくスキがない。 こっそりのぞいた彼の研究室には、
①医療機器以外の設計・開発は行わない。
②世界一の品質以外は目指さない。
③製品寿命の短い製品の設計・開発は行わない。
④ニッチ市場以外に参入しない。
と、几帳面な字で書かれた貼り紙が。やりたいことではなくて、やらないことをキッパリ宣言するのがいかにもマニー君らしくて、これまた胸熱。
結婚相手としてもパーフェクト!でも彼の脳には…
そして、これはほんとは誰にも教えたくないのだけど、じつはマニー君、懐事情も抜群に優秀!
研究開発でそれなりにお金がかかるというのに、なんと驚きの無借金!たんまりキャッシュを持ってます(やらしい)。
借金を上手に利用して、どんどん出世していくツワモノもいるけれど、結婚するなら、財務が盤石なほうが親にも堂々と紹介できるというもの。あーもう、結婚相手としてこれほどパーフェクトな相手がいるかしら?
そんなわたしの熱い想いには一切お構いなしで、世界一を目指して日夜努力を続けているマニー君。
恋愛なんて言葉は彼の脳にはインプットされていないようです。手の届かない相手をいつまでも追い続けるのはつらいもの。
世界にはばたく彼を、いちファンとしてそっと見守ることにしましょうか。
<ちょっと真面目に分析>
なにより品質が重視される医療の世界で、抜群の信頼を得ている医療機器メーカー・マニー株式会社。
とくに手術用の縫合針では国内シェアトップを誇ります。設立されたのは1959年であり、2019年には60周年を迎えます。
当初から「世界一を目指す」という理念を掲げ、実直に実績を積み上げている優良企業。現在は売上の70%以上を海外市場が占め、言葉通り、世界へと活躍の場を広げています。
直近の2018年8月期の決算は、営業利益が過去最高益を更新と輝かしい成績で終え、さらに新会計年度も10%以上増益という力強い予想を叩き出しています。
優良企業だけに、投資家からの評価も高く、ここ10年ほどはおおむね株価は右肩上がりで、なかなか買いタイミングがむずかしいところです。全体相場の悪化などで引きずられて大きく下げたときは、チャンスかもしれません。
***
連載『恋する株(ストック)彼氏』では、株式投資スクール講師の藤川里絵さんが、気になる株(ストック)の銘柄を彼氏に例えて紹介します。隔週月曜正午更新予定。
【こちらの記事もおすすめ】
・#01 付き合うほどになめたくなる、安全パイだった男
・株価が上がりやすくなるタイミング 相場で勝つにはこれを知っておこう
・ツイッターに踊らされた、優待が高くついた……株投資で「よくある」4つの失敗例