(写真=Cat Box/Shutterstock.com)

給料から差し引かれる税金。計算方法や仕組みを知っておこう!

意外に簡単。知っておけば、税金面のメリットを得られることも

毎月お給料が支給されるときに会社からもらう「給与明細書」。内容をしっかりと理解していますか?ちゃんと見たことがない、見てもよく分からないという人も多いのではないでしょうか。この記事では、大切なお給料から引かれている税金や社会保険料について、ポイントを押さえて分かりやすく説明します。

給料の「手取額」って何?

給料の「手取額」とは、給料日に口座へ振り込まれ、実際に手にすることができる金額のことです。基本給や残業代・各種手当などを加えた支給額の合計から、健康保険や厚生年金などの社会保険料、所得税などの税金が差し引かれたものが「手取額」になります。

給料の支給額から差し引かれるもの

次に、差し引かれる中身について詳しく見ていきましょう。

●所得税

所得税は、所得がある人が国に納めなければならない税金のことで、1年間(1〜12月)の収入から、必要経費や所得控除を差し引いた金額(課税所得)が課税対象となります。会社員の場合、毎月の給与からおおよその所得税が天引きされており、これを「源泉徴収」と言います。

●住民税

住民税は、市区町村民税と都道府県民税を合わせた税金のことです。所得税と違い、住民税は前年の課税所得をもとに計算されます。会社員の場合、会社がその年の6月から翌年の5月まで、給与から天引きして納税します。

●社会保険料

・健康保険料と介護保険料
健康保険とは、病気やケガ、死亡といった事態に備える公的な医療保険で、国民全員が加入しなければいけません。一方、介護保険は、介護が必要になったときの負担を保障してくれる保険です。40歳になると介護保険の被保険者となり、健康保険料に加えて介護保険料も徴収されます。

・厚生年金保険料
会社員や公務員が加入できる公的年金です。給料が高い人ほど保険料も高くなりますが、その分、受給できる年金額も増額されることになります。

・雇用保険料
育児や介護で休業したときの育児休業給付・介護休業給付や、失業したときの失業給付などの保障があります。また、能力開発やキャリア形成を支援する教育訓練給付金などの保障を受けることもできます。

ちなみに、健康保険料、介護保険料、厚生年金保険料の保険料はいずれも、会社が半分負担をしてくれる「労使折半」になっています。

給料から差し引かれる税金の計算

給料,税金 (写真=PIXTA)

では、どのように税金は計算されているのでしょうか。所得税と住民税の計算方法を見ていきましょう。

●所得税

毎月の給料からは「給与所得の源泉徴収税額表」をもとに源泉徴収されますが、ここでは1年間の収入が確定したときの所得税の計算方法についてお話します。

所得税の税率は、「課税所得」の金額が高くなれば税率も高くなる「累進課税」制度が採用されており、税率は所得額に応じて5〜45%の範囲で変わります。

会社員の場合、「課税所得」は以下のように計算します。

(課税所得=支給額-給与所得控除-所得控除)

・支給額…基本給に残業手当や各種手当(家族手当や住宅手当など)を足した合計額。
・給与所得控除…会社員の必要経費として給与収入から差し引くことができる控除分。
・所得控除… 社会保険料や配偶者控除、生命保険料控除・地震保険料控除など、個人的な事情を考慮して、所得から差し引くことができる控除分。

●住民税

住民税は、「所得割」と「均等割」を合算した金額で以下のように計算します。税率が全国一律の「標準税率」で課税しますが、この標準税率を適用しない自治体もあるため、住んでいる自治体によって税額が増減する場合があります。

(住民税=所得割+均等割)

・所得割…所得額に応じて課税されます。課税所得に標準税率10%(市区町村民税6%・都道府県民税4%)が課税されます。
・均等割…一定の所得を超えた人に、一律で5000円(市町村民税3500円・都道府県民税1500円)が課税されます。

正確な住民税の金額は、毎年6月に通知される「特別徴収税額決定通知書」に記載されていますので、会社から受け取ったときは内容を確認しましょう。

年収300万円〜500万円の税金を試算

給料,税金 (写真=Have a nice day Photo/Shutterstock.com)

では、税金の金額は実際どのくらいになるのか、収入が300万円・400万円・500万円の「独身・扶養なし・介護保険あり」のケースで、それぞれの所得税と住民税を計算してみましょう。計算には次の表1と表2を使います。

(表1)給与所得控除速算表

給料,税金 ※給与所得控除額は2018年11月末日現在の税制に基づいています。2018年度の税制改正により、2020年1月1日から新税制による控除額が適用されます。

※給与所得控除額は2018年11月末日現在の税制に基づいています。2018年度の税制改正により、2020年1月1日から新税制による控除額が適用されます。

(表2)所得税速算表

給料,税金

● 年収300万円の場合

<所得税の計算>

【基本データ】
・年収      300万円
・社会保険料   47万3400円
・基礎控除    38万円
・給与所得控除  年収の30%+18万円(表1より)
・所得税率    5%(表2より)

【計算手順】
(1) 所得=年収-給与所得控除=300万円-(年収の30%+18万円)=300万円−108万円=192万円
(2) 所得控除=社会保険料47万3400円+基礎控除38万円=85万3400円
(3) 所得税額=課税所得((1)-(2))×所得税率5%=(192万円-85万3400円)×5%=5万3300円

所得税額=5万3300円

【解説】
・給与所得控除は、表1から、年収300万円の場合「年収の30%」+18万円になるため108万円です。年収300万円から控除額を差し引くと、所得は192万円になります。
・社会保険料の47万3400円と、一律で控除される基礎控除38万円を足した85万3400円が所得控除額になります。
・所得の192万円から所得控除額85万3400円を差し引いた106万6600円が課税所得です。表2から、この課税所得に対する所得税率は5%ですので、所得税は5万3300円になります。

<住民税の計算>

【計算手順】
(1) 課税所得=収入300万円-給与所得控除108万円-社会保険料47万3400円-基礎控除33万円=111万6600円
(2) 所得割=課税所得111万6600円×10%(標準税率)=11万1600円
(3) 均等割=5000円
(4) 所得割11万1600円+均等割5000円=11万6600円

住民税額=11万6600円

【解説】
・給与所得控除・社会保険料の控除は所得税と同じですが、住民税の基礎控除は33万円で計算します。
・(1) で算出された課税所得111万6600円の10%(標準税率)が所得割11万1600円となります。
・ 所得割11万1600円と均等割(標準税率)5000円で住民税11万6600円になります。

●年収400万円の場合

<所得税の計算>

【基本データ】
・年収      400万円
・社会保険料   61万9200円
・基礎控除    38万円
・給与所得控除  年収の20%+54万円(表1より)
・所得税率    5%(表2より)

【計算手順】
(1) 所得=年収-給与所得控除=400万円-(年収の20%+54万円)=400万円−134万円=266万円
(2) 所得控除=社会保険料61万9200円+基礎控除38万円=99万9200円
(3) 所得税額=課税所得((1) -(2) )×所得税率5%=(266万円-99万9200円)×5%=8万3000円

所得税額=8万3000円

【解説】
・給与所得控除は、表1から、年収400万円の場合「年収の20%」+54万円になるため134万円です。年収400万円から控除額を差し引くと、所得は266万円になります。
・社会保険料の61万9200円と、一律で控除される基礎控除38万円を足した99万9200円が所得控除額になります。
・所得の266万円から所得控除額99万9200円を差し引いた166万800円が課税所得です。表2から、この課税所得に対する所得税率は5%ですので、所得税は8万3000円になります。

<住民税の計算>

【計算手順】
(1) 課税所得=収入400万円-給与所得控除134万円-社会保険料61万9200円-基礎控除33万円=171万800円
(2) 所得割=課税所得171万800円×10%(標準税率)=17万1000円
(3) 均等割=5000円
(4) 所得割17万1000円+均等割5000円=17万6000円

住民税額=17万6000円

【解説】
・ 給与所得控除・社会保険料の控除は所得税と同じですが、住民税の基礎控除は33万円で計算します。
・ (1) で算出された課税所得171万800円の10%(標準税率)が所得割17万1000円となります。
・ 所得割17万1000円と均等割(標準税率)5000円で住民税17万6000円になります。

●年収500万円の場合

<所得税の計算>

【基本データ】
・年収      500万円
・社会保険料   74万7300円
・基礎控除    38万円
・給与所得控除  年収の20%+54万円(表1より)
・所得税率    10%-控除額9万7500円(表2より)

【計算手順】
(1) 所得=年収-給与所得控除=500万円-(年収の20%+54万円)=500万円−154万円=346万円
(2) 所得控除=社会保険料74万7300円+基礎控除38万円=112万7300円
(3) 所得税額=課税所得((1) -(2) )×所得税率10%-9万7500円=(346万円-112万7300円)×10%-9万7500円=13万5700円

所得税額=13万5700円

・給与所得控除は、表1から、年収500万円の場合「年収の20%」+54万円になるため154万円です。年収500万円から控除額を差し引くと、所得は346万円になります。
・社会保険料の74万7300円と、一律で控除される基礎控除38万円を足した112万7300円が所得控除額になります。
・所得の346万円から所得控除額112万7300円を差し引いた233万2700円が課税所得です。表2から、この課税所得に対する所得税率は10%、控除額が9万7500円ですので、所得税は13万5700円になります。

<住民税の計算>

【計算手順】
(1) 課税所得=収入500万円-給与所得控除154万円-社会保険料74万7300円-基礎控除33万円=238万2700円
(2) 所得割=課税所得238万2700円×10%(標準税率)=23万8200円
(3) 均等割=5000円
(4) 所得割23万8200円+均等割5000円=24万3200円

住民税額=24万3200円

・給与所得控除・社会保険料の控除は所得税と同じですが、住民税の基礎控除は33万円で計算します。
・(1) で算出された課税所得238万2700円の10%(標準税率)が所得割23万8200円となります。
・所得割23万8200円と均等割(標準税率)5000円で住民税24万3200円になります。

給料から差し引かれた所得税は年末調整で再計算

給料,税金 (写真=PIXTA)

12月は給与とは別に、年末調整でいくらかの還付金があり、ちょっとしたボーナスをもらった気分になる人もいるのではないでしょうか。

これは、毎月の給料から源泉徴収された合計額と、年末に確定したその年の実際の収入から計算した所得税額との差額が還付されたものです。もし所得税を払い過ぎていても、年末調整で再計算されて戻ってくるので安心です。

税金をはじめ社会保険料の仕組みは難しいイメージがあり、給料日に振込額の確認はしても給与明細はあまり見ないという人も多いかもしれません。しかし、給与所得に関する税金や社会保険は知ってしまえば、イメージほどややこしいものではありません。

社会人なら、自分の納税額ぐらいは知っておきたいものです。仕組みを理解しておけば、税金面でメリットが得られることもあるかもしれませんよ。

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