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婚活で「高年収の男性狙い」は正しい戦略か?注目すべきは「家事のできる男」!?

幸せな結婚の鍵になるのは……?

婚活で注目されやすいのが「年収」。

婚活中の女性が、結婚相手に希望する年収によくあげるのは、500~600万円以上というゾーンです。玉の輿レベルの高い望みとは思えませんが、「出産や育児で仕事を離れても生活できるレベル」という現実的な考えによるようです。

「結婚は愛情!」も美しいのですが、やはりお金も大切です。

「結婚するなら年収の高い男性」は、女性にとって有効な生存戦略なのでしょうか?核心に迫っていきたいと思います。

希望と現実:現代日本、私たちの年収はどのくらい?

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・婚活女性が希望する結婚相手の年収ゾーン

婚活サービスを展開する株式会社IBJが2017年に行った『理想の男性について』というWebアンケート(婚活サービスを利用中の女性556名が回答)によると、相手に希望する年収でもっとも多かった回答は「500~699万円」の47%。次いで多かったのが「700~899万円」の34%です。

現実に、男性と女性ではどのくらい年収に差があるのでしょうか。厚生労働省の『平成29年賃金構造基本統計調査』(2017年)を見てみましょう。

・女性の年収、分布とボリュームゾーン

まずは女性の状況から把握してみましょう。25歳から39歳までの年収平均値は次の通りです。ただしこれは、フルタイム勤務の常用労働者のみのデータです。

  • 25~29歳:225万9000円
  • 30~34歳:241万6000円
  • 35~39歳:254万円

ボリュームゾーンは200万円~240万円で、各階級の上位10%ラインの年収は、25〜29歳が293万7000円、30〜34歳が329万3000円、35〜39歳が358万1000円です。このぐらいの年収レベルの女性だと、自分より稼いでいない男性との結婚は不安になるかもしれません。

・男性の年収、分布とボリュームゾーン

では、男性はどうでしょうか。同様のデータを見てみると、平均値は次の通りです。

  • 25~29歳:248万1000円
  • 30~34歳:289万円
  • 35~39歳:324万1000円

ボリュームゾーンは220万~260万円です。

婚活女性の望む年収500万円以上の男性はどのくらいいるのでしょうか。年収500万円~699万9000円の男性の割合は次の通りです。

  • 25~29歳:0.7%
  • 30~34歳:2.5%
  • 35~39歳:4.8%

かなりの激戦区ということが分かります。ちなみに、男性でもっとも平均年収の高い層は大学・大学院卒の50~54歳、533万3000円です。年収500万円以上の男性を狙うなら、ここが一番確率の高いターゲットゾーンです。あなたなら、どうしますか?

女性の生涯。働き方と収入の特徴

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・離職と再就職:女性の労働力率「M字カーブ」とは

とはいえ25~29歳同士のカップルでも、共働きだと結婚すれば世帯年収は500万円近くになります。これなら、年収500万円超の男性と結婚しなくてもよいのでは?という気もしますが、「妊娠・出産で仕事を離れたときに安心できない」という問題が残ります。

女性の働き方には特徴があり、労働力率をグラフにすると、出産育児期の20代後半から30代にかけて一旦落ち込み、育児が落ち着いた時期に再び上昇します。結婚や妊娠・出産で離職する女性が多いためで、この現象はグラフの形から「M字カーブ」と呼ばれています。

1970年代にアメリカやヨーロッパでも見られた現象で、背景には男女の伝統的な役割分担意識や女性が働きにくい社会構造や労働環境などがあります。女性個人の所得損失や労働市場側の人材損失の観点から、ずっと問題視されてきました。

近年、日本のM字カーブは以前に比べ浅くなり、出産育児期の女性の就業率が上昇してきたといわれます。しかし、その内実を見てみると、やや波乱含みなのです。

・出産退職・再就職すると生涯年収はどのくらい減る?

やや波乱含み、と表現したのは、雇用形態の問題が絡んでくるからです。総務省『労働力調査』(2017年)のデータによると、非正規雇用労働者の多い年齢層は、女性では35~54歳。ちょうど子育て期にあたります。

働き方によって生涯年収にどれだけの差が出るのか試算した研究が、『大卒女性の働き方別生涯所得の推計』(久我尚子、ニッセイ基礎研究所、2017年)です。大卒女性の働き方によって11の異なるケースを設定し、それぞれの生涯所得を推計しました。

それによると、大学卒業後、正規雇用の職に就き産休・育休を取得して子供を2人出産し、同一企業で働き続けたケースでは、フルタイム復帰でも時短勤務でも生涯所得は2億円を越えます。

一方、第1子出産後に退職し、第2子が小学校入学時に非正規雇用者として再就職した場合は、フルタイムで9670万円、パートタイムだと6147万円。出産退職から復職のコースを取ると、生涯でじつに2億円のマイナスになるのです。

日本では昔から、出産を機に離職し子育てが落ち着いてからパートで再就職する女性が多数でした。また現在は新卒時に正規雇用で就職できず、最初から非正規雇用で働く女性が増えており、それらの女性たちはほとんどが第1子出産を機に離職せざるを得ないのです。

そしてまた、大学卒業後、非正規雇用者として働き続けた場合の生涯所得は、出産してもしなくても1億1000万円程度となり、正規雇用のケースと比べて1億円の開きがあることも分かりました。

・妻の低収入は夫の高収入で相殺される?

転職がペナルティ化し、正規・非正規の格差が大きい日本の雇用問題が凝縮されているようで胸が痛くなりますが、こんなときに頼りになるのが高収入の夫。妻の収入が減った分、夫が高収入であればカバーできるのでしょうか。

夫と妻の収入とライフプランを組み合わせて世帯収入のシミュレーションを行っているのが、『「逃げ恥」にみる結婚の経済学』(白河桃子/是枝俊悟、毎日新聞出版)です。妻が第2子出産後に退職し、その子が7歳になってからパートに復職する「ワンオペシナリオ」を見てみましょう。

このシナリオは、ドラマ化された『逃げるは恥だが役に立つ』(海野つなみ、講談社)をベースにしているため、主人公のみくりと平匡カップルを夫婦に想定しています。平匡はかなりのハイスペックシステムエンジニアなので、結婚当初の年収が700万円もある設定。最高時の年収は913万円、退職金は1500万円になります。

ところが、みくりが43歳ぐらいで、世帯収入と支出の収支が逆転します。65歳ごろには貯金が尽きてしまい、その5年後、平匡が亡くなってからは自分の年金だけで暮らすことになります。

このシミュレーションから分かることは、たとえ結婚当初の年収が700万円程度ある高収入の夫だったとしても、妻が出産で離職することによる収入の低下はカバーしきれないということです。

あなたは結婚後どのくらい家事を引き受けるつもりか

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・日本の夫婦の労働時間と家事時間

だからといって単純に「結婚して妊娠出産しても、女性は仕事を頑張れ!」で終われないのは、家事と育児の問題があるからです。女性は外で働いてくたくたになっても、「帰ってきたら家はきれいでご飯が用意されている」という訳にはいかないのです。

では、日本の夫婦の労働時間と家事時間の状況はどうなのでしょうか。

総務省統計局『平成28年社会生活基本調査』(2017年)によると、1日の平均家事時間は、独身男性が29分、独身女性が1時間1分ですが、既婚者になると、男性が49分なのに対し女性が4時間55分になります。女性は結婚すると家事時間が約5倍に増えますが、男性は20分程度しか増えないことが分かります。

ちなみに、共働き女性の仕事と家事のトータルの労働時間は9時間38分で、共働き男性のトータル労働時間より21分長い時間です。

・家事をやらない夫は余裕があっても家事をやらない

日本の既婚男性が家事をしない理由について、主に次のような仮説が考えられてきました。1つは「男性は長時間労働なので家事をやる余裕がない」、もう1つは「女性の方が稼ぎが少ないのでもっぱら家事を担当する」というものです。

しかし、いくつかの研究で、「男性の労働時間が短くなっても、女性が仕事を増やしても、夫の家事育児時間とは大して関係がない」ということが明らかになってきました。『家事分担研究の課題-公平の視点から効果の視点へ』(筒井淳也/竹内麻貴、季刊家計経済研究、2016年)を見てみましょう。

この研究によると、個々の事情の差を統計処理で取り除いて分析してところ、夫が時間的な余裕または妻との所得格差の解消などの変化が生じたとしても、夫の家事労働時間を増やす効果は決して大きいとはいえないことが分かりました。

つまり、夫が家事をするかしないかは、外部要因よりも個人差が大きいという見通しが立ったのです。さらに、夫の家事時間が増えたとしても、中身によっては妻の家事を減らすとは限らないことも示唆されました。

身もふたもない言い方をすると、家事のスキルがあり、多少なりとも家事をやる夫とは家事を分け合えますが、元々やらない夫だと何が起きても家事はやらない、と言えるのではないでしょうか。

・子供が生まれると妻の幸福度が下がるのはなぜ?

日本の共働き世帯において、じつは子供がいると生活全般においても夫婦関係においても妻の幸福度が下がると指摘されています。(『日本の共働き世帯における夫と妻の幸福度と子供、時間配分』吉田千鶴、季刊家計経済研究、2015年)。

吉田氏は、その大きな要因は妻の余暇時間の減少にあるとしており、解決するには、夫が家事育児に参加し、妻への負担集中を緩和することが有効であると述べています。

また、厚生労働省『第12回21世紀成年者縦断調査』(2015年)からは、夫の休日の家事育児時間の長さによって第2子以降の出生が左右されることが、データではっきりと分かります。

子供を持つことだけが結婚の幸せではありませんが、結婚によって家事時間が5倍に増え、第1子出産で幸福度が下がるくらいなら、独身のまま自分の家事を1時間やり、生涯所得を少なくとも1億円確保した方が得策なのでは?という気持ちにもなってきます。

幸せな結婚のカギは「稼げるから魅力的な男」を手放すこと

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700万円稼ぐ男性と結婚しても、自分が出産離職を余儀なくされれば晩年に困窮する。かといって自分が仕事を継続しても、家事をしない夫であれば家事時間が激増して幸福度が下がる。700万円以上稼ぐ男性は30代で0.3%しかいないので、私たちが注目すべきは「家事のできる男」一択ではないでしょうか。

けれども、「家事のできる男」とは、決して「料理のうまい男」や「きれい好きの男」「子供好きな男」のことではありません。主夫男性またはその配偶女性たちが声をそろえるのは、「男のプライドから降りることができるかどうか」です(『「専業主夫」になりたい男たち』白河桃子、ポプラ社)。

それには男性側の意識改革も大切ですが、女性が「稼げるから魅力的な男」という価値観を手放せるかどうかにもかかっています。自分はどんな相手と、どのような幸せに向かっていきたいのか。婚活の基本方針を今一度、考えてみてもいいのではないでしょうか。

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