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子供連れの再婚「ステップファミリー」が未来に向かって離陸するために必要なこと

ステップファミリーがぶつかりがちな困難とは

子供を持つシングル親が再婚を考えるとき、一番気がかりなのは子供のことだと思います。しかし、日本ではまだロールモデルとなるようなステップファミリー像が広まっていないうえに、当の子供の気持ちを汲み上げる仕組みも整備途上であるのが現状。

ステップファミリーという新しい家族関係をスムーズにスタートさせるためには、どういったことを心に留めておけばいいのでしょうか。「子供の気持ち」に焦点を当てて、その視点からの「再婚」を探ってみました。

子連れ再婚の現況をデータから見る

再婚,子供,ステップファミリー (写真=Folya/Shutterstock.com)

まず、日本の離婚と子供を巡る現状をデータから知っておきましょう。『平成29年人口動態統計』(厚生労働省、2017年)を見てみます。

・子供を持つ親の離婚はどのくらい?

2017年の離婚の総数は21万2262件。そのうち20歳未満の未婚の子供を持つ夫婦の離婚は12万3397件で、全離婚件数の58.1%に当たります。これを子供の側から見ると、全国でおよそ21万4000人の子供が親の離婚を経験したことになり、20歳未満人口の約1%に相当します。

・子連れの再婚はどのくらい?

次に再婚の状況を見てみましょう。2017年の婚姻総数に占める再婚の割合は、男性が19.5%、女性が16.7%です。1970年の再婚率と比べると2倍以上の伸びを示します。再婚率は、年によって微増減はあるものの、50年間一貫して増加傾向にあります。

このデータには子供のないケースとあるケースの両方が混ざっていますが、上で見たように子供を持つ親の離婚は全離婚の約6割。この割合は1970年からほとんど変わっていません。つまり子供を連れての再婚も、同様に増加していると見てよいでしょう。

親の離婚と再婚、子供の思いは:新川明日菜『ママまた離婚するの⁉』

再婚,子供,ステップファミリー (写真=chuanpis/Shutterstock.com)

親の離婚と再婚に直面する子供たちはどんな思いを抱えているのでしょうか。自身も母の離婚を3度経験し、やがてNPO法人で離婚家庭の子供たちのサポート事業を始めることになる新川明日菜さんの著書『ママまた離婚するの⁉離婚家庭で育った子どもの気持ち』(東京シューレ出版、2013年)から、リアルな声を見てみたいと思います。

・離婚と再婚を繰り返す母への葛藤と和解

新川さんがまず吐露するのは、離婚と再婚を繰り返す母親への割り切れない気持ちです。離婚による傷つきと母への不信感。強い姿勢を崩さない母への不満もありました。

新川さんの気持ちが徐々に変わり始めるのは、成人した後のことです。若かった母への共感と理解、実父との再会による父親のリアル像の受け止め。やがて母と一緒に離婚家庭に関わる仕事や情報発信を始め、その過程で自分の過去の辛さや不満を出し切り受け止めてもらったと感じたとき、彼女は母を許し、母を好きになることができました。

・離婚家庭の子供同士で繋がる、思いを語り合う

新川さんは母との仕事の途中で同じように離婚家庭の子供だった女性と出会い、彼女をパートナーに自身の活動を展開し始めます。子供たちが本音を語れる交流会や合宿の開催、日常的に子供たちに寄り添い話を聞く「家庭教師」事業のスタート。

そこで彼女が確信していったのは、子供たちは親に対し冷静で鋭い観察眼を持ち自分なりの考えを持っていること、その思いを共有し共感しつながり合うことの重要性。そして、親の離婚の当事者である子供の意思を社会に反映させていくことの必要性でした。

・子供は自分の気持ちをはっきりと持っている

新川さんは「子供のことは子供に聞くのが一番!」と言います。彼女は「そもそも親が離婚すること自体子供にとっては酷なこと」と指摘したうえで、それでも子供を持つ親や家族に対しての気持ちを聞かずによかれと思って勝手に話を進める方がよっぽど酷、と明言します。希望通りにいかなかったとしても、親が自分の気持ちを聞いてくれたという事実が大切なのだ、ということも。

2013年、「家事事件手続法」の施行により、離婚の際に子供が影響を受ける事項について「子供の意思を把握するように努め、これを考慮しなければならない」ことが規定されました。日本では従来、子供は離婚の当事者から見落とされがちでしたが、変化の兆しが見え始めています。

ステップファミリーが離陸するために①:子供との向き合い方

再婚,子供,ステップファミリー (写真=altanaka/Shutterstock.com)

では、今度は再婚を考える親の立場から、再婚し新たな家庭を作っていく際、どんなことに留意したらいいかを見ていきましょう。まずは前出の『ママまた離婚するの⁉』から、子供とどう向き合っていくかについて、筆者が重要だと感じたポイントを紹介していきたいと思います。

・子供の声を聞く、子供の判断を尊重する

当事者である子供の声を聞く。簡単なようでいて具体的に実行に移そうとすると迷ってしまう点だと思います。それは何よりも、親の価値観や判断を子供に押し付けないことなのだと理解しました。

例えば、新川さんは離婚原因を尋ねられたとき、事実を伝えることは大事だけれども相手へのネガティブな感情をあらわにしないでと訴えます。また、同居親が「別居親と子供を会わせるのは子供によってよくないことなのでは」と悩むとき、新川さんはこれも子供に判断させてほしいと言います。

子供はいずれ親のことを自分で判断するようになるのです。子供は親が思う以上に親の言動を観察している。そして自分の目で見て自分で判断して初めて、親の離婚を受け入れていくのだと言います。ひょっとすると子供自身の判断を尊重するということは、何にもまして、親自身に突き付けられる最も厳しい評価を受け止めるということなのかもしれません。

・子供が安心して自分の気持ちを表現できるような環境を

子供の気持ちを聞く、尊重するためには、子供が安心してオープンに話ができる環境を作ること。そこで重要なのが、「タブーの話題を作らない」こと、そして「子供らしく振舞える場を作る」ことです。

離婚した別居親の話題をタブーにしないこと。子供に過剰な強さを求めないこと。大人になることを求めないこと。子供の頑張りを認めて褒めること。新川さんは親へのアドバイスとして、形を変えて繰り返し語ります。

おそらく離婚家庭の子供には、本人も周りも、一足飛びに大人になることを求めてしまうのでしょう。けれどそれは本来、子供がする必要のない頑張りなのです。

・再び喪失を味わわせないように

最後に、再婚家庭にとって最も大事なこと。それは、「子供に何度も喪失を味わわせない」ということです。継父との別れを二度経験した新川さんの「子供とかかわると決めたら墓場まで」という言葉には重みがあります。

継親との別れは、子供に二重の傷つきを与えます。1つは、子供は親の決断を受け入れてさまざまな葛藤を飲み込んだのにそれが無になってしまうこと。もう1つは、親には自分が必要ではなかった、どうせ親はいつも自分から去っていく、という喪失感を何度もはっきりと心に刻んでしまうということです。

ステップファミリーがうまくいくにはどうしたらいいか。その問いはすべて、この「子供に何度も喪失を味わわせない」というところに戻っていくのかもしれません。

ステップファミリーが離陸するために②:柔軟な家族の築き方

再婚,子供,ステップファミリー (写真=Dasha Petrenko/Shutterstock.com)

それでは、ステップファミリーが上手に離陸するために分かっておくべき知識を、『ステップファミリーのきほんをまなぶ-離婚・再婚と子どもたち』(SAJ・野沢慎司編、緒倉珠巳・野沢慎司・菊地真理著、金剛出版、2018年)から学んでいきましょう。

SAJ(ステップファミリー・アソシエーション・オブ・ジャパン)は、ステップファミリーの当事者や支援者に向けて、調査研究に基づいた情報やサポートを提供している団体です。

・初婚の家族とは違うものだと理解する

ステップファミリーの難しさはまず、初婚の家族とは構造も発達も違うところにあるそうです。ステップファミリーは、実親子の関係が先にある中に新たなパートナーや家族を迎え、その過程では様々な喪失経験があるからです。

日本のステップファミリーには大きく分けて2つのモデルがあります。1つ目は「代替家族モデル」。これは非同居親に代わる存在として新しいパートナーを位置づけるものであり、親ポジションにある人が入れ替わるモデルです。

もう1つは「継続家族モデル」。別居する親との関係は継続し、子供にとっては新たなかかわりを持つ人が増えるモデルです。日本では「代替家族モデル」が多く、このモデルでは継親子だけではなく実親子の間でも葛藤をより高めることが指摘されています。

また、ステップファミリーの家族構造は、すでにある家族関係内の「インサイダー」と後から加わった「アウトサイダー」という違いをずっと持ち続けます。この構造があることが問題なのではなく、それを理解したうえでお互いの関係を築いていくことが大切です。関係構築に重要なのは、お互いの立場や気持ちを汲んだ行動を取ることで、構造を変えることではないのです。

・実親と継親の立場、役割は違う

どんな家族でも、親が権威的な姿勢を保ちつつ子供に共感的な愛情を示すスタイルが子供の成長に良い効果を与えるそうです。実親と継親は子育てにおいて、継親が厳格になりやすく、実親がつい甘くなるなど、対立的な構造にはまりやすくなりますが、お互いの立場や考え方の違いが協力的な関係のもとで生かされると、理想的なスタイルに近づくのです。

上手な協力体制を築くカギは、実親がしつけ上の統制と思いやりを持って子育てをリードし継親がそのサポートにまわること。継親の方は、優しくフレンドリーな姿勢でゆっくりと信頼関係を育み、その後で子育てに加わっていくことです。

キーパーソンである実親が一番無理解だと悲しむ継親や子供の声は少なくないのだとか。実親は子供と継親の両方の心情を理解し、継親子の関係を築く一番のサポーターになることが大事なのでしょう。

・「家族の形」「親子の形」を子供に強制しない

これらの教えはみな、「家族の形」「親子の形」がひとつではないということが基礎にあるのだと思います。「親だったらこうであるべき」「子供なのだからこうするべき」の思い込み、特にそれが初婚の家族を理想化したものであるほど、親も子供も苦しくなるのでしょう。

この本には先輩ステップファミリーの経験談も掲載されていますが、そこでは「お父さん」「お母さん」にとらわれず、ゆるやかな呼び名を受容したり、実親に代わる存在ではなく受け入れやすい形からスタートしたり、自分たちらしい関係性を徐々に築いていった様子が読み取れます。

工夫の仕方はさまざま。参考にしながら、自分たちらしい家族の形は何なのか、チャレンジしていくことが大事なのでしょう。

「家族」とは人間関係を築く営み

再婚,子供,ステップファミリー (写真=Yuganov Konstantin/Shutterstock.com)

再婚と子供、ステップファミリーについて学び、筆者が感じたこと。それは「結局、再婚も結婚なのだ」ということです。再婚は第一には新たなパートナーを求める自分の決断。そのうえで子供もまた一方の当事者なのだという意識を持ち、子供と新しい家族とどのような関係を築くのか真剣に考える必要がある、ということなのでしょう。

そして、考えてみればそれは不思議ではないこと。私たちはみな「あるべき家族像」のロールプレイをするために家族になる訳ではないのですし、人間対人間の関係を作っていくということにおいては、夫婦間も同じ、親子間も同じ、初婚でも再婚でも同じなのだと思います。ステップファミリーを考えるということは、そういった「家族」の基本を考えることなのかもしれません。

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