(写真=Andrey_Popov/Shutterstock.com)

奨学金という名の、高金利ローンに要注意!

しくじり女子に学ぶ、お金のキホン(3)

日ごろのFP(ファイナンシャル・プランナー)としての相談業務で、ご相談者のキャッシュフローを確認するために家計簿を確認するのですが、その際、筆者が家計簿に必ず入れる項目があります。

それは、奨学金返済額です。

今回はFPの筆者がよくある事例として、相談者の奨学金からみえてくる金利についての考えを掘り下げてみたいと思います。

【『しくじり女子に学ぶ、お金のキホン』シリーズ】
(1)失敗を恐れた「マネー貧乏さん」と「リッチ投資女子」の違い
(2)節約女子に伝えたい、お金を貯め込むと「失敗」する理由

低い金利で借りている人ほど、数字をきちんと把握している

奨学金とは、学生自身が借り入れをする、進学に必要な学費や生活費を総括していいますが、その中には「給付型」と「貸与型」があります。

独立行政法人日本学生支援機構(JASSO)によると、給与型、つまり利息の付かない奨学金を「第一種奨学金」といい、貸与型である利息が付く奨学金を「第二種奨学金」といいます。利息が付く奨学金の場合、国などの奨学金であれば、低金利市場の影響で奨学金の利息は0.1%台、高くても1%台がほとんどです。

相談業務でまずお聞きするのは、金利と月々の返済額、そして返済残高です。

金利はゼロ、と回答されたのであれば、繰り上げ返済することも、借り換えをする必要もないのですが、金利のある奨学金の場合は、必ず借り入れの返済金利を小数点以下まで聞き出します。

金利を小数点以下まであえて聞くのは、繰上げ返済をするかどうかの判断ではなく、金利というものの重要性を知ってほしいからです。

経験上、国からの奨学金借り入れの場合、低い金利で借り入れをしている人ほど、小数点以下の%数値をきちんと言うことができます。

ここで本題に入りますが、高い金利で借り入れをしている人ほど、自身の借り入れ金利の数値を正確に言えない人が多いのです。逆に言えば、金利を意識していない人だからこそ、高い金利でお金を借りている現状がある、とも言えます。

借入理由はどうであれ、ものをいうのが金利であること

奨学金, 金利.返済 (写真=Monthira/Shutterstock.com)

相談者の佳奈江さん(仮名、会社員・25歳)は、その代表的な一人です。

佳奈江さんは当初、「将来のために積立投資を始めたいので、毎月の家計の中からいくら出すことができるのか知りたい」と相談に訪れました。

家計シートの奨学金の欄に「返済額1万7000円」と記載がありましたので、いつもどおり筆者は金利と残高を確認したところ、以下の回答でした。

●金利:14%ぐらい
●残高:80万円ぐらい

他意なく、結論から言いますと「奨学金で14%の金利はありえない」です。ここで言う「ありえない」というのは、存在しないという意味です。先ほども少し触れたとおり、奨学金の金利は高くても1%台までですから、14%という桁違いの金利が奨学金でないのは明白です。

学生自身ではなく、保護者が借り入れをする「教育ローン」もありますが、教育ローンの金利は、国の機関であれば1~2%台がメイン、銀行などの金融機関であれば5%台まで、ノンバンク系であれば10%台までが一般的です。

しかし、佳奈江さんはあくまでも本人名義で借り入れをしたと言いましたので、教育ローンである可能性もありません。

奨学金とカードローン 80万円に対して利息の差は36万円!

「それ、カードローンじゃないですか?クレジットカードとか」

こう問いかけると……ビンゴでした。

奨学金という名目は、佳奈江さんが自分の借り入れ用途によって付けたもので、あくまでもカードローンなのです。借金のネーミングはさておき、重要なのはその金利です。

奨学金であれば金利が低いことはさることながら、在学期間中は金利も返済義務も発生しないという利点があります。しかし、カードローンの場合は、借りた翌日から金利が発生し、借入の翌月から返済がスタートします。

計算すると、佳奈江さんは残りの80万円を完済するまで、向こう5年以上必要で、利息の総額は36万円を超えます。80万円の借り入れに対して、現在の月々の返済額では、借入額の45%の額の金利がかかるのです。

ここで、金利がどれほどものをいうのかが分かる表をご覧ください。

奨学金, 金利.返済 (表=筆者作成)

同じ額の借り入れをしても、金利14%だと36万円以上の利息を支払う必要があります。金利が0.2%であればたった3000円で済みます。

お金を借りるとき、誰もが同じ条件で借りられるわけではありません。佳奈江さんがすでに借り入れをしているものについて、そのような「後悔」を言っても仕方がありませんが、今後何か事情があって借り入れをしなければならないときに、金利について十分に理解をしてもらうために、このお話をしました。

「いい借金」と「悪い借金」は運用リターンで見極めよう

佳奈江さんには、積立投資より、14%の借金の返済を優先するように伝えました。

仮に借入金利が、教育ローン(2%)以下であればその借入金利を上回るリターンを結果的に見込める金融商品で積立運用を開始するという選択肢もあったと思いますが、借入金利が14%であれば、運用よりも返済を優先する方が賢明です。

現在よりもさらに5000円~1万円、多く返済するだけで、結果的に支払うことになる利息は10万円以上も少なくて済みます。

奨学金, 金利.返済 (表=筆者作成)

結局、このときは月々の返済額をアップして早く借金を返済し、完済後はかつて月々ローン返済していたのと同じ金額から積立投資をスタートするようアドバイスしました。

何気なく使う奨学金という言葉。ふたを開けてみると「いい借金」と「悪い借金」が混在しています。

金利は金融商品を選ぶときの基本中の基本。金利について正しく理解することができ、金利を計算できるようになると、より自分にとって幸せな選択ができるようになりますよ。

【『しくじり女子に学ぶ、お金のキホン』シリーズ】
(1)失敗を恐れた「マネー貧乏さん」と「リッチ投資女子」の違い
(2)節約女子に伝えたい、お金を貯め込むと「失敗」する理由

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