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別居は離婚へのステップ?やり直すための期間?別居に踏み切る前に知っておきたいこと

別居から離婚まで、筆者のリアルストーリーもお伝えします

「離婚」の一言が頭をよぎることは、結婚している人なら一度はあるのではないかと思います。けれど多くの人はそこで迷うのでしょう。今ならやり直せる?いや、もうダメかも……。

そんな風に心が揺れる時、心や状況を整理する時間が欲しい。そこで頭に浮かぶのは「別居」ですが、別居したとしてその先には何が待っているのだろう……。別居は離婚への滑走路なのか、やり直すための猶予期間なのか。考えてみたいと思います。

別居は引き返せない道?別居と離婚のデータ

離婚, 別居 (写真=gerasimov_foto_174/Shutterstock.com)

離婚や家族関係を取り扱うのが家庭裁判所の家事事件です。『平成29年司法統計年報-家事編』(最高裁判所事務総局編、2018年)から、離婚に関する統計データを見てみましょう。ただし、これは家庭裁判所が扱った家事調停に限りますから、当事者同士の話し合いで決着がついた離婚などは含みません。

・別居夫婦の約4割が離婚へ

2017年に家庭裁判所が扱った夫婦間の争いは6万5725件。そのうち、夫婦がすでに別居していたケースは8割以上の5万6006件です。そこからさらに離婚へと進んだケースが2万2285件。別居から離婚調停へと進んだ夫婦の約4割が、離婚という結末を迎えていることが分かります。

・別居から離婚までの期間は2カ月未満がもっとも多い

同じ統計の別居期間別のデータで、離婚に至るケースはどの程度の別居期間を経由しているのかも見てみましょう。

離婚に至った夫婦の内訳を見ると、もっとも多いのが別居期間2カ月未満の21.1%。そして、6カ月以上1年未満の18.7%、3カ月以上6カ月未満の17.6%が続きます。じつに別居から離婚に進む夫婦の6割は、別居後1年以内に決着を見るという訳です。

別居から離婚までの1カ月リアルストーリー:筆者の場合

離婚, 別居 (写真=WilmaVdZ/Shutterstock.com)

じつは筆者も離婚する際、ちょっとした別居のようなものを経験しています。家を出てから離婚届提出までが約1カ月でしたので、上記の統計で言えばもっとも多いケースに入りますね。どういった経過をたどったのか、概略をご紹介しましょう。

・心を整理した1週間の放浪

とある事件をきっかけに離婚を覚悟します。ところが、元夫が「心を入れ替える」と言ったので即断できなくなり、「1週間だけ時間をちょうだい」と言って一旦家を出ました。この1週間に筆者は、次のようなところをめぐりました。

  1. 自治体の女性相談センター
  2. 友人たちのところ
  3. 管轄の家庭裁判所

1は以前相談に訪れていたところ。再度状況を話して今後のことを相談し、助言を得ました。

その後、友人たちのところを転々とします。筆者はトータル7名の友人たちに会いました。黙ってゆっくり話を聞いてくれる人あり、何も言わずに遊びに連れ出してご飯を食べさせてくれる人あり、有益で実際的なアドバイスをくれる人あり。

離婚を進めるための直接の手助けをしてもらった訳ではありませんが、彼女たちの存在は心を強く軽くしてくれ、次の新しいステップに踏み出した時、前に進む力となってくれました。

最後に管轄の家庭裁判所に寄り、調停の手続きについて尋ね、書類をもらい家に帰りました。

・脱出から離婚の段取りへ

戻った当初は、うまくいくかのように思われました。ところが事態は1週間後に急展開。筆者は夜中に逃げ出さざるを得なくなります。そのまま警察、そして実家へ。そのとき、筆者が持っていたのは、財布と免許証、家などの鍵とスマホだけでした。

そこから離婚へ向けて筆者が対処していったのは、次のようなことです。

  1. 離婚するに当たり解決しなければならない問題を整理。特に金銭関係、契約関係。
  2. 上記のことに関し、法テラス、公証役場を訪ねて相談。必要な書類などの収集、作成。
  3. それらに並行し、離婚の同意を取り付け離婚届を送付させるよう元夫に交渉。
  4. 自分の所有物を引き取る交渉、段取りをつける。

これらを並行して総合的に進めた結果、約1カ月後には離婚届を提出し、元夫の家に置いたままだった自分の所有物の回収も完了。さらにその1カ月後には、地元で再就職しました。

・離婚届提出のその後

筆者が離婚届を提出した時、元夫との間には未解決の問題がまだ残っていました。解決を待たずに届を出したのは離婚成立を優先させたからですが、それができたのは子供がいなかったこと、そしてもし問題が解決できなかったとしても「離婚後の紛争解決調停」で決着をつければいい、と割り切ったからです。

結局、離婚届提出の約4カ月後には「離婚後の紛争解決調停」を起こす羽目になりました。そしてそれらの問題については、まだすべて解決したとは言い難い状況にありますが……。

離婚へのステップとして別居に踏み切るなら

離婚, 別居 (写真=fizkes/Shutterstock.com)

筆者の場合は比較的スムーズに離婚届の獲得に成功しましたが、夫がなかなか離婚に同意しないケースも多いと聞きます。また、簡単に離婚できない事情を抱えているケースも多いでしょう。離婚へのステップとして別居に踏み切る際、押さえておくべき知識をチェックしてみたいと思います。

・別居が離婚事由になる時

離婚制度の基本的な考え方として、次の2つの立場があります。

  1. 有責主義:一方の当事者に婚姻関係を破綻させる行為(有責行為)があった場合のみ離婚が成立する
  2. 破綻主義:当事者の有責行為の有無にかかわらず、婚姻関係が破綻していれば離婚を認める

有責行為というのは、浮気や暴力、侮辱などの行為、働かず浪費して借金を重ねるなど、結婚生活を円満に続けていく夫婦の義務に反する行為のことです。一方、婚姻関係の破綻というのは、実態として同居や共同生活が成り立たなくなった状態や、夫婦に継続の意思も修復する意思もなくなってしまったというようなケースです。

この婚姻関係の破綻を判断するにあたり、別居の有無や期間などは、重要な判断要素とされます。

ただ、婚姻関係の破綻について責任のある方が責任のない方に離婚を求めるケースについては、慎重な判断が求められます。別居でいうと、例えば、家族を捨てて勝手に家を出て行ったり、相手を一方的に追い出したりといったケースです。

ですので、離婚を念頭に別居を始める場合には、相手の暴力や浮気などやむを得ない理由がある場合をのぞいて、相手と別居について合意しておくことが大事です。

・別居する前の準備

まず、別居する前に準備しておくべきことは、次の3点です。

  1. 住む場所を確保する。実家に戻るか新たに借りるなどするか、それらの手配。
  2. 生活費を確保する。別居しても家計は一緒なので、収支について協議を。
  3. 子供を連れて別居する場合は、転校の手配など含め、子供の養育環境を整える。

また、相手に暴力や浮気などの不法行為がある場合、別居から離婚に向けて経済的な対立が予想される場合などは、次のような準備もしておきましょう。別居してからだと、取得することが難しくなります。

  • 暴力や浮気の証拠になるものを確保し、持ち出す。
  • 自分名義の財産や身分証明書、印鑑など、勝手に処分されないように持ち出す。
  • 相手の資産や夫婦の共有財産など、その状況が分かる書類のコピーを取り、持ち出す。

・別居中は離婚後の生活基盤をシミュレーション

離婚後、一番に確立しなければならないのは、自分の独立した生計です。生活費がどのくらいかかるのか、収入はどのくらい確保できるのか、財産分与や養育費はどのくらいになるか、試算して目安を立てておきましょう。

また、転職や再就職などの必要があるのなら、別居中に準備して離婚後スムーズに移行できると安心です。

・別居期間中の生活費「婚姻費用」

別居中は「まだ夫婦」です。夫婦にはお互いの扶養義務があるので、結婚生活に関わる費用「婚姻費用」について分担する義務があります。これは別居中といえども変わらず、収入の少ない方が多い方へ生活費の負担を請求することができます。

婚姻費用の大事なポイントは次の2点です。

  1. 自分の生活と同程度の生活を相手に保持させる義務「生活保持義務」であること
  2. 夫婦は平等であり協力扶助義務があるため、自分の得た収入であることなどを理由に、婚姻費用の分担を怠ったり減らしたりはできないこと

婚姻費用について同意ができない場合は、家庭裁判所に「婚姻費用分担請求調停」を申し立てることもできます。

別居後、あなたはやり直せる?

離婚, 別居 (写真=fizkes/Shutterstock.com)

さて、ここまでは主に離婚を前提とした別居についてお話してきましたが、別居を経て関係を再構築することはできるのでしょうか。2つのエッセイ漫画から、やり直すことにした女性の心情を読み取ってみましょう。

・『カマかけたらクロでした』で描かれた「時の流れ」

『カマかけたらクロでした』(うえみあゆみ、KADOKAWA、2014年)は、夫の浮気をきっかけに別居、離婚調停に踏み切った著者うえみさんが、いざ離婚できるということになった時にふと立ち止まり、3年半の時をかけてゆっくりと再生していった時間経過の静かな記録です。

この漫画には、夫側の心情変化は詳しく語られていません。ですが筆者の印象に残ったのは、別居前家庭にコミットせずまさに家族からぽっかり欠けた存在だった夫が、離婚を目の前にして逆に、子供たちの父、家族の一員として復帰し再生していった姿でした。

・『別居したら夫を好きになれました』で描かれた心情変化

『別居したら夫を好きになれました』(安斎かなえ、竹書房、2012年)は、一家の柱として頼りにならない、子供を作るのにも積極的になってくれない年下の夫に愛想を尽かし、離婚を念頭に別居を開始した著者が、ふとしたきっかけから徐々に夫との暮らしを再開し、家に戻るまでのストーリーです。

別居の3年間で安斎さんが徐々に気づいていったのは、夫の居心地のよさ。再会した夫の家事やサポートがむしろ快適で、もともと一家の柱と頼みにして結婚した訳ではなかったことも思い出します。

「女として子供が生めなければ一人前ではない」「夫には男として一家を支えてほしい」、そんな思い込みから解放されたことで、安斎さんは夫の心地よさが見えるようになったのかもしれません。

・離婚か継続かを分けるものは、何を手放し何を受け入れるか

お二人のストーリーを読んで筆者が感じたこと。それは、「結婚とはこうあるべき」「男とは、女とはこうあるべき」を手放した時に見えてくるものがあるのかも、ということです。

うえみさんが流れ着いたのは、「夫婦」という確固とした形はなく、今の二人の関係を自分たち「夫婦」「家族」の形としてあるがままゆっくりと受け入れていけばいいのかも、という境地。安斎さんが気づいたのは、「こうあらねば」の先にあった、情熱や盛り上がりが冷めた後も信頼できる相棒として共に生きる夫。

別居、そしてその先、結婚を続けるか離婚に進むかの決断に、正解はないのだと思います。ただ自分にも相手にも正直になった時「何を残すか」。そういうことなのでしょう。

結婚の継続も離婚も、自分の決断を引き受けて前に進もう

離婚, 別居 (写真=TravnikovStudio/Shutterstock.com)

最初に見た統計データでは、別居後に婚姻継続するか離婚するかは、ほぼ半々に分かれていました。夫婦の決断もまたそれぞれだということなのでしょう。筆者は離婚しましたが、うえみさんや安斎さんは継続を選びました。別居はどちらにも進みうるのです。

そのうえで筆者が思うことは、相手から有利な譲歩を引き出すための手段として別居を使うと、思いも寄らない結末を招いてしまうんだろうな、ということ。どちらにも進みうるということは、どちらに進んでも引き受ける覚悟を持たなければならないということです。

けれど、それが自分で選び取ったものであるなら、私たちはどちらに進んでも実りある未来に変えていけるのではないでしょうか。

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