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「源泉徴収」「年末調整」のキホン徹底解説!会社員も確定申告する3つのケースとは?

年末調整シーズン、気になる所得税のお話

年末が近づくと、気になるのが年末調整。

12月の給与明細を見て還付額に顔をほころばせる方も多いのではないでしょうか。

この還付金は追加で入ってきたわけではなく、取られすぎていた自分のお金が戻ってきた、と捉えるのが正解です。

毎月のお給料から天引きされている所得税がどういう計算で割り出されているのか?

どうして年末になると戻ってくるのか?

これらが分かれば、給与明細や源泉徴収票の見方も変わってくるかもしれません。

源泉徴収の仕組みと納税額について解説して行きましょう。

「源泉徴収」ってそもそもなに?

年末調整, 源泉徴収, 所得税 (写真=takasu/Shutterstock.com)

所得税はその年の1月1日から12月31日までの収入に応じて、決められた税率で税額が計算され、期日までに支払うものです。

日本では税金を納める人が1年間の収入から税額を計算して申告・納付する「申告納税方式」が採用されています。

ちなみに申告納税方式とは、国の税金について納税者が自分で申告を行って納付する方式のこと。

しかしこの方法だと税務署の職員の対応に膨大な時間がかかることや、制度の改正などで正しく行われないことが懸念されていること、安定して税収を確保することが難しい可能性があります。

そこで給与などの支払いを行う企業が支払いの際に個人に代わって国に所得税を納付する制度ができました。

この制度のことを「源泉徴収」と言います。

要するに給与や報酬の支払先が「税金の集金代行」をしているというイメージです。

この源泉徴収制度によって、給与を支払う会社や報酬を支払う取引先があらかじめ概算の所得税額を先取りすることでスムーズな納税が行われています。

所得税額と源泉徴収税額は同じなの?

年末調整, 源泉徴収, 所得税 (写真=structuresxx/Shutterstock.com)

「所得税」は個人の所得に課税される税金です。

そして、「源泉徴収」は事業主が雇用者に代わって国に税金を収める「制度」の事を言います。

「源泉徴収税額」は源泉徴収した、あるいはする所得税額を指すので、源泉徴収票に記載されている「源泉徴収税額」は「所得税額」とイコールになります。

しかし、年末調整で反映されない医療費控除や住宅ローン控除の初年度、ワンストップ特例を利用していないふるさと納税などの控除については確定申告をすることで「所得税額」が確定することになります。

源泉徴収と年末調整の切り離せない関係

源泉徴収制度では、1年間の収入から正確な税額を計算することはできません。

なぜかと言うと、毎月の給与が変動したり、家族の人数が増減したり、生命保険や地震保険などの控除額が含まれていなかったりする場合があるからです。

そのため会社勤めの人は12月の給与が確定したとき、勤務先が1年間の正確な納税額と天引きされていた納税額の差し引き分が支払われる場合があります。

年末調整, 源泉徴収, 所得税 (写真=PIXTA)

これにより、所得税を多く払っていた場合には還付され、足りなかった場合には追徴されることになります。

この12月に所得税の支払い分が調整されることを「年末調整」と言います。

たまに12月のお給料だけ少し多い、あるいは少ないときがあるのは、このためですね。

源泉徴収票の見方をおさらいしよう

毎年会社から「源泉徴収票」を受け取るものの、内容をじっくり確認する人はあまりいないのではないでしょうか。

見方が分かると所得税額の決まり方の理解も深まりますので、ポイントを押さえておきましょう。

源泉徴収票を受け取った後に照らし合わせながら再度確認することもおすすめします。

年末調整, 源泉徴収, 所得税 (画像=DAILY ANDS編集部)

1:支払金額

その年の1月1日から12月31日までの給与と賞与の総額です。税金を引かれる前の年収ですので「税込年収」になります。

2:給与所得控除後の金額

自営業の必要経費にあたる部分を会社員は「給与所得控除」として年収に応じて計算します。支払い金額からその控除を引いた金額がこの欄に記されています。

税込年収が400万の場合、給与所得控除(必要経費)は134万円ですので、400万円から134万円を差し引いた266万円が記載されます。

3:所得控除の欄の合計額

納税額を計算する際は、個人の事情やあらかじめ支払っている社会保険料などが考慮される仕組みがあります。源泉徴収票の3段目と4段目に記載されている項目です。

4:源泉徴収税額

その年に納付した所得税の納税額になります。

毎月給与から天引きされていた概算の納税額ではなく、年末調整により還付、または追徴された金額を精算した金額です。

その他:社会保険料・生命保険料等・地震保険料

「配偶者控除」「扶養控除」といった人に対しての控除、「社会保険料控除」「生命・地震保険料控除」といった物に対しての控除、本人に対しての「基礎控除(38万円)」が記載されます。

生命保険への加入が節税効果になるのは控除対象になっているからです。

また、iDeCo(個人型確定拠出年金)での拠出額は全額控除対象ですので忘れずに申告しましょう。

年末調整の手続きとしては勤務先に提出する「給与所得者の保険料控除申告書兼給与所得者の配偶者特別控除申告書」の「小規模企業共済等掛金控除」欄に金額を記入し、「小規模企業共済等掛金払込証明書」を添付して手続きは完了です。

源泉徴収票をもらったら「社会保険料等の控除」欄の上部に記載されている「内○○○円」の金額を確認しましょう。

源泉徴収額の計算方法は?

年末調整, 源泉徴収, 所得税 (写真=siam.pukkato/Shutterstock.com)

給与明細を見ると引かれている所得税。

その金額はどんな計算で決められているのでしょう。

●所得税額はどうやって決まる?

毎月の給与から差し引かれる所得税額は次のように決められます。

給与の支給金額から社会保険料などの控除額を引いた額に対して、国税庁に掲載されている今年度分の「給与所得の源泉徴収税額表」の該当欄の税額が適用されます。

この表は「控除後の金額」と「扶養親族等の数」によって税額が示されています。

そして、年末に勤務先に提出する「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」をもとに個々に税額が計算されます。

●源泉徴収の計算はこの「3項目」を押さえよう

・支払金額−給与所得控除(必要経費)=給与所得控除後の金額…(1)
・(1)の給与所得控除後の金額—所得控除の欄の合計額=課税所得…(2)
・(2)の課税所得×税率=税額…(3)
・(3)の税額—住宅借入金等特別控除の額(住宅ローン控除)+2.1%(復興特別所得税)=源泉徴収税額 となります。

この3項目を押さえておけば、源泉徴収票と納税額の仕組みは理解しやすくなるでしょう。

年度の途中で転職した場合はどうする?

年度の途中で転職した場合はどうすれば良いでしょうか。

年末調整, 源泉徴収, 所得税 (写真=PIXTA)

年末時点で転職先からの給与収入がある場合は、退職時に受け取った源泉徴収票を転職先に提出しまとめて年末調整をしてもらいます。

その際、受け取ったはずの源泉徴収票を紛失してしまった時は退職した会社に再発行を依頼すれば作成してくれます。

年末時点でまだ次の会社が決まっていない場合やフリーランスに転向したなど、給与収入以外の働き方をしている時には確定申告が必要になるでしょう。

サラリーマンでも確定申告が必要な3つのケース

源泉徴収制度はおおよその所得税を先取りで納める制度です。

会社員の方は年末調整によって税額を確定し、還付や追徴で完結させるのがほとんどでしたが確定申告をすることでさらに還付が受けられるケースもあります。

(1)家族の医療費が10万円を超えた

一緒に生活している家族の医療費の合計額が年間で10万円または所得金額の5%(どちらか少ない方)を超えた金額(最高200万円)が所得から控除され、所得税が減額できます。

2021年までの時限措置として、「セルフメディケーション特例」が導入されました。

特定の市販薬の購入金額が年間で1万2000円(上限8万8000円)を超えた場合、所得から控除されます。

医療費控除とセルフメディケーション特例はどちらかを選択して利用します。

年末調整, 源泉徴収, 所得税 (写真=PR Image Factory/Shutterstock.com)

(2)災害によって住宅や家財に損害を受けた

自然災害による被害も多く、生活再建への支援が必要な人も多くいらっしゃいます。

災害で損害を受けた場合、雑損控除または災害減免法の適用により所得税額の全額もしくは一部の控除ができます。

(3)ふるさと納税をした

返礼品に惹かれて始める人も多いふるさと納税。寄附金控除の対象になり、所得から控除されます。

「ふるさと納税ワンストップ特例」の利用で確定申告の必要がない方もいますが、所得税を現金で還付されたい方には確定申告をおすすめします。

ほかにも、住宅ローン減税を受ける最初の年度や資産運用で損失が出た場合の損益通算などがあり、年末調整では控除しきれなかった源泉徴収の税額を確定申告で還付することができます。

働き方の多様化で変わる納税への意識

会社員として勤務していて、納税処理も行ってくれる制度はとても楽でありがたいことです。

しかしその反面、それによって日本人の税金に対する意識は低いとも言われています。

人生100年時代に向けて働き方改革が進み副業の解禁や起業、資産運用への意識が高まるなか、確定申告を利用することで納税に対する意識は変わってくるでしょうか。

まずは、毎月の給与明細と手元に届く源泉徴収票を眺めながら自分の納税額を確認してみてはいかがでしょう。

税金の使われ方や節税への興味につながるきっかけになるかもしれません。

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