(画像=ESB Basic/shutterstock.com)

営業員、ネット、来店型——保険はどこでいくら入るのが正解?

別冊宝島2620号「生命保険 実名ランキング!」(1)

この記事は横川由理氏と長尾義弘氏の監修による『別冊宝島2620号「生命保険 実名ランキング!」』(宝島社)の内容を抜粋したものになります。

 生命保険、入りすぎていませんか?

保険、入りすぎていませんか?

あれもこれもと保険に入りたくなりますが、保険で備えるべきリスクと保険は必要ないリスクがあります。

・世帯主の死亡など、大きなリスクに賢く備える

私たち日本人は保険好き。8割以上の人が何らかの保険に加入しています。

1世帯あたりの年間保険料は38.5万円。

つい、あれこれ心配になって多くの保険に加入してしまいますが、もしかしたら必要のない保険に加入しているかもしれませんよ。

その背景として過剰なコマーシャルの存在が大きいと思います。

しかし、保険会社も保険を販売する事業を営んでいるわけですから、自社の商品をアピールするのは当たり前。

保険会社が悪いのではなく、こちらの知識不足が大きな原因なのです。

保険の得意なことは、世帯主の死亡など不測の事態、いわば大きなリスクに備えることです。

そして保険の役割は、社会保障制度を補完することにあります。

世帯主が死亡した場合、遺族年金を受け取れるものですが、遺族が生活するのに充分な金額ではありませんし、教育費には足りない可能性もあります。その足りない分を準備するのが保険の役割です。

掛け捨てタイプの定期保険や収入保障保険で効率的に備えてください。

同じ1000万円の死亡保障を得る場合、定期保険の保険料は月額1500円程度ですが、終身保険の場合は月額3万2100円と高額になってしまいます。

保険は掛け捨て型が一番効率よく備えられるのです。

この場合は1000万円の定期保険に加入して、差額を貯蓄するのが正しい保険の入り方です。

・医療費など、貯蓄や社会保障で賄える部分に保険は必要ない

子育て世代でも、シニア世代でもニーズがあり、現在、一番売れている保険が医療保険です。

保険料も1000円代から5000円程度と安価なのでつい加入したくなりますが、入院は大きなリスクではありません。

また会社員や公務員であれば、病気で仕事ができなくとも健康保険から給料の3分の2を傷病手当金として受け取れます。

さらに、収入に応じた高額療養費があるので医療費には上限が設けられています。

一方で医療保険の保険料を何十年と支払うと軽く100万円を超えてしまうことをご存知でしょうか。

医療費は貯蓄でまかなったほうがよさそうです。

保険は貯蓄で対処できないことを保険料というお金を払っていざというときに助けてもらうサービスです。

つまり、生きている人が死亡した人の遺族を助ける制度です。

保険に加入するときは「必要最小限にする」という感覚を身につけてください。

imageTitle (画像=書籍より)

保険に加入しすぎて貯蓄がおぼつかない「保険貧乏さん」、必要な保険だけに加入している「適切保険さん」の家庭では、貯蓄額に大きな差があります。

保険のことをキチンと考えられる人は、住宅や、社会保険のことなど他のこともしっかりと考えられる人です。

こうすれば必要保障額がわかる!

大切なのは「必要保障額」。不測の自体が起きた際に出ていくお金と入ってくるお金を計算し、その不足分を保険で補います。

(画像=書籍より)

・「保険で準備するお金」を割り出す

加入する保険の種類が決まったら、次にいくらの保障が必要になるのかを考えてください。

ここでは必要保障額を計算することになります。

必要保障額とは、「保険で準備するお金」のこと。

死亡保険の場合は、将来にわたる生活費や住居費、教育費などの出ていくお金の合計から、遺族年金や死亡退職金、妻の就労収入や老齢年金など、入ってくるお金の合計を引き算して求めます。 

会社員や公務員の妻であれば、遺族厚生年金を一生もらうことができます(30歳未満の妻の場合は5年間)。

遺族基礎年金は子どもが18歳の年度末になるまでなので注意をしましょう。

たとえば、高校1年生の子どもが1人いる妻であれば、高校卒業まで年間約100万円を受け取れます。2人の場合は、約22万円加算します。

高校を卒業すると遺族基礎年金はストップしますが、その代わり、中高齢寡婦加算を65歳になるまで受け取ることができます。

平成30年度の価格は、年間約58万円です。

その後は自分の老齢年金を受け取ることになりますが、年金額は誕生月に送られてくる「ねんきん定期便」でご確認ください。

ハガキが見つからないようであれば、「ねんきんネット」から手続きをするとウェブ上で確認することが可能です。

まずは入ってくるお金と必要なお金を把握しましょう。

営業員、代理店、銀行……どこで契約をするのが正解か?

詳しい知識を持った人に相談したい、手軽に入れるほうがいい……。それぞれの考え方によって、保険の加入チャネルは変わってきます。

・自分でもある程度の知識を持つことが大切

冒頭でも触れたように、私たちは保険好きです。

でも、保険会社の営業員がやってくると、つい、知らんぷりをしたり、逃げたくなるのはどうしてでしょうか?

それは保険が嫌いだからではありません。語弊があるかもしれませんが、私たちは営業員が嫌いなのです。

なぜ嫌いなのかというと、ひとつ目の理由は、商品を勧められても保険の知識がないため話したくないこと。

ふたつ目の理由は、人から勧められるとあまのじゃくのように、何となく嫌になってしまうことだといえます。

たとえば、洋服を買うときをイメージしてください。

お気に入りの店員さんから買うと楽しい気分になります。

その店員さんがどこかへ転勤すると、そのお店から足が遠のいてしまった経験はないでしょうか。

そうです。商品を購入するときは、気に入った人から購入したいのです。

保険料だけで見ると、保険は営業員から加入しても、来店型ショップから加入してもどこでも同じ金額です。

保険は、保険料の値引きや何か景品もらえるわけではありません。

同じ商品であれば、保険以外の付加価値を求めたくなるものではないでしょうか。

担当者の保険の知識はもちろん、お金のこと全般に造詣が深いことが理想です。

担当者とのお付き合いは、長く続くことになるからです。

・それぞれのメリット・デメリットをチェック

【保険の営業員】
・詳しい知識を持った担当者は少ない

営業員は、大手国内生命保険会社専属で保険を販売している人を指します。

理想を申し上げると、お金に関することを相談できる、いわゆる「お抱えFP(ファイナンシャル・プランナー)」として長い間お付き合いできるよい営業員から加入するのが一番です。

確かに保険料は高い面もあるかもしれませんが、それは「お抱えFP」としての付加価値に対するお値段です。

しかし、自分の担当者はすぐに辞めてしまうし、連絡してくるときは、保険の提案するときのみ、知識も少ないというのが現状です。

付加価値がないのであれば、結果として、安い保険料の商品を選ぶのが賢い方法だといえるでしょう。

【保険乗合代理店】
・複数の会社の商品を比較できる

乗合代理店では、複数の保険会社の商品を取り扱っています。

自分にとって、どこの保険会社の商品がより安く加入できるかは、男女や健康状態、年齢によって異なります。

乗合代理店は、複数の保険会社の商品を取り扱えるという特徴があります。個人ごとに合った商品を選べることから、一社専属の営業員よりも有利な面があるといえるでしょう。

来店型の保険ショップの場合は後追い営業が少ないことも、よい点だといえます。

しかし、ベストの商品を勧められるとは限らず、代理店の収入が多くなる販売手数料の高い商品を勧められるということもありえます。

【銀行の窓口】
・保険を売ることが専門ではなく、できれば避けたい加入先

保険会社の営業員よりも銀行で保険の相談をしたほうが、「気が楽」な面もあるかもしれません。

しかし正直に申し上げると、銀行で保険に加入することは避けたほうがよさそうです。

なぜなら保険を販売することが本業ではないため、保険の知識がないことが一番に挙げられます。

特に勧められるのは、外貨建てや変額保険( 投資信託で運用する) などリスクの高い商品。

保険でリスクを取るのはいかがなものでしょうか?

定期保険など保障性の高い保険も販売していますが、やはり保険のプロとして頼りないのが現状。「餅は餅屋」。専門家が一番です。

【ネット・通販】
・営業員を通じて入るより保険料は安め

インターネットや新聞、雑誌の広告を見て申し込む商品は、営業員を通じて加入する商品と比べて、保険料が安く設定されていることが多いです。

自分のペースで商品を選べますし、疑問点はコールセンターに質問することも可能です。

インターネット専用の商品と、ネットでも対面でも保険料が同じ商品もあります。しかし、「保険料が安い保険がよい保険だ」ということを逆手にとって、保障を削ってまで安い保険料を提示するケースも多いので注意をしてください。

必要な保障を見極めることが大切です。

【FP】
・有料相談と無料相談では大きく違う

営業員や乗合代理店、銀行の窓口など、多くの販売員がFP資格を持っています。ここでのFPは、有料で相談を行っている人をイメージしてください。

無料での相談を行っている人は、保険を販売する立場の人であり、結局は保険の販売へとつながりがち。もちろん、本誌に掲載されているFP のように、お客さん目線の人もいらっしゃると思いますが、その数は多くはありません。

真にお客さん目線のFPに、きちんと有料相談をすることがベスト。

たとえ、相談料を払ったとしても、適切な保険に加入することで保険料が下がることが多いからです。

残された家族のための保険、生きている自分のための保険

終身保険、定期保険、収入保障保険……万一に備えたいなら、どれに入っても同じというわけではありません。それぞれ目的が違います。

・残された家族のための保険

自分に合った保険を選ぶために、どのような不測の事態を保険でカバーしたいのかを考えます。

ご自身が死亡した場合に、お金に困る人がいらっしゃいますか?

YESなら定期保険や収入保障保険で、死亡保障を準備します。

どちらの保険を選んだらよいのかは一概にはいえないものですが、定期保険はまとまった保険金を受け取れるため、お葬式の費用や大学費用などに備えられます。

収入保障保険は毎月の生活費に備えるためだと、考えるとよいでしょう。

もちろん、どちらか一方の保険を選ぶのではなく、2つの保険に加入する併せ技を使うのも手です。なぜなら、定期保険は大きな保障を確保できますが、保険料は割高になるからです。

必要保障額は年々減っていくので、時間が経つと保障が大きすぎることになるでしょう。

収入保障保険を追加することで、必要保障額に合わせた保険の設計が可能になりますし、定期保険と比べて割安になります。

・自分のための保険

仕事ができなくなることに備える場合は、就業不能保険を選んでください。

医療保険は入院した場合のみ保険金を受け取れますが、就業不能保険の場合、自宅療養中であってもOKです。

収入保障保険に就業不能の特約をつけることもできます。なお、死亡保険の終身保険は低金利の現在、お勧めできません。

ちなみに、収入保障保険と就業不能保険は混同しがちですが、両者は別ものです。死亡した場合を保障するのが収入保障保険、生きていて働けなくなったときに保障を得られるのが就業不能保険です。

明日配信の次の記事で、それぞれの保険を詳しく見ていきましょう。

Webサイトより※クリックするとAmazonに飛びます

横川由理(よこかわ・ゆり)
FPエージェンシー代表、CFP®、証券アナリスト、MBA(会計&ファイナンス)、千葉商科大学大学院客員准教授。お金の知識を広めることをライフワークとして、マネー講座、執筆などを中心に幅広く活動している。著書に『別冊宝島1890 50歳から役に立つ「お金のマル得術」』『老後にいくら必要か?』『別冊宝島2029 アベノミクスで変わる「暮らしのお金」の○と×』(すべて宝島社)、『改訂版 保険 こう選ぶのが正解!』(実務教育出版)など多数。

長尾義弘(ながお・よしひろ)
AFP、日本ファイナンシャル・プランナーズ協会会員。新聞・雑誌・Webなどで「お金」をテーマに幅広く執筆活動を行っている。著書に『コワ〜い保険の話』(宝島社)、『お金に困らなくなる黄金の法則』『保険払いすぎ見直しBOOK』『最新版 保険はこの5つから選びなさい』(すべて河出書房新社)など多数。

この記事をシェアする

個性的な連載で「投資」を身近に

一つのテーマを深掘り、おすすめ特集