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失敗をカンタンにノウハウ化する方法とは?

スモール・スタート あえて小さく始めよう(3)

この記事は水代優氏の著書『スモール・スタート あえて小さく始めよう』KADOKAWAの内容を抜粋したものになります。

【『スモール・スタート あえて小さく始めよう』シリーズ】
(1)「副業不可」ならお金よりステキな「報酬」をもらおう
(2)「人と同じこと」「よくあること」でも良い——オリジナリティよりも大切なこと
(3)失敗をカンタンにノウハウ化する方法とは?

※以下、書籍より抜粋

簡単に「失敗をノウハウ化する」方法

●失敗・イズ・ノウハウ

失敗はノウハウ。僕は本気でそう思っています。

うまくいかないことがあったら、「なるほど、こうするとうまくいかないんだな」と、うまくいかないリストに書き加えます。それは、次に何かをするときに頼れる参考書になります。

あなたがレストランの支配人だったとします。

何冊も料理本を読み込んでいるけれどキッチンに立ったことのない人と、洋食店の厨房に毎日立ち続けてきた人がいたとして、どちらをシェフに採用しますか。

後者だと思います。なぜなら、毎日料理をしてきた人には、本を読んできただけの人が持っていない、数え切れないほどのノウハウがあるからです。

では、何冊も料理本を読んだ人と、厨房に立ち続けてきた人とでは、どちらが料理での失敗をしてきたでしょうか。もちろん、この答えも後者です。

失敗は最高のノウハウです。もしも僕が外科医や裁判官なら、こんな悠長なことは言っていられないと思いますが、大人が本職とは別にやってみたいと思っているようなことについては、失敗は最高のノウハウだと本気で思っています。

失敗をしたくないから、勉強して知識を仕入れて、練習もしっかりしてから本番に臨みたいという人もいるでしょう。でも、やってみないとわからないこと、失敗してみないとわからないことはたくさんあります。

どんなことでもそうです。たとえば、キッチンに置く棚を買うとします。たいていの人は、キッチンの空きスペースをメジャーで測り、そこに置けるサイズの棚を選ぶでしょう。

せっかく買ったのに置けなかったという失敗をしたくないからです。

でも、その棚の一段分の高さまでは気にしない人が多いのではないかと思います。

もしもそこに飲料の入った瓶を置きたいなら、高さは47.5センチ以上確保できないとダメです。なぜかというと、業務用の飲料の瓶には、高さが47センチのものが意外とあるからです。

棚には47.5センチくらいの高さがないと、置きにくいし、取り出しにくいです。

瓶には47センチの高さのものが多いということは、飲料の瓶を扱う仕事をしている人にとっては当たり前の情報なのかもしれません。

でも、キッチンのインテリアの本にも、飲食店経営のノウハウの本にも書いてありません。

きっと飲食店経営の本を書く人もこのことは知っているけれど、本に書かなくてはいけないことはほかにもっとあるので、棚の高さのことまでは手が回らないのでしょう。

僕がこれを知っているのは、せっかくつくった棚に、瓶を入れることができなかったという経験をしているからです。「悔しい! あとちょっとだけ高さが足りない!」という失敗を、自分のノウハウにしているのです。

だから、本を読んでいるだけでは、ノウハウは吸収しきれないのです。

やってみて、失敗してみて、身に沁みることはたくさんあります。

僕の実感として、そうやって体当たりでノウハウを身につけている人のことを、周囲は「失敗ばかりしている人」とは思いません。

「リスクを把握している人」「ノウハウのある人」という目で見てくれるのです。

会社でも、新規プロジェクトのリーダーを任される人は、ほかのプロジェクトのメンバーとしての経験がある人でしょう。

プロジェクト未経験の人がいきなりリーダーに抜擢されることはほとんどないはずです。あったとしたら、それはリーダーには酷だと思います。

やはり、経験はないよりあったほうがいい。何かを始め、失敗しながらも続けることは、次のチャレンジへのノウハウを蓄積することでもあるのです。

「どうしたらできるか」ではなく「どうしてこれをやろうと思ったか」

やったことのないことをやってみるときも、やってみて壁にぶち当たったときも、僕は「どうしたらできるか」とは考えないようにしています。

それを考えるのは、できなかったらどうしようという恐怖を生むし、できないかもしれないことをやるなんてと辛くもなるからです。

僕の場合、もしも「できなさそう」と立ち止まりそうになったら、「どうしたらできるか」という打開策を探るのではなく「どうしてこれをやろうと思ったのか」というスタートに立ち返ることにしています。

どうして手作り市にお店を出そうと思ったのか。

楽しそうだと思ったから。

自分の好きなものを広めたいと思ったから。ありがとうと言ってほしかったから。

週末のイベントとして適切だと思ったから。

一度くらいやってみたいと思ったから。ニーズがあると思ったから。

そこまで戻ると、だったら、やろうという気持ちが再び持てます。

そうすると「どうしたらできるか」などとは考えなくなります。「どうして手作り市にお店を出そうと思ったのか」という疑問は、「どうして社内でこんな活動をしようと思ったのか」に置き換えることもできます。

すると「それが本当に必要で、みんなに喜んでもらえると確信したから」なのか「なんとなくうまいことやって注目されて、評価も得られればラッキー」だったのか、はっきりするはずです。

そして、好きなものを広めたいのならお店にこだわることはない、周囲の役に立ちたいのならほかの選択肢もある、といったことにも気がつくことができます。

もちろんその後には、やるための方法を探ることになります。でも、下を向いて「どうしたらできるか」と苦しく考えながら思考停止に陥るようなことにはならず、「やると決めたのだから、あとはやるだけ」という、やって当たり前、できて当たり前という気持ちになれます。

この気持ちが、次の行動を大きく左右します。

一生懸命になればなるほど、真面目であればあるほど、「どうしたらできるか」と考えてしまいがちですが、やってみたいと思ったことは、やらなくてはならないことではありません。

国民としての義務でも、生活のためにどうしてもやめられないものでもない。はっきり言ってしまえば、しなくてもいいことです。

でも、仮に誘われたり頼まれたりしたのだとしても、ど真ん中の本業に加えてそれをやろうと決めたのは自分です。だから、立ち止まってしまいそうになったときには、やると決めたときの気持ちを取り戻すことが一番いいと思います。

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水代優(みずしろ・ゆう)
good mornings株式会社代表取締役。2002年より、株式会社IDEEにて新規出店を手掛ける。2012年に、good mornings株式会社を設立。現在は、都内に各々のコンセプトを有する3拠点を企画運営、その他にも、企業や行政と共にエリアプロデュースやプロダクトディレクションを手掛ける。近年はブックディレクターとしても活動し、日本橋浜町に自身がセレクトする本屋「Hama House」を出店。

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