(撮影=森口新太郎)

やっちまった!赤坂に引っ越し、倒産の危機にー土屋清美さんの失敗のりこえ談①

デキる女の失敗のりこえ談:土屋清美さん

さまざまな分野で活躍する女性に、失敗を乗り越えた経験、略して「失敗のりこえ談」を伺うインタビューシリーズ。今回は、斬新なポイントサービス「StockPoint(ストックポイント)」を提供しているSTOCK POINTの代表取締役、土屋清美さんにお話を伺いました。

金融サービスを提供する2つの会社の社長である土屋さんは、インタビュー当初「失敗をほとんどしない人」のように見えましたが、失敗した経験がまったくないのではなく、困難に直面しても状況をうまく受け止められる「世の中を甘く見る力」が備わっているということが分かってきました。

「研究職は向いていない!」と1年で転職。金融の世界へ

女性, 投資, 失敗, 土屋清美 (撮影=森口新太郎)

――土屋さんはもともと理系のご出身で、研究職に就かれていたんですね。

大学では理学部の応用物理学科に在籍していました。卒業後は研究職に就いたのですが、私にはちょっと合わないかなと思い、1年で辞めました。

――どういったところが合わないと感じたのですか?

研究職はとても大切な仕事だと思っています。でも、毎日の積み重ねをすることでようやく実験結果が出る世界で、何十年も結果が出ないこともあり得ます。私にはそれが、少しもどかしく感じてしまいました。もっと外に出て人と触れ合ったりしながら、何かを達成するという経験がしたかったんですね。もともと人と会うことが楽しいし、自分のためにも勉強になると思ったのです。

――研究職を辞めた後は、どうされたのですか?

電通国際情報サービスという会社に入社し、10年間勤務しました。当時は金融機関がどんどん海外へ支店を出す時代で、そういったときに必要なのが、本店から海外支店へデータを送るシステムを作ることでした。私は海外支店の立ち上げにかかわり、この経験が金融業界に携わるスタートとなりました。

ダイナミックさを求め、さらに転職

女性, 投資, 失敗, 土屋清美 (撮影=森口新太郎)

――その後、金融の世界に入られるんですよね。

電通国際情報サービスに入社してしばらくして会社が上場し、そのタイミングで会社にも変化が出てきました。何をするにも社内での細かい手続きが必要になるなど、入社した頃のダイナミックな感じがなくなってきたなあと感じていたのです。上場したらある程度は仕方がないことですけどね。

上場後もしばらくは会社にいましたが、あるとき、金融のベンチャー企業であるクォンツ・リサーチの立ち上げを手伝ってくれないかと誘いを受け、いい区切りかもしれないと会社を辞める決意をしました。

――クォンツ・リサーチではどんなことにかかわりましたか?

会社の立ち上げに、一からすべてかかわりました。ちょうどインターネットが普及していた頃で、ネット証券やネット銀行がバンバン出てきた時期でした。そのブームに乗って、私たちはコンテンツを作ったりネット系サービスのツールや仕組みを作って提供したりしていました。

最初はマンションの1室から始まり、営業やシステム開発の担当者が入り混じりながら仕事をしていました。営業は大変でしたけど、ネット証券、ネット銀行側もコンテンツは絶対に欲しいので、ブームとともに会社は1年ぐらいで軌道に乗りました。クォンツ・リサーチには6年在籍し、その後2006年にSound-Fintech、2016年にSTOCK POINTを設立しました。

ノリで引っ越した途端、リーマン・ショックに見舞われた

女性, 投資, 失敗, 土屋清美 (撮影=森口新太郎)

――今までのところ、大きな失敗はされていないように思いますが……。

あえて言うなら、リーマン・ショックのときは「やっちまった!」と思いましたね。

――具体的に何があったのですか?

Sound-Fintechを立ち上げて2年目にリーマン・ショックが起きました。Sound-Fintechは立ち上げ当初意外に順調で、最初は小さなオフィスでしたが、赤坂見附のニューオータニのオフィスタワーに行っちゃおうか、というノリで引っ越しをした途端、リーマン・ショックにやられてしまいました。本当に絶妙なタイミングでしたね。でも、引っ越しちゃった後だったからどうしようもないし。あまり調子に乗ったらいけないなという教訓になりました(笑)。

――「やっちまった!」と思ったとき、どのように気持ちを立て直しましたか?

開き直るしかないです。だってしょうがないですよね、起きてしまったのだから。目の前の仕事をやるしかないです。たまたま、そのときに三菱東京UFJ銀行(現・三菱UFJ銀行)の大きな案件がスタートしていたので、なんとかつなげることができましたが、それがなかったら絶対につぶれていました。会社経営はつくづく運だなと思います。

――すごい精神力ですね。その強さはいつ頃培われたのでしょう?

わりと大学時代からそうなんですけれど、何かトラブルが起きても「なんとかなるさ」と思っているところはあるかもしれません。今までいろいろと困難はありましたが、根拠があるわけではないけど絶対なんとかなるよね、と心の底で思っています。世の中を少し甘く見ているかもしれませんね。

――「世の中を甘く見る力」が必要だということですね。

そうですよ。世の中なんてたいしたことないです。ただ、私はもともと理系出身ということもあって、緻密に物事を積み上げていくところはあります。社員にも根拠や理由を求めるので、わりと理屈っぽい(と思われている)かもしれません。細かいところを積み上げていき、だからこういうふうにしましょうと理論立てて考え、行動するところはあります。

次回は土屋さんが語る「資産運用」に対する失敗論

普通に考えれば、精神的にかなりのダメージを受けただろうリーマン・ショック時のエピソードを、「しょうがない」の一言で片づけた土屋さん。思わず「かっこいい」とつぶやいてしまう潔さがありました。次回は、そんな土屋さんが資産運用に関してどのような考えをお持ちなのかをお伺いします。(続く)

今回、取材に協力してくれたのは…

女性, 投資, 失敗, 土屋清美 (撮影=森口新太郎)

土屋清美(つちや・きよみ)さん
Sound-Fintech代表取締役社長、STOCK POINT代表取締役/Founder。
2006年に金融ソリューション事業、不動産システム開発事業などを展開するSound-Fintechを設立。2008年のリーマン・ショックを乗り越え、最先端の新技術とサービスの提供で顧客を拡大。2016年にSTOCK POINTを設立。世界初となる「誰もがいつの間にか株主になれる」株価連動型ポイント運用システムを開発した。2017年に「第6回DBJ女性新ビジネスプランコンペティション」「新日本監査法人Winning Women 2017」のファイナリストに選出。趣味は月に6回は行くというゴルフ。

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