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いざ海外旅行!通貨の「為替レート」をおさらいしよう

為替が動くと、世の中どうなる?(4)

この記事は角川総一氏の著書『為替が動くと、世の中どうなる?』すばる舎の内容を抜粋したものになります。

・『為替が動くと、世の中どうなる?』シリーズ
(1)為替相場を読むうえで知っておきたい「円キャリー取引」とは?
(2)世界が不安定になると「円が買われる」その理由とは?
(3)ドルだけではなくユーロも重要 外為市場はこう見よう
(4)いざ海外旅行!通貨の「為替レート」をおさらいしよう

※以下、書籍より抜粋

対顧客向け為替相場とは?

●大口の法人顧客相手の為替レートとは?

為替相場は、大きく4つに分かれます。

ただ大別すると、「銀行間レート(インターバンク・レート)」と、「対顧客レート(相場)」の2つに分かれると考えればいいでしょう。

そしてそれぞれ、先物と直物があるわけです。

「顧客向け為替取引」というものがあります。ここでいう「顧客」とは、銀行から見て企業や個人を指しています。

この場合、金融機関と顧客が取引するわけですが、金融機関はここで「手数料」を取ります。

たとえば企業の場合、ABC産業とX銀行の間で、「ドルと円の交換手数料は、1ドルあたり2銭」と決めたとします。

このとき、銀行間レート(インターバンク・レート)が「1ドル=110円10銭」の場合、ABC産業が銀行からドルを買うときの取引レートは「1ドル110円12銭」──です。

手数料は、銀行に対して強い大企業ほど、安いのが普通です。

グローバル化が進み、こういう取引は当たり前になっています。

仮にABC産業がX銀行から100万ドルを買った場合、1ドルあたり2銭ですから、銀行は2万円の手数料を得ます。

●主に個人相手の為替レートは、どう違うのか?

たとえば、輸出企業が手に入れたドルを国内で使うには円に換える必要がありますが、このためにはドルを売り、円を買います。

また、それまで国内で調達していた半導体部品を台湾企業などからの輸入に切り替えたため、台湾ドルでの支払いが必要になったメーカーもあるでしょう。

この場合は、円を台湾ドルに換えて支払うことになります。

通貨の交換(外国為替取引)は、私たち一般個人も行います。最も身近なところでは、海外旅行のときの両替ですね。

米国に旅行するには、円をドルに換えておきますし、今は世界でキャッシュカードが使えますが、これもカードを使った日の為替レートで「支払額」が変わってきます。

海外旅行のときには、為替を意識しますよね。

あるいは、子どもを米国留学に出している場合、円をドルに換えて、ドルを送金します。

このような通貨の両替は、銀行との間で行なうケースが多いでしょう。

企業や個人が銀行との間で、円と外貨の「売り」や「買い」のときに適用される相場が、対顧客向け為替相場です。

もちろん「対顧客」とは、銀行から見た表現です。

銀行間で取引される銀行間為替レートは、いわば卸売価格であり、ここで説明する対顧客向け為替相場は、小売価格にあたるものと考えられます。

●個人が外貨を両替するときなどのレートには手数料がかかる

三菱UFJ銀行が、28通貨について、毎朝10時~11時ごろ「いくらで取引するか」を発表します。

中国人民元や台湾ドル等はみずほ銀行が、ブラジルレアルはブラジル銀行が発表したものが日経新聞紙上に掲載されます。新聞紙上のマーケット欄の「外為市場」のところです。

銀行は「仲値(TTM=Telegraphic Transfer Middlerate)」を決め、それを基準に4つの為替レートを決めます。

この対顧客向けの為替レートについて、それぞれ説明していきましょう。

なお、いったん決められたレートは、原則としてその日1日変わりません。

「売相場」とは銀行から見て「外貨を売る」の意味です。日経新聞で示されるレートはこれです。「買相場」は、銀行が外貨を「買い取る」ときに使います。

1.TTS(Telegraphic Transfer Selling rate=対顧客電信売相場)

外貨を買うとき……たとえば円をドルに換える場合、銀行間で取引されているインターバンク・レート(仲値)に1円上乗せされるのが一般的です。

このとき、豪ドル、ユーロなど、それぞれ少しずつ違います。

なお、これらの外貨の売り買いについて、売りと買いの幅(スプレッド)は、個別銀行ごとに自由に決められます。

今では、ネット専業銀行の外貨の売買では、この幅が極端に小さくなっています。

2.TTB(Telegraphic Transfer Buying rate=対顧客電信買相場)

海外から送金された外貨や、満期になった外貨預金を顧客が円に換えるときの為替レートです。

ドルを円に換える場合、通常仲値から1円引かれますが、これも通貨によって異なります。「バイイング・レート」とも呼ばれますが、われわれ顧客の側から見れば外貨の売値(つまり売りレート)ですね。

3.現金売相場

TTSとTTBは金融機関の口座での通貨交換ですが、その場で現金に換える場合は少し異なります。

「現金売相場」は、私たちが円を外貨の現金に両替するときの為替レートです。一般的に、TTSからさらに2円上乗せされます。顧客にとっては、負担が大きいですね。

4.現金買相場

外貨の現金を円に両替するときのレートです。TTBからさらに2円引かれます。

●TTS、TTBの手数料は、通貨によってこんなに違う!

これらの対顧客相場は銀行間での相場を基準に、銀行が手数料相当分を上乗せする形で決められています。

その手数料分はすでに述べたように、各通貨によって異なります。

米ドルは一般にその差が2円なのですが、ユーロだと3円、豪ドルでは4円、そして英ポンドでは8円……というように、相当の差があります。

これらは各銀行が個別に自由に設定するという建前になっているのですが、現実には大手の銀行に「右倣え」となっています。

もっともネット専用銀行の外貨売買では、この手数料をメガバンクより大幅に引き下げているケースが多く見受けられます。

なお銀行が公表している「対顧客相場」がそのまま適用されるのは、米ドルに換算して10万ドル未満の金額(日本円では1100万円程度=2018年6月現在)であることが普通です。

それ以上の金額になると、銀行との間で交渉により交換レートが決められるのが普通です。

また、日中の為替相場変動が大きな場合には、適宜レートが変更されます。

いずれにしてもTTSとTTBは、大事な要素です。

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角川総一(かどかわ・そういち)
(株)金融データシステム(KDS)代表。昭和24年大阪生まれ。京都大学文学部を経て、公社債関連専門紙で8年の記者経験後、独立。その後、わが国初の投資信託のデータベースを構築するとともに、各種雑誌、新聞、テレビ、ラジオなどでの金融、マネー評論、講演のほか、企業、各種団体などでセミナーを行う。著書は「図解 資産運用を読む事典」(東洋経済新報社)「バランスシート思考のすすめ!」(PHP研究所)ほか多数。証券経済学会会員。

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