(画像= leungchopan/shutterstock.com)

節約したお金よりも使ってしまう「矛盾」の原因

1000円からできるお金のふやし方(1)

この記事は大槻奈那氏の著書『超・初心者のための投資のキホン 1000円からできるお金のふやし方』ワニブックスの内容を抜粋したものになります。

※以下、書籍より抜粋

預金と節約に目を向けてしまう3つの理由

なぜ多くの人が預金と節約に目を向けてしまうのでしょうか。

私は、主に3つの理由があると思っています。

1つは国民性です。

日本人は昔から農耕を中心として生活してきました。農業は天気に左右されますので、今年は豊作でも来年のことはわかりません。

そういう状況では、必要な分だけ食べ、残りは未来のために残しておこうと考えます。つまり、節約して貯めておくという方法は、農業で生きていく中で培われた知恵なのです。

2つ目は環境です。

日本は30年近くに渡ってデフレでした。学生たちは生まれた時からデフレで、「なんとなく貯金」と「とりあえず節約」が資産形成の方法として正解だったのです。

現在20代の会社員も同じです。

彼らも生まれた時からデフレでしたし、就職した企業もデフレの影響を受け、経費削減を重要な経営施策としてきました。

経費削減も、わかりやすくいえば節約の一種です。そういった経営方針のもとで日々仕事をしていることが、「節約して貯める」という意識を醸成していると思うのです。

しかし、環境が変われば考え方も変えなければいけません。

経済環境は常に変わっています。

いまは大半の人が農業ではなく会社勤めをしていますから、悪天候だからといって収入が半分になったりすることはありません。経済環境もデフレからインフレにも変わりつつあります。

過去に有効だった知恵や方法が、未来永劫、正解というわけではありません。時代や環境が変われば、いままでと全く違う方法が正解になることもあります。

そういう変化が起きているのが、いまなのだと私は思っています。

だからこそ、従来の「お金を使わずに貯める」という節約・預金の思考から抜け出し、「なるべく効果的にお金を使う」という思考にガラリと転換する必要があるのです。

1万円節約して3万円使っている矛盾

預金や節約に目が向く3つ目の理由は、心理です。

ほしいものを買わずに我慢したり、飲み代やデート代を安く抑えたりすると「頑張っている」という実感が得られます。手元に現金が残ったり、銀行でお金をおろす回数が減ったりといった目に見える効果もあります。

それが、多くの人が節約に没頭してしまう理由だと思うのです。

ただ、そのような頑張りが結果として資産形成につながっているかというと、そうでもありません。

例えば、昼食代を節約して安いお弁当を買います。飲み代をセーブし、洋服代を減らします。

その結果として節約できるのは、せいぜい1年で5万円くらいでしょう。それなら、節約して貯めるという発想から離れ、同じくらいのお金を別の方法で手にいれることを考えた方がよいのではないでしょうか。

例えば投資などによって月5000円ずつでも利益が得られれば、それだけで一生懸命節約する効果を上回ることができます。

支出を抑えることは大切ですが、それだけではなかなか資産は増えません。支出を抑えつつ、同時に収入を増やすという視点を持つことが大事なのです。

話は少しそれますが、断捨離も同じです。

買わない、捨てる、減らすといったことに取り組むと、部屋の中がスッキリするだけでなく、気分もスッキリします。いらないものを売って現金が増えると、ますます「頑張った」という実感が湧きやすくなります。

私の知り合いの女性にも、着なくなった服などをネットオークションで売り、積極的に断捨離している人がいます。彼女は節約も大好きで、ムダ遣いをなくそうと一生懸命取り組んでいます。

ただ、お金は貯まっていません。

一度は洋服などを極限まで減らすのですが、デートや飲み会があると、また新しい洋服が必要になります。

「いつも節約しているから、たまには買ってもいい」といった心理が働き、結局買ってしまうのです。

また、金額の増減を振り返ってみると、節約とネットオークションで1万円手にする一方で、3万円の買い物をしていることもあります。

そういったちぐはぐな結果になってしまうのも、節約して貯めることに意識がとらわれてしまうからといえるでしょう。

ついでに書き加えておくと、インフレの社会では、物価も上昇します。そうなると、同じものを買い直すにしても、新たに買う方が高くなります。

それなら、オークションなどで安く手放さずに、そのまま置いておいたほうが結果として得かもしれません。無理に整理しようとすることが損をする選択になることもあるのです。

かつては仕事を増やして残業代を増やすという方法がありました。

しかし、いまはどの企業も残業を減らそうと取り組んでいます。

世の中全体が「働き方改革」でスマートに働くことを目指していますので、その方法は難しいといえるでしょう。

そういう状況を踏まえて「空いている時間に副業で稼ごう」と考える人もいるかもしれません。

最近は、大手企業でも副業を許可するケースが増えていますし、現状として消費タイムが長く、ダラダラと過ごしてしまっているのであれば、空いた時間でできる仕事を探してみるのもよいでしょう。

ただ、単純作業のアルバイトは、目先の収入にはなりますが、将来的な収入アップにはつながりません。時給ではなく、自分のスキルアップや成長を目指すという視点を持つことが大事です。

また、副業や自己投資としてどんなことをするかは、それぞれの仕事の内容などによって変わります。

資格取得を目指すにしても、サービス業の人と製造業の人とでは将来的な収入アップにつながる資格が異なります。

一方、株や投資信託など金融商品への投資は職種を問いません。

年齢も性別も関係なく、誰でもすぐに始められますし、始めた人にメリットをもたらしてくれます。

そこが投資のよいところの1つです。

消費タイムを仕事タイムに変えていく方法として、投資はもっとも身近な手段なのです。

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大槻奈那(おおつき・なな)
マネックス証券 チーフ・アナリスト兼マネックス・ユニバーシティ長。
東京大学卒、ロンドン・ビジネス・スクールでMBA取得。スタンダード&プアーズ、UBS、メリルリンチ等の金融機関でリサーチ業務に従事、 各種メディアのアナリスト・ランキングで高い評価を得てきた。2016年1月より、マネックス証券のチーフ・アナリストとして国内外の金融市場やマクロ環境等を分析する。現在、名古屋商科大学大学院教授、二松学舎大学国際政治経済学部の客員教授を兼務。東京都公金管理運用アドバイザリーボード委員、貯金保険機構運営委員、財政制度審議会分科会委員。ロンドン証券取引所アドバイザリーグループのメンバー。

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