(画像=Kaspars Grinvalds/shutterstock.com)

シンガポールの富裕層に学ぶ「お金への考え方」日本との明確な違いとは

シンガポールで見た日本の未来理想図(2)

この記事は花輪陽子氏の著書『少子高齢化でも老後不安ゼロ シンガポールで見た日本の未来理想図』(講談社+α新書)の内容を抜粋したものになります。

【『シンガポールで見た日本の未来理想図』シリーズ】
(1)あの大富豪にも街で会える?日本で会えない富裕層に会える国とは
(2)シンガポールの富裕層に学ぶ「お金への考え方」日本との明確な違いとは

※以下、書籍より抜粋

シンガポールリッチのマネー哲学

超富裕層の割合が香港に次いで高いシンガポール。

富裕層と知り合う機会も多いのですが、日本人とのマネー哲学の違いには驚かされます。

第一に、お金持ちは一般人と思考が違います。

『思考は現実化する』というナポレオン・ヒルの大ベストセラー本もありますが、思考はその人の行動を作り、行動の積み重ねは未来を決めていきます。

お金持ちが多い中華系シンガポーリアンは、自らが望むライフスタイルやビジネスの目標を明確に持っており、それを実現させるためには日々どのような行動が必要なのかを、よく理解しています。

また、彼らはお金が大好きです。

お金の話をすることで情報収集をしており、お金に対する執着も人一倍強いです。

日々せせこましい節約をするというよりは、条件のよい金融機関を探したり、交渉をしてよい条件を引き出したり、共働きや給与交渉をして、収入を上げたりする努力をしている人が多いです。

私は日本で数多くの家計簿診断をしてきましたが、日本人は「収入が増えないから」「子供が小さく、働けないから」「投資はリスクがあるから」という言い訳で、収入を上げたり、運用をしたりして利益を追求する努力をしている人が少ないと感じます。

日本では、お金の話をするのははしたない、強欲はよくないという考え方が浸透しています。

それは美しいことですが、情報共有をしないことは、外国では高値掴みをさせられてしまうことにもつながります。それに、自分が望まないものを手にすることは難しいことです。

自分自身が変わろうと強く望まない限り、お金持ちになることはできません。

なにせ、富裕層になるためには、今までのやり方を根本から変えなければならないのですから。

建国の父で長者番付にもランクインしていたリー・クアンユーは、1967年の東京の外国人記者クラブで次のようなスピーチをしました。

「持つ前に欲すること。そして、欲するには、何を欲しているのか知るための手段がまず必要です。

次に、近代経済の基盤となる産業資金など、欲しているものを獲得するには統制と組織化が必要です。

第三に、根性と持久力がいります」(『目覚めよ日本 リー・クアンユー21の提言』たちばな出版)

日本人の多くが、自分自身がどうなりたいのかというハッキリとした将来の方向性を見出せておらず、現状に甘んじているように感じます。

「収入はこれくらいで」「宝くじに当たったらいいな」「投資や起業なんてこわい」―しかし、宝くじで1等を当てる確率は交通事故に遭う確率よりも低いですし、リスクを取らずに、一般庶民が富裕層にのし上がることは難しいです。

まず、「なぜお金持ちになりたいのか」「どうしたらお金持ちになれるのか」を真剣に考える必要があります。

例えば、「自分の子供によりよい生活を与えてやりたい」という理由でもよいと思います。

次に、目標を実現させるシステム作りが必要です。

目標収入を設定し、会社員のままでは届きそうになければリスクをとって起業をしたり、投資をしたりするのも手でしょう。漠然とした願望をできるだけ、具体的に思い描き、実現可能なレベルに近づけていく必要があります。

私達日本人はいつまでも、過去の成功体験の上にあぐらをかいてはいられません。

新興アジア諸国のお金持ちを見習って強い願望、情熱を持ち、それを前に進むパワーに変えていかなければならないと、彼らを見ていると感じます。

●富裕層は「金融体脂肪率ゼロ」

お金持ちは、投資に対する考え方が違います。

長者番付上位に名を連ねる人物は、不動産や投資や事業で財をなした人がほとんどです。会社員として働き、貯金をし続けても、大富豪になることは難しいです。

ただし、会社員でも給料の大部分を株式にコツコツ投資をし続けて、50 代で2億円もの資産を作った人も身近にいます。

お金は寝かせておくだけではなく、将来価値が上がるものに投資をし続けていかなければ増えていきません。

シンガポーリアンの多くは持ち家を保有しており、国が経済成長をしていることもあり不動産価値も高いため、不動産が資産になります。

また、若い女性でも投資用の不動産を持ち、外国人向けに貸し出していることも多いです。

富裕層は、資産価値があるものしか買いません。

例えば、高級不動産、高級車、ロレックスなどの高級時計、エルメスのバッグなどは、上手く回せば、買った値段より高く売れる可能性も大いにあります。

最初に種銭さえあれば、使用したものであっても、買ったときもより高い値段で売却できることがあるのです。

ダイエットに例えるなら、富裕層は金融体脂肪率がゼロに近いと言えます。

低糖質ダイエットをしている人は糖質を極限に減らし、たんぱく質などの筋力になるものを摂取します。富裕層の場合、糖質であるラテマネー(カフェ代など日々何気なく出て行くお金)を極限にまで減らし、交際費や資産価値が増えるものだけにお金をかけるようにしています。

この生活を習慣化していて、自身の子供にも引き継ぐため、彼らはなるべくしてお金持ちになっているのです。

将来の年金も、自分自身で金融商品を選択して増やしていかなければ、老後生活もおぼつかないでしょう。そのため、リスクを取って投資をすることには、日本人以上に慣れています。

また、富裕層ほど子供の教育への投資が大きいことも特徴です。

なぜなら、どのような教育を受けてきたかという学歴によって将来の進路が決まり、エリートコースに乗れない場合はそこから逆転することが難しいからです。

日本では、大学受験や就職活動などで一発逆転もありえますが、海外のエリートコースにのせる場合は2ヵ国語以上の語学教育に加え、芸術活動や課外活動も評価対象となるため、幼少期から準備をしないと間に合わないこともあります。

そのため、投資収益率が高いと言われている幼児教育への投資が過熱しているのです。

多くの日本人も、足りない年金を確定拠出年金(401k)などで運用し、次世代のリーダーを作るため、人的投資をする必要があります。

●仲間と協力し上を目指す

お金持ちは、「信用」を何よりも大切にします。

海外では子供の学校やMBAの受験、ホテルのメンバーシップ制度への加入など、何かにつけて紹介状が必要です。

大物からの推薦を受けることができれば、一般人でもそのコミュニティに入れる可能性が高まり、世界が広がります。まるで、フランスの社交界の現代簡易版のようです。

シンガポールで生活をして痛感したことに、欧米社会(シンガポールも一応英国文化)では富裕層が得をするしくみになっているということがあります。

日本でも、デパートの外商サービス(上顧客に対して優待割引や駐車場無料などのサービスを提供)などがありますが、シンガポールの多くのお店もメンバーシップ制になっており、ランクに応じた特典(割引など)を受けることができます。ランクを上げるには、日頃からの関係性と金銭的な貢献が必要になります。

また、銀行でも預け入れ金額が多い優良顧客ほど手数料が低く、預け入れ金利の条件やサービスもよくなります。

庶民でも種銭を貯めて、優待を受けられるクラスになれれば、一般よりも安い価格でよいサービスを受けることができるのです。

日本では平等が望ましく、あからさまにランク別にしてサービスを分けることは少ないですが、対価に見合ったサービスを受けるのが世界の標準です。

そのほうが、庶民の上昇意識が高まるという利点もあります。

また、中華系の人々は、仲間で協力をしてより上のレベルを目指します。

それぞれが別のメンバーシップになって、友人同士で特典を共有するのも日常茶飯事です。ビジネスでも、お互いに助け合って上昇していこうとする民族です。

これに対して、日本は出世争いで他人を蹴落とす文化がある気がしてなりません。

日本でも、周りの人と一緒に成長をしていける文化をはぐくむ必要があるのではないでしょうか。

シンガポールの富裕層から学んだ哲学は、「まずは自分がどのような仕事をし、どのような生活を送っていたいのかビジョンをしっかりと描く」「理想と現実との差を埋める方法を考える」「自分の力で及ばない場合は周りの助けも借りる。そのために、日頃から人脈や信用を大切にする」ということです。

シンガポール, 富裕層 (画像=Webサイトより ※クリックするとAmazonに飛びます)

花輪陽子(はなわ・ようこ)
1級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)、CFP®認定者。1978年、三重県生まれ。青山学院大学国際政治経済学部卒業後、外資系投資銀行に入社。退職後、FPとして独立。2015年から生活の拠点をシンガポールに移し、東京とシンガポールでセミナー講師など幅広い活動を行う。『夫婦で貯める1億円!』(ダイヤモンド社)など著書多数。日本FP協会「くらしとお金の FP相談室」2011年度相談員。

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