(写真=PIXTA)

決算書は会社の「健康診断表」ーー買うべき株を見つけるポイントは?

『世界一やさしい株入門』(1)

この記事は岩本秀雄氏の著書『世界一やさしい株入門』(SBクリエイティブ)の内容を抜粋したものになります。

※以下、書籍より抜粋

いい株の見つけ方 まずは「業績」をチェックしよう

・いい株はどこで見分けるか?

株式投資で儲けるコツは「いい株」を買うことです。

では、いい株とはなにか?

いい株とは、利益をしっかりあげている会社の株、これからドンドン利益をあげそうな会社の株です。ですから、会社の業績をしっかりチェックすることは、株式投資の基本中の基本です。

業績がいい会社は、利益を増やしているものです。まずは会社の決算書で過去数年間の数字を見て、利益が増加傾向にあるのか、減少傾向なのかを判断しましょう。

・先行きを読もう

銘柄選びで次に大事なのは「先行き」です。会社側の見通しとして、今期に比べて「来期はもっと利益が増える」と見ているのかどうかを確認します。

利益が増えるならば配当金が増える可能性が高いですから、こうした会社の株を買っておけば、「株価上昇」に加えて「配当金増額」という”一石二鳥“を狙えるかもしれません。

逆に、利益が減っているなら、その会社の株価は上がりにくいと考えましょう。

新技術の開発や事業買収、不祥事など、業績以外のニュースで一時的に株価が動くこともあります。これらも結局は先行きの業績に関係してくるため、注目されます。「株価=業績」としっかり覚えておきましょう。

「EPS」でいい株を見つける 買うべき株はここでわかる!

・「EPS」とは?

いい株は、どうやって見分ければいいのでしょうか?

ここで押さえておきたいのが「EPS」という考え方です。

EPSは和訳すると「1株あたりの利益」で、その会社が1株あたりどれくらいの利益を上げているかを示します。これは会社が1年間に上げた純利益の額÷発行済み株式数で計算します。

・「EPS」を見ればいい会社かがわかる!

会社の「純利益」とは、人件費などの必要経費や法人税などの税金をすべて引いた後に会社に残る利益で、株主への配当金はこの純利益のなかから支払われます。

1株あたりの利益が高いということは、投資家が投資したお金が効率的に使われ、会社がしっかり利益を上げているということ。当然、お金を配当に回す余裕も生まれます。

逆にEPSが低ければ、会社があまり儲かっておらず、配当が減らされる心配が出てきます。

ゲーム機が好調な任天堂は2017年3月期のEPSが853円で、そこから株主に配当金を430円支払いました。これが投資家に好感され、株価はなんと4万円台(18年1月現在)という高水準です。

ユニクロをチェーン展開するファーストリテイリングも17年8月期のEPSが1100円を超し、そのうち350円を配当金として株主に支払いました。

「PER」でお買い得株を見つける お買い得株を探したいなら利益をチェック

・「PER」とは?

買い物の基本は、いい物を安く買うこと。これは株も同じです。

では、株価が安いか高いかは、どうやって見分ければいいのでしょうか?

EPSを使って、株価が割高か割安かを判断する指標があります。それが「PER」です。日本語では「株価収益率」といい、現在の株価は1株あたりの利益(EPS)の何倍にあたるのかを示します。これは現在の株価÷EPSで計算します。

・「PER」が低い方がお買い得

たとえば、ある会社のEPSが30円でいまの株価が600円なら、600÷ 30 でPERは20倍です。株価が400円に下がれば、400÷30でPERは13.3倍まで下がります。PERが低い方が割安なので、お買い得です。

まず、お目当ての会社とライバル会社のPERを比べてみるのがいいでしょう。たとえば通信会社のソフトバンクのPERが11倍、KDDIが12倍、NTTドコモが13倍だとしたら、PER上はソフトバンクがいちばんお買い得、ということになります。

また、その銘柄の過去のPER水準と比べる、という方法もあります。なんらかの事情で現在のPERが下がっていれば、「いまならお買い得」と判断できます。

「PBR」でお買い得株を見つける ライバル株と比較しておトク株を探す

・「PBR」とは?

PERに似ている指標に「PBR」があります。日本語では「株価純資産倍率」といいます。

PBRは、会社が持っている純資産(会社が事業をやめて解散したときに株主の取り分となる資産)から見て、株価が割安かどうかを判断するための指標で、現在の株価÷1株あたりの純資産で計算します。

PERは利益を基準にした指標でしたが、このPBRは純資産という会社が持っている財産をもとにして割安・割高を見る指標です。

たとえばPBRが1倍ということは、いまの株価と1株あたりの純資産が同じということです。

・「PBR」でその株のリスクがわかる

PBRが1倍のときにもし会社が解散すれば、理論的には株を買ったときのお金がそっくり戻ってくることになるので、株価がPBR1倍を割っているなら、リスクが少なく、安全・安心な株価水準といえるでしょう。

だからPBRは1倍を基準に、1倍以上なら株価は割高、1倍未満なら割安と考えます。これもPERと同じように、同業ライバルと比較したり、過去の水準と比べたりするといいと思います。

「配当金」でお買い得株を見つける 「利回り」がいいおトクな株を探すには?

・「配当利回り」とは?

配当金から見て、いまの株価が高いか安いかを示すのが「配当利回り」という指標です。

配当利回りは、配当金の額が株価の何%にあたるかを示し、1株あたりの配当金÷株価×100で計算します。現在の株価が500円で、1株あたりの配当が15円だとしたら、配当利回りは3%となります。

配当利回りは、高ければ高いほど株価は割安、逆に利回りが低いと株価は割高と判断できます。

つまり、配当金の額が同じ場合、株価が上がるほど配当利回りは低くなり、株価が下がるほど配当利回りは高くなりますから、株が下がったところで買えば、割安な投資になるわけです。

・配当利回りが高い会社はいい会社

2018年1月時点で配当利回りが高い銘柄は、日産自動車4.5%、SUBARU3.9%、日本郵政3.8%、キヤノン3.9%など。他にも、配当金を増やす企業は多くなっています。

一方、会社が稼いだ利益のうち、どれだけを配当金に回しているかを見るのが「配当性向」。株主への利益配分にどの程度積極的かを見る指標です。

計算式は、1株あたりの配当金÷1株あたりの利益(EPS)×100。1株あたりの利益が300円で、配当金が30円だとしたら、配当性向は10%。利益の10分の1しか株主に戻していないことになります。

「ROE」でいい株を見つける 社長の経営手腕をチェックしよう

・「ROE」とは

株価の割高、割安を判断する指標ではありませんが、最近注目されているものに「ROE」があります。

ROEは会社の収益性を判断する指標で、「株主資本利益率」(自己資本利益率)を意味します。株主から預かったお金を上手に使ってどれだけの利益を生み出しているか、という会社の「経営の上手さ」を測ることができます。

計算式は 当期純利益÷株主資本(純資産)×100。純利益が100億円、株主資本が2000億円なら、ROEは5%となります。

・IT系企業のROEは高い!

これは投資家のお金を、ちゃんと使っているか どうかを示すものなので、外国人投資家はROEを重要な投資基準と考えています。日本でも年金基金などの大口投資家が、ROEの高さを基準に投資銘柄を選別しているようです。

少ない元手でできるだけ大きな利益を上げる企業が高ROE企業。IT系企業のROEは高く、2016年度実績でソフトバンクは46%、スタートトゥデイが72%、ガンホーが43%、カカクコムが44%、などとなっています

危ない会社の見つけ方 危ない会社は決算書でチェック!

・決算書とは

  儲かる銘柄を探すときに絶対に見落とせないのが、会社の決算書です。決算書には会社の業績や収支状況、財務状況がすべて記されていますから、必ず読み方を覚えましょう!   決算書は大きく分けて、1.損益計算書、2.貸借対照表、3.キャッシュフロー計算書の3つから成り立ちます。

・損益計算書

その企業が1年間にどれだけ売り上げ、どれだけ経費がかかったか、利益はいくら残ったかなど、会社の「儲け」がわかります。

・貸借対照表

その企業がどのように事業資金を集め、どんな形でいくら保有しているかなど、会社が持つ「資産」がわかります。

・キャッシュフロー計算書

売上や経費だけでなく、銀行からいくら借りていくら返したかなど、「会社のお金の流れ、資金繰り」がわかります。

損益計算書で利益が赤字になっていたり、貸借対照表で負債が大きく膨らんでいたりするのは、会社経営がうまくいっていない証拠。株価も低迷することが多くなります。

会社の健全性を示す「健康診断書」として株を買う前に必ずチェックしましょう!

Webサイトより※クリックするとAmazonに飛びます

岩本秀雄(いわもと・ひでお)
株式会社ストックボイス副社長CCO。1951年東京都生まれ。中央大学法学部卒業。1975年証券記者となり、40年以上にわたり、証券、金融、上場企業に関する取材、報道、証券市場ウォッチャーとして市場の動向を見続ける。日本証券新聞取締役編集局長を経て現職。東京証券取引所アローススタジオからインターネットTVで株式市況を実況放送する『東京マーケットワイド』のメインキャスター。

この記事をシェアする

個性的な連載で「投資」を身近に

一つのテーマを深掘り、おすすめ特集