(写真=mTaira/Shutterstock.com)

いつ来てもおかしくない「大地震」今こそ地震保険をおさらいしよう

2019年1月1日、地震保険が再改定されます

2011年3月11日、茨城県水戸市にある保険代理店に勤務していた私は、今まで経験したことのない大きな揺れに見舞われました。

生活インフラが復旧し、地震保険の対応に追われる中で感じたお客様の戸惑いや不安、何よりも感謝の言葉は今でも忘れることはできません。

あれから7年経ちましたが、地震保険の付帯率は2016年度時点で全国平均62.1%となっています(日本損害保険協会より)。度重なる地震被害を経験している宮城県の付帯率86.4%との乖離はどこから生まれているのでしょうか。

ここでは地震保険を改めておさらいし、メリットや補償対象や金額などを分かりやすく見ていくことにしましょう。

地震保険は「生活を建て直すための費用」

地震保険, 改定 (写真=amata90/Shutterstock.com)

地震保険は「被災者の生活の安定に寄与すること」を目的とした法律により、政府と民間の損害保険会社が共同で運用しています。

そのため、支払われる保険金の使い方は限定されることはなく、生活を建て直すための目的に合った使い方(避難費用、住宅ローンの返済費、当面の生活費や教育費など)が認められています。

単体で加入することはできず、必ず火災保険と共に加入するかたちとなりますが、地震保険部分の保険料や支払われる保険金の額は、どの損害保険会社で契約しても変わりはありません。

また、過去の災害状況によって支払い総額が引き上げられるなど、法律によって後押しされた安心で公平な位置づけとなっています。

地震保険に入るメリット3つ

地震保険, 改定 (写真=sirtravelalot/Shutterstock.com)

大規模地震などで大きな損害を受けても、自力で生活が建て直せるだけの財力があれば問題ないですが、あまりそのような人は居ないのではないでしょうか。

ここでは地震保険に入っておくメリットを見ていきましょう。

1,地震による火災が発生したとき

1995年に発生した「阪神・淡路大震災」では、地震が原因で発生した火災によって被害が拡大したと言われています。

地震による火災は火災保険の支払い対象にならないため、地震保険に入っておくと安心です。

2,住宅が崩壊したとき

地震によって、住むことができないほどマイホームが損害を受けてしまっても、住宅ローンは残ります。

まして、建て替えをしていた場合には住宅ローンと建て替えローンの2つを支払い続けなくてはならなくなります。

建物に対する地震保険の保険金額は火災保険金額の50%(上限5000万円)となっており、全損でなければ100%は支払われませんが、家財に対する地震保険にも加入しておけば受け取れる保険金額を増やすこともできます。

3,マンションで速やかに修繕が必要だったとき

マンションの共用部分に関して管理組合が地震保険に加入していたとしても、修繕には住民間の合意が必要であったり、積立金が不足していたりと、復旧までに時間がかかることも考えられます。

そんなとき、専有部分に関しての地震保険金があれば、住み替えなども視野に入れながら、速やかに生活再建に踏み切ることができます。

地震保険で加入できる保険金額には制限がある!

地震保険, 改定 (写真=thodonal88/Shutterstock.com)

保険は、損害を100%カバーできるものと考えがちですが、生活再建を目的とした地震保険には保険金額に制限があります。

1.火災保険の契約金額30〜50%
 かつ
2.建物5000万円、家財1000万円まで

保険料は、そのリスクが引き起こされる可能性を統計処理して算出されるものですが、地震の発生率や損害の規模を事前に予測することは大変難しいのです。

そのため保険料という、自分の力で困難を乗り越えるための費用として負担できる金額にも限度があること、政府が法律という形で被災された方の生活を建て直すための一助として整備された前提から、保険金額の制限が設けられていると考えられます。

その一方で、損害保険会社によっては自社の料率により、残りの50%をまかなえる特約を付帯できるプランもありますので、それぞれの保険会社に確認してみてはいかがでしょうか。

地震保険の補償対象は?津波は含まれる?

地震保険, 改定 (写真=Smallcreative/Shutterstock.com)

それではここで、地震保険の補償対象となるもの・ならないものを見ていくことにしましょう。

【補償対象になるもの】
補償の対象は火災保険と同様に2種類あり、

・建物(住居のみに使用される建物および併用住宅)
・家財(自動車、1品30万円を超える貴金属・宝石などは除く)

となり、それぞれに火災保険の加入が条件です。また、津波を原因とする損害も、地震保険の補償対象です。

状況によって4区分で認定され、門・塀・物置・車庫などの付随建物も補償の対象となるので、これは次の段落で詳しく説明することにしましょう。

【補償対象にならないもの】
また、補償対象とならないものには、

・自動車
・店舗や事務所などの居住用でない建物とそこに収容されている動産
・高額な書画・骨董、通貨、証書など

例えば、自動車保険の「地震・噴火・津波危険車両全損時一時金特約」など、損害保険会社ごとに特約や専用の保険が用意されている場合があるので、確認しておくことが必要です。

地震保険の保険金支払いは損害の状況により4区分!

地震保険, 改定 (写真=SUNG YOON JO/Shutterstock.com)

2016年末以前に始期がある地震保険での損害区分は、「全損」「半損」「一部損」の3区分でした。

損害割合の差で保険金に大きな差が生まれてしまうことから、2017年1月の改定において半損の程度を2つに分けて細分化し、補償の充実がはかられました。

損害の状況は建物と家財それぞれに判断されます。

地震による被害状況と支払い保険金の区分は以下のようになっています。(支払い保険金の割合は契約金額に対する割合になります)

1.全損
支払保険金は100%(時価が限度)

[建物]
基礎・柱・壁・屋根など(以下、主要構造部)の損害額が、建物の時価額の50%以上
焼失・流失した部分の床面積が、建物の延床面積の70%以上
[家財]家財の損害額が、家財全体の時価額の80%以上

建物の基礎が傾いていたり通し柱にひびや割れがありすみ続けることが危険な場合は「全損」の判断がされていました。

2.大半損
支払い保険金は60%(時価の60%が限度)

[建物]
主要構造部の損害額が、建物の時価額の40%以上50%未満
焼失・流失した部分の床面積が、建物の延床面積の50%以上70%未満
[家財]家財の損害額が家財全体の時価額の60%以上80%未満

3.小半損
支払保険金は30%(時価の30%が限度)

[建物]
主要構造部の損害額が、建物の時価額の20%以上40%未満
焼失・流失した部分の床面積が、建物の延床面積の20%以上50%未満
[家財]家財の損害額が、家財全体の時価額の30%以上60%未満

家電製品や家具が複数倒れていた場合、その程度により「大半損」「小半損」の判断がされるようですので倒れた状態やついたキズなどの写真を撮っておくことが重要です。

4.一部損
支払保険金は5%(時価の5%が限度)

[建物]
主要構造部の損害額が、建物の時価額の3%以上20%**未満
床上浸水または地盤面から45㎝を超える浸水による損害
[家財]家財の損害額が、家財全体の時価額の10%以上30%未満

屋根の瓦が落ちたり壁にヒビが見られる状態、食器が割れた程度の場合には「一部損」と判断されるケースが多いようです。

上記のほか、津波や地盤の液状化により損害が生じた場合には、浸水の深さ、傾斜の角度、沈下の深さで損害区分の認定がされます。

地震発生後は、一刻も早く生活環境を整えようと倒れた家財や壊れた物の片付けに意識が向きがちです。

しかし、損害の判定が終了するまではまとめて取っておくことと、損害状況の詳細を写真に残しておくことを忘れないでください。

地震保険、保険料と支払い保険金シミュレーション!

地震保険, 改定 (写真=gan chaonan/Shutterstock.com)

地震保険の保険料は、住んでいる地域(都道府県)と建物の構造(主として鉄骨・コンクリートもしくは主として木造)によって決まり、1〜5年の期間で加入できます。

東京都に家族4人で住んでいる場合の目安は以下となります。

1.一戸建・持ち家
年間の保険料:92650円(火災:51770円・地震:40880円)

火災保険金額:建物1500万円・家財1000万円
地震保険金額:建物750万円・家財500万円
もし地震が起きて建物[小半損]、家財[大半損]の認定が出た場合、
525万円の地震保険金が支払われます。

2.マンション・持ち家
年間の保険料:20300円(火災:10150円・地震:10150円)

火災保険金額:建物1000万円・家財1000万円
地震保険金額:建物500万円・家財500万円
もし地震が起きて建物[小半損]、家財[大半損]の認定が出た場合、
450万円の地震保険金が支払われます。

3.マンション・賃貸
年間の保険料:17400円(火災:7250円・地震:10150円)

火災保険金額:家財1000万円
地震保険金額:家財500万円
もし地震が起きて家財[大半損]の認定が出た場合、
300万円の地震保険金が支払われます。

ただし賃貸住宅の場合、建物自体の火災保険・地震保険には建物の所有者が加入し、居住者の過失で建物に損害を与えた場合には、別途「借家人賠償責任補償」として現状復帰義務が契約条件に含まれているのが一般的です。 そのため、ここでは個人での火災保険加入は家財のみを対象として計算しています。

分譲マンションでは、管理組合などが共有部分について地震保険に加入しているかを確認し、土地代を除いた評価額を想定しておきましょう。

2019年は地震保険改定も

地震保険, 改定 (写真=Robert Kneschke/Shutterstock.com)

1966年の地震保険発足以降、その時々の状況に合わせて、さまざまな制度改定が行われてきました。

2019年1月にも、全国平均で3.8%の地震保険料率引き上げを伴う改定が行われることはご存じでしょうか?

割引制度の拡充や地震保険料控除の設定など、加入者にとってメリットの大きな改定もある一方で、地震リスクに伴う保険料の改定も余儀なくされています。

地震保険は条件によっては5年間の長期契約も可能ですので、年内に検討することで少しでも保険料を抑えられます。

また全労済(全国労働者共済生活協同組合連合会)やJA(農業協同組合)などが取り扱っている「火災共済」付帯の地震補償も視野に入れながら、生活再建の手助けとしてのリスク回避を検討してみるのも良いかも知れませんね。

この記事が地震保険についての理解を深めるきっかけになればと思っています。

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