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離婚・再婚時に悩む子供の名字。戸籍の仕組みを知っておこう

初婚・離婚・再婚のケースごとに解説します

子供を持つ女性が離婚や再婚をするときに悩む問題の一つが、「子供の名をどうするか」ということでしょう。

厚生労働省発表の2016年度「婚姻に関する統計」によると、夫婦両方もしくは片方が再婚のカップルは、2015年度で17万181組、全婚姻カップルの26.8%にも上ります。

それだけ、自分や子供の名字の変更に直面する機会は多くなっています。けれども、名字変更のルールについて考えると、なんだか複雑そうだし実はあまりよく分かっていない……という方も多いのではないでしょうか。

結婚・離婚で戸籍と名字が変わる仕組みを解きほぐし、整理してみましょう。

戸籍と名字の3大原則

子供, 名字, 変わる, 離婚, 再婚 (写真=KonstantinChristian/Shutterstock.com)

結婚や離婚に伴う戸籍と名字の変更を理解するとき、押さえておくべき3つの原則があります。

①戸籍と名字(※)が変わる時、親と子の変更は連動しない
②1つの戸籍は夫婦と未婚の子から成る
③同じ戸籍に入る者は戸籍筆頭者の名字に統一する

※法律では名字・姓を「氏(うじ)」と表しますが、本記事では「名字」と統一して表記しています。

この3原則は、結婚・離婚・再婚で戸籍と名字が変わる際には常にかかわってきますから、覚えておきましょう。

戸籍について知ろう

子供, 名字, 変わる, 離婚, 再婚 (写真=PIXTA)

まずは戸籍の変更について、初婚・離婚・再婚のケース別に見ていきます。

・初婚時:2人の戸籍を作る

結婚する前、ほとんどの人は親の戸籍に入っているはずです。結婚をする際には、夫婦は新しい戸籍を作るよう戸籍法で定められています。そのため結婚するカップルは、婚姻届を出す際に親の戸籍を抜け、自分たちの新しい戸籍を作ります。戸籍の本籍地はどこに置いてもかまいません。

明治時代の旧民法では、戸籍は戸主とその家族で構成されており、結婚によって妻になる女性が、夫の属する戸籍に入る仕組みでした。その名残で、現在も結婚することを「入籍」と呼ぶ習慣が残っていますが、現在では2人の戸籍を新しく作ります。また、「婚家に入る」わけでもないため、「入籍」という表現は実は誤りなのです。

・離婚時:離婚後の戸籍は2つから選べる

離婚すると、別れた夫と妻は戸籍を分けることになります。婚姻中の戸籍の筆頭者はそのまま戸籍に残りますが、そうでないほうは戸籍から出ます。こうして戸籍を抜けることを「除籍」と言います。除籍となったほうは、原則として結婚前の戸籍、つまり自分の親の戸籍に戻ることになります。

ただし、結婚前の戸籍に戻らず、新しい戸籍を作ることもできます。特に、子供を引き取って自分と同じ戸籍に入れたい場合は、新しい戸籍を作らなくてはなりません。②の原則により、祖父母と孫は1つの戸籍に入れないため、自分と子供の独立した戸籍を作る必要があるのです。これについては後で詳しく説明します。

・再婚時:基本は初婚時と同じ

再婚する場合は、初婚と同じく夫婦で新しい戸籍を作ります。ただし、この時点で2人とも自分が筆頭者の戸籍を持っているケースでは、夫もしくは妻となる人の戸籍にもう一方が入ることもできます。

再婚時、どちらかに同一戸籍の子供がいる場合は、原則①に注意する必要があります。戸籍の移動は親子で連動していないので、再婚によって親が新しい戸籍に移っても、自動的に子供も新しい戸籍に移動されることはありません。

名字について知ろう

子供, 名字, 変わる, 離婚, 再婚 (写真=Soloviova Liudmyla/Shutterstock.com)

次に、名字の変更について見ていきましょう。

・初婚時:夫と妻のどちらの名字を名乗るか決める

原則③により、1つの戸籍に入るには名字を統一する必要があります。選べるのは夫もしくは妻の名字のどちらかで、新しい第3の名字で戸籍を作ることはできません。婚姻届に、今後どちらの名字を名乗るかチェックする欄がありますが、選んだ名字の人が戸籍の筆頭者になります。

・離婚時:婚姻前の名字に戻すかどうかを決める

離婚して戸籍を分けると、除籍となったほうは婚姻前の名字に戻すか、婚姻時の名字を名乗り続けるかを選ぶことができます。これを「婚氏続称」と言い、「離婚の際に称していた氏を称する届」を市区町村役場に提出することで可能になります。

婚氏続称を選ぶケースで多いのは、子供の名字を変えたくない、または、子供と同じ名字を名乗りたいと、除籍側の親が望んだ場合です。例えば、離婚によって除籍となった元妻が子供を引き取るとします。原則①により、親子の戸籍と名字は連動しないため、何もしなければ子供の名字はそのまま変わらず、除籍後の自分の名字とは異なることになります。

婚氏続称の届出期間は、離婚した日の翌日から3カ月以内。離婚届と同時提出でも構いません。届出をしないまま3カ月を過ぎてしまうと、家庭裁判所の許可を得て「氏の変更届」を出すというステップが必要になります。また、婚氏続称をしていた人が、事情により婚姻前の名字に戻すときも「氏の変更届」が必要です。

・再婚時:夫妻どちらの名字を名乗るか決める

再婚時も、夫となる人と妻となる人が1つの戸籍に入ります。原則③により、同じ戸籍に入るには名字が同じでなくてはなりませんから、ここでまた、子供の名字問題が浮上します。

子供を持つ親が再婚したとき、自分の名字を選択するなら問題は生じません。では、相手の名字を名乗ることにしたらどうなるでしょう。すると、原則①親の名字と子の名字は連動しませんから、再婚によっても「親子で名字が違う」問題が発生するのです。

子供の戸籍と名字について知ろう

子供, 名字, 変わる, 離婚, 再婚 (写真=Africa Studio/Shutterstock.com)

ここまで、主に親の立場で戸籍と名字の関係を見てきました。今度は子供にフォーカスしてみましょう。

・離婚時:子供の戸籍と名字を変更したいときは?

仮に、母が除籍し、子供は母に引き取られることになったとします。この時点で、原則①「子供の戸籍や名字は親の除籍や戸籍移動と連動しません」から、子は父親の戸籍に入ったままで、名字も父親と同じです。

ここで、子を母の戸籍に入れたい場合は、「子の氏の変更許可の申立て」をしたうえで「入籍届」を提出する必要があります。これは、「同じ戸籍に入るには名字を同じにする必要がある」という原則③があるからですね。

「子の氏の変更許可」は、家庭裁判所に申し立てをして許可を得ます。名字の変更が許可されると、その旨を記載した審判書謄本が出されますので、入籍届と合わせて市区町村役場に提出します。これで晴れて、子供を母の戸籍に入れることができます。

子供の名字を変えたくないからと婚氏続称を選んだ場合でも、同一戸籍に入れるには「子の氏の変更許可」の申立手続きをしなければなりません。それは例えば、名字が同じ「佐藤」であっても必要です。「民法上の氏(名字)」は異なる、つまり、「あちらの戸籍の佐藤とこちらの戸籍の佐藤は別の佐藤」というわけですね。

・再婚時:子供の戸籍と名字を変更したいときは?

では、再婚して妻が夫の戸籍に入る際に、その妻(母)と同じ戸籍に入っている子供の戸籍と名字を変更するケースを見ていきましょう。

子供を新しい夫の戸籍に入れ、名字も夫や自分と同じくするには、離婚時と同様に「子の氏の変更許可の申立て」と「入籍」の手続きを取る必要があります。

例によって、子供の戸籍と名字は母の戸籍移動に連動しません(原則①)。そのまま何の手続きも取らなければ、子供は母の戸籍に残り、再婚前の母の名字を名乗り続けることになります。子供の戸籍の筆頭者である母が除籍して、戸籍に子供だけが残っている状態です。もし、母が婚氏続称を取っていたら、子供は別居する父親(前夫)の名字のままということになります。

ベストな道を探るために注意しておきたいこと

子供, 名字, 変わる, 離婚, 再婚 (写真=Yuganov Konstantin/Shutterstock.com)

子供の名字については、法的な観点に加えて心情的な問題も絡むもの。親と子の双方にとってベストな道を探すために、さまざまな視点から検討する必要があります。

・子供のストレスを考える

離婚・再婚、そして子供の名字問題。どうしたら子供の気持ちを傷つけずに対処できるか、親としては心を悩ます問題だと思います。

法律上、母と子の戸籍や名字が違うこともあり得ますし、母の再婚後に子供だけが以前の戸籍のまま、名字を変えずにいても構わないわけですが、複雑な事情から子供がストレスを抱えてしまう状況になる可能性も否めません。

2013年に「家事事件手続法」が施行され、離婚の際に子供が影響を受ける事項については、「子供の意思を把握するように努め,これを考慮しなければならない」と規定されました。子供自身の意思を尊重する選択がなされるようになってきています。子供も、親の離婚・再婚の当事者なのです。

離婚・再婚のタイミングで子供の名字を変えなくても、進学のタイミングなど、時期を見て名字を変えたり戸籍を移したりすることもできます。まずは子供とじっくり話し合って、後にしこりや嫌な思い出を残さないように、納得のいく道を探すことが大事です。

・養子縁組と養育費、相続の関係

再婚時に妻とその子供が共に夫の戸籍に入り名字を変えても、新しい夫と子供の間に法律上の親子関係は成立しません。親子関係を結びたいのなら、「養子縁組」をする必要があります。

未成年者の養子縁組には家庭裁判所の許可が必要ですが、再婚相手の子を養子にする場合は、市区町村に養子縁組を届け出るだけで事足ります。この場合、再婚相手の同意を得ず勝手に養子縁組をしてはいけませんが、再婚相手が子供の親権者であれば、再婚相手の元配偶者、つまり子供の実父や実母の同意はいりません。

届出には20歳以上の証人2名の署名・押印が必要です。また、養子となる子供が15歳未満の場合は、子供の法定代理人(この場合は親権を持つ親)が届出人となり、手続きを行います。

養子縁組が済めば、子供に対する扶養義務は第一次的には養親が負うことになりますが、実親の扶養義務がなくなるわけではありません。実親から養育費が支払われている場合、元妻(元夫)の再婚によって支払わなくてもよくなるわけではないのです。

ただし、状況変化に従って、負担の割合は協議し直すべきでしょう。また、実父実母と子供の親子関係が消滅しているわけではないので、実親、養親のどちらが死亡した場合でも、子供は法定相続人になります。

自分と子供、納得のいく選択を

子供, 名字, 変わる, 離婚, 再婚 (写真=Soloviova Liudmyla/Shutterstock.com)

子供の戸籍と名字が決まる仕組みは、親側の変化に従って子の側も変化する、というものではないため、手続きしなければならないことが多く、悩ましいものです。

ですが、連動しないということは、親の事情と子供の名字を区別して考えられるということ。親の名字変更に従うよう子供に強いなくてもよいということです。逆に言うと、戸籍や名字に関しては、子供の気持ちを汲んで再婚を諦めるという選択をしなくてもよいわけですから、進む道が制限されないということではないでしょうか。

親も子供もつらい思いをしたり葛藤を抱えたりしないですむように、お互いに納得できるやり方を模索してもらえたらいいなと筆者は思います。

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