(写真=jeandum/Shutterstock.com)

なぜ、年金の受給を66歳以降に遅らせる人は1%しかいないのか?

年金を受け取る年齢は、普通なら65歳からですが、手続きをすれば60歳から70歳までの間で選ぶこともできます。受け取り年齢を遅くすればその分月々の年金額は増えるのですが、それでも66歳以降に先送りしている人は、厚生労働省年金局の「平成28年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によるとわずか1.3%しかいません。その理由は何でしょうか?

年金の繰下げ受給を知らない?

60歳以上64歳以下で年金を受け取り始めることを繰上げ受給、66歳以降70歳以下で受け取ることを繰下げ受給と言い、どちらも生涯年金を受け取ることができますが、繰上げ受給をすると月々の年金は減額され、繰下げ受給では増額されます。

繰下げ受給をする人が少ないのは、制度自体を知らないからと言われることもありますが、実は繰上げ受給をしている人は12.9%います。

繰上げ受給は知っているけれど繰下げ受給は知らない、という人が多いとは考えられないので、やはり繰下げ受給は人気がないのでしょうか。

あえて繰下げ受給をするメリットがない?

繰下げ受給を選ぶ人が少ないのは、やはり「65歳以降の生活費が不安」と「長生きしないと損をする」という恐れが主な原因だと考えられます。

70歳ぎりぎりまで受給開始を先送りした場合、月々の年金額は42%もアップします。この場合ですと、82歳よりも長生きすれば、普通に65歳から受け取った人よりも生涯多く年金をもらえます。

しかし、70歳までに万が一のことがあると、そもそも年金をもらえませんし、82歳まで生きないと元が取れないのであれば、あえて繰下げ受給をしなくてもいいと考えるのが実際のところでしょう。

今後利用者が増える可能性もある

ただし、日本人の平均寿命はずっと伸び続けていますので、今後、「70歳までは働くから、年金も70歳からでいい」と考える人が増えていくことも十分予想できます。

実際、基礎年金のみの新規受給者に限定してみると、繰下げ受給を選んだ人の割合は、2012年度は1.2%でしたが、2016年度では2.7%と、わずか4年で2倍以上に増えています。

人生100年時代。年金を受け取る時期を変えることで、年金額を増減できるということは、ぜひ知っておきたいお金の知識です。

文・松岡紀史(ライツワードFP事務所代表・ファイナンシャルプランナー)

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