(写真=k.nopparat/Shutterstock.com)

伊調馨選手は認定されたけど…職場のパワハラ境界線とは?

日本レスリング女子で五輪4連覇を果たした伊調馨選手へのパワーハラスメント(パワハラ)が認定され、ニュースとなりました。

弁護士である筆者も「上司から仕事での失敗を理由に、他の同僚たちがいる前で激しく叱責(しっせき)された」といった相談を伺うことがありますが、どの程度のラインを越えると問題といえるのでしょうか?

今回はパワハラの境界線について、詳しく見ていきましょう。

そもそもパワハラとは?

職場でのパワハラについては、厚生労働省のワーキング・グループの報告で「同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与えるまたは職場環境を悪化させる行為をいう」と定義されています。

この定義から明らかなように、パワハラは上司から部下に対してだけでなく、逆に部下から上司に対してされた場合や同僚同士でも当てはまります。

パワハラの主な類型は6つある

パワハラには主に以下の6つの類型があります。

  1. 身体的な攻撃(暴行・傷害など)
  2. 精神的な攻撃(脅迫、名誉毀損(きそん)、ひどい暴言など)
  3. 人間関係からの切り離し(仲間外し・無視など)
  4. 過大な要求(業務上明らかに不要なこと・遂行不可能なことなどの強制)
  5. 過小な要求(業務上の合理性なく、能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じるなど)
  6. 個の侵害(私的なことに過度に立ち入ること)

「業務の適正な範囲」が難しい

このうち、特に4から6は、何が「業務の適正な範囲」かの判断が難しいところです。例えば、医療機関では、患者の生命・健康を預かることから、被害者にとっては厳しく感じられることでも「業務の適正な範囲」と判断された裁判例もあります。

もし「これってパワハラ?」と気になるようでしたら、勤め先の相談窓口や都道府県の労働局の総合労働相談コーナーなどに相談をしてみることをおすすめします。

文・片島由賀(弁護士・勁草法律事務所)

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