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生前贈与のポイントは?非課税枠を使う5つの方法

「将来、父または母が亡くなって遺産を受け継ぐと、私にかかってくる相続税はいくらになるのだろうか」

「その場合、税金による負担を減らす方法はないだろうか」

両親の年齢が70歳代、80歳代になってくると、相続について考え始める人も多いのではないでしょうか。

近年、相続税の節税対策として、生きているうちに財産を譲る「生存贈与」という方法が注目されています。今回は、どなたでもできる生前贈与の活用についてご紹介します。

贈与税と相続税の違い

生前贈与, 非課税枠 (写真=eelnosiva/Shutterstock.com)

相続税法には、相続税と贈与税の2つの税区分があります。

相続税は財産を譲る者が亡くなったときに財産を受け継ぐ者にかかる税金、贈与税は財産を譲る者が生きているうちに財産を受け継ぐ者にかかる税金です。

贈与税は相続税の補完であるため、相続税よりも税額が高くなるように設定されています。

生前贈与における2つの課税方法

生前贈与, 非課税枠 (写真=Evgeniia Bezuglova/Shutterstock.com)

生前贈与で活用される主な方法として、暦年贈与、相続時精算課税制度という2つの課税方法があります。

暦年贈与とは?

暦年贈与(一般贈与)の特徴は、毎年110万円までであれば、税金がかからない「非課税枠」があることです。

財産を譲る人と財産を受け継ぐ人に年齢の制限や、子・孫でなくてはいけないというような条件はありません。

相続時精算課税制度とは?

一方、相続時精算課税制度は、非課税枠が累計で2,500万円であることが特徴です。

暦年贈与と異なるのは、財産を譲る人は60歳以上の父母・祖父母であること、財産を受け継ぐ人は20歳以上の子・孫であるという条件があることです。

生前贈与のときは2,500万円まで贈与税がかかりませんが、相続のときに贈与額と相続額を足した額に相続税がかかります。

相続時精算課税制度を利用するためは事前の申告が必要です。

暦年贈与と相続税精算課税制度の税率と計算方法

生前贈与, 非課税枠 (写真=Purino/Shutterstock.com)

ここで、暦年贈与と相続時精算課税制度の税率と計算方法について説明します。

暦年贈与の計算方法

暦年贈与の税率には、110万円を超えた課税額に応じて10~55%の8段階があります。課税額が200万円以下である場合は税率10%です。

例えば、年間150万円の贈与を受けた場合、課税額は贈与額150万円−基礎控除110万円=40万円です。

課税額が200万円以下であるため、納める税金は40万円×10%=4万円となります。

相続時精算課税制度の計算方法

相続時精算課税制度では、2,500万円を控除した後の金額に一律20%の税率がかかります。

例えば、3,500万円の贈与を受けた場合、課税価額は贈与額3,500万円−基礎控除2,500万円=1,000万円です。

2,500万円を超えた額は一律20%なので、納める税金は1,000万円×20%=200万円となります。

暦年贈与と相続時精算課税制度のメリット・デメリット

生前贈与, 非課税枠 (写真=Yuganov Konstantin/Shutterstock.com)

次に、暦年贈与、相続時精算課税制度、それぞれのメリットとデメリットをあげます。

暦年贈与のメリット

年毎に長期にわたって財産を受ける場合は節税効果が大きい
贈与する側、される側どちらにも年齢や親族等の条件がないので、誰にでも譲ることができる

暦年贈与のデメリット

非課税枠は110万円で相続時精算課税制度よりも小さいうえ、課税額に応じて税率が高くなる
相続開始から3年以内に行われた生前贈与は無効となり、その分の相続税がかかる

相続時精算課税制度のメリット

生前に多額の財産を一括で贈与でき(2,500万円まで無税)、税率は20%と一定である
土地や有価証券等、将来値上がりする可能性がある財産がある場合、早めに贈与すると節税できる

相続時精算課税制度のデメリット

相続時精算課税制度を選択すると、同じ贈与者からの贈与について途中で暦年贈与に変更できない
相続時精算課税制度によって加算した土地は、節税効果がある小規模宅地等の特例が使えない

この2つの制度がわかると、自分はどちらの方法を選択したらよいのだろうかという悩みが出てきますよね。

相続税が多額になる場合は、暦年課税を選択すると良いでしょう。また、相続税が多くかからず年間110万円を超える贈与を受ける場合は、相続時精算課税制度を申告すると良いでしょう。

生前贈与で使える5つの非課税枠

生前贈与, 非課税枠 (写真=Mizin Roman/Shutterstock.com)

生前贈与を活用するメリットは、非課税枠があることです。生前贈与で使える主なものとして、5つの非課税枠があります。

①暦年贈与、②相続時精算課税、③住宅取得等資金、④教育資金の一括贈与、⑤贈与税の配偶者控除

①と②については上記で紹介しましたので、③④⑤について紹介します。

住宅取得等資金とは?

住宅用の家屋の新築・増改築の資金として、父母・祖父母等、直系尊属から贈与された資金のうち、1,200万円までは非課税となります(適用期間:2015年1月1日~2021年12月31日)。

教育資金の一括贈与とは?

父母・祖父母等、直系尊属が子供・孫・ひ孫への教育費を一括贈与した場合、1,500万円まで非課税となります(適用期間:2014年4月1日~2019年3月31日)。

贈与税の配偶者控除とは?

贈与税の配偶者控除とは、夫婦の間で贈与された財産が、自分が住むための国内の居住用不動産またはその購入資金であった場合、基礎控除110万円のほかに最高2,000万円まで控除ができる(非課税になる)特例のことです。

条件は婚姻期間が20年以上であること。さらに、贈与を受けた年の翌年3月15日までに、その不動産に贈与を受けた人が住んでおり、その後も引き続き住む見込みであることが適用要件となっています。

両親が元気なうちに考えよう

生前贈与, 非課税枠 (写真=littlenySTOCK/Shutterstock.com)

財産を譲る人が認知症を発症すると、認知症の程度によっては生前贈与の活用が難しくなります。ご両親が健在なうちに、将来のことについて考えることをおすすめします。

文・和田純子(中小企業診断士)

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