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産休・育休中の税金・保険。免除されるのはどれ?

子どもを産む前に押さえておきたいお金のこと

近年、仕事を持ってキャリアを積む女性が増えてきましたが、働く多くの女性にとって悩ましいのが「妊娠・出産・育児」の問題です。

幸いにも、日本には産休・育休制度に加え、その間の税金等が免除される制度があり、助かる部分もありますが、だからこそ、制度の中身を詳しく知っておきたいものです。

そこで今回は、産休・育休中の税金や保険を中心に、出産・育児のお金事情を詳しくお伝えします。

産休・育休の概要をおさらいしておこう

育休,税金 (写真=George Rudy/Shutterstock.com)

本題に入る前に、まずは軽く産休・育休制度のおさらいです。

・産前休業と産後休業とは

まず、妊娠して出産予定日の6週間前になったら「産前休業」を、出産後8週間は「産後休業」を取ることができます。このうち産前休業は本人の希望次第ですが、産後休業は強制です。

そして、一般的にはこの休業中にお給料は出ませんが、代わりにお給料の2/3程度の「出産手当金」をもらうことができます。また、出産したら「出産育児一時金」として42万円が受給できますが、こちらは出産費用の補てん金ですので、余ったらラッキー程度のお金と見ておきましょう。

・育児休業とは

さらに、産休が明けた後は本人の希望で「育児休業(=育休)」に突入します。育休はもともと、子どもが1歳になるまでの期間に適用される制度でしたが、今では最長2歳まで取得することが可能です。この間に保育園など子どもの預け先を探し出し、社会復帰を果たしましょう。

ちなみに、産休同様に育休中もほとんどの場合はお給料がもらえません。その代わりとなるのが「育児休業給付金」です。いくらもらえるのかといえば、育児休業開始後の約半年間(180日目まで)はお給料の67%、それ以後は50%です。

・産休・育休制度は会社次第!?

ただ、この産休・育休制度で定められている細かい部分は「会社による」ところが大きいのです。制度を活用するには、まず会社にしっかりと確認をすることが重要です。もしかしたら、妊婦や働くママへの支援につながる制度がいつのまにか制定されていた……なんてこともあるかもしれません。

同時に、産休や育休を考える女性は、つい「諸制度や自助努力だけ」でなんとかしようと考えがちです。

しかし、ときにそれでは不足することもありますから、例えば、親ごさんや兄弟姉妹など、直接的・間接的に助けてくれる人の存在も忘れず、事前に支援を頼んでおくことも重要といえます。

困ったときはお互い様の精神で、このようなときぐらいは誰かに頼りましょう。

産休・育休中の税金、保険料は免除される?

育休,税金 (写真=KUMOHD/Shutterstock.com)

前述のとおり、産休・育休中は基本的にお給料の支給はありません。産休・育休中も通常通りのお給料がもらえる会社もありますが、ごくまれなケースですので、期待しないほうが賢明でしょう。

それだけに、その間の税金や保険料の支払いが気になる方も多いのではないでしょうか。

実は、産休・育休中は税金や保険料の大部分が優遇され、免除されることになっているのです。次の章から詳しくお伝えします。

・免除されるもの:所得税、各種社会保険

先ほども触れたとおり、産休・育休中はお給料の代わりとなる「出産手当金」「出産育児一時金」「育児休業給付金」を受け取ることができます。そして、うれしいことにこれらのお金はすべて「非課税所得」です。つまり、税金がかからないお金です。

ざっくりといえば、産休・育休中は所得税が免除されるともいえます。

ただし、産休・育休中も通常通りにお給料がもらえる会社にお勤めの場合は、それまでどおりに所得税がかかりますので注意が必要です。

もう一つうれしいことに、産休・育休中は社会保険料が全額免除されます。具体的には健康保険料、厚生年金保険料で、免除とは「支払わなくても支払ったことになる」という意味ですので、安心して制度を利用してください。ちなみに、雇用保険料は賃金が発生していなければ保険料もかかりません。

給与明細を見ていれば気付くと思いますが、所得税や各種の社会保険料は決して安くありません。それらが全額免除されますので、実際に産休・育休中に手にできる額は、普段のお給料と比べてそれほど変わらないと感じられるかもしれませんね。

ひとまず実際に産休・育休に入る前に、どの程度のお金を手にできるのか、一度計算してみると安心につながるでしょう。

ただし、産休・育休はいつまでも取れる制度ではありませんし、最近の保活(子どもを入れる保育園を探す活動)は困難を極めているのが実情です。

子どものため、夫のため、ひいてはあなた自身のために、できるだけ早くから保活を始めましょう。

・免除されないもの:住民税

もっとも注意しておくべきポイントにがこの点です。産休・育休中であっても「住民税」だけは免除されません。住民税は前年の住民税を翌年に支払うという形式なので、前年に給与収入があれば、これだけは産休・育休中でも支払う必要があるのです。

そして、普段なら住民税はお給料から天引きされてきたはずですが、産休・育休中はそのお給料がありませんから、自分で支払うことになるわけです。

支払い方は、産休・育休でお給料がもらえない間は役所から納付書が送られてきますから、この納付書を使って自分で直接納付します。この支払い方を「普通徴収」と言い、普通徴収の場合は、お給料からの天引きのように毎月支払うのではなく、おおよそ1年分を4回に分けて支払います(※自治体によって違う場合もあります)。

つまり、お給料から天引きの感覚だと「3カ月分をまとめて支払う」ことになるわけですね。それを知らず、納付書に書かれた納めるべき金額にドキッとする方も多いようです。お金の準備とともに、ココロの準備もしっかりしておきましょう。

なお、住民税の支払い方法は普通徴収がもっとも多いとされていますが、違った納付方法を採ることができる場合もあります。具体的には、会社があらかじめ産休・育休中の住民税額を計算して、事前に天引きしておくような前払い方式です。あるいは、産休・育休中の住民税を会社が一旦肩代わりしてくれて、復帰後にお給料からの天引きで返すとしている会社もあります。

いずれにしても、産休・育休の取り扱いは会社によりますので、取得する前にしっかり確認しておくことが重要です。

住民税は減免措置・徴収猶予が受けられる?

育休,税金 (写真=MR. KHATAWUT/Shutterstock.com)

・住民税の減免措置とは

産休・育休中も支払わなければならない住民税ですが、実は「減免措置」を設けている自治体もあるのです。減免措置があり、あなたがその対象であれば、産休・育休中の住民税も所得税などと同様に、最高で全額免除してもらえるかもしれません。

住民税の減免措置を受けるための要件の一つが、「所得が前年度に比べて半分以下になった、もしくはそうなる見込みである」こと。また、その前年度所得にも200万~300万円以下といった制限が定められていますから、こうして見ると減免の条件は厳しめといえますね。

しかし、全額免除のほかにも半額免除と3割免除があり、所得制限額自体も自治体によって異なります。まずは自治体に問い合わせてみるといいでしょう。

ただし、この年収要件を満たしていたとしても「産休・育休は対象外」としている自治体もあります。その場合は、そもそも住民税は支払うのが基本となるお金。きちんと納めることにしましょう。

・住民税の徴収猶予とは

減免措置が受けられなくても、まだ、徴収猶予が受けられる可能性は残っています。こちらも申請してみないと分かりませんが、もし申請が通れば、育児休業期間中の1年以内に限り、住民税の支払いが猶予してもらえます。

とはいえ、こちらはあくまで猶予ですから、支払わなくてもいいわけではなく、職場復帰後に延滞金とともに納付することになります。この延滞金は、場合によっては全額または半額免除してもらえることもありますので、支払いが難しい状況であれば、役所に相談してみてください。

産休・育休による税金控除を活用しよう

育休,税金 (写真=yougoigo/Shutterstock.com)

共働き世帯では夫婦共に十分な年収があることも多いため、つい忘れてしまいがちですが、産休・育休中に限り、共働きでも妻は夫の(税金上の)扶養に入ることができます。

扶養に入れば、夫は税金控除の中の「配偶者控除」や「配偶者特別控除」が使えるようになるため、世帯として節税できますね。

実際の節税額は、おおよそ1年間で5万円程度になることが多く、実際のところそれほど大きな金額ではないかもしれません。けれども、せっかく産休・育休を取るのなら、使える制度は最大限にフル活用することを意識しておきたいところ。

特に近年は、一度産休や育休を取得すると、子どもを預ける保育園がなかなか見つからず、休暇期間が長引く傾向にあります。そして長引けば、それだけこの節税効果も大きくなるわけですから、そういう意味でも活用しておきたい方法です。

なお、夫の(税金上の)扶養に入ったとしても、健康保険についてはまた別で、健康保険はそのままで問題ありません。ちょっとややこしい部分なのですが、税金上の扶養と健康保険上の扶養は別物だと覚えておきましょう。

この方法は、産休・育休中も通常どおりにお給料がもらえる場合には活用できません。幸か不幸か、そういう会社はかなり限定的ですから、覚えておいて損はありません。出産後は何かと物入りになるもの。少しでも世帯年収を上げておきましょう。

基本は非課税。住民税だけ要注意

育休,税金 (写真=Yuganov Konstantin/Shutterstock.com)

産休・育休を通してもらえるお金は「出産手当金」「出産育児一時金」「育児休業給付金」の3つ。

これらはすべて「非課税所得」ですから、産休・育休中に所得税がかかることはまずありません。また、社会保険料も全額免除されます。

唯一、住民税にだけは注意が必要ですが、事情によっては減免措置や徴収猶予をしてもらえる可能性もあります。

ひとまず、産休・育休を取るなら税金控除のために夫の扶養に入ることも含めて、少しでも有利な産休・育休を目指しましょう。

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