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安心して仕事を休むために、産休中のお給料・税金・社会保険料について知っておこう

産休にまつわる制度をリサーチして安心な出産を

晴れて結婚した方が次に気にする問題の一つに「子ども」「出産」が挙げられます。最近では、結婚相手の年収をあまり頼りにできず、妊娠や出産をためらう女性もいるようです。

そこで今回は、そんな女性を助けるための「産休制度」について、改めてさまざまな角度からお伝えします。あなたの妊娠・出産にお役立てください。

☆目次

  • そもそも産休とは?
  • 産休中のお給料はどうなる?
  • 産休中の税金はどうなる?
  • 産休中の社会保険料はどうなる?
  • 産休中にもらえる「出産手当金」とは?
  • 子どもが生まれたらもらえる「出産育児一時金」とは?
  • 働き方による違い・注意点
  • 出産・育児にかかわる制度は拡充の一途!

そもそも産休とは?

産休, 税金, 社会保険料 (写真=Kaspars Grinvalds/Shutterstock.com)

・どんな制度?

産休とは、出産前の「産前休業」と出産後の「産後休業」を合わせた総称です。正社員はもちろん、パート社員や派遣社員、契約社員であっても取得できます。企業が妊娠や産休の取得を理由に解雇することは法律で禁止されています。

「産前休業」は、本人が会社に申請さえすれば取得できる制度です。スムーズに産休へと入るためにも、出産の予定が立てられるようになったらなるべく早めに、出産予定日や産後の職場復帰などとともに妊娠を会社に報告するといいですね。

一方、「産後休業」はそもそも働いてはいけないとされている強制休業です。あなたがどんなに望んでも会社で働くことはできませんから、まずは落ち着いて体を安め、復職後の準備をする期間として考えましょう。

・産休の期間はどのくらい?

「産前休業」を取るかどうかは本人次第ですから、請求せずにギリギリまで働くことも一応可能です。取得できる期間は、出産日または出産予定日の6週間(42日)前、双子以上の場合は14週間(98日)前から出産日までの範囲内となっています。

「産後休業」は出産の翌日から数えて8週間(56日)は就業できず、休業することが定められています。基本的には妊婦本人が出産後すぐに職場復帰したいと望んでも許可されません。

ただし、妊婦本人が望み、なおかつ医師が認めた場合は、産後6週間(42日)過ぎから復職が可能です。諸事情などから早期復職したい場合は、産後6週間を過ぎてから医師の診断書を添えて手続きしましょう。

産休中のお給料はどうなる?

産休, 税金, 社会保険料 (写真=Ae Cherayut/Shutterstock.com)

働く女性にとって、特に気になるのはお給料でしょう。産前・産後休業産休中は「給料ナシ」としている会社がほとんどですが、産休中の給料の取り扱いは会社によって異なります。まずは会社に確認しておきましょう。

・産休中にお給料が出るケースとは?

産休中も通常通りお給料が出るのは、そのように会社の規定で定めている会社です。

ただし、このようなケースでは健康保険から支給される「出産手当金」の支給は基本的にはありません。あるとすれば、お給料が出産手当金よりも額が少ない場合で、その差額を出産手当金として支給してもらえます。これは、出産手当金には「休業補償」の意味合いがあるためです。

ちなみに「出産手当金」とは、会社員が産休を取った場合、「産前の休暇(42日)+産後の休暇(56日)=98日」の期間内で会社を休んだ日数に対して支給されるお金のことです。詳しい金額は後ほど説明します。

参考:1年で300万円も!出産・子育てでもらえる給付金

・産休中にお給料が出ないケースとは?

会社で産休中の給料支給を規定していない場合、産休中にお給料は出ません。産休中の給料支給については会社に一任されており、大抵の会社は給料を支給しないと規定しています。

その代わりとなるのが、「出産手当金」なのです。とはいえ、出産手当金はお給料と比べると額が少なくなるのが一般的です。その差額分をどうするか、事前の準備や夫の協力を得るなど、事前に対策しておきたいですね。

産休中の税金はどうなる?

産休, 税金, 社会保険料 (写真=JHK2303/Shutterstock.com)

次に、産休中の税金について解説します。

まずは所得税について。所得税はその人の収入に対して課される税金なので、産前・産後休業中にお給料が出なければ所得税を支払う必要はありません。

一方、住民税は産前・産後休業中も支払うことになります。住民税は当年度の収入に基づいて決定され、翌年に支払うもの。産前・産後休業で無収入となっても、その前年にしっかり働いていれば、住民税の納付書が送られてきます。産休中に収入が減ったり途絶えたりしても、税金が支払えるよう準備しておきましょう。

ただし、産前・産後休業中にもらえる各種の手当金はすべて「非課税」です。収入が手当金のみであれば、休業の翌年は住民税ナシとなりますね。

産休中の社会保険料はどうなる?

産前・産後休業中の社会保険料は、その全額が免除されます。具体的には、健康保険料や厚生年金保険料です。以前は産休中でも支払い義務がありましたが、2014年4月1日からこのように変更されました。

ちなみに、2019年4月からは、フリーランスや自営業など「国民年金第1号被保険者」の方については、産前産後期間(出産予定日の前月から4か月間)の保険料が免除され、免除期間は満額の基礎年金が保障されます。この財源として、国民年金保険料は月額100円程度引き上げ、国民年金の被保険者全体で対応することが決まっています。

産休中にもらえる「出産手当金」とは?

産休, 税金, 社会保険料 (写真=Bohbeh/Shutterstock.com)

ここまでに何度か出てきた「出産手当金」。これは、お給料の出ない産前産後休業期間中にお給料の代わりとなるお金です。

安心して出産に臨めるよう、しっかりと内容を理解しておきましょう。

・出産手当金とは?

出産手当金とは、企業には産休中に給料を支払う義務がないため、その間の収入を補てんする意味合いで、事業者に代わって健康保険から支給されるお金です。

では、自営業者などが加入する国民健康保険はどうかといえば、出産手当金は任意給付とされているため、実際のところ給付を行っている自治体はないと見ていいでしょう。ですから、国民健康保険に加入している方は別途、出産前後に必要なお金を前もって準備しておく必要があります。

・出産手当金支給額の計算方法

出産手当金は、以下の方法で算出した休業1日あたりの手当(支給日額)が、産前産後休業として取得した日数分支給されます。

・支給日額=標準報酬月額÷30日×2/3

よく分からなくても、ざっくりと「給料の2/3程度」と見ておけば大丈夫です。残りの給料1/3程度をどう補うかを考えておきましょう。

・出産手当金の手続き方法

出産手当金は健康保険から支給されます。

まず、産前産後産休に入る前に勤め先の社会保険の担当部署などから申請用紙をもらいましょう。また、加入している健康保険のホームページでも申請用紙がダウンロードできます。

出産後に「担当医師・助産師による証明」を受けたうえで、「出産日または出産予定日以前42日から、出産日後56日目まで」の範囲内で実際に休業した日数分を申請します。このとき、申請書は会社に提出すればよいのか、管轄の社会保険事務所に自分で提出するのかは会社によって異なります。あらかじめ確認しておきましょう。

なお、万が一申請し忘れても、産休開始日の翌日から2年以内であれば申請可能です。ただし、2年を過ぎると、過ぎた日数分だけ手当金が減ってしまいます。せっかくのありがたい制度ですから、もらい損ねないようにしたいですね。

・出産手当金を受け取るときの注意点

出産手当金は確かに「給料の代わりにもらえるお金」といえますが、産休中もお給料のように毎月もらえるというわけではなく、申請後にまとめて支給される仕組みとなっています。

一般的には産後休業が終了となる「出産日の翌日から56日以降」に申請し、実際にもらえるのは、申請手続き完了から1~4カ月後。ですから、産休中に必要となるお金は事前にしっかり準備しておくことが重要となります。

子どもが生まれたらもらえる「出産育児一時金」とは?

産休, 税金, 社会保険料 (写真=Virojt Changyencham/Shutterstock.com)

出産・育児に対してもらえるお金は「出産手当金」だけではありません。もう一つ、子どもが生まれたらもらえる「出産育児一時金」というものもあります。

出産手当金と同様にしっかり内容を理解して、スムーズに手続きできるよう備えましょう。

・出産育児一時金とは?

出産育児一時金とは、早い話が分娩入院をした病院に支払う出産費用の補てん金です。出産手当金とは違い、

・健康保険、国民健康保険に加入している
・妊娠4カ月(85日)以上の出産

上記の要件を満たせば支給の対象となるため、自営業者などの国民健康保険加入者ももらえますし、たとえ流産や死産であっても受け取ることができるのです。

また、出産する本人が扶養されている状態なら、扶養者である夫や家族が「家族出産育児一時金」を受け取れます。

・支給金額について

支給金額は子ども1人あたり一律42万円、双子なら倍の84万円です。

ただし、産科医療補償制度に加入していない医療機関などで出産した場合は、少し減って40万4000円となります。

・出産育児一時金の手続方法

「出産育児一時金」は、病院に支払う出産費用の補てん金の位置付けですので、大半の場合は申請も受取も病院側がおこなってくれ、妊婦は必要書類にサインするだけで手続きが完了します。支払いは、「直接支払制度」によって支給金額が直接病院に支払われることが多いでしょう。

ただし、直接支払制度を導入していない小規模の医療機関などでは、「受取代理」が制度化されています。その場合、妊婦が加入先の健康保険に申請しなければなりませんが、お金の受け取りは直接支払制度と同様に、病院に直接支払われます。

・出産育児一時金を受け取る時の注意点

出産育児一時金が直接病院に出産費用として支払われた場合、出産育児一時金でまかなえなかった差額のみ、退院時の精算で請求されます。

なお、出産費用が支給金額を下回る場合は、出産育児一時金が支給された1~2カ月後に病院から差額が支払われます。

働き方による違い・注意点

産休, 税金, 社会保険料 (写真=gpointstudio/Shutterstock.com)

産休や出産にかかわる助成の有無は「働き方」によって少しずつ事情が異なります。

・会社役員の場合

一口に会社役員といっても、規模によってさまざまですが、それでも会社役員は労働者ではなく使用者ですから、裁量権は本人にあります。つまり、産休中のお給料(役員報酬)を出すか出さないかは本人次第ということです。

そして役員報酬は、会社としては必要経費(損金)に算入できますから、産休中にも役員報酬を支払うこととするのも一つの手段です。ただし、その場合は本人には所得税がかかります。税理士などと相談のうえで判断したほうがいいかもしれません。

なお、役員であっても申請すれば、本人と会社両方の社会保険料は免除されます。

・正社員、公務員の場合

もっとも多いであろう正社員や公務員の場合は、まずは勤め先の産休制度を確認して使える制度を洗い出し、もらえるお金と出ていくお金の差額をあらかじめ確かめておくことが重要です。

できれば、出産手当金の支払い時期も考慮して、月収の4カ月分程度を貯めておくのが望ましいでしょう。

・契約社員の場合

産休そのものは労働者の権利ですので契約社員でも取ることができ、対象要件を満たしていれば助成制度も使えます。ただし、契約社員の場合は別途「契約期間の満了」となる時期が問題になります。

そして、産休中と産休後30日以内の解雇は法律で禁じられていますが、期間満了で更新ナシとされてしまう可能性はあります。

まずは、正社員の方と同様にお金の準備をしつつ、妊娠・出産によって実質的に解雇のような扱いを受けた場合には、労働基準監督署などへ相談することも視野に入れ、産休と解雇にかかわる証拠を集めておきましょう。

・パートの場合

契約社員と同様に、パートであっても産休は取得できます。ただし、契約内容には注意が必要です。

出産予定日の6週間(42日)前の産休開始時期までに契約が切れた、または、解雇された場合は産休自体が取れなくなります。

もし、産休が取れないことで生活に困り果てるような事態になってしまった場合は、自治体に相談するのも一つの手段です。そして出産後、あらためて職を探すのが賢明でしょう。

・フリーランス、自営業者の場合

フリーランス(個人事業主)や自営業者の場合、そもそも事業主から支払われる「給料」や労働者の権利としての「休日・休暇・休業」がありません。従って、実質的に「産休」の概念がないといえます。

出産費用は「出産育児一時金」でおおむねまかなえますが、産休に相当する期間分の生活費を蓄えておくことが重要です。

出産・育児にかかわる制度は拡充の一途!

働き方や勤め先によって、休業中の給料や助成の有無、出産に必要な準備、得られる支援はバラバラですから、しっかり確認したうえで準備することが重要なポイントとなります。

出産・育児にかかわる制度は、近年の少子化問題を受けて拡充の一途をたどっています。働く女性にとっては本当に心強いこと。制度をよく知り、十分に活用していきましょう。

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