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働く女性の7割「優先したいのは夫との生活」
みんなのキャリアと結婚の「フツー」ってどんな感じ?
日本フィナンシャル・プランナーズ協会は20〜50代の働く女性を対象に、2017年に続いて2回目となる「働く女性のくらしとお金に関する調査2018」を実施しました。
働く女性たちがどんな生活を送り、どんなマネープランを持っているのか?
調査結果には、1200名もの女性たちのくらしやお金にまつわる実態やホンネがしっかりと現れています。これをシリーズでひもといていきたいと思います。
(参照データ:日本FP協会 調べ)
「外で働きたい」が6割
(写真=Pressmaster/Shutterstock.com)
そもそも現在働いている女性たちは、自身が職業をもって働くことを前向きに捉えているのでしょうか?
「外に出て働いていたい派」「家庭のことに注力していたい派」と大まかに分けたとき、自分の考えはどちらにより近いかという問いに対して、女性たちはこんな回答をしています。
▽年代別「どちらかというと外に出て働いていたい」と回答した人の割合
・20代…47.7%
・30代…56.3%
・40代…63.7%
・50代…72.3%
・全体…60%
「どちらかというと外に出て働いていたい」と回答した女性は若い世代ほど少なく、年代が上がるにつれて増加します。そして、なんと20代では半数以上の女性が「家庭のことに注力していたい」と答えたという結果となりました。
働く女性に限ったアンケートであるにもかかわらず、若い世代では働くことを前向きに捉えていない女性が意外に多いということが分かります。
また、全世代通して子どもの有無で回答を選別したところ、次のような結果が出ています。
▽「どちらかというと外に出て働いていたい」と回答した人の割合
・子どもがいない女性…56.7%
・子どもがいる女性…66.8%
子どもがいる場合、教育費などの費用を自分が働くことで補いたいと考える女性が多いのかもしれませんね。
20代のうちは家庭に注力したいと思っていたけれど、30代を過ぎ子どもができて少し成長すると「外に出て働きたい」という気持ちが強くなる傾向があるということでしょうか。
バリキャリ志向 VS ゆるキャリ志向
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「バリバリ働きたい」か「働くなら、家計の足しになる程度にゆるく働きたい」かの質問には、こんな結果が出ています。
▽「働くなら、バリバリ働きたい」と回答した人の割合
・20代…32.3%
・30代…32.7%
・40代…36.7%
・50代…35.3%
・全体…34.3%
世代別の違いはあまり見られず、おおむねどの世代でも「バリバリ働きたい」と回答した女性は3.5割前後にとどまっています。全体的に見ると6.5割ほどの女性が「ゆるく働きたい」と考えているわけです。現代女性たちの働き方に対する意識は、
バリキャリ志向 < ゆるキャリ志向
という傾向にあるようですね。
自分らしい働き方ができていますか?
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次に、働き方の満足度について尋ねています。「自分らしい働き方ができている」と「自分に合っていない働き方をしている」のどちらに近いかとの質問には……
▽「自分らしい働き方ができている」と回答した人の割合
・20代…60.7%
・30代…62.0%
・40代…65.7%
・50代…74.3%
・全体…65.7%
自分らしい働き方ができていると感じている女性は年齢が高くなるほど多くなり、50代では約7.5割。一方、20代では6割にとどまりました。
これは、先の2つに挙げたアンケート結果の傾向とも一致しています。つまり、若い世代の働く女性たちは上の世代よりも「家庭のことに注力したい」し、「働くなら、家計の足しになる程度にゆるく働きたい」という意識が強いものの、実際は忙しく働いているので「今の働き方は自分に合っていない」と考えている、ということではないでしょうか。
結婚後も仕事を続けたいけれど……
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ここまでは主に世代別に、仕事への意識についての回答の傾向を見てきましたが、女性にとって、仕事とステータスやライフステージの変化との関係は、切っても切り離せないものがあります。
そこで、アンケート回答者1200人の中から未婚者610人に絞り、結婚や仕事について尋ねた結果がこちらです。
▽働く未婚女性に聞いた「くらしと仕事の関係についての意識として、どう思うか」
・結婚後も仕事を続けたい…71.0%
・結婚後は仕事の量を減らしたい…70.7%
一見、矛盾しているように見える結果ですが、仕事だけでなく、プライベートも大事にする現代女性たちがもつ、とても現実的な考え方が反映されているようにも思えます。「結婚後は仕事量をセーブして、ワーク・ライフ・バランスを維持しながら働きたい」という傾向を伺い知ることができるのではないでしょうか。
「出世するほど、結婚相手が見つかりにくくなる」現実
「外で働きたいけれども、一般的にはゆるキャリ志向」 この現代女性の働き方に対する意識の形成は、彼女たちの婚活とも関係があるのでしょうか?
先ほど同じく、働く未婚女性に「女性は出世するほど、結婚相手が見つかりにくくなると思いますか?」と聞いたところ、次のような結果となりました。
▽「女性は出世するほど、結婚相手が見つかりにくくなると思う」
・非常にそう思う…18.7%
・ややそう思う…45.6%
・あまりそう思わない…29.8%
・全くそう思わない…5.9%
「非常に思う」「やや思う」と度合いに違いはありますが、全体の6.5割ほどが「そう思う」と答えています。さらに、正規雇用の女性を対象に役職別の回答を見ると……
▽「女性は出世するほど、結婚相手が見つかりにくくなると思う」に対して「そう思う」と答えた人
・役職なし(主任クラス未満)…66.7%
・役職あり(主任クラス以上)…74.3%
実際に主任クラス以上の出世・昇進をしている女性たちの4人中3人が、「女性は出世するほど、結婚相手が見つかりにくくなる」ことを実感している、そんなシビアと結果になりました。
「出世するほど、結婚相手が見つかりにくくなる」は、どうやら現実のようです。
究極の選択!? キャリア VS 子育て
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キャリアアップが婚活をする女性にとって不利な条件となってしまうのが現実なら、結婚後の仕事の仕方にも影響があるかもしれません。
アンケート回答者全員に「扶養範囲内の収入」を意識した働き方について尋ねたところ、「結婚後は扶養範囲内の収入を意識して働くと思う」もしくは「実際そうしている」という人がほぼ半数でした。逆に、「扶養範囲内の収入を意識した働き方はしないと思う」もしくは「実際そうしていない」という人もほぼ半数いて、意見が割れています。
▽「結婚後は、“扶養範囲内の収入”を意識して働くと思う(働いている)」
・非常にそう思う…15.6%
・ややそう思う…35.0%
・あまりそう思わない…28.4%
・全くそう思わない…21.0%
先に挙げたアンケートでは、「働くなら、ゆるく働きたい」と回答した女性が7割弱もいたことと照らし合わせると、「ややそう思う」や「あまりそう思わない」と回答した女性たちは、働き方について流動的な考え方を持っているのかもしれませんね。
女性の半数「キャリアアップと子育ては両立しない」
(写真=George Rudy/Shutterstock.com)
それでは、女性のキャリアアップと子育てにはどのような関係があるのか、次の3つの質問とその回答から見ていきましょう。
▽「現在の仕事を続けていると、子育ての両立は無理だと思う」
・非常にそう思う…18.3%
・ややそう思う…36.4%
・あまりそう思わない…33.6%
・全くそう思わない…11.8%
▽「育休の取得は、キャリア形成にマイナスの影響があると思う」
・非常にそう思う…17.7%
・ややそう思う…48.1%
・あまりそう思わない…28.7%
・全くそう思わない…5.6%
▽「(将来)出産するときは、今の職場を退職すると思う」
・非常にそう思う…19.1%
・ややそう思う…29.9%
・あまりそう思わない…31.9%
・全くそう思わない…19.1%
「現在の仕事を続けていると、子育ての両立は無理だと思う」という質問に、「そう思う」と回答した女性の合計は5割を超えています。「育休の取得は、キャリア形成にマイナスの影響があると思う」についても、「そう思う」と回答した女性は6.5割超となりました。
「(将来)出産するときは、今の職場を退職すると思う」の質問でも、ほぼ5割に近い女性が「そう思う」と答えています。
つまり働く女性たちの約半数は、
・現在の仕事では子育てとの両立が難しいと感じ、
・育休の取得がキャリアアップにはマイナスになってしまうと考えており、
・出産のタイミングで退職するかもしれないと思っている
ということになります。
また、「(将来)出産するときは、今の職場を退職すると思う」の回答を雇用形態別に見ると、非正規雇用のほうが正規雇用よりも出産による退職を考えている割合が高いという結果でした。
▽「(将来)出産するときは、今の職場を退職すると思う」で「非常にそう思う」「ややそう思う」と回答した人の割合
・正規社員・職員…39.9%
・派遣社員・契約社員…53.2%
・アルバイト・パートタイム…63.0%
・役員・事業主…37.3%
比較すると割合は低いものの、正規雇用でも約4割の女性が「出産によって今の職場を辞める」ことを考えているという現実が見えてきますね。
「出産したら退職」の割合は1年で1割弱減っている
(写真=g-stockstudio/Shutterstock.com)
2017年の調査では、この「出産したら退職すると思うか」という質問に「非常にそう思う」「ややそう思う」と回答した人の割合は6割弱(57.4%)でした。
アンケート結果を細かく見ると、ここ1年で「出産したら退職する」と考える女性が8.4%減少したことが分かります。女性の働く環境が今後大きく改善していけば、女性のキャリアアップと子育ての関係がほり良い方向に向かっていく可能性もありそうです。
「自分の仕事より、夫と一緒の生活を優先」が7割
(写真=interstid/Shutterstock.com)
これまでは女性のキャリアアップと子育てとの関係について見てきましたが、女性たちは、自身のキャリアとパートナーとの関係について、どのように考えているのでしょうか? 次の質問から、その関係性がうかがえます。
▽「(将来)夫が転勤になったら、今の職場を退職すると思いますか?」の質問で「そう思う」と回答した人の割合
・正規社員・職員…60.4%
・派遣社員・契約社員…73.2%
・アルバイト・パートタイム…77.2%
・役員・事業主…61.0%
・全体…67.4%
全体では7割近い女性が、自分の仕事より夫と一緒の生活を優先したいと考えていることが分かります。
就業形態別に見ると、非正規雇用のほうが「夫優先」の割合が高いとはいえ、正規社員・職員や役員・事業主であっても6割の女性が「退職する(=夫についていく)と思う」と答えています。
男性側に同じ質問をしたらどうなるか、気になるところではありますね。
働きたいけど、プライベートも大切に
(写真=George Rudy/Shutterstock.com)
これらのアンケート結果からは、「バリバリ働きたい気持ちもあるけれど、プライベートは犠牲にしたくない」という現代女性たちの気持ちが強く現れているように感じられました。
次回も引き続き「働く女性のくらしとお金に関する調査」から、女性たちの「専業主夫」に対する考えを紹介します。(続く)
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