(写真=DenisProduction.com/Shutterstock.com)

離婚したら「年金が分割」されるって本当?

妻だけ年金が少なくなるのは不公平?

老後資金の中心となるのは退職金と年金だが、以前は専業主婦が離婚した場合は年金が非常に少なくなるという問題があった。そもそも、家計の収入というのは夫婦で生み出すもので、家事や育児のためにやむなく仕事を辞めざるを得なかった女性も多く、妻だけ年金が少なくなるのは不公平といえる。こうした考えのもと、結婚している間に払った保険料は夫婦で納めたものとするのが年金分割の制度である。

合意分割制度と3号分割制度

年金分割には2種類ある。合意分割制度と3号分割制度である。

まず、合意分割制度だが、これは離婚等をした場合に、当事者の一方からの請求によって、婚姻期間中の厚生年金と共済年金の記録(標準報酬月額と標準賞与額)を夫婦間で分割できる制度である。年金額の按分は、基本的には当事者双方の合意で決められるが、合意がまとまらない場合は、当事者の一方の求めにより、裁判所が按分割合を定めることができる。ただし、最大で2分の1となる。

次に、3号分割制度だが、この制度は2008年4月に始まったため、分割の対象となる厚生年金もしくは共済年金の記録も2008年4月1日以降になるのが特徴だ。国民年金の第3号被保険者であった人、つまり、サラリーマンの主婦等からの請求により、相手が2008年4月以降に払った厚生年金記録および共済年金の記録を2分の1ずつ、夫婦間で分割できる制度である。

この3号分割制度が合意分割制度と大きく異なる点が、按分割合を決めるために夫婦間の合意や裁判所の決定の必要がないことである。つまり、第3号被保険者からの請求があれば、自動的に2分の1に年金が分割されることになる。

請求期限は意外と短い

年金分割で気をつけなければならないのが、請求期限が原則として離婚した翌日から2年以内と決まっていることだ。また、事実婚でも請求はできるが、その場合は事実婚関係にある人が国民年金第3号被保険者資格を喪失し、事実婚関係が解消した日の翌日から2年以内にしなければならない。

年金分割の請求期限に関しては例外もある。

たとえば、離婚後、年金分割の請求をする前に当事者のうち一方が死亡した場合、すでに按分割合が合意や裁判所で決められているのであれば、死亡日から1ヵ月以内に限り分割請求が認められる。

また、裁判での手続き上の関係で、按分割合の確定や成立が請求期限の2年を過ぎる場合なども、確定や成立した日の翌日から1ヵ月以内の請求が認められている。

このように、請求期限は原則2年となっており、2年を過ぎると年金が分割されないため、按分割合なども含め早めの合意や請求を心がけよう。

2つの制度はどちらも使えるのか?

年金分割が2つあるため、どちらの制度を利用したら得なのか、もしくは両方利用できるのかと考える場合もあるだろう。合意分割の請求が行われた時点で3号分割の対象となる期間が含まれている場合、自動的に3号分割の請求もあったとみなされる。つまり、自動的にどちらの制度の分割も受けることができるというわけだ。

たとえば、夫が会社員で妻が専業主婦の夫婦が、2000年に結婚して2015年に離婚した場合、合意分割を請求すると、合意分割と同時に3号分割も行われる。このケースであれば、まず2008年4月以降の記録に関して3号分割が行われ、そのうえで合意分割が行われる。

また、上記の例と同じ婚姻期間だが、妻も働いている場合を考えてみよう。この場合は妻が扶養に入っているかどうかで扱いは変わる。

扶養に入っている場合、妻に収入があったとしても3号分割の制度は利用できる。2008年4月以降の婚姻期間の分は、話し合う必要もなく2分の1を請求できるためメリットが大きい。

扶養に入っていない場合、つまり、妻もフルタイムで働いている場合などは、2008年4月以降の分に関しても3号分割を請求することはできない。つまり、全期間合意分割制度を利用することになる。

はじめに述べたように、年金は老後資金の主要なものの一つになる。2008年4月以降に結婚した夫婦であれば、適用されるのは3号分割制度であり、合意や裁判所が定める必要もなく年金が2分の1に分割される。それ以前からの、婚姻関係が長い夫婦に関しても、早めに話し合い合意分割制度を利用することで、片方の老後に負担がかかることがないようにするべきだろう。

執筆: 株式会社ZUU

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