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「なでしこ銘柄」に投資するメリットってあるの?女性投資家に聞いてみた

今年の注目銘柄は!?

女性活躍推進に優れた上場企業を選定する「なでしこ銘柄」が2018年3月22日に発表されました。

働く女性が活躍する企業に投資をする……。確かに聞こえは良いですが、それって実際どうなんだろう?女性が活躍している企業だからといって、必ずしも投資先として良いとは限らないのでは?

女性投資家は、なでしこ銘柄をどのように見ているのでしょうか?

ファイナンシャル・プランナーの資格を持ち、自身でも株式投資を楽しむ3人の女性に聞いてみました。(かっこ内は敬称略)

そもそも「なでしこ銘柄」って何?

なでしこ銘柄, メリット, デメリット, 投資先 (写真=enrouteksm/Shutterstock.com)

なでしこ銘柄とは、「女性活躍推進に優れている」と経済産業省と東京証券取引所が判断した上場企業のこと。2012年度から毎年発表されており、今年度が6回目となります。

2017年度の選定企業は全部で48社。例えば、次のような企業が選ばれています。

▽6回連続で選定
東京急行電鉄、KDDI

▽通算5回選定
カルビー、積水ハウス、ダイキン工業、日立製作所、ブリヂストン、ローソン

※全48社はこちら→2017年度なでしこ銘柄選定企業(経済産業省webサイト)

なでしこ銘柄選定の目的は、「女性活躍推進に優れた上場企業を中長期の企業価値向上を重視する投資家にとって魅力ある銘柄として紹介することを通じて、企業への投資を促進し、各社の取組を加速化していくこと」(経済産業省ホームページより)となっています。

なでしこ銘柄の選定の要件は次の通り。1から順にスクリーニングを行っていきます。

  1. 東京証券取引所に上場している企業(約3500社)
  2. 女性活躍推進法を踏まえた行動計画を策定(従業員数300人以下の企業を除く)しており、厚生労働省「女性の活躍推進企業データベース」における女性管理職比率を開示していること
  3. 「女性活躍度調査」の結果が、業種内で上位にランクインしていること

これらの要件を満たす中でさらに、財務指標(ROE)における加点を行い、なでしこ銘柄が選ばれています。

「女性活躍度調査」の内容を見ると、新規採用女性比率や年次有給休暇取得率、男性育児休業取得率の高い企業がなでしこ銘柄に選ばれているようです。

なでしこ銘柄に投資するメリットは?

なでしこ銘柄, メリット, デメリット, 投資先 (写真=TZIDO SUN/Shutterstock.com)

まず、なでしこ銘柄を投資先として見た場合、投資するメリットは何かを3人の女性投資家に聞いてみました。

「上場企業が安定的に成長し、また不祥事のリスクを減らすには、企業内の多様な視点を大切にしながら意思決定すること、社員が無理なく働ける環境であることなどが必要です。中長期で見て、安定的に成長していく優良な企業と出合うという点が、投資家として、なでしこ銘柄に投資するメリットだと感じます」(阿部祐子/ライター、ファイナンシャル・プランナー)

確かに、短期売買をするのでなければ、この先、何年、何十年と長期的に安定して成長していく企業を見つけて、長くおつきあいしていきたいものです。なでしこ銘柄は、「長くおつきあいできる企業」を見分ける指標の一つになるというわけです。

また、短期的なメリットとして、

「なでしこ銘柄に選定されることは株価の押し上げ要因の一つになる」(岡田禎子/ファイナンシャルプランナー)

という意見もありました。

株価が動くタイミングは決算発表、新商品の発表などさまざまです。なでしこ銘柄選定が報じられたタイミングで投資家の注目度が高まると、株価が上がる可能性があるというわけですね。

なでしこ銘柄に投資するデメリットは?

なでしこ銘柄, メリット, デメリット, 投資先 (写真=number-one/Shutterstock.com)

一方、なでしこ銘柄が必ずしも投資先として魅力になるわけではない、という意見も。

「女性が活躍できたり、仕事と家庭を両立しやすかったりすることが業績の拡大に直結するとは限りません。しかし、他の指標とも組み合わせてれば良い銘柄に出会える可能性があります」(深川美幸/ファイナンシャルプランナー)

「コツコツと進めた社内改革が、業績の拡大に貢献し、結果として株価上昇につながるためには、それなりの時間がかかる場合もあります。つまり、すぐ株価が上がるということを意味してはおらず、投資する側にも時間があるということ。株式市場の動向も見ながら、中期、あるいは長期で持つつもりで株式投資を行うのがよいと思います」(阿部)

職場の働く環境をよくすることは従業員にとってはうれしい反面、業績にすぐに効く「特効薬」ではない、というのは働く女性たちなら思わず「うんうん」と頷いてしまう意見ではないでしょうか。

なでしこ銘柄のように、「長い目で見ればきっと成長する」と思う企業に投資する時はくれぐれも焦らず、じっくり評価していくことが大切になりそうです。

なでしこ銘柄から投資先を選ぶ時のポイントは?

なでしこ銘柄, メリット, デメリット, 投資先 (写真=Scharfsinn/Shutterstock.com)

なでしこ銘柄選定企業は48社。この中からさらに、自分が良いと思う企業をどう見つけていったらよいでしょうか。投資先選びのポイントを聞いてみました。

「商品やサービスを、自分が身近に感じられる企業」(深川)

「女性の活躍によってそれが企業価値に直結するような企業」(岡田)

「女性、に限ったことではありませんが、個人投資家として注目するのであれば、経済産業省のwebサイトには、今年のなでしこ銘柄選定企業の一覧に、過去6年にさかのぼって選定されたか否かの丸印が付いています」(阿部)

6年連続で選定されているのは東京急行電鉄株式会社、KDDIの2社。「選定から漏れないよう力を入れていることも予測できます」(阿部)とのこと。

「残念ながら1年だけで選から漏れた企業は『どんな理由だったのだろう』と気になりますし、今回はじめて選ばれた企業は『社内で力を入れた結果なのだろうか』と、深読みしてみたくなります」(阿部)

2017年度の注目なでしこ銘柄は?

個人投資家でもある3人に、注目銘柄を教えてもらいました。

「東京急行電鉄、KDDI。選定が始まった2012年から6年連続で選ばれているのがこの2社なので、ちょっと注目してみようかと思います」(深川)

「花王。消費者でもあり企業人でもある女性が活躍できる環境を整備しており、その女性の活躍が企業価値に直結する企業と思われるため。また業績も堅調に推移しているのも理由」(岡田)

「中長期的な視点で興味が沸いたのは、唯一の東証二部上場企業であるスリープログループです。同社webサイトによると、同社および子会社は経営トップの主導によって経営戦略としてダイバーシティ及び女性活躍推進に取り組んでいるということです。経済産業省が制度設計を行う健康経営優良法人2018(ホワイト500)の認定も受けています。いろいろな意味での経営センスのよさを感じました」(阿部)

なでしこ銘柄の選び方に不満も?

なでしこ銘柄, メリット, デメリット, 投資先 (写真=anon_tae/Shutterstock.com)

ここまでなるべくなでしこ銘柄の良い部分を取り上げてきましたが、実は、なでしこ銘柄の選定方法は、投資家の視点からは少し気になることもあるのだとか。

「スクリーニング要件の変更があり、残念です」(深川)

どういうことかと言うと、2016年度までは、ROEが8%、または業種中央値以上であることを要件としていました。今回から原則加点方式とし、ROEが0未満の企業のみ選定対象外となったそうです。

ROEとは、株主資本に対する当期純利益の割合のこと(Return on Equityの略)を言います。噛み砕いて言うと、「資産をうまく活用して利益を生み出しているかどうか?」がわかる指標ということになります。日本証券業協会のwebサイトの内容を引用すると、次の通り。

株主資本は資本金をはじめ法定準備金や剰余金等の合計ですが株主の持ち分でもあります。これを会社がどれだけ効率的に使用し、利益を挙げたかを判断するわけです。(中略)株主にとってみれば、自分たちの投資資金が上手に使われて、採算がとれているかどうかという指標にもなります。例えば、市中の年間金利が2%のときROE が1%なら、採算がとれているとはいいにくいでしょう。(引用元:「ROE」という指標を耳にしますが、何を意味するのですか?)

投資先を見極める指標としてROEを重視する投資家も多いので、ROEがあくまで「加点要素」にとどまることを疑問視する向きもあるのですね。

一方で、「ROE加点によりTOPIXをアウトパフォームするのは理解できるが女性の活躍によるものなのかは現時点では判断しにくい」(岡田)と、ROEと女性活躍は無関係ではないか、との考えもありました。

なでしこ銘柄、あなたはどう思う?

なでしこ銘柄, メリット, デメリット, 投資先 (写真=miya227/Shutterstock.com)

これから投資を始めたい人はもちろんのこと、もうすでに投資を始めているけれどどこに投資をしたらいいのかわからない人は、なでしこ銘柄の中から、自分が応援したい企業を選ぶのもよさそうですね。

投資先として企業を見てみるという経験を一度してみると、「ROE」などの金融経済知識もアップするのでおすすめです。

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