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出産に関わるお金を整理。かかるお金・もらえるお金はどのくらい?

出産にまつわるお金。もらえるお金をきちんと活用しよう

赤ちゃんができた!

と喜んだものの、妊娠・出産から子育て・教育まで、子どもを産み育てるには驚くほどお金がかかります。しかし、今では妊娠・出産・育児をサポートしてくれる公的制度が充実しており、妊娠・出産によってもらえるお金もあるのです。

「実際のところいくらかかって、いくらもらえるの?」

今回はそんな、出産のためにかかるお金・もらえるお金をまとめました。

出産にかかるお金一覧

妊娠が発覚してから出産までには、妊婦健診、分娩費用のほか、マタニティーグッズや出産準備品の調達など、さまざまなお金がかかります。

・妊婦健診

妊娠期間は通常約280日(9カ月+1週間前後)とされています。妊娠が確認できてから出産までは定期的な妊婦健診が必要で、個人差はありますが、受診回数の目安はだいたい14回と考えていいでしょう。

2017年の厚生労働省調査によると、妊婦健康診査受診票(補助券)による補助額は全国平均で約10万2000円。妊婦健診の費用は、14回受診したとした場合で10万円~15万円程度になることが多く、順調に進んだ場合、自己負担額は多くて5万円前後と見ることができますね。

ただし、公的補助の額は自治体によって差が大きいため、お住まいの役所などで確認しておいたほうがいいでしょう。

・分娩入院

出産のための入院を「分娩入院」と言います。国民健康保険中央会の調査では、2016年度の正常分娩だった場合の出産費用は、全国平均で50万5759円でした。

豪華な設備が整っている病院に入院したいといった希望がある場合、また、出産前後に母体や赤ちゃんに問題がある場合などでは、上乗せの費用が発生します。

・マタニティーグッズ

お腹が大きくなっていくにつれて、マタニティーウェアやマタニティーショーツ・ブラといった、体に負担をかけないための衣類にもお金がかかります。

たまひよが行ったマタニティーウェアに関するアンケートの結果では、96%の妊婦さんがマタニティー用の下着を購入していました。ボトムスやルームウェア、タイツなども、6割以上の人が準備したと回答しています。

まず、バストサイズが大きくなる妊娠期に合わせ、締め付けが少なく伸縮性のあるマタニティーブラは必須。また、お腹までカバーしてくれるショーツはお腹の冷え防止にも役立ちます。下着はだいたい1着1000〜5000円程度で、3〜4枚は必要でしょう。

マタニティーウェアは着られる期間が短いので、普段着を工夫しながら着まわしているという人も多いです。しかし、お腹が大きくなるにつれ、特にデニムなどのボトムスはマタニティ用のものがあると便利でしょう。

・出産準備品

産院によって異なりますが、分娩入院時には個人で準備しておかなくてはならないものもあります。また、退院時・退院後、赤ちゃんを自宅に迎える際にも準備が必要で、それらにもお金がかかります。

ベビー用品などは、可愛くてついつい買い過ぎてしまうという方も多そうですね。ここは個人差が出るところでもあり、2万〜3万円程度で済む方もいれば、数十万円使ってしまったという人も。パートナーと相談して、あらかじめ予算を決めておくとよいでしょう。

出産でもらえるお金一覧

妊娠, 出産, 費用 (写真=Natalia Deriabina/Shutterstock.com)

近年は少子化の影響もあり、出産にまつわる助成制度や各種サポートがかなり充実してきています。

出産でもらえるお金は、大きく次の4つに分けられます。

  1. 出産した全員が対象となる制度
  2. 働くママ(産休や育休を取得予定の方)対象の制度
  3. 働くママ(退職予定の方)対象の制
  4. 住んでいる地域や自身の状況によっては対象となる制度

(1)を基本として、働いている方は(2)または(3)がプラスされ、さらに、もし当てはまる場合は(4)が加算されるといったかたちですね。

では、それぞれ詳しく見ていきましょう。

1. 出産した全員が対象となる制度

14回分の受診券がもらえる「妊婦健康診査受診費助成金交付制度」
お住いの自治体から、妊婦健診の受診料を助成してくれる「妊婦健康診査受診票」が交付される制度です。

「妊婦健康診査受診票」は、健康保険対象外で自己診療となる妊婦健診の費用を、自治体が一部負担してくれるというもの。1回ごとに助成額が決まっていて、検診時に産院などの窓口で提出すれば、検診料から差し引いてくれます。場合によっては受診料が無料になる場合も。

先にも述べましたが、厚生労働省「2016年度 妊婦健康診査の公費負担の状況に係る調査結果について」によると、補助額は妊婦1人あたり平均約10万2000円でした。なお、具体的な助成金額や制度は自治体によって異なるため、お住まいの地域の情報を確認してください。

分娩入院費がほぼ無料に!42万円給付の「出産育児一時金
高額な分娩入院費の負担を軽減してくれる制度が、この「出産育児一時金」です。

対象者は健康保険に加入されている方で、子ども1人につき42万円の給付(双子の場合は84万円)が受けられます。ただし、産科医療補償制度に加入していない医療機関での出産や、22週未満で出産した場合は40万4000円となります。

出産一時金制度の便利な点は、健康保険組合から産院に直接支払われる「直接支払制度」が導入されている医療機関であれば、退院時の自己負担は差額分のみでいいところ。まとまったお金がなくとも、安心して出産できますね。

直接支払制度に対応していない産院などで出産する場合は、出産後に一時金を申請することになります。制度に対応しているかどうか、未対応であれば申請の手続き方法などを、事前に確認しておきましょう。

中学卒業まで月1万〜1万5000円が給付「児童手当(旧子ども手当)」
児童手当は、0歳以上から中学卒業(15歳になってから最初の3月31日)までの期間、子どもを育てる家庭に国から給付金が支給される支援制度です。

支給額は子ども1人につき月1万円または月1万5000円を基本とし、所得や子どもの人数・年齢によって変わります。例えば、子ども1人の家庭であれば、中学校卒業までにおよそ200万円の手当がもらえる計算に。

ただし、児童手当は役所に申請しなければ支給されません。子どもが産まれたら、必ず期限内に申請しましょう。

2. 働くママ(産休や育休を取得予定の方)対象の制度

給与の3分の2が最大98日分「出産手当金」
産休を取得し、その後復帰する予定の方には、勤務先の健康保険組合から最大98日分(産前42日+産後56日のうち給与支払いのない期間)の手当金が支給される「出産手当金」という制度があります。金額は給料の3分の2で、産休の日数分が支給の対象です。

なお、出産手当金は産休に入った日の翌日から申請することができます。

不測の事態には「傷病手当金」が使える?

切迫流産やひどい妊娠悪阻(つわり)で会社を連続4日以上休むことになり、その間無給扱いになってしまった場合に給付されるのが「傷病手当金」です。勤務先の健康保険組合より、休暇4日目の分から日給の2/3が給付されます。

ただし、有給休暇などで対応となった場合は傷病手当金の対象外となるため、注意が必要です。

月給の50%以上がもらえる「育児休業給付金」
育休(育児休業)を取得する人は、雇用保険より育児休業手当の支払いが受けられます。 支給額は以下のとおり。

・育休開始日〜180日目:賃金日額の67%
・181日目〜育休最終日:賃金日額のの50%
・上限月額29万9691円、下限月額7万4100円
※上記の金額は2018年7月31日までの額です(毎年8月1日に変更される)

育児休業給付金は会社が申請してくれることも多いのですが、初回支給分が振り込みされるのは申請から約2〜5カ月後と、遅めである点は覚えておきましょう。

3. 働くママ(退職予定の方)対象の制度

妊娠, 出産, 費用 (写真=Halfpoint/Shutterstock.com)

「(失業給付金の)給付期間の延長」を忘れずに

失業給付金とは、給料の50~80%が雇用保険から支払われる失業手当のこと。勤めていた期間などによって、支給される日数が変わります。

しかし本来、失業給付金は失業者(働く意思と能力があるのに働けていない人)のためのものです。妊娠中や出産前後の方は、そもそもすぐに働ける状態ではないとして「失業状態」と認められず、失業給付金はもらえません。そのため雇用保険では、妊娠や出産・育児などで30日以上働くことができない人に対して、働くことのできなくなった日数分(最長3年間)の「失業給付金の延長」を認めています。

失業給付金の延長を受けるには申請が必要となり、出産などで30日以上働けなくなった日の翌日以降から申請可能です。対象になる人は、お住いの地域のハローワークに忘れずに申請しておきましょう。

4. 住んでいる地域や自身の状況によって対象となる制度

その他、地域によって異なる制度や、お母さんや赤ちゃんの状況によってもらえるお金や控除について、以下の表にまとめました。

出産のためのお金を整理。かかるお金・もらえるお金はどのくらい? (画像=DAILY ANDS編集部作成)

また、上記以外にも自治体独自で設けている制度もあります。自分が対象となるものがありそうだと思ったら、詳しい内容や要件などを確認し、ぜひ積極的に活用してください。

出産前にいくら貯めておけばいいの?

妊娠, 出産, 費用 (写真=moomsabuy/Shutterstock.com)

前述したとおり、妊娠や出産はさまざまな制度のサポートが受けられます。とはいえ、妊婦健診も出産費用もほぼお金はかからない、というわけにはいきません。

結論から言うと、出産前には最低でも30万円ほどは、可能であれば100万円ぐらいの余裕資金があると安心です。例えば、分娩入院費が50万円だったら、出産育児一時金の42万円を差し引いた8万円を、退院時に自費で支払うことになります。

金銭面での支援は意外に大きいといっても、最低限必要になる支払いは問題なく済ませられるよう、日頃からコツコツ貯めていきたいものですね。

シンママになる時の注意点

・お金の準備・計画はしっかりと

本来は生まれてくる子どもの父親になるはずの男性に、お金の面で頼れないシングルマザーは、子どもを安心・安全に育てるための資金計画は欠かせません。必ず出産前に、特に金銭的な面での今後の見通しを立てておきましょう。

出産後はなるべく早く仕事を始めたいという人もいると思いますが、新生児を育てながらの就活や、理解のある職場を見つけるのは想像以上に大変なことです。

仕事探しで悩んだときは、子育て中の就活支援に特化した公共職業安定所施設「マザーズハローワーク」を積極的に活用することもおすすめします。

・シンママのための支援制度を活用しよう

ひとり親家庭の家計を支援してくれる制度も多くあります。税金が優遇される「寡婦控除」や国の助成金である「児童扶養手当金」、ひとり親家庭のための住宅や医療費助成制度などもありますので、積極的に活用しましょう。

・児童扶養手当:ひとり親家庭等 国 毎月9980円〜4万2290円(所得に応じて変動)
・寡婦(夫)控除:ひとり親家庭等 国 所得により異なる(税額控除)
ひとり親家庭住宅助成制度(※):ひとり親家庭等(対象の自治体のみ) 自治体 月数千円〜2万円程度 自治体により異なる

また、上記の他にも、子どもが18歳になる年の3月まで1人につき月額1万3500円が支給される東京都の「児童育成手当」のように、自治体が独自の支援制度を設けていたり、電車やバスの割引制度を導入している場合もあります。どのような制度があり、利用するための要件は何かなど、前もってお住まいの自治体に問い合わせておくことをおすすめします。

これから出産を控えている方、今後赤ちゃんが欲しいと思っている方は、今回紹介した制度を賢く利用して、ぜひとも不安のない出産を迎えてくださいね。

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