(写真=DAILY ANDS編集部撮影)

株式投資型クラウドファンディングって何?エメラダ・エクイティに直撃インタビュー

株式投資型クラウドファンディングとは?【前編】

新しいクラウドファンディングの形といわれる「株式投資型クラウドファンディング」が2017年に登場し、ベンチャー企業界隈を賑わせているようです。2018年2月28日付の日本経済新聞によると、2018年の資金調達額は前年比5倍超に増える見通しなのだとか。

クラウドファンディングなら分かるけど、「株式投資型クラウドファンディング」って何だろう?

というわけで今回は、株式投資型クラウドファンディングサービス「エメラダ・エクイティ」を運営するエメラダ株式会社に直撃取材!

広報の野澤真季さんにご協力いただき、株式投資型クラウドファンディングの仕組みやメリット・デメリットなどさまざまなお話を伺ってきました。

株式投資型クラウドファンディングとは?

株式投資型クラウドファンディング, クラウドファンティング, EXIT (写真=DAILY ANDS編集部撮影)

そもそもクラウドファンディングにはさまざまな種類があります。貸付型、寄付型、購入型、ファンド型……そして、いちばん新しく参入してきたのが「株式投資型」です。

野澤さんは、株式投資型クラウドファンディング登場の背景をこう語ります。

「2015年5月の金融商品取引法の改正により、個人投資家が未上場株式にオンライン上でアクセスし、未上場企業1社に対して50万円まで出資できることになりました。それをきっかけに『株式投資型クラウドファンディング』が誕生。いま現在、取り扱い業者は私たちを含め3社あります」(以下、かっこ内は全て野澤さん談)

野澤さんによると、2015年の法改正以前も、個人投資家が未公開株式を持つことは可能だったそうです。代表的なのは、ベンチャーキャピタルを通じて未上場株を買うなどすること。いわゆる「エンジェル投資家」と呼ばれるものですね。しかし、エンジェル投資となると、最低500万円ほど必要で一般の人はなかなか手が出せませんでした。

このエンジェル投資を少額からオンライン上でできるようにしたものが「株式投資型クラウドファンディング」です。募集しているのは主に資金調達をしたい未上場のベンチャー企業。

エメラダのほか、日本クラウドキャピタル、DANベンチャーキャピタルが参入しています。これらの企業が未上場のベンチャー企業と、資金を提供したい個人の間に入り、双方をマッチングしています。

株式投資型クラウドファンディングのリターンは?

株式投資型クラウドファンディング, クラウドファンティング, EXIT (画像=エメラダ・エクイティ公式サイトより)

投資を考えるときに、いちばん気になるのがリターンです。

「株式投資型クラウドファンディングでリターンを得られるのは、投資先企業がEXIT(イグジット)※を起こした時です」

※編注:EXIT(イグジット)とは、上場や買収などを通じて未上場株式を流動化させること。また、それによってベンチャー企業の創業者やファンドなどが投資した資金を回収する(株式を売却して利益を手にする)こと

野澤さんは主なEXITのパターンとして次の2つを挙げています。

・EXITのパターン1 上場をする

ひとつめは、投資をした先の会社が「IPO(新規上場)」をしたケース。それまで持っていた非上場株式が証券市場に流通するため、自分のタイミングで売却をして現金を得ることができます。

・EXITのパターン2 買収・合併される

もうひとつは、その企業が他の企業に買収や吸収合併される「M&A」が発生した場合です。その場合は、買収元の企業によってその企業の株式も現金化されるため、そのタイミングで投資家も現金を得ることができます。

企業がEXITした時、個人投資家がどのぐらいのリターンを得られるのかが一番気になるところですが、その伸びしろは企業によって全く異なるので一概には言えないとのこと。

実は、株式投資型クラウドファンディングの国内第1号案件は2017年5月。サービス開始から1年も経っていない状況なので、EXITした事例はまだないのだそうです。

「株式投資型クラウドファンディングを行った企業のEXIT事例が1件でも出てくれば、株式投資型クラウドファンディングの注目度も上がり、かなり普及するのではないかと予想されます」

株式投資型クラウドファンディングの2つのタイプ

株式投資型クラウドファンディングは、投資するときに購入するものの違いによって、大きく2つのタイプに分かれます。

ひとつは「普通株式」を発行するタイプの株式投資型クラウドファンディングサービスです。日本クラウドキャピタル、DANベンチャーキャピタルが取り扱っています。

もうひとつは、投資金額に応じた企業の「新株予約権」が発行されるタイプです。今回取材に協力いただいたエメラダ・エクイティの場合は、こちらに当たります。

新株予約権とは、ある企業の株を、1株XX円で◯◯株買える、といった風に、株の購入を予約できる権利のこと。権利を行使するときに株価が値上がりしていれば、その株を売って利益を得ることができます。ベンチャー企業の従業員などに割り当てられる「ストックオプション」も、新株予約権の一種です。

優待や配当はあるの?

株式投資型クラウドファンディング, クラウドファンティング, EXIT (写真=DAILY ANDS編集部撮影)

通常、企業の株式を購入するとその企業の「株主」となり、配当や優待の権利を得ることができます。

しかし、株式投資型クラウドファンディングの場合は、非上場のベンチャー企業なので、配当が出るということはあまりないだろうと野澤さんは言います。また、得られるのが新株予約権の場合も配当はありません。

また、株主優待というものは基本的にはありませんが、系列レストランの割引チケットを投資家に配るなど、独自のインセンティブをつけているケースもあるそうです。

経営権はもらえる?

株式投資型クラウドファンディングでは、経営参画ができる株主の議決権などはどのようになるのでしょうか。ここでも、普通株発行か新株予約権発行かで扱いが変わるようです。

「普通株発行のケースでは、株主の議決権というのはあると思います。定期的に株主総会とか複数回行われて、そこで経営者と直接意見交換することができますよね。

エメラダ・エクイティの場合は新株予約権発行なので、議決権を持たない形になります。しかし、中には自分の意見を経営者に言いたいという方もいるでしょう。そこで、クラウドファンディングを行った企業が、その企業に投資した個人投資家を集めたイベントを定期的に開催している例もあります」

実際にエメラダでは、株式投資型クラウドファンディングを行ったあるクラフトビールの会社にイベント開催を提案し、投資家の方が経営者と直接意見交換をできる場が設けられたのだそうです。

「その会社のビールを味わいながら、投資家同士の交流も深まっていましたよ」

上場企業の場合、株主総会には行けますが、さすがに経営者に直接意見することはかなりハードルが高いです。経営者と近い距離で関わることができるのは、投資家にとっても大きなメリットだと言えそうです。

株式投資型クラウドファンディングの注意点は?

株式投資型クラウドファンディング, クラウドファンティング, EXIT (写真=DAILY ANDS編集部撮影)

株式投資型クラウドファンディングは、大きなリターンが見込める分、もちろんリスクも。考えられるリスクとして、野澤さんは主に次の2つをあげています。

・株式を自由に売却できない

株式投資型クラウドファンディングと株式投資との大きな違いは、「換金性」にあると野澤さんは言います。

「例えば普通の上場株式に投資した場合、急に資金が必要になったので株式を売却したいと思ったら、証券会社に注文を出せば4営業日後にはほとんどの場合、現金化することができます。ただし、株式投資型クラウドファンディングの場合、基本的には企業がEXITするまでは自分の都合で換金をするということができないんです」

このため、エメラダ・エクイティの場合、10年間IPOやM&Aが起こらなかった場合、10年が経過する最後の1カ月間、新株予約権を行使することができる制度を設けています。

・いつEXITするかわからないし、必ずEXITするとも限らない

もうひとつの大きなリスクは、投資先企業が必ずしもEXITすると保証されているわけではなく、しかもいつ起こるかもわからないという点です。

つまり、最悪の場合、投資した企業が倒産してしまうケースも考えられます。投資したお金が戻ることもあるようですが、全く戻らない可能性もあると覚悟しておかなければなりません。

もちろん、株式投資型クラウドファンディングで募集をしている企業は、「EXITの可能性が高い会社」と運営会社が判断した企業であることは間違いありませんが、実際にその後どうなるかという保証はないということを肝に命じておきましょう。

「EXITの可能性が高い会社」をどのように判断するかは、運営会社によって異なるので、チェックしておくとよさそうです。エメラダ・エクイティの場合、扱う企業はベンチャーキャピタル(VC)もしくはエンジェル投資家から資金調達をした会社に限っているそうです。

・投資金額の上限は1社につき50万円

株式投資型クラウドファンディングで個人が投資できる上限金額は1社につき50万円まで、資金調達する企業の調達金額は年間1億円までと金融商品取引法によって定められています。

株式投資であれば1銘柄あたり100万円以上かけないと株式を購入できないこともあまり珍しくないので、この金額は株式投資経験者には少なく感じるかもしれません。しかし、株式投資型クラウドファンディングはまだ歴史が浅いことなどから、法律によって投資できる金額が規制されているのだそうです。

この金額設定について野澤さんは、「株式投資型クラウドファンディングが今後実績を積んでいけば、この50万円という上限は将来的に広がってくることも十分考えられます」と話します。

後編は株式投資型クラウドファンディングの始め方

ハイリスク・ハイリターンともいえる株式投資型クラウドファンディング。とても面白そうな反面、始める時に気をつけなければならないこともいろいろありそうな気がしますね。

後編は、株式投資型クラウドファンディングを始める手順や流れ、投資するときに気をつけること、企業の選び方などについて、さらにお話を伺います!

後編に続く)

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