(写真=graphbottles/Shutterstock.com)

住宅ローン返済中に離婚。財産分与や名義、ローンの支払いはどうなる?

後々に困ったことにならないようポイントを伝授!

こんにちは、婚活FP(ファイナンシャル・プランナー)山本です。

近年、離婚する夫婦もずいぶん増えましたが、そのときに悩ましい問題の一つに、住宅ローン返済中の住居をどうするか、が挙げられます。現預金などと違ってカンタンに折半するというわけにはいきませんし、以後の住宅ローンをどうするのかも問題です。

そこで今回は、住宅ローン返済中に離婚することを前提に、さまざまな重要ポイントをお伝えします。

離婚時の住宅ローン。押さえておきたい5つのチェックポイント

離婚, 住宅, ローン (写真=ShutterOK/Shutterstock.com)

そもそも、住宅ローンの契約内容は、離婚したとしても何も変化しません。

それをきちんと理解していなかったため、契約内容によっては「もう自分は住まないのに、なぜ住宅ローンを支払わねばいけないのか?」といった不満から、トラブルが発生してしまいます。

しかも、最近では共働きの夫婦が増えていることから、契約内容も双方が連帯債務者であるケース、あるいは、一方が連帯保証人となるケースも考えられますから、いざそのときには、よくよく注意する必要があるのです。

1. 財産分与の基本

まずは、離婚時の財産分与の基本を押さえておきましょう。離婚するときに分け合う財産は、預貯金や車、不動産などプラスの財産だけでなく、住宅ローンといったマイナスの財産も含まれます。この辺りは、相続の考え方と同様です。

ただ、どの財産をどのように分け合うかは「夫婦の話し合い次第」が基本ですから、納得いくまで話し合うことが重要になります。

なお、厳密に言えば、オーバーローンの住居(売却しても住宅ローンが残る不動産)は、財産に含まれないこともあるのですが、住宅ローンの契約が残る点は変わりませんから、実質同じと考えていいでしょう。

2. 不動産の名義人

名義とは、一言でいえば「誰のものか」を表すとても大事なものです。不動産の名義人は、法務局で不動産の登記簿謄本を取ることで調べられます。

なぜ、名義人を確認しておくことが大切になるかといえば、例えば、対象となる不動産に住むのは妻なのに、その不動産の名義人は夫である場合、将来的に夫が心変わりして、勝手に不動産を売却してしまう可能性が出てくるためです。

なお、不動産の名義を離婚に伴って変更したい場合でも、夫婦どちらかの年収によっては銀行が了承してくれなかったり、また、無理に変更してしまうと契約違反になることもありますので、注意が必要です。

3. ローンの名義人

不動産の名義人と住宅ローンの名義人は、必ずしもイコールではありません。それだけに、住宅ローンは住宅ローンで、別途しっかり確認しておくことが重要です。

そして、この住宅ローンの名義人をどうするのかが離婚時のポイントになります。

住宅ローンは銀行との正式な契約ですから、夫婦の都合だけで勝手に内容を変更できません。変更するには相応の年収等が必要になり、年収が不足する場合は、名義人を変更できないこともあります。

4. ローンの残債

実質的には、この住宅ローンの残債をどうするのかが離婚時の最大のポイントになります。

住居を売却して清算するのか、住み続ける方が残債も引き受けるのか、夫がローンだけ負担して妻が住み続けるのか……。この問題は、残債が大きいほど悩ましさも増すことになりますね。

また、世帯年収が低いほど解決が難しくなることが多いのもこの問題の特徴です。早期の円満離婚を目指すためにも、夫婦でしっかり今後を話し合いましょう。

5. 連帯債務者・連帯保証人の存在

意外と忘れがちであり、そしてトラブルに発展しがちなのが、「連帯債務者・連帯保証人」の存在です。

ちなみに、連帯債務者は住宅ローン名義人と同等で、連帯保証人はあくまで保証する立場ですが、名義人の返済が滞れば同じと言えます。

そして、だからこそ銀行は、これらの名義変更を簡単には了承してくれません。かといって、名義をそのままにしておくと、返済が滞ったときには大きな問題となってしまいます。

簡単に解決できることはまれでしょうが、名義人の親や親戚など、誰か代わってくれる人はいないのか、何とか解決策を探し出しましょう。

離婚してもモメにくい2つの解決策

離婚, 住宅, ローン (写真=Brian A Jackson/Shutterstock.com)

住宅ローン返済中の離婚といっても、住居に十分な資産性がある、あるいは、繰り上げ返済を繰り返していたため残債が少ないのなら、特に恐れることはありません。

特にモメにくいのは、下記のような解決策が実現できる場合です。

・住宅を売却。利益や残ったローンを2等分する

この方法が、恐らくもっとも後腐れなくスッキリ離婚できます。

ひとまず住居は売却して、売却価格が住宅ローンを上回るのなら利益を、住宅ローンが売却価格を上回るのなら残ったローンを2等分します。

住宅ローンが売却価格を上回るようなケースでは、売却時に銀行と交渉するなどして了承を得ることが必要です。とはいえ、2人の年収や予想残額によっては、交渉の余地が十分にありますから、専門家に相談しつつ、イヤな思い出の残る不動産は早急に手放してしまいましょう。

・住宅を売却せずに、住み続ける方が残りのローンを支払う

こちらもよく聞く方法です。一般的には年収の高い方が住み続け、住宅ローンも年収が高い方がすべて引き受けます。

ただし、このような場合に口約束で済ませてしまうと、もし、夫の勤め先が倒産するなどのトラブルが起きたとき、問題になることがあります。

各名義人の確認・変更、そして、離婚協議書の作成を欠かさないことが重要です。

離婚時、モメやすいパターンとは?

離婚, 住宅, ローン (写真=Victoria 1/Shutterstock.com)

逆に、モメやすいのは次のようなケースです。

・住み続ける人とローンを支払う人が違う

例えば、住み続けるのは妻なのに住宅ローンを支払うのは夫といった具合に、住み続ける人と住宅ローンを支払う人が異なっている場合は、問題になりやすいのです。

予期せぬ事情で支払いが滞る事態になったときには、どちらも共倒れになる可能性もあります。支払いが滞る事態は、必ずしも経済的事情だけではなく、心変わりが原因になる可能性もあることを認識しておきましょう。

仮にこのようなかたちで話し合いをまとめるのなら、最低限、名義を住む人に変更しておくことや、「離婚後〇年分に限り夫が住宅ローンを負担し、後に返済する」といった内容の離婚協議書を作成するなど、一定の防衛をしておくことが重要です。

・夫婦どちらも一人では住宅ローンを支払えない

夫婦のどちらも、一人では住宅ローンを支払えない場合も、モメることになりがちです。特に、不動産を売却して残る残債すら、仮に折半したとしても支払いが困難な場合は、かなりの確率でトラブルになると言っていいでしょう。あるいは、一方が単純に支払いたくないとワガママを言い出すケースもあり得ます。

いずれにしても、基本的に離婚するなら、少なくとも夫婦の一方は、離婚以降その不動産に住まなくなるわけですから、賃料なども考えると、年収によっては打てる手段も限られます。

例えば、夫婦ともに親族からお金を借り入れて返済してしまうなど、どうにか夫婦双方が納得いく解決方法を模索しましょう。

住宅ローン返済中の離婚でとくに話し合って決めたいこと

離婚, 住宅, ローン (写真=Africa Studio/Shutterstock.com)

では、具体的にはどのような順序で話し合ったらよいでしょうか。最低限、決めるべきポイントを解説します。

・家を売却するか否か

離婚, 住宅, ローン (写真=arfa adam/Shutterstock.com)

住宅ローンとの兼ね合いもありますが、そもそも「家を売却するか否か」が重要ポイントになります。

売却できるなら売却を選ぶ夫婦もいる一方で、特に子どもがいる場合は「子どもの生活環境を変えたくない」という理由から、売却しない選択をする夫婦もいるものです。

他にも「一人暮らしには広すぎる」「通勤を考えると不便」「住み慣れた環境を維持したい」など、さまざまな角度から見た理由が考えられますが、まずはこの2択が重要になります。

・誰が住み続けるか

先ほどの選択で売却しない方向性で考えたなら、「誰が(どちらが)住み続けるか」が問題になります。

夫か妻か、それとも子どもを引き取る側か、あるいは年収が高い方か……考え方や事情はさまざまですが、ひとまず納得のいく決断をしましょう。

ちなみに、荒業としては第三者に(一部を)賃貸して、その賃貸収入で住宅ローンの返済をするといった、多少の利益が得られる選択肢もあります。

・ローンの支払いをどうするか

「住宅ローンをどうするか」は大事なポイントになります。不動産に住み続ける方が全額負担するのか、売却してローンを折半するのか……。

この点は、離婚時点の預貯金(財産分与)との兼ね合いもありますから、慎重な判断が必要です。

ひとまず、出ていく側は実家に戻る選択でもしない限り、以後は賃料が必要ですから、今後の生活費についても十分に考慮したうえで決めましょう。

・不動産の名義をどうするか

もちろん、「不動産の名義をどうするか」も重要です。

不動産を売却するならともかく、どちらかが住み続けるならば、できるだけ住み続ける側で不動産名義と住宅ローン名義、そして住宅ローン返済人を統一するのがよいでしょう。

ここで、出ていく側の名義にしてしまうと、後々トラブルになる可能性を高めることにもなります。

どんなトラブルになるかというと、初めにもお伝えしたとおり「いつか勝手に売却されてしまう」という可能性です。また、住宅ローン(不動産)の名義人と実際の返済人が違うと、贈与(税)に該当する可能性も出てきます。

・連帯保証人をどうするか

最後は、「連帯保証人をどうするか」です。この点は、もちろんそのままでもアリなのですが、やはり出ていく側としては、一般的には変更したいのが心情でしょう。

ただし、変更するには、銀行が納得する人間を用意する必要がありますので、簡単にいかない場合も多いことも認識しておいてください。

最終的には仕方ないにしても、なるべく住宅ローンを引き受ける側(または住み続ける側)の身内で、引き受けてくれる人を探しましょう。

離婚する時の住宅ローンの注意点

離婚, 住宅, ローン (写真=Bankrx/Shutterstock.com)

結局のところ、住宅ローンというのは長期にわたって支払いが続くものですから、離婚前後の事情だけではなく、将来を見据えて判断・手続きをしておくことが重要です。

売却してローンも不動産もなくす以外の方向性で考えるのなら、この点は特に注意が必要になります。

特に、離婚時は一刻も早く離婚したい一心で、目先だけを考えて決めてしまいやすいものですが、必要ならファイナンシャル・プランナーのようなお金の専門家に相談して、先々を見据えた判断を心掛けてください。  

分かれ目は「ローン残債」「予想売却価格」

離婚, 住宅, ローン (写真=Tiko Aramyan/Shutterstock.com)

住宅ローン返済中の不動産がある状態で離婚する場合、「住宅ローンの残額」と「予想売却価格の差額」が一つの分かれ目です。

後々の不幸やトラブルを防止するためにも、夫婦で納得いくまで、十二分に話し合いましょう。

【こちらの記事もおすすめ】
離婚する時「お金」で揉めやすい2つのパターンとは?
離婚で弁護士にかかる費用とは?相場と安く抑える方法を解説
買ったマンションの「資産価値」を知っていますか?ポイント解説

▲最新記事はTOPページから

この記事をシェアする

個性的な連載で「投資」を身近に

一つのテーマを深掘り、おすすめ特集