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年収400万円のOLが確定申告したら10万円戻ってくることがわかった話

過去にさかのぼって申告したら得するかも!?

2月16~ 3月15日までは、2017年度の「確定申告」の時期。

「フリーランスじゃないし、関係ない」と思っている人も多いかもしれませんが、実は会社員でも確定申告することで、税金が還付される(戻ってくる)場合があります。

30歳、都内のIT企業で働く年収400万円の桃子さん(仮名)が税理士に相談したところ、なんと「確定申告すれば、総額で約10万円が還付されそう」ということがわかりました。その理由は!?

「私の税金、戻ってきますか?」

確定申告, OL, 会社員 (写真=筆者撮影)

2月16日、自動家計簿・資産管理サービス「マネーフォワード」やビジネス向けクラウドサービス「MFクラウドシリーズ」などの開発を行うマネーフォワードの主催で「MFクラウド確定申告カフェ @BOOK LAB TOKYO」というイベントが催されました。

セミナーのほか、会場では税理士による個別相談「確定申告お悩み相談室」が開かれました。

「もしかして、税金が戻るのでは」と、訪れたのが桃子さんです。相談にのってくれたのは、税理士で、「確定申告酒場」というイベントも開催している高橋創さん。

桃子さんの相談内容は次の3つのポイントです。

  1. 2015年に転職をした。転職活動中、無職だった期間がある
  2. 2016年に株式投資で10万円の損失が出た
  3. 2017年の株式投資で20万円の儲けが出た

税金の申告は5年前までさかのぼれる

確定申告, OL, 会社員 (写真=筆者撮影)

高橋:まず、2015年から見ていきましょうか。

桃子:はい、よろしくお願いします。そもそもですが、過去の申告って、何年前までできるのでしょうか。

高橋:5年前までさかのぼれます。

桃子:源泉徴収票を全部持ってきました。2015年は、退職した会社と、その後就職した今の会社の源泉徴収票が2枚あります。

高橋:まずは転職後のものを拝見しますね。あ、これは前職の分を織り込んでいないですね。

桃子:え?

高橋:通常、転職をすると、転職後の会社が、前の会社のぶんまで合わせて年末調整を行いますので、転職後の会社の源泉徴収票には前の会社の情報が記載されます。

桃子:転職をした時、年末調整で前の会社の源泉徴収票を出すように言われたんですが、取り寄せるのが面倒くさくて放置してしまったんです……。それが理由かもしれません。

また、2015年は無職だった時期があります。その間は国民健康保険料や国民年金も払っていました。

高橋:国民健康保険料や国民年金の支払いの証明書はありますか?

桃子:あると思います。

高橋:なるほど。2015年分は、結構、税金が戻ってきそうですね。

桃子:どうしてわかるのでしょうか?

高橋:会社員(給与所得者)の場合、毎月の給与から税金が天引きされています。年末に計算をしなおして、徴収しすぎた税金を払い戻したりする作業が「年末調整」です。

気がつかない人もいるのですが、12月のお給料がちょっと多い場合があるんですよ。多く取りすぎた税金が戻ってきているだけなのですが。

桃子さんの場合、この年末調整が行われていないのです。計算しましょうか?

桃子:今できるんですか?

高橋:できますよ。ちょっと待ってくださいね。

2015年分だけで10万円戻ってくることが判明

確定申告, OL, 会社員 (写真=筆者撮影)

高橋:かなりざっくりとした計算になりますが、約10万円は還付されるんじゃないかな。

桃子:本当ですか!?

高橋:説明しますね。桃子さんは年の途中で退社、転職しています。そして前の会社のほうが、給与が高い。所得税というのは税率が5%から45%まであって、税率が少しずつ上がっていく仕組み(累進課税)です。

桃子:所得税って20%くらいではないんですか?

高橋:それは結構お給料をもらっている人ですね。年収ではなくて各種控除などを引いた「課税所得」ベースで195万円以下の人だと、所得税は5%ジャストです。

会社員の方は毎月、給料が振り込まれる時に、給与から所得税が差し引かれています。差し引かれる金額は、1年間、その給与で働いたものとみなして計算した所得税額を12カ月で割ったものです。

もし転職によって年収が下がった場合、その分、所得税率も下がりますので、転職前には本来支払うべき金額より高い税金を払っていることになります。

会社が年末調整を行っていなければ、税金の払いすぎになっているということですね。

桃子:そうなんですね。先ほどの、国民健康保険料や年金保険料の支払いというのは?

高橋:社会保険料控除といって、所得から税金がかからない部分として控除できる(引くことができる)んです。それも併せて申告してください。

桃子:わかりました!

株式の損失は、さかのぼってでも申告しよう

確定申告, OL, 会社員 (写真=筆者撮影)

高橋:次は2016年を見てみましょうか。

桃子:2016年は証券会社の特定口座(源泉徴収あり)で株取引をスタートしました。2016年の現物株の取引で、10万円の損を確定しました。2017年では、プラス19万円になりました。このマイナスの分は、翌年のプラスと相殺できるのでしょうか。

高橋:株式や投資信託で損失が出たときは、3年間繰り越せます。2017年のプラス19万円は、まず2016年の損失10万円分を差し引いてから税金が計算されるイメージです。ただ、2016年の損失は、まだ申告していないですよね?

桃子:はい、していません。

高橋:2017年分と相殺するためには、まず2016年分の確定申告をして、損失を申告します。これも、何十年もさかのぼれるわけではなくて5年が期限です。証券会社から発行される「年間取引報告書」が必要になります。

桃子:ネット証券で取引をしているのですが、マイページからDLすることができました。

高橋:では、その「年間取引報告書」をベースに作成した「所得税及び復興特別所得税の確定申告書付表(上場株式等に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除用)」と、「株式等に係る譲渡所得等の金額の計算明細書」を添付して、申告することになります。こうした用紙は、税務署や確定申告の相談コーナーでも備えていますし、国税庁のウェブサイトから、ダウンロードもできます。

ちなみに、2016年分は、会社で年末調整していますし、株式投資はマイナスで税金がそもそも徴収されていないので、戻ってくる税金はほとんどなさそうですね。

年末調整されていない2017年分も確定申告を

高橋:2017年は、会社で年末調整を行っていませんね?

桃子:はい。実は、投資用に不動産を買ったのです。2017年の年末に不動産会社とやりとりをしていたので、会社には「年末調整は不要」と言いました。ところが購入が2018年になってしまったのです。

高橋:年末調整を受けていないので、2017年分も所得税の払い過ぎになっている可能性があります。

桃子:あっ、「ふるさと納税」もしています。寄附金受領書はあると思います。

高橋:確定申告が不要になる「ふるさと納税ワンストップ特例」を使っていないなら、寄附金控除の還付が受けられますね。

桃子:はい、では確定申告で行います。

確定申告する場合「20万円ルール」は無効

確定申告, OL, 会社員 (写真=筆者撮影)

桃子:それから、2017年は仮想通貨の取引をはじめていて、売却益を得ています。でも20万円にはほど遠いので、私のような給与所得者は関係ないですよね?

高橋:そこ、間違いやすいんですよ。基本は、給与所得や退職所得以外の所得が20万を超えなければ確定申告をする必要はありません。でも、税金の還付を受けるために確定申告を選択するとなると、少額なものも確定申告書に記載しなければなりません。

桃子:そうなんですね。

高橋:仮想通貨の取引では「仮想通貨を法定通貨に替えたとき」「ほかの仮想通貨に替えたとき」「マイニング等で仮想通貨を得たとき」「仮想通貨決済を行ったとき」で利益が出ますよね。

手数料などの経費を除いて、年間取引にかかる利益のすべてを合計してたぶんが、所得税の区分で雑所得になります。分離課税で、どんなに利益が出ても税率が決まっている株式投資などとは違い、給与所得などにプラスされてしまう、総合課税です。

桃子:先ほどの、「所得税というのは5%から45%まであって、税率が少しずつ上がっていく」ということですね。何億円も利益を出した人は、すごく大変なことになりそうです……。そもそも雑所得って、ほかにはどんなものが入るのでしょうか?

高橋:例えば、僕のように本業ではない人が書いている本の原稿料や印税、それから年金などもそうですね。要は「ほかに分類できない所得」です。受け皿がないと課税できない所得が出てきてしまいますからね。

仮想通貨の取引を1つずつ計算

桃子:仮想通貨は、使っている取引所のサイトから、取引データをダウンロードできるらしいことはわかっています。

高橋:その計算を自分ですることになります。

桃子:株式投資では、特定口座を開いていれば、証券会社が計算を行ってくれますが、仮想通貨の場合は自分で全部計算しなければならないということですね。結構、細かく売買しているので、面倒くさそう……。

高橋:もうこれは呪いながら計算するしかないんですよ(笑)。さすがに今後は取引所ごとに、損益の計算くらいはしてくれる仕組みになるとは思いますが。

桃子:もし仮想通貨で損失が出たら、何かと相殺できますか?

高橋:同じ年の利益とは相殺できますよ。ただし、雑所得内でもほかの所得と相殺することや、株式投資のように損を翌年に繰り越したりすることはできません。

関係書類などを持って「確定申告相談」へ

桃子:ところで、これを全部申告するためには、どこで何をしたらいいでしょう。

高橋:e-Tax(国税電子申告・納税システム)に登録があれば、確定申告はオンラインでできますよ。

桃子:e-Taxは、申請に手続きが必要ですよね(「電子申告・納税等開始(変更等)届出書」を税務署に提出するなど)。それはやっていませんので、紙ベースになると思います。それに、記入するときに分からないことを聞けたほうが安心です。

高橋:でしたら、お住まいの地域の税務署に「相談コーナー」が設けられている場合があります。転職などで年末調整を受けていない場合に必要となるのは、会社から年末にもらう源泉徴収票、印鑑、税金の還付を受ける銀行の口座番号です。失業期間中の、社会保険料(国民年金保険料)控除証明書も、あれば持参しましょう。

そのほかに、今までお話したような、確定申告したい内容を証明するものですね。

やる気にならないのはなぜ?

高橋:2017年でも1万円ほど還付が受けられそうですから、10万円強は還付されそうですね。

桃子:すごいですね! 勉強になりました。1時間の相談時間が、あっという間でした。こういう機会がなければ、そのままになっていたと思います。不思議ですよね。心のどこかで「もしかしたらお金が戻るかもしれない」と思っていたのですが、ずっと腰が上がりませんでした。

高橋:桃子さんだけでなく、申告をしたら還付が受けられるとわかっても、申告をしない人って多いんですよ。もったいないですよね。

桃子:早速、書類を作成しに申告会場に行ってみます。ありがとうございました。

税金がわかるとお金に強くなれる

桃子さんはその後、都内の区役所へ確定申告に行き、約9万円の還付を受けることになったそうです。「人がたくさんいたので待ち時間は15分ほどあったけど、税務署の人がとても親切でスムーズに申告できました」と教えてくれました。

ちなみに、税金が還付される場合には3月15日を過ぎても確定申告を行うことができます。税金のことがわかるようになると、お金に強くなった気になるかもしれませんよ。

あなたにも戻ってくるお金、ありませんか?

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