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育休中のお給料、税金はどうなる?月収25万円でシミュレーションしてみた

育児しながら働くという選択肢も?

現代では、結婚しても共働きするのが一般的になってきました。共働きの夫婦にとっては「産休・育休制度」を活用して休みを取るのが現実的なのではないでしょうか。

そこで今回は、産休・育休制度について改めて整理すると同時にお給料、税金はどうなるのか、支給額はどのくらいになるのか、いつごろどのように受け取れるのかを具体的に見てみることにしましょう。

産休とは?

産休は産前休業、産後休業のことを言います。

出産予定日の6週間前になったら(双子以上の場合は14週間前から)「産前休業」、出産後8週間は「産後休業」を取得することができます。

産前休暇は本人の意志や希望次第ですが、産後休業は強制です。 ただし、6週間を過ぎたあとに自分で請求してから医師が許可を出した場合は就業も可能です。

産休中のお給料はどうなる?

産休中のお給料は、残念ながらほとんどの会社で支払われません。独自制度として産休中でもお給料が支払われる会社も稀にありますが、基本的に支払われないと考えておいたほうが無難です。

ただ、それでは安心して出産できませんし、生活にも困ることになりますから、産休中は会社のお給料の代わりに、健康保険から「お給料の3分の2相当額」が「出産手当金」として支払われます。

育休制度, 保活 (写真=Syda Productions/Shutterstock.com)

満額のお給料がもらえるわけではないので、十分とはいえないのですが、それでも女性にとって大いに助かる制度ではないでしょうか。

ただし、この出産手当金は「健康保険」からは出るものの、「国民健康保険」からは原則出ません。

つまり会社員なら出るのですが、フリーランスや自営業のかたは対象外になります。そういったかたは、なんとか自助努力で備えましょう。

また、「任意継続被保険者」のかたも原則的に出産手当金はもらえませんから注意が必要です(一部、例外アリ)。

育休とは?

育休とは「育児休業」の略称で、原則として1歳未満の子どもを育てる労働者が、育児のために休業できる法定制度です。

「育児休業」と「育児休暇(法的効力はない、会社ごとに定められた制度)」をまとめて「育休」と呼ぶことも多いですが、育児休暇は会社によって事情が異なりますので、今回は法定制度である「育児休業」のみについて解説します。

育児休業は正社員はもとより契約社員や派遣社員、パート社員でも、一定条件を満たしていれば取得できます。残念ながら、自営業者やフリーランスの方は利用できません。

育休制度, 保活 (写真=Kaspars Grinvalds/Shutterstock.com)

最近、育児休業期間中に子どもを預けるための保育園を探す人も多く、育休はいわゆる「保活期間」にもなっています。

育休制度を使える労働環境であれば、ぜひ利用を検討しましょう。

育休中のお給料はどうなる?

「産休」と同様に、ほとんどの場合は育休中にお給料は入りません。

ただ、それでは生活に困りますから、労働者の生活保障として、育休中は雇用保険から「育児休業給付金」がもらえます。

つまり、育児給付金をもらうには雇用保険に加入している必要があり、雇用保険のない自営業者やフリーランスの方は制度の対象外となるわけです。

・お給料が支払われる会社の場合

幸運なことに、育休中でも通常通りの額面でお給料が支払われる会社にお勤めの場合は、「育児休業給付金」の給付はありません。

また、通常通りでなくても、育休中に支払われるお給料が、およそ通常の80%以上のお給料が支払われる場合も支給対象外です。

・お給料が支払われない会社の場合

育休中はお給料が支払われない会社にお勤めであれば、「育児休業給付金」がもらえます。

ただし、お給料と比べると大幅ダウンとなりますから、家庭の経済事情によっては、育休を取らずに産休が明けたらすぐに職場復帰するという方もいるのが実情です。

育休は「産後休業」とは違い、あくまで本人の希望に基づく任意の制度ですから、必要に応じて利用することが大事です。

産休・育休中に受け取れる育児給付金

育休制度, 保活 (写真=Iryna Prokofieva/Shutterstock.com)

・出産手当金

出産手当金は、産前産後休業中の労働者の生活を保障するために支給されるお金です。

支給金額は、ざっくりとですが「お給料の3分の2」がもらえます。

支給期間は、出産日以前の42日(出産6週間前)から出産日後56日(出産後8週間)です。なお、出産が予定日より遅れた場合は、その遅れた期間についても出産手当金がもらえます(つまりその分、多くもらえます)。

また、何らかの理由で出産手当金と「傷病手当金」の両方をもらえる場合は、出産手当金が優先され、傷病手当金のほうが高い場合は、その差額が傷病手当金としてもらえることになります。

なお、出産手当金は「出産後」に「医師と事業主の両方からの証明」を受けた上で申請書を提出する流れが基本です。そうすれば、おおよそ申請後、2週間程度でお金が振り込まれます。

ただし、余裕がなくてすぐにお金が必要な場合は、産前分を先に申請することも可能(複数回に分けて申請可能)なので、これも覚えておくと良いかも知れませんね。

・育児休業給付金

育児休業給付金は、育休中の労働者の生活を保障するために支給されるお金です。

支給期間は、原則「子どもの1歳の誕生日前日まで」。その時点の状況によっては、最長2歳の誕生日前日まで延長できます。

育休制度, 保活 (写真=Antonio Guillem/Shutterstock.com)

支給金額は、ざっくり言えば育休開始から6カ月間は給料の67%、以後はお給料の50%です。

また、それぞれ上限額があり、育休開始から6カ月は29万9691円、以後は22万3650円です。

育児給付金の受け取り時期は、地区や申請日にもよりますが、申請日から数えて1~3カ月後で、初回以後は2カ月もしくは1カ月ごとに振り込まれます。

お給料と比べると、少し時間差がありますので、やはり多少は貯金などで備えておくことが重要です。

現代では、必ずしも妻より夫の年収のほうが高いわけではありませんから、夫婦どちらが積極的に育休を取るのか、またどちらも取る場合はどのように取るのかも考えて申請することが重要です。

申請方法はそれぞれ勤め先によって違い、勤め先がすべて手続きをしてくれる会社と、書類の用意だけしてくれ、あとは本人が記入して直接ハローワークに申請する会社があります。

まずは、勤め先に確認してみましょう。

産休・育休中の税金&社保はどうなる?

育休制度, 保活 (写真=Andrey_Popov/Shutterstock.com)

2014年(平成26年)4月1日から、産前産後の休業期間中は、社会保険料(厚生年金保険料や健康保険料、雇用保険料など)は免除されます。

しかも、この産前産後休業にかかる社会保険料の免除は「お給料がでる場合」でも適用されますから、嬉しい限りです。

さらに、出産手当金は「非課税」なので、所得税もかかりません。

ただし、住民税は「前年分を今年支払う」という仕組みなので、これだけは産休中でも支払いが必要なことを覚えておきましょう。

育休中はお給料が出ていないため、所得税はかかりませんが、住民は前年分の所得に応じて課税されるため、その年の支払いは発生します。

なお、育休中もお給料が出る会社にお勤めならば、育休前と同様に所得税がかかることになります。

ちなみに、育児休業給付金は「非課税」なので、支給の額面がそのままもらえます。

うれしいことに、育休中の社会保険料は本人分と会社分の両方が免除されます。このため、確かに育児休業給付金はお給料の67%または50%しかもらえないのですが、手取り額で考えると、そこまで「少なっ!」と感じることもなかったりします。

給与明細を使ってシミュレーション!

ここで一度、産休・育休の前後でどのくらい手取り収入が変化するのかを、ざっくりシミュレーションしてみます。

まず、産休・育休前の給与明細は以下の通りだと仮定します。

【育休前の給与明細例】
・総支給額=25万円(基本給=24万円、交通費=1万円)
・控除額合計=5万1771円(健康保険料=1万2883円、厚生年金料=2万3790円、雇用保険料=750円、源泉所得税=4840円、住民税=9508円)
・差引=19万8229円

育休制度, 保活 (写真=Rido/Shutterstock.com)

次に、この方が産休と育休を取得して、出産手当金・育児休業給付金を受け取るようになると、受け取れる金額は以下の通りとなります。

・産前産後休業中  :25万円×3分の2=約16万6666円
・育休取得後6カ月まで:25万円×67%=16万7500円
・育休取得後6カ月以後:25万円×50%=12万5000円

お伝えした通り、産休・育休期間中は社会保険料が免除され、税金も住民税のみ。しかも、出産手当金・育児休業給付金は非課税ですから所得税もかかりません。

産休・育休中の実際の手取り額はざっくり以下の通りとなります。

育休制度, 保活 (写真=T.Dallas/Shutterstock.com)

【産休・育休中の手取り額】
・産前産後休業中:
 16万6666円-9508円(住民税)=15万7158円(産休前の約79%)
・育休取得後6カ月まで:
 16万7500円-9508円(住民税)=15万7992円(育休前の約80%)
・育休取得後6カ月以後:
 12万5000円-9508円(住民税)=11万5492円(育休前の約58%)

産休・育休前の手取り額は19万8229円だったので、4万〜8万円ほどダウンしてしまう計算です。

実際の数字で見てみると、どうやら産休中と育休取得後6カ月までは十分にゆっくりお休みが取れ、それ以後は不十分ながらも相応のお金がもらえそうですね。

なお、一点だけ忘れないでいただきたいのが「保活の過酷さ」です。

現代の保活事情は相当厳しくなっており、地域によっては子どもの2人に1人は入れる保育園が見つからず、泣く泣くキャリアを諦める方も多いのです。

そのため、育休期間の終盤から保育園探しを始めていては手遅れにもなりかねません。育休に入ったら、できるだけ早い時期から保活に着手することが重要です。

どうにかして育休が終わる前に保育園を探し出し、無事、職場復帰を果たしましょう。

産休・育休中に働く時、活用できる制度一覧

育休制度, 保活 (写真=Kaspars Grinvalds/Shutterstock.com)

昨今の少子化の影響を受けて、今の日本にはさまざまな出産・育児に関する支援制度が作られています。

「妊婦検診の助成」などを筆頭に、本当に色んなものがあるのですが、内容や助成額は自治体でバラバラです。

このため、妊娠したらまずは「住まいの役所」にどんな支援制度があるかを確認することが大切といえます。

具体的には、以下のような制度があります。

子どもが1歳になるまで

  • 育児時間…1日2回各30分間の育児時間を請求できる
  • 母性健康管理措置…健康診査に必要な時間の確保と、医師の指示のもと必要な措置を請求できる
  • 時短勤務制度…1日原則6時間の時短勤務制度
  • 時間外労働・深夜業務残業(所定外労働)…請求すれば制限される
  • 子の看護休暇…有給休暇以外に、1年につきに5日間(子ども2人以上なら10日間)の休暇をもらえる

育休制度, 保活 (写真=Antonio Guillem/Shutterstock.com)

子どもが3歳になるまで(★は小学校就学前まで)

  • 時短勤務制度……1日原則6時間の時短勤務制度
  • 時間外労働・深夜業務・残業(所定外労働)[★]…請求することで利用できる
  • 子の看護休暇[★]…有給休暇以外に、1年につきに5日間(子ども2人以上なら10日間)の休暇をもらえる

上記の他、会社には、入園式等の行事参加といった育児に関する目的による休暇

これらの制度は、最終的には会社次第、勤め先次第ともいえ、会社によっては制度を導入していない、あるいは導入していても請求しにくいこともあるのが現実です。

ただし、妊娠や出産、育児などを理由にした不利益な取り扱いは法律で違法とされています。

会社側にも都合があるものですが、どうにも勤め先があなたの育児に非協力的な態度を取る場合は、労働基準監督署への相談も視野に入れ、子どものためにも力強く働きましょう。

猶予期間と心得て、しっかり次の準備を

産休・育休は最長、出産予定日の6週間前から子どもの2歳の誕生日前日まで取ることができ、その間はお給料が出ない代わりに、不十分ながらも出産手当金・育児休業給付金がもらえます(出産育児一時金なども)。

ただし最近の育休については、従来の「重点的な育児期間」という意味合いではなく、保育園を見つけるまでの猶予期間と捉えられています。

猶予が残っているうちに保育園を探し出し、改めてキャリアを積み上げていきましょう。

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