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事実婚「浮気されたら?」「子供ができたら?」メリット・デメリットを理解しよう

あなたが望む夫婦のカタチは……?

新垣結衣さんと星野源さんが出演したドラマ「逃げるは恥だが役に立つ」(2016年)がブームとなりましたが、通常の概念とは違う結婚のカタチに興味をもつ人が増えたのではないでしょうか。

ドラマでは契約結婚という言葉が使われましたが、他にも「事実婚」「同棲」「内縁」など似たような言葉はいくつもあり、実際のところどんな違いがあるのでしょう。

今回は、入籍しない事実婚のメリット・デメリットを多方面から見ていきましょう。

事実婚ってなに?

事実婚, メリット, デメリット (写真= Mikhail_Kayl/Shutterstock.com)

・婚姻届を出さない

夫婦が自らの意思で、あえて婚姻届を出さず、入籍していない状態を「事実婚」といいます。婚姻届けを提出した夫婦と同じように結婚式を挙げ、生活をしているにもかかわらず、法律上の夫婦ではないのです。結婚前の戸籍のままで姓も変わりません。

では、住民票はどう書かれるのでしょうか。住民基本台帳法(いわゆる住基法)では、世帯主でない人には「世帯主との続柄」を記載するように規定されており、事実婚や内縁の場合は「夫(未届)」「妻(未届)」と記載されます。ただし、実際のところは各自治体に任されているのが現状です。

ちなみに、ドラマ「逃げ恥」で話題になった「契約結婚」は、婚姻届を出す場合と出さない場合があるそうです。その点は「事実婚」と少し違いますね。

・同棲との違い

同棲は、あくまでも夫婦ではなく恋人同士が一緒に住んでいる、という認識です。ですので、住民票にも「同居人」と記載されることが多いようです。もしくは、住所は一緒でも住民票は各自別々のままで、それぞれが「世帯主」となっているのが一般的ではないでしょうか。

一方、事実婚では前述のように、住民票の続柄を「夫(未届)」「妻(未届)」とします。これで「生計を一にする」家族と証明され、勤務先から家族手当を受けられたり、生命保険の受取人になることも可能になります(勤務先や保険会社の規定による)。

なお、単身赴任などで世帯が分かれている場合は、夫婦それぞれが世帯主となるだけで法的な婚姻関係に変わりはなく、住民票の続柄も「夫」「妻」のまま変わりません。

・内縁との違い

事実婚と内縁は、公の意味としては同じです。どちらも婚姻届を提出した「法律婚」ではない婚姻関係であることを表しています。公的な文書では事実婚も「内縁」と記してあることが多いのです。どちらも、お互い夫婦と認め合う関係であり、周囲も夫婦同然と認識しているという点では同じです。

それでも、やはり「事実婚」と「内縁」には違いがあります。それは何かといえば、結婚に対する考え方や価値観です。事実婚は「結婚(法律婚)できないのではなく、しないのです!」といったイメージでしょうか。内縁は事情があって法律婚(婚姻届を提出)できないというケースも含まれますが、事実婚には、あくまでも自分たちで選んだという強い意志が感じられます。

「婚姻届」による夫婦同一姓、各種権利義務や手続きの発生、離婚した場合の手続きなどの問題をあえて避け、自由で束縛のない関係を求めているのです。

事実婚のメリットは?

事実婚, メリット, デメリット (写真=Goran Bogicevic/Shutterstock.com)

・名字を変更しなくてよい  

事実婚では籍を入れないので、戸籍が変わることはありません。名字の変更がないため、それに伴い発生するパスポートや免許証の氏名変更手続きなどをする手間がかからないといったメリットがあります。

民法750条には「夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫または妻の氏を称する」とあり、結婚すれば夫婦のどちらかが結婚前の姓を変えなければならないと規定されています(夫婦同姓の強制)。

しかし、価値観が多様化した現代では、名字の変更に抵抗感を感じる人も増えています。生活や仕事上で不便や不利益を生じることがあれば、なおさらでしょう。そういった枠にとらわれないのが事実婚です。

・別れても戸籍に傷がつかない   

法律婚の夫婦が離婚した場合には、それぞれの戸籍に離婚した旨が記載されます。いわゆる「バツ」ですね。これに対して、事実婚の夫婦が関係を解消しても、戸籍には何の記載もされません。

・対等な関係を保てる  

事実婚カップルの多くは、既存の結婚のカタチに疑問を持っています。

お互いが仕事を持ち自立しているケースが多く、そのぶん、家事の負担などは法律婚の夫婦以上にしっかりと話し合っている傾向があります。家事を労働としてお互いに評価するという点は、メリットがあるでしょう。

他にも、勤務先の会社で家族手当が支給される(勤務先の規定による)という点もメリットといえます。

余談ですが、同居しているなど結婚生活の実態がないにもかかわらず、家族手当のような利益を得るために結婚したと判断された場合は偽装結婚として、詐欺罪等の対象となってしまう可能性があります。その点には注意が必要です。

事実婚のデメリットは?

事実婚, メリット, デメリット (写真=Antonio Guillem/Shutterstock.com)

・周りの理解が得られにくい   

事実婚を自分たちの価値観で選んでも、世間の常識はまだまだ追いついていません。結婚したら入籍するのが当たり前、家族は同じ姓であるべきといった昔ながらの価値観は根強くあります。

例えば、賃貸物件を借りる際に、事実婚だと大家さんの印象が悪くなるなど。残念ながら、周りからの理解を得るのが難しい場面も多く、変わった人と見られたり、「無責任」「覚悟がない」「甲斐性なし」と非難されたりすることもあるのが現状です。

ただ、世界的にはイギリスやフランスをはじめ、夫婦別姓や事実婚は広く認められています。今後は、日本の民法や価値観も変わっていくかもしれません。

・税制で優遇が受けられない?  

法律婚の夫婦の場合、「配偶者控除」や「配偶者特別控除」という税制上の優遇措置がありますが、事実婚では適用されません。配偶者控除は年間38万円ですから、所得税率10%の方であれば、年間3万8000円、10年間で38万円ほど税額が変わってきます。

ただし、配偶者控除や配偶者特別控除が認められるのは、納税者と生計を共にしていて、年間の給与収入が配偶者控除では103万円以下、特別控除では141万円未満の人です。夫婦どちらともそれ以上の収入がある場合や、どちらかの収入が1000万円以上の場合は控除の対象外となります。どちらもそれなりの収入があるという2人にとっては、関係ない話ですね。

また、健康保険、厚生年金、企業の扶養手当などは、住民票に事実婚であることは記されていれば、法律婚の夫婦と同じように受けることが可能になります(それぞれの保険組合や企業の規定による)。

その他、もしも離婚(関係解消)した際の養育費や相続の財産分与については、事実婚や内縁関係であってもきちんと保護されます。

そうなると、法律婚をするメリットはあまり見当たらないということに。

・浮気などを訴えられない?  

事実婚なら浮気をされても文句を言えないと思っていませんか? これは勘違いしている人も多いのですが、民法では、事実婚にも法律婚と同じように「貞操義務」があります。

貞操義務とは、浮気をしないということです。事実婚でも、相手が浮気をしたら訴えることができますし、慰謝料請求もできるのです。

ただし、婚姻の意思がない同棲では慰謝料請求は認められません。

・遺産はどうする?    

事実婚では互いに相続権が発生しないので、パートナーに遺産を残したい場合は遺言書を書く必要があります。遺言書に相続財産を特定して記載するか、「相続財産の全てを内縁関係者の者に譲る」と記載して適切な方法をとれば、原則として遺言書通りに相続が取り行われます。

ちなみに、内縁の配偶者(夫、妻)は法定相続人となりませんが、認知している子どもがいれば、夫の相続人となります。つまり、子に財産を残すことは問題なくできるのです。

事実婚で子どもができたらどうする?

事実婚, メリット, デメリット (写真=Mila Supinskaya Glashchenko/Shutterstock.com)

・子どもは母親の戸籍へ?   

子どもができたら、どうなるのでしょうか。

子どもは自動的に母親の戸籍に入り、母親の姓になります。出産後に区役所に提出する出生届には、「嫡出子」と「非嫡出子」の選択肢のうち「非嫡出子」に丸を付けます。住民票の続柄には「子」と記載されます。

・認知するか否かを選択できる  

事実婚では「認知」することで父親の存在を法的に証明することができます。

認知の方法は、主に「胎児認知」と、産まれた後の「任意認知」があります。「胎児認知」は母親の本籍地のある自治体で、「任意認知」は父親または子どもの本籍地か住んでいる自治体で手続きを行います。

・子どもの名字はいつでも変えられる   

先述のとおり、事実婚で子どもが生まれた場合、自動的に母親の戸籍に入り、母親の名字になることになっています。

けれども、父親の名字にすることも可能です。子どもに父親の姓を名乗らせたい場合は、「認知届」に続いて、子どもの「入籍届」を提出します。いずれも家庭裁判所の許可が必要ですが、通常はスムーズに進みます。

子どもが少し大きくなって話を理解できるようになったら、名字を選択してもらうのも一案です。

その際、親権についても考えておいたほうがよいでしょう。法律婚の場合は父母の共同親権ですが、事実婚や内縁では、どちらか一方しか親権者になれません。通常、親権は母親にありますので、子どもを父親の籍に入れる手続きをする際に、親権を父親に変更することもできます。

もちろん、たとえ親権を父親に変更したとしても、母子であることに変わりはありません。実際には気持ちの問題だけかもしれませんが、多くの母親はそれを嫌だと感じるのではないでしょうか。後で後悔しないためにも、事前に話し合っておきましょう。

・子どもへの説明はどうする? 

いろいろな生き方があるんだよと教えることができ、子どもも、多様性について理解し前向きに受け入れることができるなら、事実婚の子育ては成功といっていいでしょう。

とはいっても、周りから「子どもがかわいそう」と言われることがあるかもしれません。しかし、親である2人がしっかりと考えて出した結論なら「かわいそう」では決してありません。子どもにとって生活面でのデメリットも、特にありません。

事実婚を選ぶかは慎重に考えよう

事実婚, メリット, デメリット (写真=Aunging/Shutterstock.com)

住民票や遺言など、事前にきちんと準備さえしておけば、事実婚に大きなデメリットはないといってよいかもしれません。むしろ、社会で活躍し経済的に自立している女性にとっては、事実婚よりも法律婚のほうがデメリットは多いと感じるかもしれません。

古い常識や周囲の意見に惑わされることなく、婚姻届を出すかどうか、子どもはどうするか、家計や家事の分担はどうするか――といったことまで含めて、望む夫婦のカタチをとことん話し合ってみませんか。

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