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出産前後にもらえる3つの「お金」はどんな制度?条件や手続きは?

案外手厚いものなんです

初めての赤ちゃんが生まれるのは、家族にとっても嬉しい一大事です。

しかし共働き夫婦で心配なのは、妻が妊娠で働けなくなることによって収入が減ってしまうことなのではないでしょうか。

ここではそのようなお金の心配が少しでもなくなるよう、出産・育児時期を確実にサポートしてくれる3つの給付金の制度と内容をご紹介します。

まずは健康保険の加入状態を確認

出産, もらえる, お金 (写真=phloxii/Shutterstock.com)

出産や育児に関わる給付の制度は、「健康保険法」と「育児・介護休業法」(「育児休業、介護休業等育児または家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」)という国の法律によって決められています。国が「あなたたちが出産して育児をしても、あなたたちの生活を支えるよ」という意志を持って、この制度を決めたということなのです。

そのお金はどこから出てくるのか?と言うと、私たちの「もしも」を支える「社会保険」となっています。

より具体的には、社会保険の中でも病気をした時などに助けてくれる「健康保険」、そして失業した時などに助けてくれる「雇用保険」です。働かない期間に会社がお給料の何割かを補填してくれている訳ではありません。あなたと会社が毎月納めている保険料から支払われるのです。

健康保険には、お勤め先の種類によって「協会けんぽ」「船員保険」「共済組合」の3種類がありますが、どの保険からも給付金は同様に出ます。

また、雇用保険はすべての雇用主に納める義務があります(ただし、加入要件で除かれる人もいます)。お仕事に就いた際、会社から健康保険証と雇用保険被保険者証をもらったはずです。ぜひ加入状況を確かめてみましょう。

出産前~出産後までもらえる給付金「出産手当金」

出産, もらえる, お金 (写真=Ramona Heim/Shutterstock.com)

・「出産手当金」ってどんなお金?

「出産手当金」は、健康保険から給付されるお金です。出産のために会社を休み、その間お給料を得ることができなかった時、その間の生活をサポートしてくれるお金です。

ここでは、「協会けんぽ」の例をご紹介します。その他の健康保険も、大体は同じです。

・どのくらいもらえるの?

もらえる金額は、人によってそれぞれ違うので、計算してみなければなりません。

1日当たりの支給額
=(支給開始日以前の継続した12カ月間の標準報酬月額)÷30日×2/3

標準報酬月額とは、健康保険料の額を決める際の基準とする、毎月のお給料を区切りのいい幅で区切って設定した、「あなたの月収をこのくらいとみなしますよ」という額のことです。

期間は出産日の42日前から出産の翌日以後の56日目まで。この範囲内で、実際に会社を休んだ期間に対して支給されます。もし出産が予定日より遅れた場合は、予定日から数えて42日前をスタートとし、遅れた分の期間についても、支給されます。

・給付を受けるための条件は?

「転職してから12カ月経っていない……」そんな場合は、少し違った計算式を使います。

また、「出産前に退職してしまった」という場合も、退職する前の日まで1年以上継続してその健康保険に加入していて、退職日が手当金の支給対象期間の中に入っており、退職日に出勤していなければ、期間の範囲内で引き続き支給を受けられます。

・手続きの方法は?

支給を受ける際は、申請書に記入して全国健康保険協会に提出する必要があります。医師や助産師に書いてもらう箇所、会社に書いてもらう箇所がありますので、余裕を見て手配しましょう。場合によっては、別の書類を添える必要もあります。

自分で申請書を全国健康保険協会に提出することもできますが、大抵は会社で手続してくれますので、総務や人事に相談しましょう。

出産の時にもらえるお金「出産育児一時金」

出産, もらえる, お金 (写真=Africa Studio/Shutterstock.com)

・「出産育児一時金」ってどんなお金?

「出産育児一時金」も、出産手当金と同じく健康保険から給付されます。こちらは、出産した時の費用の補助として給付されるお金です。ここでも出産手当金同様、「協会けんぽ」の場合でご紹介します。

・どのくらいもらえるの?

もらえる金額は、子ども一人につき42万円です。分娩に関連して生まれた赤ちゃんが重度の脳性麻痺になってしまった時、家族の経済的負担を支える制度を「産科医療保障制度」といいますが、その制度に加入していない医療機関などで出産した場合は40.4万円となります。

双子など多胎児の場合は、その人数分支給されます。妊娠4カ月以上の出産が対象で、早産、死産、流産、人工妊娠中絶も支給対象として含まれます。

・給付を受けるための条件は?

出産手当金は、その健康保険の被保険者になっている人が対象の給付金ですが、こちらの出産育児一時金は、出産する本人が被保険者でも、被保険者の被扶養者が出産する場合でも、どちらでも受けることができます。

なので、もしあなたが出産前に退職することを考えているのなら、退職する前の日まで1年以上継続してその健康保険に加入していて、退職日から6カ月以内に出産する場合は、あなたの健康保険から給付を受けることができますし、パートナーの健康保険の被扶養者となって、パートナーの健康保険から給付を受けることもできます。

しかし、夫婦両方がそれぞれの健康保険からダブルで受けることはできません。

・給付金を受け取る2つの方法

給付の受け取り方としては、2通りあります。

全国健康保険協会から出産した病院などの医療機関に出産にかかる費用として直接支払う「直接支払制度」と、出産にかかった費用は医療機関に支払っておいて、後で全国健康保険協会から給付金を受け取る方法です。

どちらの場合も、出産費用が給付額を越えた場合は差額を病院に支払う必要がありますし、逆に給付額より少なかった場合は、差額を全国健康保険協会から改めて受け取ることになります。

・手続きの方法は?

直接支払制度を利用する場合は、まず、そのことについての書類を病院で作成します。出産後、病院は全国健康保険協会に費用を請求し、またあなたへは明細書を交付します。もし差額がある場合は、マイナスなら病院にその分を支払い、プラスなら後で全国健康保険協会へ申請書を提出して、支給を受けます。

直接支払制度を利用しないのであれば、そのことについての書類を病院で作成し、出産後に費用の全額を病院に支払って、領収書や明細書を受け取り、後で全国健康保険協会へ申請書を提出する流れになります。

これについては会社が記入しなければならない項目はないので、自分と病院、全国健康保険協会とのやり取りで事足りますが、書類の入手先・提出先も同じなのですから、まずは出産手当金の手続き時に同時に、会社の総務や人事に相談してみましょう。

出産後、育休中にもらえるお金「育児休業給付金」

出産, もらえる, お金 (写真=goodluz/Shutterstock.com)

・「育児休業給付金」ってどんなお金?

「育児休業給付金」は、「仕事」と「育児」の両立を支えるお金です。こちらは雇用保険から給付され、厚生労働省が担当の制度です。

育児休業給付金は、「雇用継続給付」と呼ばれる制度のひとつで、皆さんもよく知っている「失業手当」、いわゆる「求職者給付」の中の「基本手当」と呼ばれる給付金なのですが、それと並んだ制度です。

雇う方も雇われる方も、仕事と家庭を両立させて働きやすい労働環境で末永くやっていこうよ、という主旨の制度なのです。

女性は産後の休業期間を含めて1年間の育児休業を取ることができますが、その間の収入を補完してくれます。

・どのくらいもらえるの?

もらえる金額は、その人の会社でのお給料によって異なります。

原則として、支給対象期間1か月当たり
(育休を開始した時の賃金日額)×(支給日数)×67%(6か月経過後は50%)相当額

となっています。

・給付を受けるための条件は?

育児休業給付金を受けるには、受給資格の確認をしなければなりません。育児休業を開始する前2年間で、賃金支払いの対象となった日が11日以上ある月が12カ月以上あることが必要です。

その上で、育児休業中に休業前の賃金の8割以上の賃金をもらっていないこと、育児休業中に、1カ月ごとの支給単位期間内で10日以下しか働いていないこと、が要件となります。

・手続きの方法は?

申請の手続きは、事業主である会社がハローワークに対して行います。原則として2カ月に1回申請を行い、支給を決定していくことになります。

育児休業給付金の申請は、支給要件である就業日数の計算や、支給単位期間の設定などが、少し面倒くさいです。給与計算や、育児休業をどのように取得し、どのように復帰するかなどにも関わってきます。

ですので、会社の総務や人事、上司などと十分にコミュニケーションを取って、(あれ?計算が狂った……?)ということがないように、よくよく話し合ってみてください。

育児休業給付金はパパももらえる?

出産, もらえる, お金 (写真=StockLite/Shutterstock.com)

2017年度の法改正で、「パパ・ママ育休プラス」という制度が始まりました。男性の育児休業取得を進めるため、両親ともに育児休業を取った場合に、特例を設けるものです。

この場合、子どもが1歳になるまでしか取れなかった育児休業が、1歳2カ月まで延長されます。ただ、一人の親が取得できる育児休業の長さは、これまで通り1年間です。

ですので、休業の取り方の組み合わせとしては、母親の育児休業が切れた後を父親が引き継いだり、期間を二人で重ねたり、母親の産後8週間の休業中に父親が一緒に育児休業を取ったり、いろいろなパターンが可能です。

両親ともに育児休業を取る場合、育児休業給付金ももちろん、それぞれの雇用保険からそれぞれ給付してもらうことができます。

また、保育園に入れなかったなどの理由で仕事に復帰できず、それ以上の育児休業を取る場合には、手続きをすることで、子どもが1歳6カ月になる前の日、さらに2歳になる前の日まで、育児休業給付金の支給期間を延長することができます。

確実にサポートを受けよう

出産, もらえる, お金 (写真=Anna Grigorjeva/Shutterstock.com)

最初に述べたとおり共働き夫婦にとって、妻が働けなくなる期間の収入はどのくらいになるのか、かかった費用に対してどの位戻ってくるのかはできるだけ把握しておきたいものです。

妊娠中、出産直後、育休などに対応する制度をフル活用してどのような申請が必要なのかを会社に相談しつつ、自分でも基礎知識を得て安心して出産を迎えましょう。

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