(写真=suravid/Shutterstock.com)

夫婦共働きの私たち。子供はどちらの扶養に入れればおトク?

現状把握で、出て行くお金が変わる!

夫婦のどちらもフルタイムで働く共働き世帯が増えています。以前は、妻の収入より夫の収入の方が多いというご家庭がほとんどでしたが、最近は夫婦の収入が同じくらい、または妻の方が多いというケースも。

また、夫婦どちらかが自営業(フリーランス含む)であるというのも珍しくないでしょう。そうした働き方の変化に伴って、家庭によっては子どもを夫婦どちらの扶養に入れた方がよいのか、迷う状況も出てきましたね。

扶養の基本的なルールを押さえ、夫婦どちらの扶養に入れるのがよいのか一緒に考えてみましょう。

夫と私、子どもを扶養に入れるのはどっちがいい?

扶養 子供, 扶養 子ども (写真=Syda Productions/Shutterstock.com)

扶養には大きく分けて「社会保険(健康保険)の扶養」と「税制の扶養」があります。夫婦どちらの扶養に入れるかは、それぞれにルールが異なるため分けて考える必要があります。

まず社会保険の扶養には、収入が多い方が扶養するという原則があります。収入が同程度の場合には、親などの扶養者が自営業なのか会社員なのかなどでも加入する健康保険が違ってきますし、それによって各給付の内容も変わってきます。

また、税制の扶養については、扶養する子どもの年齢や収入状況でも節税効果が違ってきます。

子どもを扶養に入れるポイント①健康保険 

扶養 子供, 扶養 子ども (写真=9dream studio/Shutterstock.com)

健康保険では、被保険者(扶養する人)の一定範囲の家族や親族かつ、被保険者によって生計を維持されている人が被扶養者(扶養される人=ここでは子ども)となります。

原則的には、共同で子どもを扶養している夫婦(夫婦共同扶養)で、夫婦のどちらにも収入があり被保険者である場合、子どもの人数にかかわらず、年間収入の多い方が被扶養者(扶養する人)となります。

子どもが夫婦どちらの被扶養者になるかは、各健康保険の認定によって決まりますが、年収の差が明らかな場合は、より収入が多い方が子どもを扶養するのが一般的です。夫婦どちらの扶養に入れるのかという選択肢が出てくるのは、一般的には年収が同程度の夫婦であるケースが多いでしょう。

しかし、現在では「夫婦共同扶養における健康保険被保険者認定の取り扱い」が見直され、妻より夫の収入が多い場合でも、実質的に子どもの生計維持が妻の収入でまかなわれているなら、子どもを妻の扶養にできるとされています。

共働きで働き方も多様化している現代社会では、世帯のあり方にもさまざまなケースがあります。状況に応じて対応も違ってくるため、加入している健康保険組合などに確認する必要があります。

・「健康保険組合」と「協会けんぽ」の違いもポイント

会社員が加入する社会保険には「健康保険組合」と「協会けんぽ」があります。健康保険組合は企業が自前で健保組合を設立したものであり、大企業やその子会社の社員が加入しています。一方、協会けんぽは「全国健康保険組合」という団体が運営しています。

健康保険組合は医療費補助など企業独自でルールを設けているなど、協会けんぽよりも内容が充実している場合が多いため、子どもを扶養入れる場合には考慮したいポイントになります。

また、健康保険組合や協会けんぽでは、扶養家族ができても保険料金の増額はありませんが、子どもを扶養する親が自営業者で国民健康保険に入っている場合は、扶養人数で保険料が増えていきます。これは国民健康保険には扶養という概念がないためです。

ですから妻が会社員、夫は自営業で国民健康保に険加入といったケースでは、夫の扶養に入れたとすると、子どもの数だけ国民健康保険料が増えてしまいますね。

子どもが妻の扶養に入るのであれば、子どもが増えても保険料は増額されないため、支払いが増えない分お得になることが多いといえます。

このように、年収が変わらないなどの理由で夫婦どちらの扶養に入れるかを選べる場合は、お互いが加入している制度をチェックして考えましょう。

会社員同士なら協会けんぽよりも健康保険組合。また、自営業者と会社員の夫婦であれば、国民健康保険よりも保険料負担が増えない健康保険組合や協会けんぽを選んだ方がお得になるのが一般的です。

とはいえ、必ずきちんと内容をチェックして比較するようにしましょう。

子どもを扶養に入れるポイント②税金

扶養 子供, 扶養 子ども (写真=Suzanne Tucker/Shutterstock.com)

・16歳未満の子どもがいる場合

税制の扶養は社会保険の扶養とは考え方が異なります。ここで関係してくる税金は住民税と所得税です。

会社員の場合は年末調整の際、扶養控除申請書の扶養家族記入欄に子どもの名前を書くことで、子どもを(税制上の)扶養に入れたことになります。このとき、子どもの年齢が16歳未満であれば扶養控除の対象外となり控除額はゼロですので、夫婦どちらの扶養に入れても影響ありません。

ただし住民税では、たとえ子どもが16歳未満だとしても扶養の有無が税金に影響します。

そもそも住民税は、一般的に前年中の年収が100万円以下(障がい者、未成年者、寡婦または寡父は204万4000円未満)であればかかりません(※1)。ですが、この金額を超えて仕事をしている人でも非課税にできる、または、減らせる場合があるのです。

実は、住民税には「非課税限度額」といって一定金額までの所得の人は税金がかからないという特別ルールがあります。住民税は所得割と均等割という2つの計算方法で算出されますが、均等割では「35万円×(1+扶養人数)+21万円」までの人が、所得割は「35万円×(1+扶養人数)+32万円」までの人が非課税にとなります(※2)。この「扶養人数」に16歳未満の子どもの人数も含めることができる点が、住民税を減らすカギとなるのです。

例えば、妻が子育て中などで仕事をセーブしていて所得が非課税限度額以内となる場合は、妻の扶養に16歳未満の子どもを入れることによって住民税を大きく減らせます。

具体的に見てみましょう。例えば、東京都中央区に住む夫婦の場合、扶養人数(子どもの人数)によって住民税が非課税になる収入は以下のようになります(給与所得のみ)。

<1人扶養した場合>
年収156万円以下なら均等割・所得割とも非課税
年収167万円以下なら所得割は非課税

<2人扶養した場合>
年収191万円以下なら均等割・所得割とも非課税
年収202万円以下なら所得割は非課税

※1「均等割」の課税が発生しない収入額(非課税限度額)は市区町村など自治体によって異なり、年収100万円以下でも課税される場合があります。また税額も、自治体によって加算される他税の有無や種類によって変わりますので、非課税限度額や税額についてはお住まいの役所などでご確認ください。

※2「所得割」の非課税限度額は全国一律35万円ですが、「均等割」の非課税限度額は自治体によって異なる場合があります。

・16歳以上の子どもがいる場合

扶養する子どもの年齢が16歳以上になると、扶養に入れることにより節税効果が出てきます。例えば、夫の年収が妻より高い場合、夫の所得税率を20%、妻の所得税率を10%仮定し(個人の所得税は累進課税により所得が高いほど税率も高くなります)、19歳の子どもがいる状況では、夫婦どちらの扶養に入れた方が節税効果が大きくなるのか見ていきましょう。

<住民税・所得税の年齢別扶養控除額>
・0歳~15歳
住民税の扶養控除なし/所得税の扶養控除なし
・16歳~18歳
住民税の扶養控除33万円/所得税の扶養控除38万円
・19歳~22歳
住民税の扶養控除45万円/所得税の扶養控除63万円
・23歳~69歳
住民税の扶養控除33万円/所得税の扶養控除38万円
・70歳以上
住民税の扶養控除38万円/所得税の扶養控除※48万円
※同居老親等の場合=住民税控除45万円、所得税控除58万円

<夫が扶養した場合>
住民税 45万円(扶養控除額)×10%(住民税率)= 4万5000円
所得税 63万円(扶養控除額)×20%(所得税率)=12万6000円
合計額(住民税+所得税) 17万1000円

<妻が扶養した場合>
住民税 45万円(扶養控除額)×10%(住民税率)= 4万5000円
所得税 63万円(扶養控除額)×10%(所得税率)= 6万3000円
合計額(住民税+所得税) 10万8000円
※住民税は一律10%とし、試算に均等割は考慮していない

世帯の年間節税額を計算すると、上記のように夫が扶養した場合は住民税が4万5000円、所得税が12万6000円で合計17万1000万円、妻が扶養した場合は住民税4万5000円、所得税6万3000円で合計10万8000円になります。この場合は、収入が多い夫が扶養した方が、妻の扶養に入れるよりも年間で6万3000円多く節税できることが分かりますね。

子どもを扶養に入れるポイント③会社の制度

扶養 子供, 扶養 子ども (写真=Cressida studio/Shutterstock.com)

会社によっては、扶養人数分の家族手当や扶養手当などが支給されている場合があります。これは会社独自の制度であり、支給要件は就業規則などで決められているので会社によって違いますが、基準として税制上の被扶養者であることを要件としていることが一般的です。

こうした手当の金額は会社により異なり、1カ月数千円の場合から1万円を超える場合までさまざまです。扶養する子どもが複数いる場合、支給額は年間でかなり大きな金額になることも。

夫婦がともに会社員の場合、それぞれの勤務先に手当はあるのか、支給されている場合は支給額がいくらなのかなど、支給要件も含めてしっかり確認したい部分です。

児童手当を受け取る条件は?

扶養 子供, 扶養 子ども (写真=kaprik/Shutterstock.com)

児童手当の所得制限は、生計の中心者(=一般的には所得が高い方)の所得額と扶養親族の人数で判断されます。

夫の所得650万円、妻の所得500万、12歳の子どもが1人という家庭の場合、一般的に児童手当を受け取るのは所得が高い夫になりますが、ここで子どもを妻の税制の扶養に入れている場合、夫の扶養親族等の人数は0人です。

下表から、扶養親族等の人数が0人のとき、夫の現在の所得は児童手当の所得制限(この場合は622万円)を超えてしまうため、受取額は一律年間6万円(※)となります。一方、子どもを夫の税制の扶養に入れていれば、夫の扶養親族等の人数は1人となり、現在の夫の所得650万円は所得制限にかからずに済むため、年間12万円(※)の児童手当を受けることができます。

児童手当は子どもが生まれてから16年間にわたって支給される手当です。家計収入にも大きく影響しますので、この児童手当も考慮したうえで、どちらの扶養に入れるかを検討しましょう。

※児童手当は、3歳未満であれば年間18万円、中学生までであれば年間12万円(第3子は3歳以上、小学校修了まで年間18万円)を受け取ることができます(所得制限にかかる場合は子どもの年齢にかかわらず年間6万円)。

子どもを分けて夫婦それぞれの扶養に入れることはできるか?

扶養 子供, 扶養 子ども (写真=F8 studio/Shutterstock.com)

先述したように社会保険の扶養では、例えば子ども3人のうち2人は夫の扶養に、1人は妻の扶養に入れるというように、複数人いる子どもの扶養を夫婦で分けることはできません。ただし税制の扶養に関しては、特に会社に規則がなければ、子どもたちの扶養を夫婦それぞれで分担することもできますが、会社への確認は必要です。

税制の扶養を夫婦どちらにするかは、図表のように税金への影響、会社からの扶養手当の支給状況、そして児童手当の支給要件などを踏まえて考える必要があります。

・共働き夫婦が子どもの扶養をどちらにするか決めるポイント

<子どもが16歳未満の場合>
所得税:夫婦どちらでも大差ない
住民税:所得が非課税限度額以内である方
健康保険:原則的に収入が高い方
会社からの扶養手当の支給:就業規則による
児童手当の支給:一般的には所得が高い方

<子どもが16歳以上の場合>
所得税:所得が高い方
住民税:所得が高い方
健康保険:原則的に収入が高い方
会社からの扶養手当の支給:就業規則による
児童手当の支給:児童手当支給なし

自営業や会社員といった夫婦の働き方、収入、また会社員の場合は勤め先によっても、子どもをどちらの扶養に入れた方がお得になるのかが違ってきます。

社会保険の扶養に関しては、会社や健康保険の各機関、住民税については各自治体によって規定が異なる場合が多いので、不明な点は問い合わせをして確認していくことが大切です。

転職をする機会や、状況によって収入が増えたり減ったりすることも珍しくないため、気になったらその都度確認することが大事ですので、気を付けましょう。

【こちらの記事もおすすめ】
夫を扶養に入れたほうがよい場合とは?FPが年収要件を解説
結婚したら扶養に入るべき?扶養の基礎から控除手続きまで一気に解説します
共働き夫婦、子どもの扶養はどっちに入れるべき?「扶養」の基礎知識

▲最新記事はTOPページから

この記事をシェアする

個性的な連載で「投資」を身近に

一つのテーマを深掘り、おすすめ特集