(写真=Mocha)

いま話題の「トンチン年金」ってなに?

トンチン年金は、長生きすればするほどおトクになる

最近、「トンチン年金(保険)」ということばを聞いたことはありませんか?

トンチン年金は、長生きすればするほどおトクになると言われているもので、長生きリスクに備えるために役立ちます。

今回は、そもそもトンチン年金とは何か、活用すべきかどうかについて解説します。

そもそも「トンチン年金」ってなに?

「トンチン」は「トンチンカン」という言葉とは全く関係なく、イタリアの銀行家であったロレンツォ・トンティが考え出したといわれている「トンチン年金」から来ています。

だから語音から言えれば「トンティ年金」ですが、日本人に合わせたネーミングということですね。

トンティが考えたトンチン年金は、一定期間保険料を支払い、年金をもらい始めた人が生きている間は年金がもらえるが、亡くなったら年金は終わる。短い期間で亡くなっても遺族には払われず、その原資は生きている他の受給者の年金となるというものです。

つまり、長生きするほど多くの年金を受け取ることができ、反対に早く亡くなると払った保険料分の回収をすることができないことになります。

現在、保険会社で販売されている「トンチン年金保険」はその変形といえます。

加入対象は50歳以降で、80歳まで契約可能です。死亡に関する補償がなく、解約返戻金も低くなっています。その代わり生きている限り年金を受け取ることができるというものです。

さて、何歳まで生きれば、元が取れるか気になるかと思いますが、それは、平均寿命以上、男性なら90歳、女性だと95歳以上生きていてこそ、払った保険料以上の年金がもらえる計算になっています。

なぜ「トンチン年金保険」ができたの?

トンチン年金保険ができた理由は二つ、平均寿命が延びたことと、人口が減少し高齢者の割合が増えたことです。

トンチン年金,長生きリスク 出所:内閣府「2017年版高齢社会白書」より

このグラフから平均寿命が確実に伸びていることがわかります。

1950年の平均寿命   男性58歳・女性61歳
2017年の平均寿命   男性81歳・女性87歳
2065年の平均寿命予想 男性85歳・女性91歳

2017年流行語大賞にノミネートされた言葉に「人生100年時代」がありましたが、100歳まで生きることが実際に現実味を帯びています。

つまり、「人生80年。現役65年、老後15年」と考えて人生設計していた時代から、「人生100年。現役80年、老後20年」ということです。

次に人口と高齢者の割合の推移を見てみましょう。

トンチン年金,長生きリスク 出所:内閣府「2017年版高齢社会白書」より

1950年  8,400万人  4.9%
2016年  12,700万人 27.3%
2065年予想 8,800万人 38.4%

以上の通り、今後日本の総人口が急速に減少していき、高齢者率がさらに上昇していくことが明らかです。もはや、若い世代に老後を支えてもらうという考えでなく、高齢者同士で長生きのリスクを支えあうことが必要ではないかという発想からできた年金が、「トンチン年金保険」なのです。

トンチン年金のメリット・デメリットは?

メリットは、生きている限り必ず年金がもらえるので、長生きリスクに備えることができることです。

一方、デメリットは早く死亡すると、支払った保険料を受け取ることができないことです。また、保険商品なので、投資信託などの他の金融商品と比べると、手数料が割高になっていることが挙げられます。

50歳以降契約ができて、80歳でも契約可能であることから考えると、高齢者同士で助け合って長生きを喜べるようにしようというものです。こう見ると、損得より、長生きしても安定してお金が入るという「安心感」を買える仕組みといえます。

しかし安心を買うということであれば、トンチン年金の他にも、資産形成の方法はあります。

「公的年金の繰り下げ」「NISA」「つみたてNISA」がある!

トンチン年金の考え方は公的年金である、国民年金と厚生年金の老齢年金とほぼ同じです。

老齢年金も生きている限り受け取ることができますし、その上、亡くなったとしても対象となる遺族がいれば遺族年金として支給されます。

長生きのリスクに備えるなら、受給できる時期を遅らせて年金を増やすことも可能です。これを「繰り下げ」といい、1年遅らせると、年間で受け取れる年金額が8.4%増額となります。

例えば、65歳でなく70歳受け取り開始とすれば、42%増額されることになり、100万円が基本の年金額であれば、142万円を生涯受け取ることができます。なお、繰り下げできる年齢に制限はありませんが、増額となる期間は最大5年までなので、70歳以降に繰り下げる金額的なメリットはありません。

また、長生きできるかできないかで損得がわかれるという、不確定なことに委ねるのではなく、NISAやつみたてNISAという、確実に資産形成をしながらも、運用で得た利益は非課税となる優遇を受ける制度もあります。

損得のために長生きするのではなく、イマを楽しみながら資産形成を

今後さらに長寿と人口減少の時代を迎えることから、トンチン年金はそれに備えるために生まれた商品といえます。

しかし、すでに公的年金がそのしくみであり、公的年金は繰り下げできること、またNISAやつみたてNISAなど非課税のメリットを受けながら資産形成ができる制度があることも踏まえて、トンチン年金を考えてみたいものです。

お金(損得)のために長生きするというのは、人生の目的が変わってきます。イマという時間を楽しむのを一番に据えながら、資産形成をしていくのが良いのではないでしょうか。

小野 みゆき
中高年女性のお金のホームドクター
社会保険労務士・CFP®・1級DCプランナー
企業で労務、健康・厚生年金保険手続き業務を経験した後、司法書士事務所で不動産・法人・相続登記業務を経験。生命保険・損害保険の代理店と保険会社を経て2014年にレディゴ社会保険労務士・FP事務所を開業。セミナー講師、執筆などを中心に活躍中。FP Cafe登録パートナー。

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