(写真= gorillaimages/Shutterstock.com)

自分でできる!「タコ足分配」ファンドの見分け方

投資家の「勘違い」ワースト3

老後のためにコツコツ資金を積み立てる「iDeCo」(イデコ、個人型確定拠出年金)も、今年から新しくはじまった「つみたてNISA」も、いずれも資産を投資信託(ファンド)で運用ができるという点で共通しています。

投資信託に関する投資セミナーも最近はたくさん行われていますが、講師を務めるプロによると、大きな「勘違い」をしている人も多いそうです。

一体どういうこと?聞いてみましょう!

※本記事は、2018年1月20日開催「楽天証券 新春講演会2018」ミニセミナー「銘柄選びは株だけじゃない!投資信託の銘柄選びの考え方 」GAIAプライベート ファイナンシャルプランナー三橋圭介さんの講演内容を編集したものです。

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投資家の「勘違い」をまとめて紹介

投資信託の選び方, タコ足分配 (写真=FGC/Shutterstock.com)

「私は2006年よりコンサルティングを中心とした FP としての活動を開始し、2010年からは現在の会社で、累計2000件以上のファイナンシャル・プランニングの相談とその実行支援を行っています」(以下、カッコ内は全て三橋圭介さんの発言)

月に2、3回「投資信託の見直しセミナー」を行っている三橋さんは、受講者の質問が共通していたり、よくある勘違いがあることにも気づいたと言います。

そのなかから、最も「よくある」という3つを紹介します。

勘違いその1:「分配金の多いファンドは良いファンド」

投資信託の選び方, タコ足分配 (写真=Pathaiwat/Shutterstock.com)

「毎月分配型」は、まるで年金のように分配金がもらえるため、シニア世代を中心に人気のファンドです。

ネットで情報を集めてみると、毎月分配型には、海外の不動産投資信託など、海外に投資するものを中心に、今でもたくさんのファンドがあります。最近でも、なんと年10%という分配金を出しているものもあります。

この超低金利時代に高配当!と、つい投資したくなりますが、ふと「もしかして、その分配金って、もうけからでなく、元本を取り崩しているのでは」と心配になりますよね。

これは、タコが自分の脚を食べるようだという例えから「タコ足分配」と呼ばれたりするものです。

「投資信託のリターンは大きく分けて、キャピタルゲイン(値上がり益)とインカムゲイン(金利収入)の2つがあります。分配金額がインカムゲインの範囲内であれば、分配金を出したことにより投資信託の基準価額が下がることはありませんが、その資産クラスのインカムゲイン以上に分配金を出した場合は『タコ足』となっている可能性があります」

三橋さんは、自分が持っている投資信託が「タコ足」なのかどうなのか、を知るには「原資産の利回り」を比較する方法がある、と話します。原資産の利回りとは、その投資信託が投資対象としている資産クラスから得られるインカムゲインのことです。

月次リポートで「分配金利回り」>「原資産利回り」だったら「タコ足分配」の可能性があり、要注意、とのこと。

タコ足分配ファンドの具体的な見極め方は後ほどご紹介します。

☆勘違いその1 まとめ
分配金が多いからと言って良いファンドとは限らない。月次リポートで「原資産利回り」をチェックし、「分配金利回り」を下回っていたら「タコ足分配」の可能性があり、要注意。

勘違いその2:「基準価額が高いファンドは割高だ」

投資信託の選び方, タコ足分配 (写真=Tero Vesalainen/Shutterstock.com)

クイズです。A、Bのファンドをあなたはどう評価しますか?

  • Aファンド…基準価額1万3607円
  • Bファンド…基準価額5433円

  • Aが割高だと思う
  • Bが割高だと思う
  • これだけでは判断できない

    正解は3です。

「『ファンドの基準価額の数字が大きいから割高で買えない』と思っている方が多いのですが、基準価額だけから割高かどうかの判断をすることはできません。例えば、例に挙げたA、Bのファンドは、両方とも日経225に連動するファンドなんです。同じ指数に連動するので実力の違いはなく、どちらを買ってもその後ほぼ同じ値動きをします」

基準価額とは、ファンドの1口あたりの値段のこと。通常の場合、基準価額は設定日前日を1万円として計算されています。そのファンドがいつ設定されたかで、基準価額は異なるのです。

運用開始後は、全資産を毎日時価評価して合算し、利息や配当収入を足したり費用を引いたりして、毎日の基準価額を計算します。分配金を払った後は、そのぶん基準価額は下落します。

☆勘違いその2 まとめ
基準価額だけで割高・割安は判断できない。

勘違いその3:「人気のあるファンドは運用成績もいい 」

投資信託の選び方, タコ足分配 (写真= Gansstock/Shutterstock.com)

たくさんの人が買っているファンド=時価総額の大きいファンドを「人気があるファンド」として、調べてみましょう。

総資産額ランキング1位の日本株ファンドAと純資産額ランキング200位以下のある日本株ファンドBを比較してみましょう。

総資産額で比較するとファンドAは4000億円以上あり、ファンドBに比較して87倍となっています。一方、5年間のトータルリターンで比べるとファンドBの方がファンドAに比べて1.5倍となっています。

海外ファンドの例でも、純資産が6000億円以上もあるランキング1位のファンドよりも、順位は40番代で純資産はその11分の1しかないファンドの方が、2倍のトータルリターンを上げている場合もあります。

☆勘違いその3 まとめ
純資産額の多さと運用成績は別。人気のあるファンドは必ずしも運用成績が良いとは限らない。

「タコ足分配ファンド」の見極め方

投資信託の選び方, タコ足分配 (写真=Schiros/Shutterstock.com)

「勘違い1」にあった、「タコ足分配ファンド」。自分の持っているファンドがどうかを見極める方法を解説します。

まず、運用会社のウェブサイトから、調べたいファンドの「月次レポート」を探します。通常、公開されているものです。

1. 月次レポートの「基準価額」をチェック

例:3300円(2018年X月X日現在)、など。

2. 「利回り」をチェック

例:3.75% 、等。

ファンドの月報ごとに記載場所が異なりますので、注意して探してみてください。

3. 年間に安全に出せる配当金を計算

年間に安全に出せる配当金は、「基準価額」✕「利回り」で求められます。

例:3300(円)×3.75(%)=123.75円 

4. 「分配金の推移」を見て、3を上回っていないかチェック

例:
2017年 3月 50円
2017年 2月 50円
(と、毎月50円ずつ、分配されている)

3で求めた年間に安全に出せる配当金は123.75円でした。これを12カ月で割ると約10円 (=123.75÷12)となります。毎月10円ずつなら、適正な分配金だと言えますが、実際には50円分配されているので、元本を取り崩している「タコ足分配」の可能性が大きいといえます。

「このような分配を続けると、基準価額が落ちていきます。お手持ちの投資信託で気になるものがあったら、是非ウェブサイトから、月次レポートをチェックしてみてください」

運用は、商品選びだけじゃない

投資信託の選び方, タコ足分配 (写真= ESB Professional/Shutterstock.com)

三橋さんは投資信託の見極め方を解説した上で、

「運用のプロセスにおいて個人投資家は商品選びから入ってしまいがちです。一方、年金基金や海外の大学基金などが行っている運用のプロセスでは、運用商品を選ぶステップは1番目ではなく3番目です」

と念押ししました。資産運用では、4つのプロセスを推奨しているそうです。

1. 目標の設定

どのくらいの期待リターンが必要なのか、どのくらいのリスクを許容できるかを自分の運用目的や運用期間、ライフステージなどに合わせて検討し、目標となるリターンを設定する。

2. 資産配分の設定

株45%、債券60%、といった資産配分を決める。

3.商品選び

決定した資産配分を構成できるよう、それぞれの資産クラスの商品を選ぶ。

4. 定期的な見直し

マーケットの変動により資産配分がずれた場合、資産配分が当初と同じ比率となるよう「上がったものは売り、下がったものは買い増す」リバランスを行う。

最近流行している「ラップ口座」「ロボアドバイザー」は、このうち②〜④を自動化しているといえそうです。

こうしたプロセスを踏まえて自分に合う商品選びができるようになるといいですね。

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