(画像=Rawpixel.com/ShutterStock)

ますます広がる「クラウドファンディング」2018年のトレンドは?

クラウドファンディングサイト「Readyfor」から見た今年の展望

「世界をより良くしたい」という思いからアイデアやプロジェクトを持つ人が、資金面で支援してくれる人たちをインターネットを通じて募るクラウドファンディング。

「この取り組み、いいな」と共感したり、「自分の思いと重なる部分があるかも……」と感じて心を動かされるプロジェクトにすでに支援した経験がある人もいるかも知れませんね。

2018年、クラウドファンディングはどのような広がりを見せていくのでしょうか。

日本初のクラウドファンディングサイトReadyforを運営する、READYFOR 広報部マネージャーの大久保彩乃さんにお話をうかがいました。

クラウドファンディング拡大までの道のり

・きっかけは東日本大震災

日本でクラウドファンディングが大きな広がりを見せ始めたのは、2011年の東日本大震災がきっかけでした。被災地復興に向けた資金調達手段として、日本発のクラウドファンディングサイトが続々と立ち上がり始めた時期でもあります。

クラウドファンディング, ふるさと納税 (イメージ画像=yankane/ShutterStock)

同年4月には大久保さんが広報をしている「Readyfor(レディーフォー)」、6月には「CAMPFIRE(キャンプファイアー)」、7月には「MotionGallery(モーションギャラリー)」など様々なクラウドファンディングサイトが次々にオープンしました。

少し期間をあけて2013年8月に「Makuake(マクアケ)」がスタートし、やがて2017年9月にはクラウドファンディングの先駆け的サービスである、アメリカ発の「Kickstarter(キックスターター)」が日本上陸を果たすなど、市場は拡大し続けています。

・国内規模は745億円に

矢野経済研究所が2017年9月に発表した「国内クラウドファンディング市場の調査」によると、2016年度の国内クラウドファンディングの市場規模は、新規プロジェクト支援額ベースで、前年比96.6%増の745億5100万円と急拡大を見せているようです。

クラウドファンディング, ふるさと納税 (画像=Andrey_Popov/ShutterStock)

大久保さんがいるReadyforでは2017年、掲載プロジェクト件数7500件、累計支援額55億円、累計支援者数24万人、達成率75%と、過去最高の数字を記録したとのことでした。

クラウドファンディングが拡大した影響

このようにクラウドファンディングが拡大するにあたり、どのような事が変わってきたのでしょうか。

・ネット利用者の6割が「聞いたことがある」

大久保さんはまず、サービスを通じてクラウドファンディングが世間にも浸透してきた事をこのように振り返ってくれました。

「2017年に弊社が調査したところ、インターネットを使っている人の約6割が“クラウドファンディング”という言葉を聞いたことがあると回答し、この1年でクラウドファンディングそのものが一般的になってきたことを実感しています」(大久保さん)

・使われ方がより多様化

クラウドファンディング, ふるさと納税 (画像=Rawpixel.com/ShutterStock)

さらに、業界全体の動きを振り返ると、2017年はクラウドファンディングそのものの認知が広がったことで、クラウドファンディングの使われ方がより多様化した1年だったそうです。

「プロジェクト実行者によって、クラウドファンディングを活用する目的・使い方は十人十色。また、弊社のようなプラットフォーム側も多様化し、ジャンルや地域に特化したサイトが数多く生まれました。

Readyforでもサービス開始当初は、年間40件ほどのプロジェクトを掲載していたのが、2017年は月間200件ほどのプロジェクトを掲載するまでになりました。

資金調達の手段としてクラウドファンディングがより身近になり、多くの方のチャレンジをサポートできることは大変嬉しいことです」(大久保さん)

・倒産や詐欺的なプロジェクトも散見

市場が賑やかではありましたが、良いことばかりが起きる、とは限らない部分もあるようです。大久保さんは続けてこのように説明してくれました。

クラウドファンディング, ふるさと納税 (画像=fizkes/ShutterStock)

「倒産してしまったクラウドファンディングサイトや、詐欺的なプロジェクトも散見された年でした。

実行者・支援者共に確かなサービスを選ぶ目が求められていると思います。と同時に、私たちプラットフォーム側も、実行者・支援者へ常に安心・安全を提供できる仕組みを作っていくフェーズにきていると思います。

また、以前に比べて、『クラウドファンディングサイトに載っているなんて珍しい。だから支援してみよう』という支援者は減っています。言い方を変えると、プロジェクトへの思いやプロジェクトを成功させる覚悟がないと、目標金額を集めるのが難しくなっている、ということです。

掲載プロジェクト件数が市場全体で増えているからこそ、支援者も実行者の活動や思いをより吟味して支援するようになっています。

よって実行者は支援者に対して、これまで以上に丁寧なコミュニケーションをとることが求められてきているようにも思います。」

2018年のトレンドとなるポイント3つ

それでは大久保さんに、今年クラウドファンディングはどのようになって行くかのポイントを3つ、教えて頂きましょう。

1.自治体のクラウドファンディングが加速

2017年にも件数は少ないものの、自治体によるプロジェクトがいくつか立ち上がっていました。

その中の1つにふるさと納税制度を活用して行うクラウドファンディングがあります。

クラウドファンディング, ふるさと納税 (画像=PIXTA)

これは、「お礼の品」→「寄付金の使い道」の順に選ぶのが一般的なこれまでのふるさと納税とは異なり、支援者が「この取り組みを支援したい」との思いを持って、「寄付金の使い道」→「御礼の品」の順に選ぶ仕組みになっています。

ふるさと納税制度を活用したクラウドファンディングが今後どうなるのか、大久保さんはこう見ていました。

「ふるさと納税制度がスタートして約10年。その間、“返礼品競争”が過熱し、2017年4月には高市早苗総務相(当時)が、『ふるさと納税返礼品は納税額の3割以内に』との通知を出したことも注目を集めました。

ふるさと納税の本来の趣旨や目的と現実が乖離している今、制度の見直しが叫ばれています。返礼品を重視するのではなく、使い道を重視する自治体によるクラウドファンディングも、ふるさと納税制度を改良する手段のひとつとして、2018年に広まりを見せていくのではないでしょうか」

2.公的機関が資金を獲得

大久保さんは自治体以外にも、国公立の大学や病院などの公的機関によるクラウドファンディング活用の増加を挙げていました。

「これまで公的機関は、クラウドファンディングを積極的に活用していませんでした。ところが、2017年を境に資金集めの手段として、クラウドファンディングを使い始めるケースが増えています。

国からの税金や補助金に頼るのではなく、自立的な運営を目指そうとする動きが広がり始めている印象です。」

クラウドファンディング, ふるさと納税 (画像=Rawpixel.com/ShutterStock)

税金や補助金など、国から援助された資金は、使途が制限されているため本当に使いたいところや、今すぐ必要なところにお金を回せないことで困っている現場も少なくありません。

そこで、使い道をあらかじめ提示した上で、共感してくれる支援者から資金を集めるクラウドファンディングが重宝され始めたというわけです。

Readyforに掲載されたプロジェクトでいうと、2017年4月に成立した長野県立こども病院の事例がわかりやすいようです。

同プロジェクトは、一般病院で患者の具合が急に悪くなったとき、病院からのSOSで一目散に駆けつけるクルマ「ドクターカー」を新規購入する資金を集めるものだったそう。

クラウドファンディング, ふるさと納税 (画像=PIXTA)

これは長年に渡り、365日24時間休みなく使われ続けてきた結果、これ以上使い続けるのはマズい……というくらい車両が激しく老朽化していたものの、購入資金がなく困っていたといいます。支援を呼びかけたところ、1500万円の目標金額をはるかに上回る2500万円超が集まったようです。

3.金融機関との連携が加速

大久保さんが最後に挙げているのが、金融機関とクラウドファンディングプラットフォームとの連携です。

背景には、クラウドファンディングがマーケティング・市場調査的な側面を担えることが明らかになってきたことがあったそう。

「創業して間もない、資金繰りが大変なベンチャー企業から融資の相談を受ける金融機関は少なくありません。ただ、創業期での融資や、成功するかどうか読みづらい新規事業への融資に対し、金融機関はそう簡単に応じられません。そこまでのリスクをとれないのが実情です。

クラウドファンディング, ふるさと納税 (画像=Syda Productions/ShutterStock)

そこで、まずはクラウドファンディングでプロジェクトとして発表し、市場の反響を見た上で融資を検討していく、という動きをとる金融機関が徐々に増えてきています。

弊社でも提携している約47の金融機関から、『こんなベンチャー企業が新たな事業を立ち上げようとしているので、プロジェクトとして出せないか』『どういった表現や見せ方でプロジェクト化すると支援されやすいか』といった相談を受ける機会が増えました」(大久保さん)

インターネット上で支援を募ると、反響の大きさや共感の度合いがリアルタイム、かつ数字で可視化されます。融資を決める上での“材料”を集めやすいといえるのかもしれませんね。

今年はチャレンジしてみる?

日々ニュースを眺めていると、話題に事欠かないクラウドファンディング業界。自分でも支援者になったり、思いきってやりたいことが出てきたら実行者になってみるのも良いかも知れません。

2018年のトレンドもウォッチしていきたいものですね。

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