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つみたてNISAは今後どうなる?2018年展望を専門家に聞いてみた

2018年展望・つみたてNISA編

「最近、金融投資をすすめる記事や広告を目にする機会が増えたな……」

そう感じたことはありませんか?

年末年始、とくに目立っていたのは、今月スタートした「つみたてNISA」です。でも、2014年に開始したNISAとどう違うの?と思った方もいるでしょう。

今回、つみたてNISAとは何かをいったんおさらいし、次に2018年につみたてNISAはどう広がりを見せていくのか、さらに今年から投資を始める方向けの注意点も交えて、詳しくお伝えします。

教えてくださるのは、セゾン投信社長の中野晴啓さん、ファイナンシャル・プランナーの荒木千秋さんのおふたりです。

そもそもNISAとは?

NISA, つみたてNISA, 違い, おすすめ (写真=Thinkstock/GettyImages)

・投資で得た利益に税金がかからない

NISAがスタートしたのは、今から4年前となる2014年1月。投資で得た利益に税金がかからないとあって、口座開設数は年々増え、NISA口座数は2017年6月末時点の情報で、1090万1386口座となっています。

ただ、中野さんは「NISAはシンプルでわかりやすい制度ですが、本来の趣旨や目的が正しく理解されないまま、制度開始から4年目を迎えている」と感じていたのだとか。

・NISA本来の趣旨とズレた利用も多く

NISAはこれまで投資をしたことのない方にも、少額からコツコツ投資を始めてもらい、長期的にお金を増やしてもらうために金融庁が設けた制度。ところが、NISAにはコツコツ、ちょっとずつ利用しなければいけない、という制約やルールはなく、「コツコツというよりも、一回で当てにいく、いわば“一発勝負”をする人も多くいるのが現状。その結果、損をしている人も少なくない」(中野さん)のだそうです。

・本来の趣旨を叶えるため、つみたてNISAが登場

そこで、「国民一人ひとりが将来にわたってお金を少しずつ増やす」という本来の趣旨を叶えるために誕生したのがつみたてNISAです。

つみたてNISAとは?

NISA, つみたてNISA, 違い, おすすめ (写真=Syda Productions/Shutterstock.com)

つみたてNISAも、投資で得られた利益に税金がかからないのはNISAと同じです。ただし金融庁ホームページによると、つみたてNISAには、NISAにはなかった次のような特徴があります。

  • 投資できる対象商品は「長期の積立・分散投資に適した一部の投資信託(☆1)・ETF(☆2)」のみ
  • 投資の上限金額は年40万円(NISAは年120万円)
  • 非課税期間は20年間(NISAは5年間)

つみたてNISAの仕組みに乗っかって、長期・積立・分散投資をすれば、お金はきちんと増えていく――。そのことは金融庁も「平成27事務年度 金融レポート」内で示しています。

☆1 投資信託(ファンド)とは?
「投資家が少しずつお金を出し合い、それを運用のプロがひとまとめにして、複数の株や債券に投資する金融商品」のこと。ただし、プロが運用することに対する手数料がかかる。(参考:ゆるキャラが解説!「投資信託」基本のき
☆2 ETF(イーティーエフ)とは?
国内外の取引所に上場し、通常の株式と同様に市場で売買される投資信託のこと。信託報酬などの運用コストが比較的低いのも特徴。個別銘柄による分散投資に比べると、ETFは少額での分散投資が可能です。(参照:SMBC日興証券「ETF [上場投資信託]」)

2018年、つみたてNISAはどうなる?

NISA, つみたてNISA, 違い, おすすめ (写真=Sergey Edentod/Shutterstock.com)

では、今月スタートしたつみたてNISAは4年前のNISAのように順調に口座開設数を伸ばし、さらにNISAが成し得なかった「国民一人ひとりが将来のためにお金を少しずつ増やす」という金融庁の思いを国民に届けることができるでしょうか?

・金融庁の変化にも注目

つみたてNISAが2018年、どう広がっていくか予測する上で、「金融庁の変化」も押さえておきたいポイントだと、中野さんは指摘します。

「金融庁は今年、つみたてNISAを開始したことで、大胆な改革に出ました。これまで金融庁といえば、金融業界が健全であり続けるために金融行政を管理監督するという風に、金融業界の方を向いていたんです。しかし、ここにきて初めて、業界を守る“金融役所”から、国民に幸せをもたらす仕事人へと変化しました」(中野さん)

2018年、国民のための金融行政を……と大きく舵を切ったということ。その姿勢を端的に現しているのが、つみたてNISAというわけです。金融庁がそこまで本腰を入れて進める一大プロジェクトであるからこそ、どこの金融機関も広告宣伝費を投下し、つみたてNISAへの案内をしているのも納得ですね。

・情報解禁日から注目度は高く

NISA, つみたてNISA, 違い, おすすめ (写真=Thinkstock/GettyImages)

つみたてNISAの情報解禁日だった2017年10月1日。自社サイトにつみたてNISAの情報を掲載後、通常の3倍くらいの問い合わせが来たと中野さんは振り返ります。

「セゾン投信ではNISA口座を開設している方が約2万8000人います。現行のままでいくか、つみたてNISAに移行すべきか悩む方からの問い合わせ、新規の問い合わせが殺到し、自分事として受け止めて、真剣に検討されるようになった方が増えたなという印象を受けました」(中野さん)

同社で新規に口座を開設する方の3分の2が、つみたてNISAの口座を開設しているという数字からも、つみたてNISAの注目度の高さが伝わってきます。

・つみたてNISAは20〜30代に広がる?

NISA, つみたてNISA, 違い, おすすめ (写真=Thinkstock/GettyImages)

「2018年、つみたてNISAは、20代~30代の若年層を中心に盛り上がっていくのではないでしょうか。会社員時代、金融商品の提案を仕事にしていた私から見ても、つみたてNISAは個人投資家にとって有利な制度だと思っています。投資って怖いとか、よくわからないと思っている方も、つみたてNISAの良さを知ったら、投資を楽しめるのではないでしょうか」(荒木さん)

金融庁「NISA口座の利用状況に関する調査結果の公表(平成29年6月末時点)」によると、2017年6月末時点で、NISA口座を開設している人は50代以上が60%を占め、20〜30代は15%にとどまっています。

つみたてNISAは、これまで年代によって偏りがあった「NISA」の利用者を、若年層にも広げていくことが期待されているのですね。

つみたてNISAで投資を始めたい人へのアドバイス

荒木さんには、中長期・安定的に資産をつくっていきたい方向けに、商品の選び方を伺いました。

・中長期での資産づくりには「バランスタイプ」

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「中長期で資産形成したい方には、『バランスタイプ』の投資信託がおすすめです。バランスタイプの中でも、債券・株式だけではなくREIT(リート、不動産投資信託)などにも分散投資しているもの、通貨も日本円や先進国通貨以外に新興国通貨にも投資しているタイプがいいでしょう。値動きの大きな資産が入っているため中長期で保有するのに向いています」(荒木さん)

・安定派は債券比率を高めに

NISA, つみたてNISA, 違い, おすすめ (写真=Thinkstock/GettyImages)

「大きなリスクを取るよりも、安定的なリターンを求めたい方には、バランスタイプの中でも、債券の比率が高いタイプを選ぶと良いでしょう」(荒木さん)

大事なのは、途中で商品をコロコロと替えるのではなく、20年間、腰を据えて付き合える商品を選ぶこと。

1年間に40万円という非課税投資枠を20年間しっかり活かして、毎月コツコツとお金を積み上げていくことで、短期的に投資をするよりも、より大きくお金を育てやすくなります。

投資未経験者こそ、つみたてNISAが向いている理由

最後に、NISAとつみたてNISA、それぞれが向いている人、NISAからつみたてNISAに移行した方がいい人や注意点について、おふたりに伺いました。

・NISAに向いている人

NISA, つみたてNISA, 違い, おすすめ (写真=Thinkstock/GettyImages)

まず、NISAに向いているのは、自分で積極的に資産を増やしていきたい人だと、荒木さん。

「NISAのメリットは、投資信託だけではなく株式等の幅広い投資対象の中から、自分のタイミングで投資できることです。ただし、NISAは利益が出たときに有効な制度。リスクの高い投資は値下がりの可能性も大きくなるため、NISAのメリットである非課税制度が利用できないことに注意が必要です」(荒木さん)

・つみたてNISAに向いている人:投資ビギナー

NISA, つみたてNISA, 違い, おすすめ (写真=kram9/Shutterstock.com)

一方、つみたてNISAはこれから投資を始める人に向けた制度、と指摘するのは中野さん。

「もともとNISAをしている方が、つみたてNISAにシフトすると非課税上限額が年間120万円から40万円に大きく目減りしてしまします。つみたてNISAは1カ月あたり、最大約3万3000円しか積み立てできません。弊社では、NISAで年間120万円の非課税投資枠を活かしきれていなかったお客様には、つみたてNISAへの移行をご案内しています」(中野さん)

・つみたてNISAに向いている人2:働く女性

NISA, つみたてNISA, 違い, おすすめ (写真=Thinkstock/GettyImages)

荒木さんは、つみたてNISAは働く女性にとても向いている、と話します。理由はふたつ。

「まず、忙しくてもできるから。つみたてNISAは一度手続きをしてしまえば、自動的に投資をしてくれる仕組みで、無理なく続けることができます」(荒木さん)

働く女性は年齢を重ねていけばいくほど、仕事に家事、子育て、趣味にetc.とすることも増えていくもの。自動で投資をしてくれるのはありがたいです。

「ふたつ目の理由は、投資先の選定がNISAよりも簡単なこと。つみたてNISAの投資対象商品は、金融庁が長期の資産形成に適していると定めた商品に限られています。投資初心者の悩みのひとつに、『どこに投資すればいいかわからない』というものがありますが、つみたてNISAならあまり悩むこともないと思います」(荒木さん)

つみたてNISAで国際分散投資

NISA, つみたてNISA, 違い, おすすめ (写真=AnastasiaNess/Shutterstock.com)

もちろん、投資にはリスクがつきものですから、時には資産が減ってしまうこともあるでしょう。

中野さんは、「金融庁の推奨する分散投資とは、世界に分散する『国際分散投資』のこと」と解説します。

「世界経済は長い目で見ると、とても安定的に成長し続けています。当たりそうなものに絞り込んで、賭けをする感覚で投資するのではなく、世界経済の成長に伴って、自分のお金もコツコツと積み上がっていく――国際分散投資のしくみに素直に乗っかるのが一番です」(中野さん)

つみたてNISAで購入できる商品は、金融庁ホームページ「つみたてNISA対象商品届出一覧」などから確認できます。セゾン投信の商品を例にあげると、世界の株式と債券へ半分ずつ投資する「セゾン・バンガード・グローバルバランスファンド」などが、中野さんの言う国際分散投資ができるものとなります。

つみたてNISAはNISAよりも敷居が低く、「補助輪付き」で運用ができる資産づくりの制度とも言えそうです。

(2018年展望・つみたてNISA編、おわり)

※DAILY ANDSでは2018年の資産運用環境をうらなう展望記事をテーマ別に順次、配信しています。続編もお楽しみに!

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